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2018年10月22日 (月)

ロ・ジェイのヴォーカル・アルバム Lo Jay 「Joue O'day」

フランスからのアメリカン・クラシック・ジャズ

<Jazz>

Lo Jay & Serge Moulinier Trio 「Joue O'day」
France / LISM2011 / 2018

1007739189

Lo Jay (voc)
Serge Moulinier (p)
Christophe Jodet (b)
Pascal legrand (ds)

 フランスものとしては珍しいアメリカン・クラシック・ジャズへの想い、アニタ・オデイ(Anita O'Day、1919 - 2006)回顧の女性ヴォーカル・アルバム。唄うはフランスではそれなりの評価を得ているロ・ジェイLaurence Lo Jayだ。しかし私にとっては初物で、このアルバムも今年リリースされているが、元は2012年作品のようで、元をただせば自主製作盤である。彼女はもともと心からアニタ・オデイのことを敬愛しているとのことで、そんなところからの作品。
 バックにはセルジュ・ムニエルのピアノ・トリオがこれ又スウィング感たっぷりにあのよき時代1950年から1960年代を甦らせている。

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(Tracklist)

970025_10202984451785880_28500024841. Sweet Georgia Brown 
2. Tennessee Waltz 
3. What is this thing called love 
4. Honeysuckle Rose 
5. Love for sale 
6. Skylark 
7. Boogie Blues   
8. I want a grown up man 
9. Just one of those things 
10. Angel eyes 
11. Tea for two 
12. Anita's 1940's Medley 

 フランス版であり自主製作盤ということで、あの自国気質の強い国なので、フランス語によるものかと思いきや、ロ・ジェイはヴォーカルは英語で唄われている。まあアニタ・オデイに捧げた作品なのであるからそれも当然のことであろう。もちろん世界を相手にするには英語というのは当然だ。

 比較的癖の無い素直なヴォーカルと演奏である。
 M2. "Tennessee Waltz"を聴いても、特別な編曲のもなく一般受けの仕上げ。
  M4. "Honeysuckle Rose"ベースをバックに語るように唄い、感じは良い。後半スウィング感をたっぷり聴かせる。
 M6. "Skylark"かなり優しい歌い込みで好感。
 M10. "Angel eyes" これが一番のお勧め曲。SEが入り、ベースがアルコで重厚に響き、ここで彼女の技量を示すゆったりとした歌い込みが見事。そしておもむろに演じられるピアノが美しい。後半でもやはりベースのバックが抒情的で良いし、ピアノとの交わりもよく、更に彼女のヴォーカルも頂点に。まさにこれ1曲で納得するアルバムである。

 まあ、あまり本気で聴き込もうと思わずに軽く聴くのが良いアルバムである。

(評価)
□ 演奏・ヴォーカル : ★★★★☆
□ 録音        : ★★★★☆

(My Image Photo)  「秋の赤」

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NIKON D800, TAMRON SP90mm F2.8 Di Macro VC USD, PL


(視聴) 

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2018年10月17日 (水)

聴き落としていたアルバム(4)~デイブ・キングDave King Trio「I've been ringing you 」

*この「聴き落としていたアルバム」シリーズは、諸々の事情で遅まきながら聴いたところ、なかなかの聴きどころのあったものを取りあげている~~~

まさにミステリアスな深遠な世界だ!!

<Jazz>
Dave King with Bill Carrothers & Billy Peterson
「I've been ringing you 」

Sunnyside / USA / SSC1336 / 2012


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Dave King (ds cymbals & waterphone on "goodbye")
Bill Carrothers (p)
Billy Peterson (b)

 THE BAD PLUSそして HAPPY APPLEのドラマーであるデイブ・キングが結成したピアノ・トリオ"Dave King Trio" のアルバムだ。
  既にリリースしてから数年経ているが、今年リリースされた寺島靖国のコンピュレーション・アルバム『For Jazz Drumms Fans Only Vol.2』(Terashima Records/TYR-1068/2018)に取りあげられ私は注目した。今更ながらアルバム全編を聴いて感動している。

800pxdave_king_drummer2 デイブ・キングDavid(Dave) King(→)は、ミネアポリス出身の1970年生まれで、目下ミュージシャンとしては脂がのっている。フリー・ジャズの激しさを持つThe Bad Plus (with Reid Anderson and Ethan Iverson)のトラマーとして彼は名を知らしめている。


(Tracklist)
1 goodbye
2 lonely woman
3 so in love
4 autumn serenade
5 if i should lose you
6 people will say we’re in love
7 this nearly was mine
8 i’ve been ringing you

 このアルバム、USAと言えどもなんとECM風というか、まさにユーロ系が得意とすやや暗めにして、哲学的に迫ってくる世界を持っている演奏なのだ。それはミステリアスであるにも関わらず、しかも不思議な安らぎ感を生むという私にとってはたまらない一枚。
Billcarrothers2w この重要因子は、以前にもここで取りあげたことのあるピアニストのビル・キャロザースBill Carrothers(→)による効果も大きいと踏んでいるが、収録曲目はスタンダードが中心であるが、その描き方には驚異を感ずるのである。

  M1 "goodbye" はっきり言えば、完全に私の好みの方に期待を裏切ってくれた。デイブのドラムスがドスンと来るかと思いきや、優しいブラシ奏法に、ピアノ、ベースが静かに十分間をとって余韻を残しての演奏よる静かな水面を描くがごとき深遠な世界。
  M3. " so in love" Cole Porterの曲だが、スタートはドラムスの音で始まるも、ややスローに展開し、ここまで心に深く染み込む演奏も希有である。
 M4. "autumn serenade"は如何にもこの初秋にぴったりの気分を描いてくれる。
 M6. "people will say we’re in love"が唯一やや激しさのドラムスが響くが、このアルバムの頂点ともなる役を果たし、メリハリをつけての快演。

 驚きは、Bad Plusの”破壊的ドラマー”と言われるデイブ・キングが、ピアノにビル・キャロザース、ベースにビリー・ピーターソンというトリオを構成したのは、如何にして何を目指して結合したのか解らないのだが、ここまで意気投合してミステリアスにして深遠、哲学的世界を描くに至るのか、その過程には興味を抱かざるを得ない程である。
 いずれにしてもビル・キャロザース効果は絶大であること、そして録音もリアルで楽しめる。いっやー、しかし良いアルバムに出会ったものだ。完全に私のお気に入りアルバムに登録だ。

(参考) (ネットにみる紹介文)
David King (born June 8, 1970) is an American drummer and composer from Minneapolis. He is known for being a founding member of the jazz groups The Bad Plus (with Reid Anderson and Ethan Iverson) and Happy Apple (with Michael Lewis and Erik Fratzke) although he is active in many other projects including free jazz collective Buffalo Collision with NYC "Downtown" musicians Tim Berne and Hank Roberts and the electronic art/pop group Halloween Alaska as well as the noise/prog band The Gang Font with former Hüsker Dü bassist Greg Norton.            

(評価)
□ 演奏 ★★★★★
□ 録音 ★★★★★☆

(My Image Photo)
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Sony ILCE-7M3,  Zeiss Vario-Tessar FE 4/16-35 ZA OSS, PL

(視聴)

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2018年10月13日 (土)

寺島靖国プレゼント 「For Jazz Drums Fans Only VOL.2」

結構このコンピレーション・アルバムも聴き応えあり

<Jazz>
Y.Terashima Present 「For Jazz Drums Fans Only VOL.2」
TERASHIMA RECORDS / JPN / TYR-1068 / 2018

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 もともとピアノ・トリオを愛する私からすると、ピアノの描く気品ある抒情性やどこか心に響くメロディの美しさ・優しさというのは他の楽器では得られないところにある。楽器の個性によってそれぞれの迫ってくる味は異なっていて、そこに味わいが生まれるのだと思うのだが・・・・・。
Photo_2 ところが、ライブに参加して思い知らされるのだが、オーソドックスなピアノ、ベース、ドラムスというピアノ・トリオ位の小編成の場合、実はその重要な位置に意外にもドラムスがあると言っても過言では無い。実はそこがCD再生によって聴く場合と、ライブ会場での場合との大きな違いであるとも思っている。これはレコーディング・エンジニアやプロデュサーによって作られる世界と現実の差なのかも知れない。

 ドラムスは、リズム隊として若干軽んじられるところにある場合があるが、決してそうでは無い。ライブではドラムスのリードなくしてその充実感は得られないのではないかと思うところにある。

 寺島靖国の選ぶコンピレーション・アルバムであるから、まあドラムスに注目してのものとは言え、3曲ぐらいは私の持つアルバムからの選曲だろうと高をくくっていたら、なんと1枚のみで完敗(Fred Herschのみ)。しかしそれだけ初聴きもあって結果的には儲けたと言うところなのである。

(Tracklist)
01.Alone Together [Robert Glasper Trio]
02.Ringo Oiwake [Kenny Barron Trio]
03.Autumn Leaves[Orrin Evans]
04.Arcata[Fred Hersch]
05.Peaple Will Say We're In Love[Dave King]
06.Nar-this [Antonio Sanchez]
07.My Shining Hour [Ulysses Owens, Jr.]
08.Tears Inside[Mike Melillo Trio]
09.I'll Be Seeing You [Barry Green New York Trio]
10.Another Uphill Morning [Juan Ortiz Trio]
11.So In Love [Gregg Kallor]
12.Keep It Fresh [Inaki Sandoval]

 寺島靖国プレゼントとしてのコンピレーション・アルバムは、なんと言っても「Jazz Bar」だが、なんと17巻リリースされている。そして更に「For Jazz Audio Fans Only」は、オーディオ・ファン向けに、又「For Jazz Vocal Fan's Only」も女性ヴォーカルが主体でジャズ・ファンの一面をくすぐって・・・と言うところで支持がある。この三者は年一枚のペースでのリリースであるが、確実に人気が続いているのだ。
 そして新たに始まったこの「For Jazz Drums Fans Only 」も、今年で一年経っての二枚目というところで、ようやく軌道に乗ろうかとしている盤のリリースとなった。

 このアルバムの特徴は、前三者に比べると一口に言わせてもらうと”マニアック”と言ったところか?、私のようにECMに代表されるユーロ系の抒情派ピアノ・トリオ・ファンとすれば、日頃手にする事の少ないアルバムが納得の世界で聴けるところが素晴らしい。

Dave_king_drummer2_3 M1."Alone Together"
は、ドラムスに限らず、ベース、ピアノのスピード感は圧巻。ここには靖国一押しのハイテクニックが支配している。オーソドックスのようでいて、違うんですね。そこが聴きどころ。
 M2."リンゴ追分"Kenny Barronによって、これが出で来るから笑っちゃう、しかし笑っては居られない。支えるドラムスが東北の世界になっているところが恐ろしい。
 M3."Autumn Leaves"の編曲、インプロが圧巻だ。これも所謂従来から聴きならされたリズムでは刻んでこない。ここが何とも言えずプロフェッショナルっぽいのだ。
 M5."Peaple Will Say We're In Love"のDave King(右上)のドラムスの音はリアルでお見事。
Antonio_s1 M6."Nar-this"Antonio Sanches(右)、この流れ、いかにもプロ・ミュージシャンの面目躍如。Brad Mehldauも貢献。
 M7."My Shining Hour" Ulysses Owens, Jr.(右下)の健闘。
 最後の曲M12."Keep It Fresh" のようにドラムスが・・・チン、シャイーン、カンと響いてドカン、ドスンと来る迫力も楽しいもの。

Ulyssesojrtr_2 こんな調子で全編気を許さない選曲には驚いた。寺島靖国をなめちゃいけませんね。オーディオ感覚優先と本人は何時も言ってますが、ここに選ばれたものはドラムスの収録が優れていることは事実だが、決してそれだけでは無い。ジャズを知っての離れ業だ。
 このアルバム、一枚のCDとしては、かなり収録時間が長いのだが(80分近いか)、飽きることを知らずに一気に聴いてしまう。これで私は今更彼を見直してしまった。

(評価)
□ 収録選曲 ★★★★★
□ 録音    ★★★★★☆

(My Image Photo)

Dsc04354trw
Sony ILCE-7M3, FE 4/24-105 G OSS,  PL

(参考視聴) Antinio Sanchez

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2018年10月10日 (水)

リバーサイドのニュー・アルバムRiverside「WASTELAND」

美しさと哀しさと・・・そして不安感と(しかし光明が)

<Progressive Metal Rock>

Riverside「WASTELAND」

INSIDEOUT/ Euro / 19075871852 / 2018

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Waste7and_01w_2Riverside
     Mariusdz Duda : Vocal, Guitar, Bass
     Piotr Kozieradzki : drums
     Michał Łapaj : Keyboards


 久しぶりにロック話。ちょっとサボっていて気恥ずかしい感じだ。しかし期待のRiversideだからと・・・気合いが入る。
 しかし今やロックは低調の極みと言っても・・・。社会現象とロックの道に乖離が起きているのだろうか?。若きエネルギーは?、問題意識は?。現代に於いて、60年代からの社会現象としてのロックの道との相違は何なのか・・・・。

  Riverside、前作『Love, Fear and the Time Machine』以来の3年ぶりの7thアルバム。今作にかける期待は大きい。それは前作が彼らの方向転換を意味するのか、私にとっては不完全燃焼だったからだ。
 このバンドはポーランドが生んだ世界に誇るプログレ・バンドである。あの悲劇を繰り返したポーランドの歴史の中から、現代に彼らが何を得ることが出来たのか、そこに期待を裏切る矛盾を感じ取ってしまった彼らの進むべき道はこれから何処に向かうのか、それは問題意識を持ったバンドが常に問われる道なのである。
 しかも結束のメンバーの一人であったギタリストのPiotr Grudzinskiが、2016年2月前作リリース直後に40歳で急死する悲劇がバンドを襲う。それから2年、なんとここに残った3人が、深い悲しみと解散の危機を乗り越えてのアルバム・リリースとなったのである。

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 まずは印象は、リーダーのMariusz Dudaの描く曲が益々美しくなっていることだ。しかし冒頭M1."THE DAY AFTER"は、アカペラで唄われる悲劇の予感のテーマである。曲の終わりにかけて表現できないほどの暗い不安なテーマが流れる。ここにもともと彼らの持つ不安感と、現実に友を失った悲劇とどうしてもオーバーラップさせて聴くものを沈み込ませる。
List_2 M2."ACID RAIN"にその流れは繋がるが、彼らのヘビーなメタリックなサウンドが展開する。ここには彼らのかってのサウンドの復活がイメージ出来る。
 M3."VALE OF TEARS"もヘビーではあるが、ヴォーカルは美しく流れる。
 中盤から終盤に演じられるアコースティック・ギターをバックにポーランドらしい情緒あふれるな美旋律を取り入れた曲群には、悲哀と優しさと人間的な世界が描かれている。これぞ彼らが発展し獲得してきた一つの姿で有り、更に音楽的にもロック世界を超越して空気感が漂う深遠にも聴こえる普遍的なサウンドを大胆に取り入れたスタイルはプログレッシヴ・ロックの一つの姿として十分堪能できるアルバムに仕上がっている。

 しかしアルバム・タイトル曲M8"WASTELAND"は、"荒廃した地"と言う事だろうか、精神的にも文化的にも期待感が持てない世界を描こうとしているのか?。中盤でメタリックなサウンドが出現し次第にやや悲壮感が満ちるサウンドが展開する様が印象的だ。しかしかっての彼らの演ずる救いようのない暗さには至らない。そして終曲M9."THE NIGHT BEFORE"に繋がるのだが、そこには未来志向が覗いている。これが今のRiversideなのだろうか。

  かってのアルバムを思い起こすと、ヴォーカルのウェイトも多くなり、非常に聴きやすいアルバム造りに変わってきたというところは、前作からの流れも続いていると言ったところである(私的には若干不満も無いでは無い)。しかし「暗」から少しではあっても「光明」の感じられる結論に導くところは、彼らの今の状態が見えると同時に、上手い手法のアルバム製作であったと結論する。

(評価)
□ 曲・演奏 : ★★★★☆
□ 録音   : ★★★★☆

(My Image Photo)
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Sony ILCE-7M3, FE 4/24-105 G OSS,  PL

(視聴)

 

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2018年10月 7日 (日)

シャイ・マエストロ Shai Maestro Trio 「The Dream Thief」

流麗なメロディ中に内省的思考が支配

<Jazz>
Shai Maestro Trio 「The Dream Thief」

ECM / Ger / ECM2616 / 2018

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Shai Maestro (p)
Jorge Roeder (double-bass)
Ofri Nehemya (ds)

Prodused by Manfred Eicher
Recorded April 2018
Engineer : Stefano Amerio

 イスラエル出身の今や人気のベーシスト・アヴィシャイ・コーエンのバンドでの活躍で知ることになった若きピアニストのシャイ・マエストロ、イスラエル・ジャズ界に貴重な位置にある話題の才能あふれる彼の初のECM作品だ。
 イスラエルは中東パレスチナに位置し、ユダヤ人が3/4を締めていてユダヤ教が主流だが、イスラム、キリストも混在し文化は複雑。近年ジャズ界への進出も注目されている。
 プロデューサーのECMアイヒャーとのレコーディングに初めてマエストロが自己のトリオで臨んで出来上がった注目作(↓トリオとアイヒャーの録音風景)。メンバーはペルー人ベーシストJorge Roeder(7年間ずっと一緒だとか)と、新たにイスラエル人のドラマーOfri Nehemyaを迎えてのトリオ。

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Shaimaestrow [シャイ・マエストロShai Maestro]は、1987年、イスラエル生まれのジャズ・ピアニスト。5歳からクラシック・ピアノを始め、なんと8歳でジャズに開眼したという。テルマ・イェリン国立芸術高等学校でジャズとクラシックを学び、バークリー音楽大学のスカラーシップを得て、4年間ジャズ・ピアノやコンポジション、民族音楽論などを学ぶ。2006年からニューヨークでのイスラエル・ジャズ・シーンを牽引する私の好きなアヴィシャイ・コーエン(b)のグループに参加し(アルバム  『Gently Disturbed』(Sunnyside/4607/2008)『SEVEN SEAS』(BlueNote/TOCJ90070/2011)など)、一般に認知される。
 2013年12月の『The Road to Ithaca』(AGIP3526)に続き、2015年5月に3rdリーダー作『UNTOLD STORIES』(AGIP3526)をリリースしている。

(Tracklist)
1.My Second Childhood
2.The Forgotten Village *
3.The Dream Thief *
4.A Moon's Tale *
5.Lifeline *
6.Choral *
7.New River, New Water *
8.These Foolish Things (Remind Me Of You)
9.What Else Needs to Happen *


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 収録曲は、マエストロのオリジナルの7曲(*印)が中心である。彼のソロ・ピアノ楽曲も収録されている。

 M1."My Second Childhood"はイスラエルのシンガーソングライターMatti Caspiの曲だそうで、マエストロが子供のころから大好きで、体に染み付いている曲だそうだ。ピアノ・ソロで描く内に秘めた心のその叙情性は見事である。
  M2."The Forgotten Village" 静かに刻むベースとドラムスの音に乗って、ピアノが優しく描く美旋律。全くの内省的異色のトリオ世界。
  M3."The Dream Thief"夢泥棒"という事ことだろうか?、後半見事に疾走し三者の交錯・振動が流れるのだが、そんな中でもどこか思索的なところが不思議という曲。アルバム・タイトル曲だ。
  M4."A Moon's Tale" これも静かなピアノから始まるが、突然ピアノの重低音、そして再び静かにメロディーが流れる。そこにはやはり危機感は無くむしろ安堵の世界。
 M6."Choral" 優しく美しいピアノ・ソロ。
 M7."New River, New Water"流麗な演奏が聴きどころ。
  M9."What Else Needs to Happen"は、物静かな曲だが、なんと突然”語り”が入る。意味は不明。何か次第に荒々しさが起こるかと思いきや、最後まで静かな演奏で終わる。

91vqg2br9klw とにかくECMらしいのだが、静かな情景と美しさを描く手法は希有なトリオ演奏世界、どこか心の奥に迫りが感じるのだが、そこには優しさが残る不思議なアルバムである。
   2015年のアルバム『UNTOLD STORIES』(P-VINE RECORDS/PCD-93893/2015)(→)は、そのジャケの異様さと共に、彼のオリジナル曲に満たされつつ何処か異色の世界ムードの中に包まれ、何とも表現の難しい美しさを秘めてていて不思議なアルバムだった。しかし今回のアルバムはかなり雰囲気はオーソドックスなユーロ・ムードにあって、イスラエル色は薄れている。それもアイヒャー効果なのであろうか、しかしなんとも貴重な美しさのアルバムである。

(評価)
□ 曲・演奏 ★★★★★☆
□ 録音   ★★★★★☆

(My Image Photo)  (at Shigakogen)

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Sony ILCE-7M3, FE 4/24-105 G OSS,  PL

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2018年10月 3日 (水)

マルチン・ボシレフスキMarcin Wasilewski Trio 「Live」

抒情派の真髄と、圧巻の迫真プレイで迫る熱演が聴ける

<Jazz>
Marcin Wasilewski Trio 「Live」
ECM / Germ / ECM 2592 6738486 / 2018

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Marcin Wasilewski (piano)
Sławomir Kurkiewicz (double bass)
Michał Miśkiewicz (drums)

 Recorded Aug. 2016 at Jazz Middelheim, Antwerp

Marcinsolo_imgwjpg ポーランドの人気ピアニスト:マルチン・ボシレフスキMarcin Wasilewski (1975年ポーランドのスワヴノ生まれ)の、今回もレギュラー・トリオによる、2016年8月ベルギーのジャズ祭でのライヴ収録盤。もともとシンプル・アコースティック・トリオ(私は1995年アルバム『Komeda』(その後『Lullaby for Rosemary』に変わる)以来ファンである)で注目され、その後も不動のメンバーで、自己名義トリオに名を変えての活動が続いている。
 哀愁の抒情派ピアノを演じ、一方ではかなりの躍動的な展開をみせるこのトリオは、取り敢えずは注目株で、ニュー・アルバムは何時も待望しているところだ。

Marcinwasilewskitriow

(Tracklist)
1. Spark Of Life / Sudovian Dance [Live]
2. Message In A Bottle (Sting)[Live]
3. Three Reflections [Live]
4. Night Train To You [Live]
5. Austin [Live]
6. Actual Proof (Sting)[Live]

Sparkoflife さて、このアルバムのM2、M6以外は、Marcin Wasilewski のオリジナル曲だが、2014年のアルバム『Spark Of Life』ECM/ECM2400/2014)(→)でお目見えした曲M1、M3、M5が演奏されている。ただ2016年のライブ録音で有り、当初のアルバムにみるスタジオ録音盤との違いというか発展形というか、そのあたりが興味の持たれるところである。
 M1."Spark Of Life "、"M5." Austin "は、スタジオ・アルバム同様抒情的にしてメロディーも優しく心に染み込んでくる。これぞマルチン・ボシレフスキと言いたくなるところだ。

Faithful しかし思うに今回の目玉はM4. "Night Train To You"の圧巻のプレイだ。この曲は2011年のアルバム『Faithful』 (ECM/ECM2208/2011)(→)に登場した曲だ。成る程これがライブの醍醐味でもある。 とにかくこの14分に及ぼうとする迫真のプレイは凄い。ボシレフスキ(p)の集中力でアドリブが尽きること無く演じきる熱演に痺れる。しかもそれを支えるリズム隊の挑戦的アプローチによる攻撃的プレイが一層この展開に凄みを加味して迫ってくる。ベースの途切れること無く流れるようなプレイ、ドラムスはかってのスタジオ盤よりは録音の締める位置も高く楽しめる。しかもその3者のプレイに何故か美しさが秘められていて感心するのである。こうゆう演奏をECMがリリースするのは珍しいと思うが、中にちゃんと”Album produced by Manfred Eicher”と記されていて、Eicherご承認の演奏というところにあるとみる。

 ポーランドのジャズに限らずあらゆる分野の音楽レベルの高さは何時も感心するところだが、20歳代でデビューしたこのトリオは確実に発展・進歩しているところが嬉しい。ヨーロッパ耽美系らしい叙情性が満ちたところと、スリリングなトリオ格闘が聴けるこのトリオは貴重だ。
 さてさて次なるスタジオ・ニュー・アルバムに益々期待が持たれるところだ。

(評価)
□ 演奏 ★★★★★☆
□ 録音 ★★★★☆

(My Image Photo)  2018 Autumn

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Sony ILCE-7M3,  Zeiss Vario-Tessar Fe 4/16-35 ZA OSS, PL

(視聴)

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