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2018年9月30日 (日)

ニッキ・パロットNicki Parrott 「Stompin' At The Savoy」

ニツキ・パロットの50年代ジャズ・ムードたっぷりの快作

エラ・フィッツジェラルド&ルイ・アームストロングに捧ぐ!!
バイロン・ストリプリングをフィーチャリング

<Jazz>
Nicki Parrott 「Stompin' At The Savoy~tribute to Ella & Louis」
Venus Records / JPN / VHD-1238 / 2018

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ニッキ・パロット Nicki Parrott - vocals & bass
バイロン・ストリプリング Byron Stripling - trumpet & vocals
ジョン・ディ・マルティーノ John Di Martino - piano
アルヴィン・アトキンソン Alvin Atkinson - drums

 

Produced by Tetsuo Hara
Recorded at Trading 8's Studio in New York on February 19,20 & 21, 2018.
Engineered by Chris Sulit
Mixed and Mastered by Tetsuo Hara
Venus Hyper Magnum Sound Direct Mix Stereo
Artist Photos by Brian Wittman

  Venus Records から又々ニッキ・パロットの登場。今や完全に彼女は看板ジャズ・アーティストになりましたね。

Striplingbyron2w 今回は、”エラ・フィッツジェラルド&ルイ・アームストロングに捧ぐ”と言う事で、まあ50年代ジャズを回顧している。それはトランペットをこなし渋いヴォーカルでルイ・アームストロングの再来とまで言われるバイロン・ストリプリングByron Stripling(1961-)(→) をフィーチャリングして、二人のデュエットとニッキ・パロット流の編曲によっり、トランペットも入って聴かすちょっと洒落たアルバムである。

(Tracklist)

1.イット・エイント・ネセサリリー・ソー
2.ジー・ベイビー・エイント・アイ・グッド・トゥ・ユー
3.誰も奪えぬこの思い
4.スイングしなけりゃ意味ないね
5.チーク・トゥ・チーク
6.いつもさよならを
7.私の小さな夢
8.サヴォイでストンプ
9.ミスター・パガニーニ
10.サマータイム
11.二人でお茶を
12.我が恋はここに
13.エヴィル・ガル・ブルース
14.ジス・タイム・ザ・ドリームス・オン・ミー


  実はこちらの方が先にリリースされたのだが(当初『Cheek to Cheek』というアルバム・タイトルだったと思うのだが)、前回紹介したダイアナ・クラールとトニー・ベネットのデュエット・アルバムと手法は同じである。こちらではパロットはベースも弾きながらの作品になっており、久しぶりにジャズらしいアルバムに仕上がっている。
 とにかくVenus Recordsは、パロット作品がそこそこに売れてくれるので、年に数枚のアルバムをリリースをするという離れ業を展開している。

 エラ・フィッツジェラルドElla Jane Fitzgerald(1917-1996)&ルイ・アームストロングLouis Armstrong(1901-1964)の共演が華咲いた50年代が、ジャズ界では一つの歴史ですね。それを回顧再現するという企画はおそらくジャズ・ヴォーカリストにとっては一つの願望なのかも知れない。
 
 まあとにかく聴き慣れた懐かしのジャズを十分楽しく展開してくれる。こうゆうのは肩ぐるしくなくリラックスして文句なく聴けるところが良いのですね。

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 M1."It Ain't Necessarily So "イントロからトランペットが歌いあげ、おもむろにパロットのスローにして情感のあるヴォーカル、そしてストリプリングのヴォーカルがムードを盛り上げる。こりゃなかなかいいじゃないかと冒頭から思わせる。このパターンはM2."Gee,Baby, Ain't I Good To You"も同様だが、パロットのベース、ストリプリングのトランペットの共演も聴きどころ。
 M5."Cheek To Cheek"は、このアルバムでは珍しくストリプリングのヴォーカルがリードして唄われる。まあこれといっての特徴は無くもっとも一般的な仕上げ。
 M6."Everytime We Say Goodbye"は、パロットの叙情的な歌いあげのスローバラード。
 M8."Stompin' At The Savoy"は、パロットのヴォーカルにストリプリングのトランペットが絡み、後半彼のヴォーカルも後押しするというスウィング感たっぷりの短い曲。
 しかしそれに続くM9."Mr.Paganini"はスロー・バラード調で、パロットのヴォーカルを中心に展開。後半はスウィングとスローが転調して交互に展開する。ここではストリプリングのヴォーカルは入らない。
 そしてM10."Summertime"はしっとりとしたトランペットと両者のヴォーカル。なかなか良い味を出している。
 M11."Tea for Two"はスロー仕立てでパロットのソロ・ヴォーカル。

 相変わらず、パロットの声は嫌みが無く素直で好感持てる。ストリプリングはルイ・アームストロングとまでは行かないが、それでも渋さはあるし、曲の中での彼のヴォーカル部分はそれ程多くなくパロットの支えに徹していて、これはこれで良いのではと思った。
 パロットの最近のアルバムの中では、これはJazzy not Jazz路線で無く、懐かしのジャズに徹していて、あまり細工無しの聴きやすいタイプで私はこの方がいいと思ったところだ。

(評価)
□ 歌・演奏 ★★★★☆
□ 録音   ★★★★☆

(参考視聴) 今回のアルバム関係の映像はまだ見られないので・・・

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2018年9月26日 (水)

ダイアナ・クラールとトニー・ベネットのデュエットTony Bennett & Diana Krall 「LOVE IS HERE TO STAY」

ジャズ界のキング&クイーンによる懐かしのアメリカン・ジャズの粋な世界
~ビル・チャーラップ・トリオのバックで

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<Jazz>
Tony Bennett & Diana Krall 「LOVE IS HERE TO STAY」
Verve / USA / B0028703-02 / 2018

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TONY BENNETT トニー・ベネット(VOCAL)
DIANA KRALL ダイアナ・クラール(VOCAL)
BILL CHARLAP ビル・チャーラップ(PIANO)
PETER WASHINGTON ピーター・ワシントン(BASS) 
KENNY WASHINGTON ケニー・ワシントン(DRUMS)

Produced by Dae Bennett & Bill Charlap
Arranged by Bill Charlap

  いっやー、驚きですね、ジャズ・ヴォーカル界のキングと言われる90歳越のトニー・ベネットとダイアナ・クラールとのデュエット盤である。
 かってもこの二人のデュエットはあったのだが、一枚のフル・アルバムとしてのリリースには驚きだ。クラールにとっては、父親とのデュエットと言うところである(両者は20年以上の付き合いがあるとか)。録音はNYのスタジオで録音日の記載が無いが最近と判断される。
61abhgxwp5l そう言えば少々前にベネットはレディ・ガガとの共演盤(『Cheek To Cheek』(Interscope Records/3799884/2014)(→))もあったが、いずれにしてもお元気そのもので驚きである。

 そして曲は全て生誕120周年を迎えたアメリカ音楽界の父ジョージ・ガーシュウィンを祝っての、ジョージ&アイラのガーシュウィン兄弟作の名曲の数々を取りあげている。
 更に、これにはビル・チャーラップが強力に関係している。プロデュース、編曲に携わり、演奏も自己のピアノやピアノ・トリオがバックを支えているのだ。

(Tracklist)

1.  `S Wonderful (George Gershwin/Ira Gershwin) 2:51
2.  My One and Only (George Gershwin/Ira Gershwin) 2:50
3.  But Not For Me (George Gershwin/Ira Gershwin) 3:06
4.  Nice Work if You Can Get It (George Gershwin/Ira Gershwin) 2:45
5.  Love is Here to Stay (George Gershwin/Ira Gershwin) 4:28
6.  I Got Rhythm (George Gershwin/Ira Gershwin) 2:00
7.  Somebody Loves Me (George Gershwin/George De Sylva & Ballard McDonald) 3:42
8.  Do it Again (George Gershwin/George De Sylva) 2:55
9.  I've Got a Crush on You (George Gershwin/Ira Gershwin) 4:00
10.  Fascinating Rhythm (George Gershwin/Ira Gershwin) 2:43
11.  They Can't Take That Away From Me(George Gershwin/Ira Gershwin) 3:25
12.  Who Cares? (George Gershwin/Ira Gershwin) 1:59

  もうこれはアメリカン・ヴォーカル・ジャズの究極の姿を披露している。聴いて疲れず、気分は良好に、そしてムードは何か前途に開ける人間関係を美化しているようだ。
 好感100%の曲はやっぱりアルバム・タイトル曲のM5."Love Is Here To Stay"だと思った。これぞ社交場と化している大きくない酒場に集う大人の社会に気分最高に聴こえてくるパターンだ。よき時代のアメリカん・ムード。

Diana20krallw ダイアナ・クラールのソロM3."But Not For Me"もビル・チャーラップのピアノ・ソロをバックにバラード調の歌声で聴ける。私としては叱られるかも知れないが、このパターンでもう少し聴きたいぐらいでもあった。彼女なら弾き語りでこのムードをもってアルバム一枚でも作って欲しいものだと思うぐらいである。と、言うのも実のところは、私はクラールのヴォーカルを聴くということからこのアルバムを入手していると言う経過であって、言ってみれば、まあそんなところなのだ。
 とにかくベネットの年齢から来る歌声は決して美しいわけでは無いが、年輪を感じさせる枯れた味わいが聴きどころなのである。しかしほんとはクラールの描くところの近代性とは実は別ものとも思っている。しかしまぁこの対比も一つの味として評価しておこうと思うのである。ガーシュウィンの曲も又それで良かったのかも知れない。まあバック・グラウンド・ミュージックとしては上出来の部類。
 
(評価)
□ 歌・演奏 : ★★★★☆
□ 録音   : ★★★★☆

(視聴)

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2018年9月23日 (日)

ロベルト・オルサーのニュー・アルバム Robert Olzer Trio 「CELESTE」

天空の美はここに!

 「CELESTE(天)より柔らかく注ぐ美音の雫があなたを浄める、典雅にして透明、深遠にして柔和、天才ピアニストが辿りついた至高の世界がここに!」
 ~これはこのアルバムの宣伝文句だ。澤野工房からクラシカルな演奏の抒情派ロベルト・オルサーのニュー・アルバムの登場だ。

<Jazz>
Robert Olzer Trio 「CELESTE」
ATLELIER SAWANO / JPN / AS163 / 2018


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Roberto Olzer (piano)
Yuri Goloubev (bass)
Mauro Beggio (drums)

Recorded on 28-30th Aug. 2017 at Arteuono Recording Stdios-Cavalicco-Italy
Decorded,mixed & mastered by Stefano Amerio
Roberto Olzer plays FAZIOLI F278 mk III

 イタリアのロベルト・オルサーの久々のトリオ作品。彼は私の注目の期待株。2016年の3rdアルバム『DREAMSVILLE』 以来そんなに間隔が空いているわけでは無いが気持ちは久々である。このところはヴォーカルやトランペットの入ったカルテット作品やソロ・アルバムが続いたためだ。
 今回のアルバム・タイトルは『CELESTE』ということで、なんとこのイタリア語からイタリアの懐かしのプログレッシブ・ロック・グループの”CELESTE”を思い出してしまった。このグループのアルバムがリリースされたのは、オルサーが小児期の話だ。イタリア語で”至高の天空”と言う意味で、その美しく透明感のある音楽が持ち味なのだ。その話とは全く関係ないが、懐かしい”チェレステ”という言葉から回顧してしまったのである。当然このアルバムも狙いは”至高の透明感あふるる典雅な世界”だ。

Ro1(Tracklist)
1 Deliverance*
2 The Old Castle
3 Song 6
4 G-Spot Tornado / Sleep Dirt
5 Parisian Episode VIII*
6 Piece III
7 ... And After*
8 A Simple Song*
9 Celeste
10 Canova*


  オルサー及びメンバーのオリジナル曲が6曲(*印)。その外はMussogsky(M2)、Mompou(M3)の名が出てきたと思うとFrank Zappa(M4)とかWwan Svensson(M6)、Ralph Towner(M9)の名前も出てくる多彩さだが、全体にクラシカルな演奏の美しさ、優しさは一貫している。

 スタートの彼の曲M1 "Deliverance"から、澄んだ美しさのある真摯な気持ちにさせる演奏が飛び込んでくる。”オルサーはこれだから良いのだ”と言いたくなる。
 そして懐かしいメロディーが聴けるムソルグスキーのM2 "The Old Castle"と流れは旨い。
 ちょっと余興っぽいところからスタートするM4 "G-Spot Tornado / Sleep Dirt"、ここではゴロウベフのベースの味も十分堪能できるし、勿論中盤からのピアノの響きの美しさは絶品。なかなか味のある出来だ。繊細なシンバル、ステイックからスタートのM5 "Parisian Episode VIII"はゴロウベフの曲だが、ドラムスのベッジオの如何にも繊細さが滲み出ている。 
 続くM6 "Piece III"は、難しい技巧無しの優しい物語のような曲。
 後半珍しくM8 "A Simple Song"の軽快な曲、そして落ち着いたM9 "Celeste"。最後はオルサーの軽やかなピアノ・プレイのM10 "Canova"で納める。

  やはりロベルト・オルサーはいいですね。今アルバムの私の推薦はM1からM3への流れ。そしてM4のトリオ味だ。録音もStefano Amerioでトリオを納得の配置で描き、それぞれの音はハッとするほどの響きを持つ。

(評価)
□曲・演奏 ★★★★★☆
□録音   ★★★★★

(My Image Photo) 私からも「天空」

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Sony ILCE-7M3,  ZEISS Vario-Tessar FE 4/16-35 Za OSS,  PL  


(参考視聴)

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2018年9月20日 (木)

聴き落としていたアルバム(3)~ 小曽根 真MAKOTO OZONE「Ballads」

*この「聴き落としていたアルバム」シリーズは、諸々の事情で遅まきながら聴いたところ、なかなかの聴きどころのあったものを取りあげている~~~

小曽根の世界はやはりこれだ!!

<Jazz>
MAKOTO OZONE「Ballads」
Verve / JPN / UCCJ-2074 / 2008

Ballads

Makoto Ozone : piano
James Genus : bass
Kiyishi Kitagawa : bass
Clarence Penn : drums
Wallace Roney : Trumpet
Michel Brecker : sax


  小曽根真のピアノの高度な演奏そしてセンス良さというか、そのあたりは近くはあのAnna Maria Jopekのアルバム『HAIKU』で唸らせたが、・・・・このところは久々のトリオ盤『DIMENSIONS』(2017)、そしてクラシック盤『Beyond BORDERS』(2018)と言う2枚だろうか。

 さて彼のブレイは、私の好みからしてみるとやっぱりバラードものだと思っている。しかしもともと私はアルバムは一枚の何曲かをトータルに聴いて評価するタイプであるため、ベスト盤とかオムニバス盤というのはなんとなく敬遠して来た。が、今年の過去に経験の無い猛暑がようやく収束して、このなんとなく秋の雰囲気になると、何故か急に彼のバラードが聴きたくなって、ここに来て今更彼のベスト盤に手を付けたのである。それがこのアルバムだ。

(Tracklist)
1.シー She
2.ア・ア・マン・オン・ア・コブルド・ストリート *#
3.マイ・トゥモロウ* (TVドラマ『あしたの、喜多善男』:メイン・テーマ)
4.エイジアン・ドリーム*
5.ミスト Myst*
6.ユーアー・ノット・アローン*
7.レイク・トゥーン*
8.ネイチャー・ボーイ
9.ホエア・ドゥ・ウィー・ゴー・フロム・ヒア*
10.サムワン・トゥ・ウォッチ・オーヴァー・ミー
11.ウィー・アー・オール・アローン
12.自由への賛歌#
13.リボーン*
*印 Makoto Ozone
#印 New Recording

 ベスト盤だけあって、演奏スタイルはピアノ・ソロ、デュエット、トリオ、ビッグバンドと多彩。これは過去に私も聴いてなかったアルバムも含めて14年間にリリースされた作品からのセレクションである。曲自身は彼のオリジナルが主だ(8曲)。

  CM曲として使われた「サムワン・トゥ・ウォッチ・オーヴァー・ミー」、「ウィ・アー・オール・アローン」の外、TVドラマ「あしたの、喜多善男」のテーマ「マイ・トゥモロウ」なども収録されている。

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 冒頭から静かな世界を描くM1."She"、M2."A Man on Cobbled Street"と、ピアノ・ソロでスタート。彼独特のピアノの音の余韻が心を静かに落ち着かせる。
 M3. "My Tomorrow"これはどこか心の温まるメロディ。
 M4. "Asian Dream"で、ピアノ・トリオ演奏となるもその沈静世界の延長上にある。
 M5. "Myst"トランペットが入り旋律を奏でるが、小曽根のピアノと対をなして美世界を描く。
 M6. "You're Not Alone"は、ビック・バンド編成だが、静かなスタート、小曽根のピアノは何処か郷愁を誘う美しさだ。
 M7. "Lake Thun "これも美しいピアノ・ソロ。彼の作曲によるバラードを十分に楽しませる。
 M8. "Nature Boy"広く知られたこの曲も、やはりソロでスローに演じられる中に情緒豊かに訴えてくる。
  M9. "Where Do We Go from Here" Saxと共演の形をとっているが、Saxが唄ってピアノが合い間に情景を美しく描くスタイルも安定感たっぷり。
  M10. "Someone to Watch over Me"管楽器を中心としたビック・バンドをバックにしての曲。このアルバムではアクセントの曲となった。
  M11.、 M12. スタンダードの聴き慣れた曲も彼らしい編曲が生きていて楽しい。
 M13. "Reborn" 美しく納めたソロ演奏。

  全体にバラード特有の内省的というか、心を落ち着かせ休めるというか、そんな世界を抒情的に又情感たっぷりに描ききった13曲である。ベスト盤であり、ピアノ・ソロからトリオなど演奏バターン各種だが、彼の編曲の妙も素晴らしく、そこには彼の美しくしかも深遠さも加味したピアノの調べは聴き手の心の琴線に触れる響きを持っている。さすが小曽根と言いたくなるところ。彼のニューレコーディングも交えて、又ビック・バンド曲をアクセントとしたアルバムとしてのバランスも結構とれていて納得であった。

(評価)
□ 曲・演奏 :★★★★★☆
□ 録音   :★★★★☆  

(My Image Photo) 

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Sony ILCE-7M3,  FE 4/21-105 G OSS, PL  Aug. 2018

  

(視聴)

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2018年9月18日 (火)

ロジャー・ウォーターズRoger Watersストラヴィンスキーに挑戦「The Soldier's Tale 兵士の物語- Narrated By Roger Waters」

ピンク・フロイドの頭脳が遂にストラヴィンスキーの世界に

 驚きのニュース!!、目下2年にわたる「US+THEM」ツアー中のあの元ピンク・フロイドの"The Creative Genius of Pink Floyd~ピンク・フロイドの創造的鬼才"と言われるロジャー・ウォーターズが、ロシアの異色作曲家ストラヴィンスキーの作品『The Soldier's Tale 兵士の物語』(1918年発表)を題材に、器楽演奏のナレーションを独自の構想で行うというクラシック・アルバムの発売ニュースがアナウンスされている。

<Classic>
Roger Waters
「The Soldier's Tale 兵士の物語- Narrated By Roger Waters」

Sony Classical / 19075872732 / 2018

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<演奏>
ロジャー・ウォーターズ(語り)
ブリッジハンプトン室内楽音楽祭の音楽家
 スティーヴン・ウィリアムソン(クラリネット)
 ピーター・コルケイ(ファゴット)
 デイヴィッド・クラウス(トランペット/コルネット)
 デミアン・オースティン(トロンボーン)
 コリン・ジェイコブソン(ヴァイオリン)
 ドナルド・パルマ(コントラバス)
 イアン・デイヴィッド・ローゼンバウム(パーカッション)

<録音>
2014年12月11日 12日 Bridgehampton Presbyterian Church

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 ストラヴィンスキー(イーゴリ・フョードウィッチ・ストラヴィンスキー1882-1971)と言えば「火の鳥」「春の祭典」などは聴いたことがあるが、この「兵士の物語」は全く知らない。第一次世界大戦の社会的・人間的疲弊の中での作品と言われ、考えて見るとロジャー・ウォーターズの祖父は第一次世界大戦で戦死、また父親は第二次世界大戦でイタリアのアンツィオの激戦で戦死している。従って父親とのコンタクトなく少年時代を過ごした彼には、常にこのトラウマが人生を左右してきた。彼のピンク・フロイド時代の作品に於いても後期(特にアルバム「狂気」以降、「THE WALL」、「THE FINAL CUT」には切々と訴えてくる)にはこの事実のトラウマとの闘いでもあった。とすれば彼の才能からすれば、このクラシック作品に挑戦するというのは、極めて自然な話なのかも知れない。

 中身は”読まれ、演じられ、踊られる”作品と紹介されるこの「兵士の物語」は、3人のナレーション(語り手、兵士、悪魔)と7人の器楽奏者によって演奏される舞台作品だそうだ。原作はフランス語だが、その英語版をもとにウォーターズ自身が改作。本来3人で演じられるものを声色やアクセントの変化をつけることで、ロジャーひとりで語りを担当したニュー・ヴァージョンと言う事だ。
 ロジャーのこうした挑戦は、ピンク・フロイド作品から全くのブレもなく一貫している。彼の戦争という社会悪にあらゆる側面から訴え続ける道には一つも陰りが無い。
 彼のフランス革命を題材にしたクラシック・オペラ作品『サ・イラ』(2005年) 以来のソニークラシカルからの作品近々リリースだ。

 取り敢えず早く聴いてみたい一枚である。

(参考視聴)

① Stravinsky "The Soldier's Tale "

*
② Roger Waters "The Fletcher Memorial Home"(from 「the final cut」)

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2018年9月15日 (土)

ウンサンWoong Sanのニュー・アルバム「I'm Alright」

ウィスパー・ヴォイスに、なんとブルジー、ソウルフル、ファンキーと取り混ぜての久々のフルアルバム快作

<Jazz>
Woong San「I'm Alright」
Universal Music / JPN / UCCU-1583 / 2018

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Woong San ウンサン(vocal)
John Beasley ジョン・ビーズリー(piano)
Benjamin J.Shepherd ベンジャミン・J.シェパード(bass)
Terreon Gully テレオン・ガリー(drums)
Paul Jackson Jr. ポール・ジャクソンJr. (guitar)
Charlie Jung チャーリー・ジュン (guitar)
Damon Brown デイモン・ブラウン (trumpet)

Produced by John Beasley
Recorded 12th,13th April 2018


  私は決して韓流派じゃないのだが、このウンサンは例外。彼女の過去の何枚かのアルバムもウィスパー系のヴォーカルには一目置いてきた。これは久々のスタジオ・アルバムのような気がしたが、3年ぶりらしい。実はもう年齢も45歳ぐらいだと思うのでリタイアしたのかとも思っていたが、しかしかってのポニーキャニオンからユニバーサルミュージックに移籍しての第一作品としてお目見えした。なになに健在であったのだ。そしてプロデュースがビーズリーに変わっての彼女の変化が実はこのアルバムには確かに見られるところが聴きどころ。

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(Tracklist)

01. Smoke Gets In Your Eyes
02. Heartless
03. Bear Walk
04. Too Far
05. Love Is A Losing Game
06. I’m Alright
07. You And The Night And The Music
08. Forget Regret
09. I Love You More Than You'll Ever Know
10. I Can’t Stand The Rain
11. Tell Me Why

 オープニングはM01. "Smoke Gets In Your Eyes 煙が目にしみる"で、これはやっぱり得意のスロー・バラード調に仕上げている。しかし続く曲でこのアルバムは少々過去と違うところがミソ。
 M04. "Too Far"は、ラテン・タッチでなかなかいい。 そこにM05. "Love Is A Losing Game"はファンキー・ムード。このあたりから今回のアルバムのイメージが見えてくる。それはM10. "I Can’t Stand The Rain"で頂点を迎えるのだが、エレクトリック・ベースの低音に彼女の語るが如くのソウフルな歌声はなかなか味がある。
 このように過去の彼女のイメージから一歩脱却してのM09. "I Love You More Than You'll Ever Know溢れ出る愛を"のブルージーな曲を、ギターの味のある演奏をバックに歌い込むところはなかなか聴きどころなのだ。
 そうはいっても、アルバム・タイトルの彼女のオリジナル曲M06." I’m Alright"は、泣きギターをバックに彼女のファンも納得のラブ・バラード。M07. "You And The Night And The Musicあなたと夜と音楽と"もビーズリーのムードを盛り上げるキー・ボードによってベースが低音で語り、彼女の落ち着いたウィスパー・ヴォイスで迫るのである。 
 最後の彼女のオリジナル曲M11. "Tell Me Why"は、バックのギター、ピアノも美しく、彼女の魅惑の歌声がしっとりと聴ける。

 こうしてオリジナル曲に加え、スタンダードの「煙が目にしみる」「あなたと夜と音楽と」、ソウル曲のカヴァー(「溢れ出る愛を」、「アイ・キャント・スタンド・ザ・レイン」等)を歌い込んで、彼女のカレン・ソーザも顔負けのセクシー・スモーキー・ヴォイスの上に、多彩・多様な芸を盛り込んだ面白いアルバムとなった。

(評価)
□演奏・歌 : ★★★★☆
□録音   : ★★★★☆

(My Image Photo)

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Sony α7Ⅲ ILCE-7M3,  FE 4/21-105 G OSS, PL  Aug. 2018

(参考試聴)

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2018年9月12日 (水)

聴き落としていたアルバム(2)~ヤコブ・カールソンJacob Karlzon 3 「THE BIG PICTURE」

*この「聴き落としていたアルバム」シリーズは、諸々の事情で遅まきながら聴いたところ、なかなかの聴きどころのあったものを取りあげている~~~

コンテンポラリー抒情派モード・ジャズ

<Contemporary Jazz>
Jacob Karlzon 3 「THE BIG PICTURE」
STUNT / Denmark / STUM23011 / 2011

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Jacob Karlzon(p,elp,org,key,programming)
Hans Andersson(b)
Jonas Holgersson(ds,per)

もともとこのブログを書くようになったのは、”感動した、好きだ、知って欲しい”という事柄を綴り、多くの人に見てもらういうと言う事が目的かと言えば、実はそうでは無い。ここは私個人の記録の場であって、こうして書いておく事によって忘れないでおこうという、つまり「備忘録」なのである。従って取りあげることもどちらかというと私の趣味の分野が多く、又偏っているところも否めない。そんな気楽さの為、開始から既に12年になろうとしているのである。しかしそれによって嬉しいことに、偶然目にした人がご意見や教えてくれる事が幾度とあって、何度と知識を広げられて助かったり感動もしてきた。

Hirez51a4004edit そんな事から、今日の本題のジャズ・アルバムであるが、大体これは聴き逃したというより知らなかったアルバムである。スウェーデンのピアニスト、ヤコブ・カールソンJacob Karlzon(1970年生まれ)(→)のリーダー・ピアノ・トリオ・アルバム。と言うと、おおよそ見当が付こうと言うところだが、それがなかなか一筋縄では行かない。クラシックなアメリカン・ジャズやオーソドックスなピアノ・トリオでは全くないのだ。ならば何故聴いたのかと言えば、なんとあのスウェーデンの女性シンガービクトリア・トルストイViktoria Tolstoy(ロシアの文豪トルストイのひい孫)関連から、そこは有り難いことに友人のアドバイスなのである。

(Tracklist)
1. The Big Picture
2. Bakersfield Revisited
3. Maniac
4. On The Horizon
5. In God's Country
6. Newbie
7. Ma Salama
8. Utopian Folksong
9. At The End Of The Day

 ヤコブ・カールソンと言えば、北欧一円と言うより近年欧州を広く股にかけて活躍を続けているスウェーデンのピアニストだ。もともとビル・エヴァンスやキース・ジャレットといった叙情的で伝統的なプレイを知らしめていたと思うのだが、このアルバムは、あのESTもちらっと思い出すパターンのアコースティック・ピアノを中心に、エレクトリック・ピアノ、オルガン、プログラミングなどはエフェクトのように重ね合わせて効果を上げ、ジャズ・4ビートから逸脱して、当に現代的なサウンドを展開している。

M1. "The Big Picture"は、アルバム・タイトル曲だが、あまり印象の無い曲でこのアルバムは何だろうと不安になる。
 M2. "Bakersfield Revisited"、M8. "Utopian Folksong"あたりは、聴きようによってはジャズ好きのロック・バンドのアプローチにも似たアグレッシブなスリリングな展開を見せる。
 かと言って、M3. "Maniac" となると一転してメロデックになり、M4. "On The Horizon"では、静寂を描き広大な自然風景が浮かぶ北欧ムードたっぶりのピアノ美旋律を堪能できる。
 更にM6. "Newbie"は、ドラムスの圧倒的軽快なリズムに乗ってのピアノ、ベースのご満悦の曲進行という世界に入る。
 M7. "Ma Salama"これは素晴らしい。ゆったり落ち着いた美しいピアノの響きの序章から次第に宇宙感覚に広がってく。
 最後のM9. "At The End Of The Day"はピアノ・ソロで余韻の美しいピアノが心を落ち着かせてくれる。

 ファンキーなリズミカルな生きの良い刺激的トリッキーな熱演があるかと思うと、癒し的なピアノ旋律によって心を洗うが如く深遠な奥行き・広がりを感じさせたり、緩急や色合いの多彩さで圧倒する。これは妙演と言うべきかも、確かにカールソンのオールラウンドな辣腕ぶりが十分発揮されている。アコースティックなピアノに加えエレクロニックの色合いを加味したり、所謂オーソドックスなピアノ・トリオとは異なる世界である。これがクラシック、現代音楽を加味したニューエイジ世界として受け入れられて行くというのもジャズの一つの世界なのであろう。

(評価)
演奏: ★★★★☆
録音: ★★★★☆

(参考)

 Vt2① Viktoria Tolstoy との共演盤
     Viktoria Tolstoy & Jacob Karlzon 「Moment Of Now」→
         ACT /Germ/9727-2/2013

 ② Viktoria Tolstoy     http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2017/03/post-4886.html
            

(My Image Photo)  「どこか不安な空」

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Sony α7Ⅲ ILCE-7M3,  FE 4/21-105 G OSS, PL  Aug. 2018

(試聴)

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2018年9月 7日 (金)

聴き落としていたアルバム(1)~ゴンザロ・ルバルカバGonzalo Rubalcaba「charlie」

*この「聴き落としていたアルバム」シリーズは、諸々の事情で遅まきながら聴いたところ、なかなかの聴きどころのあったものを取りあげている~~~

チャーリー・ヘイデン追悼アルバム
Charlie Haden「Nocturne」の好きな人は聴くべきアルバム

<Jazz>
Gonzalo Rubalcaba「charlie」
5Passion / USA / 5P-050 /2017

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Gonzalo Rubalcaba –Piano
Matt Brewer – Bass
Marcus Gilmore – Drums
Will Vinson – Saxophones
Adam Rogers – Guitar


Arranged and Produced by Gonzalo Rubalcaba
Recorded by Jim Anderson and assistant Thom Beemer at Avatar Studios November 2014


Gonzalorubalcaba2600x600_2 なかなか人並みでないテクニックとリズム感、そこに来て美しいメロディ・ラインを持っていて、私は虜になっているキューバ出身の実力派ピアニスト、ゴンサロ・ルバルカバ。考えて見ると、アンナ・マリア・ヨペクとの共演盤『Minione』Universal Music Polska / 573 9810 8 / 2017)の外、しばらく聴いていないことに気がついて、調べて購入したアルバム。

  2014年録音2016年リリース作(日本では2017年)。タイトルにあるようにチャリー・ヘイデンの追悼盤だけあって、9曲中6曲はチャーリーの曲を演奏している。しかし他にも、パット・メセニーやビル・エヴァンス、それと彼自身の曲も盛り込んだフルラインナップの内容。

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(Tracklist)
01. First Song (5:58)*   
02. Sandino (11:48) * 
03. La Pasionaria (10:06) *   
04. Hermitage (9:20)   
05. Bay City (8:55) * 
06. Blue In Green (4:36)   
07. Nightfall (9:07) * 
08. Transparence (6:03)   
09. Silence (6:51)  *
     ( *印 Charlie Haden の曲)


 実は、ゴンザロのピアノ・ブレイをたっぷりと聴きたかったのだが、このアルバムの演奏内容は完全に参加メンバーのクインテット盤だ。ベース・プレイは当然アルバムの意義から情景をかみしめるが如く演じられ役目を十分果たしている。勿論ゴンザロの流麗なピアノは散りばめられているが、曲によってはSaxやGuitarの締める位置も大きく、ピアノはバックで支え役に徹している曲もある。

71oqbywmhw 上のリストを見て解るとおり、一曲の演奏時間が9分、10分、11分と長めで、ジックリの演奏がたっぷり聴ける。
 思い起こすは、チャーリーとゴンザロの共演のアルバム『Nocturne』(Universal Music / 013 611-2 / 2001)(→)だ。あのアルバムもトリオのパターンに曲によりSax、 Guitar、 Violinなどが加わった私の好きな名演奏の名盤だった。その中の過去からの名曲"Nightfall"もこのアルバムに登場し、加えてゴンザロの曲"Transparence"も演じられる。
  しかし、この盤はただチャーリーを演ずるというので無く、M03."La Pasionaria"はクインテットのお互いの責め合いまで演じて唯では済まさないというプレイヤーの意地も見え隠れして圧巻。

  近年のチャーリーとゴンザロの共演盤は、
『Land of The Sun』(Universal Music/0602498208250/2004)、 
『Tokyo Adagio』(Impulse!/0602547299260/2005)
など記憶に新しい。この二人は意気投合していたことが解る。

 とにかくこの追悼アルバムは、このメンバーによるハイレベルにして情緒たっぷりの世界は、静かにジックリと演じられていて、チャーリーの世界と彼の感ずる音楽感を再現するには十分の演奏となっている。
 特に"Nightfall"のベースは深く深く沈んで行く。最後の曲"Silence"のゴンザロのピアノは追悼詩そのものの響きで感動する。そして静かに幕は閉じるのだ。

(評価)
□演奏:★★★★★☆
□録音:★★★★☆

(My Image Photo)   「記憶に」 

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Sony α7Ⅲ ILCE-7M3,  FE 4/21-105 G OSS, PL  Aug. 2018

(試聴)

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2018年9月 3日 (月)

久々のトリオで・・・トルド・グスタフセンTord GustavsenTrio「The Other Side」

グスタフセンのピアノが待望のトリオで・・・・・

<Jazz>
Tord GustavsenTrio 「The Other Side」
ECM / Germany / 2608 6751618 / 2018

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Tord Gustavsen (piano, electronics)
Sigurd Hole (double bass)
Jarle Vespestad (drums)

Recorded January 2018, at Rainbow Studio, Oslo
Produced by Manfred Eicher

 久々のノルウェーのトルド・グスタフセンTord Gustavsen のピアノ作品がトリオでリリース。2007年の『Being There』 (ECM/2017 B0008757-02)以来となりますね。近年は彼のレパートリーの拡大と新分野への挑戦などで、カルテットやアンサンブルといったところがお目見えしてきたわけだが、私にとっては待望のピアノ・トリオ作品で、これは今年の一月の録音だ。

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 トリオのメンバーは、ベーシストが、Harald JohnsenからSigurd Holeに変わっている。ドラムスはもう長年のお付き合いで変更無しのJarle Vespestad だ。ノルウェー出身の三者によるトリオで、グスタフセンの緩徐で深く沈み込むピアノの流れは変わらずに、心に染み込む静かなメロディーによるトリオの世界を構築している。
 録音もピアノに対してベース、ドラムスも生きていて、なかなかトリオ・バランスを重視した好録音である。

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1. The Tunnel
2. Kirken, den er et gammelt hus
3. Re-Melt
4. Duality
5. Ingen veinner frem til den evige ro
6. Taste and See
7. Schlafes Bruder *
8. Jesu, meine Freude * Jesus, des eneste
9. The Other Side
10. O Traurigkeit *
11. Left Over Lullaby No.4
12. Curves

  今回はトルド・グスタフセン自身の曲が主だが、J.S.Bachが取りあげられている(上記*印の3曲)。
 オープニングM1. "The Tunnel" から、グスタフセン世界が迫ってくる。何度聴いてもドップリと浸れるグスタフセン世界は、やはり深遠であり哲学的でも有り、人間心理の究極の姿を描くが如くで、このアルバムも全編を通して真摯な気持ちで聴くことが出来る。
  M4. "Duality" M5.、 "Ingen veinner frem til den evige ro"に来るともう自他共に許すグスタフセン世界だ。
 アルバム・タイトル曲である彼の曲M9."The Other Side "は、珍しく”彼独特の静寂の中に流れる美しさと深遠さ”というタイプでなく、静かに物語り調に淡々と描いてどこか明るさも感じられる。この"Other Side"の意味はそんなところにあるのだろうか。
 これに続いてM10. "O Traurigkeit"は、やや対比的にJ.S.Bachのメディーをオリジナルの世界とは全く異なる完全なグフタフセン世界に沈み込ませるが、中盤から後半にかけてはトリオで盛り上がる珍しいタイプ。これも彼の今回の一つの試みの曲とみる。
 そしてM11. "Left Over Lullaby No.4"は、彼のファン・サービスの演奏。完全に本来の静寂と沈静の世界ですね。

 いっや~~、やはりトルド・グスタフセンはいいですね。完璧と言ってしまいたいアルバムだ。ピアノの弾くメロディの深遠さ、そして緩急、強弱、余韻の生かし方もハイレベル。何時もニュー・アルバムを待っているのだが、期待を裏切らない。北欧の世界感なのであろうか、又彼の学んだ心理学が生きているのか、この世界はしっかりと守りつつ、今後にも発展していって欲しいものである。

(評価)
□演奏:★★★★★
□録音:★★★★★☆

(私のイメージPHOTO=「夏の記憶に2018」)

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2018.9.3撮影(志賀高原)  Sony α7Ⅲ ILCE-7M3,  FE 4/21-105 G OSS, PL

(視聴)

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2018年9月 1日 (土)

NIKON遂に「SONYの二番煎じ」への道に

面白くなったミラーレス・カメラ戦争本格化
~キャノン、ニコンの参入

 ソニーが今から5年前の2013年にスタートさせた「α7シリーズ」で本格化したミラー・レス・一眼カメラであるが、フルサイズのセンサーを持ってのその小型化、高性能化が世界初の大成功を納め、今やミラーを持つ往年の一眼レフを圧倒するところまで来た(↓左「Sony α7RⅢ」 、↓右「Sony α7Ⅲ」 。この他最高級機「Sony α9」もある)。
 そこで、なんと言っても日本のカメラ界をリードするニコン、キャノンは黙って見ている訳にゆかなくなったところに追い込まれたわけだ。

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■ キャノン
Eoskissmw_3 そしてつい先日、キャノンは恐る恐る何時もの様子見のテスト機であるCanon Kissシリーズに、ちょっと試験的にSonyのフルサイズまでには及ばなかったが、取り敢えずはAPS-Cサイズのミラー・レス機を発売した( 「Canon Kiss M」 →)。これによってユーザー離れを防ぐ意味でのSonyに対抗してのミラーレス機にも本腰を入れますよと言うアッピールをした訳だ。しかし機能の点からもあらゆるところで1ランク下のために、話題性があったにも関わらず、イマイチの反応でちょっと空しい状況にある。しかしこの結果から、おそらくキャノンは企業力でSonyを越えるべく新展開を試みる一つの序章とする事であろうと想像出来て、これは又面白いと言うところだ。

180905_canon_eos_r_revealedw960_2(追記) 2018.9.6
  キャノンもフルサイズ・ミラーレスの発売が決定・・・・「Canon EOS R」 (→)   
 Sony α7Ⅲに対応したものとして新マウントにて開発されている。ニコンより発表は遅れたが、発売は早い。ボディーは急遽の開発らしくSony α7シリーズよりかなり大きい(ニコンもソニーより大きいが、それより更に大きい)。

■ ニコン
 さて、そこでニコンはどうかと言うと、ニコンの最高級機である「Nikon D5」の機能をもSonyのαシリーズのベーシック機である「α7Ⅲ」ですら凌駕されるところに至っていることに危機感を持ったのは事実だろう。ついにここに来て今年末に発売するカメラを、なり振り構わす現行発売しているカメラを尻目に大々的宣伝に入った。あまりのSonyのミラーレス・ブームに指を咥えてみていることは出来なかったのであろう。(なんと好評だったNikon D850も影に隠れそうである)

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  そしてそこに出現したのは、先ずは対抗上フルサイズ・ミラーレスに限定し、ボディは撮像素子の異なる「Nikon Z7」(↑左)と「Nikon Z6」(↑右)の2種類で、「Z7」は有効画素数4575万画素の裏面照射型CMOSセンサー採用の高画素モデル、「Z6」は有効画素数2450万画素の裏面照射型CMOSセンサーを採用したオールラウンドモデルという位置付けのものを発表した。そしてマウントも新しい「Zマウント」とし、それに対応した最新レンズ「NIKKOR Z」3本や、既存のFマウントレンズに対応した「マウントアダプター FTZ」も発売に合わせて投入するのである。

 これを「Sony αシリーズ」と比較してみると、ニコンはまあよくここまで”ソニーを意識しての二番煎じ”を展開したものだと、呆れるというか、露骨というか、見方によっては最近のキャノンに比してニコンの業績不振がそのまま窺い知れるところとなった。
 それは、明らかに①「Sony α7Ⅲ」に対しての「Nikon Z6」、②「Sony α7RⅢ」から「Sonyα9」を意識しての「NikonZ7」という構図が見事に見られるからである。価格構成、機器の内容が当に右習えに近いと言うから驚きである。ただし「Sony α9」までには至ることが出来たかどうかは疑問のようだ。
 まあそれでも、カメラ・ユーザーからすれば、比較対象が増えることで楽しいことでもあるのだが、ミラーの無いフリーな構造下であるので、もう少しあっと驚く”ニコンらしいミラー・レス”と言ってもよい注目新技術は無かったものかとちょっと寂しくもなる。


 こうして、どうも高度な技術と費用が要求されるかってのミラーによる一眼レフから、そこをエレクトロニクス化でカットし、画像高機能に費用を転化するミラーレス機に傾いてきたのは事実である。ニコンが遂にここまで力を入れてきたことで、更なるミラーレス・ブームはエスカレートすることは間違いない。現状では、キャノンが遅れをとってしまっているが巻き返しを図るのは目に見えている。そこで今年はカメラ界にとって記念すべき新段階の年なのかもしれない。

Alpha_7000_01 「カメラの歴史」を見ると、・・・・・・・・ソニーの「αシリーズ」というのは、常に新技術を売り物にしてきたミノルタ・カメラの歴史でもある。30年以上前の1985年には、ミノルタ(現コニカミノルタ)が世界初の実用的なシステムを持つオートフォーカス一眼レフカメラ「α-7000」(→)発売してカメラ業界全体へ大きな衝撃を与えた。これは「αショック」と言われるほどの大事件であったのだ。
 すぐさまニコンは1986年過去のシステムと互換性のあるオートフォーカス一眼レフカメラ「ニコンF-501」を、キヤノンは1987年それまでのシステムとは互換性はあきらめ、レンズ内モーターで迅速なピント合わせの「EOS650」を発売してこれに対抗したのだった。こうしてなんと数年後にはあっと言う間に半数以上のカメラがオートフォーカスとなってしまった。
 この「αショック」を起こしたミノルタのカメラの流れは、コニカミノルタを経てソニーへと流れるのである。まず2005年、ソニーはαマウントを採用したデジタル一眼レフをコニカミノルタと共同開発を企画。その後、ソニーはそのコニカミノルタを技術陣、工場などそっくり引き受けて「αブランド」を発展させたのである。ソニーはもともと撮像素子を製造していることもあり、更にレンズはカール・ツァイスと協力関係に有り、新開発は順調に展開、今日のカメラの大ブランドへと発展したその一つがこのミラーレス・カメラであった。

(参考)
ミラーレス機 最新「Sony α7シリーズ」紹介 (ネット上の記事より転載)

 ソニーα7R III (ILCE-7RM3)(2017年11月25日発売) - α7RIIの後継機(7R,7RIIは併売)。画像処理システムのBIONZ Xは新世代になり、画像処理をサポートするフロントエンドLSIも搭載したことで広いダイナミックレンジを実現。連続撮影も約4,240万画素×約10コマ/秒の高解像度かつ高速連写になり、常用感度は最高でISO32000までアップ、使用頻度の高い中感度域では約一段分のノイズ低減を実現。光学式5軸ボディ内手ブレ補正も世界最高の5.5段になり、フォーカスはα9同様「4D FOCUS」に対応。瞳AFの追従性能も、約2倍に向上した。動画撮影面では、ソニー製デジタルスチルカメラとして初めて、撮影後にカラーグレーディングを必要としないインスタントHDRワークフローを実現するHLG(ハイブリッドログガンマ)方式による4K HDR撮影に対応した。ファインダーは、α7IIと比べて最大輝度が約2倍になりファインダー倍率0.78倍を実現したQuad-VGA OLED Tru-Finderを搭載する。

ソニーα7 III(ILCE-7M3)(2018年3月23日発売) - α7IIの後継機(α7及びα7IIは併売)。センサーシフト式5軸手ブレ補正は7IIと比べて0.5段分上昇し、5.0段分の補正効果を実現した。センサーは同機と比べて裏面照射型のExmor Rと新世代のBIONZ Xの組み合わせに変更され、α7R IIIで対応している「4D FOCUS」にも対応、瞳AFモードはAF-Cでも利用可能になった。シャッターチャージユニットに最新型を採用したことにより、AF/AE追従で最高約10コマ/秒の高速連写(サイレントモード含む)も可能になった。また、4K記録ではα7R III同様ハイブリッドログガンマによる4K HDR撮影にも対応した。また、USB端子はSuperSpeed USB(USB 3.1 Gen 1)対応に変更されている。

(My Photo = α7) 
  「A Memory of Summer2018」
      Sony α7Ⅲ ILCE-7M3,   ZEISS Vario-Tessar FE 4/16-35 ZA OSS

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(視聴) ニコンZシリーズ紹介

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