NIKON遂に「SONYの二番煎じ」への道に
面白くなったミラーレス・カメラ戦争本格化
~キャノン、ニコンの参入
ソニーが今から5年前の2013年にスタートさせた「α7シリーズ」で本格化したミラー・レス・一眼カメラであるが、フルサイズのセンサーを持ってのその小型化、高性能化が世界初の大成功を納め、今やミラーを持つ往年の一眼レフを圧倒するところまで来た(↓左「Sony α7RⅢ」 、↓右「Sony α7Ⅲ」 。この他最高級機「Sony α9」もある)。
そこで、なんと言っても日本のカメラ界をリードするニコン、キャノンは黙って見ている訳にゆかなくなったところに追い込まれたわけだ。
■ キャノン
そしてつい先日、キャノンは恐る恐る何時もの様子見のテスト機であるCanon Kissシリーズに、ちょっと試験的にSonyのフルサイズまでには及ばなかったが、取り敢えずはAPS-Cサイズのミラー・レス機を発売した( 「Canon Kiss M」 →)。これによってユーザー離れを防ぐ意味でのSonyに対抗してのミラーレス機にも本腰を入れますよと言うアッピールをした訳だ。しかし機能の点からもあらゆるところで1ランク下のために、話題性があったにも関わらず、イマイチの反応でちょっと空しい状況にある。しかしこの結果から、おそらくキャノンは企業力でSonyを越えるべく新展開を試みる一つの序章とする事であろうと想像出来て、これは又面白いと言うところだ。
(追記) 2018.9.6
キャノンもフルサイズ・ミラーレスの発売が決定・・・・「Canon EOS R」 (→)
Sony α7Ⅲに対応したものとして新マウントにて開発されている。ニコンより発表は遅れたが、発売は早い。ボディーは急遽の開発らしくSony α7シリーズよりかなり大きい(ニコンもソニーより大きいが、それより更に大きい)。
■ ニコン
さて、そこでニコンはどうかと言うと、ニコンの最高級機である「Nikon D5」の機能をもSonyのαシリーズのベーシック機である「α7Ⅲ」ですら凌駕されるところに至っていることに危機感を持ったのは事実だろう。ついにここに来て今年末に発売するカメラを、なり振り構わす現行発売しているカメラを尻目に大々的宣伝に入った。あまりのSonyのミラーレス・ブームに指を咥えてみていることは出来なかったのであろう。(なんと好評だったNikon D850も影に隠れそうである)
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そしてそこに出現したのは、先ずは対抗上フルサイズ・ミラーレスに限定し、ボディは撮像素子の異なる「Nikon Z7」(↑左)と「Nikon Z6」(↑右)の2種類で、「Z7」は有効画素数4575万画素の裏面照射型CMOSセンサー採用の高画素モデル、「Z6」は有効画素数2450万画素の裏面照射型CMOSセンサーを採用したオールラウンドモデルという位置付けのものを発表した。そしてマウントも新しい「Zマウント」とし、それに対応した最新レンズ「NIKKOR Z」3本や、既存のFマウントレンズに対応した「マウントアダプター FTZ」も発売に合わせて投入するのである。
これを「Sony αシリーズ」と比較してみると、ニコンはまあよくここまで”ソニーを意識しての二番煎じ”を展開したものだと、呆れるというか、露骨というか、見方によっては最近のキャノンに比してニコンの業績不振がそのまま窺い知れるところとなった。
それは、明らかに①「Sony α7Ⅲ」に対しての「Nikon Z6」、②「Sony α7RⅢ」から「Sonyα9」を意識しての「NikonZ7」という構図が見事に見られるからである。価格構成、機器の内容が当に右習えに近いと言うから驚きである。ただし「Sony α9」までには至ることが出来たかどうかは疑問のようだ。
まあそれでも、カメラ・ユーザーからすれば、比較対象が増えることで楽しいことでもあるのだが、ミラーの無いフリーな構造下であるので、もう少しあっと驚く”ニコンらしいミラー・レス”と言ってもよい注目新技術は無かったものかとちょっと寂しくもなる。
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こうして、どうも高度な技術と費用が要求されるかってのミラーによる一眼レフから、そこをエレクトロニクス化でカットし、画像高機能に費用を転化するミラーレス機に傾いてきたのは事実である。ニコンが遂にここまで力を入れてきたことで、更なるミラーレス・ブームはエスカレートすることは間違いない。現状では、キャノンが遅れをとってしまっているが巻き返しを図るのは目に見えている。そこで今年はカメラ界にとって記念すべき新段階の年なのかもしれない。
「カメラの歴史」を見ると、・・・・・・・・ソニーの「αシリーズ」というのは、常に新技術を売り物にしてきたミノルタ・カメラの歴史でもある。30年以上前の1985年には、ミノルタ(現コニカミノルタ)が世界初の実用的なシステムを持つオートフォーカス一眼レフカメラ「α-7000」(→)発売してカメラ業界全体へ大きな衝撃を与えた。これは「αショック」と言われるほどの大事件であったのだ。
すぐさまニコンは1986年過去のシステムと互換性のあるオートフォーカス一眼レフカメラ「ニコンF-501」を、キヤノンは1987年それまでのシステムとは互換性はあきらめ、レンズ内モーターで迅速なピント合わせの「EOS650」を発売してこれに対抗したのだった。こうしてなんと数年後にはあっと言う間に半数以上のカメラがオートフォーカスとなってしまった。
この「αショック」を起こしたミノルタのカメラの流れは、コニカミノルタを経てソニーへと流れるのである。まず2005年、ソニーはαマウントを採用したデジタル一眼レフをコニカミノルタと共同開発を企画。その後、ソニーはそのコニカミノルタを技術陣、工場などそっくり引き受けて「αブランド」を発展させたのである。ソニーはもともと撮像素子を製造していることもあり、更にレンズはカール・ツァイスと協力関係に有り、新開発は順調に展開、今日のカメラの大ブランドへと発展したその一つがこのミラーレス・カメラであった。
(参考)
ミラーレス機 最新「Sony α7シリーズ」紹介 (ネット上の記事より転載)
ソニーα7R III (ILCE-7RM3)(2017年11月25日発売) - α7RIIの後継機(7R,7RIIは併売)。画像処理システムのBIONZ Xは新世代になり、画像処理をサポートするフロントエンドLSIも搭載したことで広いダイナミックレンジを実現。連続撮影も約4,240万画素×約10コマ/秒の高解像度かつ高速連写になり、常用感度は最高でISO32000までアップ、使用頻度の高い中感度域では約一段分のノイズ低減を実現。光学式5軸ボディ内手ブレ補正も世界最高の5.5段になり、フォーカスはα9同様「4D FOCUS」に対応。瞳AFの追従性能も、約2倍に向上した。動画撮影面では、ソニー製デジタルスチルカメラとして初めて、撮影後にカラーグレーディングを必要としないインスタントHDRワークフローを実現するHLG(ハイブリッドログガンマ)方式による4K HDR撮影に対応した。ファインダーは、α7IIと比べて最大輝度が約2倍になりファインダー倍率0.78倍を実現したQuad-VGA OLED Tru-Finderを搭載する。
ソニーα7 III(ILCE-7M3)(2018年3月23日発売) - α7IIの後継機(α7及びα7IIは併売)。センサーシフト式5軸手ブレ補正は7IIと比べて0.5段分上昇し、5.0段分の補正効果を実現した。センサーは同機と比べて裏面照射型のExmor Rと新世代のBIONZ Xの組み合わせに変更され、α7R IIIで対応している「4D FOCUS」にも対応、瞳AFモードはAF-Cでも利用可能になった。シャッターチャージユニットに最新型を採用したことにより、AF/AE追従で最高約10コマ/秒の高速連写(サイレントモード含む)も可能になった。また、4K記録ではα7R III同様ハイブリッドログガンマによる4K HDR撮影にも対応した。また、USB端子はSuperSpeed USB(USB 3.1 Gen 1)対応に変更されている。
(My Photo = α7)
「A Memory of Summer2018」
Sony α7Ⅲ ILCE-7M3, ZEISS Vario-Tessar FE 4/16-35 ZA OSS
(視聴) ニコンZシリーズ紹介
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コメント
風呂井戸さんこんにちは、ご無沙汰しています.
懐かしの海外スナップ、素敵ですね.飛行機嫌いのボクにとっては夢のような世界です(笑)
さてミラーレスカメラが出そろってきました.
時代は明らかにミラーレス化に拍車がかかりそうですよね.
ボクはメカと昨日といった部分に疎くて、どちらかというと感覚的に見てしまいますが、どうも物欲を掻き立てない感じがします.
5D Mark lV の時は持ってみた重量感やデザイン、過去の 5D 伝説など、どうしてもこれが欲しいと思って購入した記憶があります.
先日 EOS R も手にしてみましたが、確かに機能的にもいいカメラだとは思いますが、ちょっと人間味がないというか、どうしても欲しいカメラだとは思わないんですよねぇ.
だんだんこんな感じで機能だけが優先された無機質な 物 になっていってしまうのかなぁ.
投稿: moto | 2018年9月12日 (水) 07時30分
motoさん、コメント有り難うございます。
ご熱心な、そして研究熱心な成果としての、このところの撮影作品は格段の進歩をしていますね。^^)
ミラー・レス機の優位な点は、EVファインダーの進歩によって、ミラー機能とプリズムにかかる費用が削ることが出来て、その分撮影機能にまわせる点でしょうか、それと小型化ですかね。カメラへの愛着は人それぞれでよいと思いますし、目的に沿って選ぶ物も異なって良いと思います。まあ、我々には選択肢が増えることは歓迎です。私がミラーレスを評価するのは、実は過去の各社の手持ちのレンズが使えるところにかなりのウェイトがあるのですが・・・(笑)。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2018年9月12日 (水) 10時18分