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2018年10月 7日 (日)

シャイ・マエストロ Shai Maestro Trio 「The Dream Thief」

流麗なメロディ中に内省的思考が支配

<Jazz>
Shai Maestro Trio 「The Dream Thief」

ECM / Ger / ECM2616 / 2018

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Shai Maestro (p)
Jorge Roeder (double-bass)
Ofri Nehemya (ds)

Prodused by Manfred Eicher
Recorded April 2018
Engineer : Stefano Amerio

 イスラエル出身の今や人気のベーシスト・アヴィシャイ・コーエンのバンドでの活躍で知ることになった若きピアニストのシャイ・マエストロ、イスラエル・ジャズ界に貴重な位置にある話題の才能あふれる彼の初のECM作品だ。
 イスラエルは中東パレスチナに位置し、ユダヤ人が3/4を締めていてユダヤ教が主流だが、イスラム、キリストも混在し文化は複雑。近年ジャズ界への進出も注目されている。
 プロデューサーのECMアイヒャーとのレコーディングに初めてマエストロが自己のトリオで臨んで出来上がった注目作(↓トリオとアイヒャーの録音風景)。メンバーはペルー人ベーシストJorge Roeder(7年間ずっと一緒だとか)と、新たにイスラエル人のドラマーOfri Nehemyaを迎えてのトリオ。

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Shaimaestrow [シャイ・マエストロShai Maestro]は、1987年、イスラエル生まれのジャズ・ピアニスト。5歳からクラシック・ピアノを始め、なんと8歳でジャズに開眼したという。テルマ・イェリン国立芸術高等学校でジャズとクラシックを学び、バークリー音楽大学のスカラーシップを得て、4年間ジャズ・ピアノやコンポジション、民族音楽論などを学ぶ。2006年からニューヨークでのイスラエル・ジャズ・シーンを牽引する私の好きなアヴィシャイ・コーエン(b)のグループに参加し(アルバム  『Gently Disturbed』(Sunnyside/4607/2008)『SEVEN SEAS』(BlueNote/TOCJ90070/2011)など)、一般に認知される。
 2013年12月の『The Road to Ithaca』(AGIP3526)に続き、2015年5月に3rdリーダー作『UNTOLD STORIES』(AGIP3526)をリリースしている。

(Tracklist)
1.My Second Childhood
2.The Forgotten Village *
3.The Dream Thief *
4.A Moon's Tale *
5.Lifeline *
6.Choral *
7.New River, New Water *
8.These Foolish Things (Remind Me Of You)
9.What Else Needs to Happen *


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 収録曲は、マエストロのオリジナルの7曲(*印)が中心である。彼のソロ・ピアノ楽曲も収録されている。

 M1."My Second Childhood"はイスラエルのシンガーソングライターMatti Caspiの曲だそうで、マエストロが子供のころから大好きで、体に染み付いている曲だそうだ。ピアノ・ソロで描く内に秘めた心のその叙情性は見事である。
  M2."The Forgotten Village" 静かに刻むベースとドラムスの音に乗って、ピアノが優しく描く美旋律。全くの内省的異色のトリオ世界。
  M3."The Dream Thief"夢泥棒"という事ことだろうか?、後半見事に疾走し三者の交錯・振動が流れるのだが、そんな中でもどこか思索的なところが不思議という曲。アルバム・タイトル曲だ。
  M4."A Moon's Tale" これも静かなピアノから始まるが、突然ピアノの重低音、そして再び静かにメロディーが流れる。そこにはやはり危機感は無くむしろ安堵の世界。
 M6."Choral" 優しく美しいピアノ・ソロ。
 M7."New River, New Water"流麗な演奏が聴きどころ。
  M9."What Else Needs to Happen"は、物静かな曲だが、なんと突然”語り”が入る。意味は不明。何か次第に荒々しさが起こるかと思いきや、最後まで静かな演奏で終わる。

91vqg2br9klw とにかくECMらしいのだが、静かな情景と美しさを描く手法は希有なトリオ演奏世界、どこか心の奥に迫りが感じるのだが、そこには優しさが残る不思議なアルバムである。
   2015年のアルバム『UNTOLD STORIES』(P-VINE RECORDS/PCD-93893/2015)(→)は、そのジャケの異様さと共に、彼のオリジナル曲に満たされつつ何処か異色の世界ムードの中に包まれ、何とも表現の難しい美しさを秘めてていて不思議なアルバムだった。しかし今回のアルバムはかなり雰囲気はオーソドックスなユーロ・ムードにあって、イスラエル色は薄れている。それもアイヒャー効果なのであろうか、しかしなんとも貴重な美しさのアルバムである。

(評価)
□ 曲・演奏 ★★★★★☆
□ 録音   ★★★★★☆

(My Image Photo)  (at Shigakogen)

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Sony ILCE-7M3, FE 4/24-105 G OSS,  PL

(視聴)

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コメント

彼が演奏しても、ECMサウンドらしくなってしまうのは、まさにアイヒャーマジックでしょうか。トリオでのフレーズだけを聴いていると何か所か激しい部分もあるのですが、それも上手く抑えられている感じです。なかなか面白いアルバムだと思いました。

TBさせていただきます。

投稿: 910 | 2018年10月10日 (水) 22時22分

910さん、コメント・TB有り難うございます。
 イスラエル文化というのは、知らない世界で、こうしたミュージックでの範囲ではなかなか理解は難しいと思うのですが、このアルバムのようにEicherの手に掛かると、ユーロ普遍性に作り上げられて、何となく私なんかは引き込まれてしまう。
 魅力はたっぷりとあるアルバムと評価しました。

投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2018年10月10日 (水) 23時24分

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