マルチン・ボシレフスキMarcin Wasilewski Trio 「Live」
抒情派の真髄と、圧巻の迫真プレイで迫る熱演が聴ける
<Jazz>
Marcin Wasilewski Trio 「Live」
ECM / Germ / ECM 2592 6738486 / 2018
Marcin Wasilewski (piano)
Sławomir Kurkiewicz (double bass)
Michał Miśkiewicz (drums)
Recorded Aug. 2016 at Jazz Middelheim, Antwerp
ポーランドの人気ピアニスト:マルチン・ボシレフスキMarcin Wasilewski (1975年ポーランドのスワヴノ生まれ)の、今回もレギュラー・トリオによる、2016年8月ベルギーのジャズ祭でのライヴ収録盤。もともとシンプル・アコースティック・トリオ(私は1995年アルバム『Komeda』(その後『Lullaby for Rosemary』に変わる)以来ファンである)で注目され、その後も不動のメンバーで、自己名義トリオに名を変えての活動が続いている。
哀愁の抒情派ピアノを演じ、一方ではかなりの躍動的な展開をみせるこのトリオは、取り敢えずは注目株で、ニュー・アルバムは何時も待望しているところだ。
(Tracklist)
1. Spark Of Life / Sudovian Dance [Live]
2. Message In A Bottle (Sting)[Live]
3. Three Reflections [Live]
4. Night Train To You [Live]
5. Austin [Live]
6. Actual Proof (Sting)[Live]
さて、このアルバムのM2、M6以外は、Marcin Wasilewski のオリジナル曲だが、2014年のアルバム『Spark Of Life』(ECM/ECM2400/2014)(→)でお目見えした曲M1、M3、M5が演奏されている。ただ2016年のライブ録音で有り、当初のアルバムにみるスタジオ録音盤との違いというか発展形というか、そのあたりが興味の持たれるところである。
M1."Spark Of Life "、"M5." Austin "は、スタジオ・アルバム同様抒情的にしてメロディーも優しく心に染み込んでくる。これぞマルチン・ボシレフスキと言いたくなるところだ。 しかし思うに今回の目玉はM4. "Night Train To You"の圧巻のプレイだ。この曲は2011年のアルバム『Faithful』 (ECM/ECM2208/2011)(→)に登場した曲だ。成る程これがライブの醍醐味でもある。 とにかくこの14分に及ぼうとする迫真のプレイは凄い。ボシレフスキ(p)の集中力でアドリブが尽きること無く演じきる熱演に痺れる。しかもそれを支えるリズム隊の挑戦的アプローチによる攻撃的プレイが一層この展開に凄みを加味して迫ってくる。ベースの途切れること無く流れるようなプレイ、ドラムスはかってのスタジオ盤よりは録音の締める位置も高く楽しめる。しかもその3者のプレイに何故か美しさが秘められていて感心するのである。こうゆう演奏をECMがリリースするのは珍しいと思うが、中にちゃんと”Album produced by Manfred Eicher”と記されていて、Eicherご承認の演奏というところにあるとみる。
ポーランドのジャズに限らずあらゆる分野の音楽レベルの高さは何時も感心するところだが、20歳代でデビューしたこのトリオは確実に発展・進歩しているところが嬉しい。ヨーロッパ耽美系らしい叙情性が満ちたところと、スリリングなトリオ格闘が聴けるこのトリオは貴重だ。
さてさて次なるスタジオ・ニュー・アルバムに益々期待が持たれるところだ。
(評価)
□ 演奏 ★★★★★☆
□ 録音 ★★★★☆
(My Image Photo) 2018 Autumn
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コメント
風呂井戸さん こんばんわ
さっそくですが、私もボシレフスキずっと追いかけていますが、おっしゃる様にトリオとして進化し続けているとことが、凄いですね。これまでのアルバムそれぞれの完成度も高いですし。
「Live」は、安く入手しようと海外に注文したため、時間が、かかってしまっています。待ち遠しい状況です。
投稿: baikinnmann | 2018年10月 6日 (土) 19時15分
Baikinnmannさん、コメント有り難うございます。今回はライブ・アルバムで既にスタジオ・アルバムに登場している曲ですが・・・・しかし、進歩なのか、ライブもののせいか、緊張感があります。到着を待つのも楽しみとしてください。
ところで、FBに紹介のJesper Bodilsen / Short Stories for Dreamersが気になります。ジャケがいやに脳裏に残っていて・・・・。と言う事で。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2018年10月 6日 (土) 20時03分
さっそくご返信いただきありがとうございます。
”Short Stories for Dreamers”の方ですが、Roberto Olzerの"Floatin' In"に似た感じもありますので多分、風呂井戸さんのお好みにも合う作品ではないかと思います。
Spotifyなどでも聴けますので試聴されるのも良いかと思います。
投稿: baikinnmann | 2018年10月 6日 (土) 21時34分
風呂井戸さん,こんにちは。
このアルバム,まさに文句のつけようのない素晴らしさでした。これまでのECMのアルバムもどれもが素晴らしいものでしたが,更に一歩先に行ってしまった感があります。私の中では今年聞いたアルバムの中でも屈指の作品と評価しています。また日本に来て欲しいですねぇ。
ということで,TBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2018年10月 7日 (日) 17時44分
中年音楽狂さん、コメント・TB有り難うございます。
Marcin Wasilewski は、スタジオ・アルバムが素晴らしいと思っていましたが、ライブにこれほど緊迫感を上乗せするプレイヤーということで、なお惚れ込みました。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2018年10月 7日 (日) 23時44分
トラバ、ありがとうございました!
ダイナミズムと、静謐な部分を持ち合わせた素晴らしいトリオだとおもいます。ライブならではの躍動感があふれ、激しく情熱がほとばしる三位一体のプレイに興奮しました!
ぜひ、来日して欲しいですよね!
投稿: Suzuck | 2018年10月 9日 (火) 09時54分
Suzuckさん、コメント・TB有り難うございます。
私もこのライブ盤で、彼ら3者によるエネルギーが一層感じられて、もともとある叙情性と加味してナイス・トリオと万歳でした。
ライブ実現は間違いないでしょうね。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2018年10月 9日 (火) 21時03分