アレクシ・トゥマリラ・ピアノ・トリオAlexi Tuomarila Trio 「Kingdom」
ブラッド・メルドーお墨付きのピアノ・トリオ
<Jazz>
Alexi Tuomarila Mats Eilertsen Olavi Louhivuori
「Kingdom」
EDITION / ADN 1090 / 2017
Alexi Tuomarila (アレクシ・トゥオマリラ, piano)
Mats Eilertsen (マッツ・ アイレットセン, bass)
Olavi Louhivuori (オラヴィ・ロウヒヴオリ, drums)
Recorded on 5th December 2017 at K.K.Studio, Finnland
Produced by Alexi Tuomarila
Executive Producer: Dave Stapleton
このピアノ・トリオは初聴きである。この秋、日本ライブが行われて知るに至った。
ピアニストアレクシ・トゥオマリア(Alexi Tuomarila、1974年-)は、Brad Mehldauが絶賛しているというだけあって、なかなかのピアノ・テクニシャン。又ミュージック・パターンもメルドーに一脈通ずるところもある。
彼は、フィンランドのジャズピアニストだ。クラシック・ピアノを始め、20歳からブリュッセル王立音楽院へと留学しナタリー・ロリエなどに従事した。在学中に自己名義のアレクシ・トゥオマリア・カルテットを結成し、1999年にベルギーのHoeilaartで開催された国際ジャズ祭で最優秀賞に選ばれているとか(アルバムは、二枚リリースされている。末尾Discograpgy参照)。
ジャズ界の新生と言えば新生だが、既にその後トリオによるアルバムもリリースし、5枚のアルバムが認められる。又賞の受賞もあって年齢的にも円熟のときを迎えていると思う。
(Tracklist)
1. The Sun Hillock (Alexi Tuomarila)
2. Rytter (Mats Eilertsen)
3. The Girl in a Stetson Hat (Alexi Tuomarila)
4. Vagabond (Alexi Tuomarila)
5. The times they are a-changin’ (Bob Dylan)
6. Shadows (Olavi Louhivuori)
7. Aalto (Alexi Tuomarila)
8. Bruin Bay (Alexi Tuomarila)
9. White Waters (Olavi Louhivuori)
曲は上記の如く、M5は、Bob Dylanの曲で、ほかの8曲はトリオ・メンバーのオリジナル(リーダーのトゥマリラは5曲)である。
トゥオマリラのピアノ演奏内容は、コンテンポラリーな面と、一方クラシックに通ずる面との混在で、なかなか面白い。ありきたりのジャズは既に超越していてレベルは高い。
又ポーランドのベテラン名トランペッター・トマシュ・スタンコTomasz Stankoの下で研鑽を積んでいて、そのせいか演奏も中身は濃い。
このトリオは、メンバーそれぞれが個性を持って演奏するなかなか一筋ならないトリオであり、しかしそのコミュニケーションは素晴らしくお互いが上手く通じ合ってのことであろう、それぞれの存在が録音も良くベースの弱音やドラムスのシンバルの音も明解に解るが、決して乱れては居ない。そのあたりが敬服してしまうところ。
M2. "Rytter"の流れは、アイレットセンがアルコ奏法をもみせるなか、三者の流れの統一感と盛り上がりは納得もの。
ただユーロ独特の抒情性溢れるメロディーが心に浸みるというタイプでなく、それぞれ及び三者一体の技量の濃さが聴く者に迫ってくると言うタイプで、プロ好み。M4."Vagabond"やM8. "Bruin Bay"の後半は少々難解である。こんなところは、今まで一般受けはもう一つといったところのポイントか。
私は結構M9."White Waters"は、北欧的世界を頭に描くことが出来、又フィロソフィーも感じられて評価は高い。
<Alexi Tuomarila Discography>
▼Alexi Tuomarila Quartet
2001: Voices Of Pohjola (Igloo - IGL 158)
2003: 02 (Finlandia Records, Warner Jazz - 0927-49148-2)
▼Alexi Tuomarila Trio (Mats Eilertsen, Olavi Louhivuori)
2006: Constellation (Jazzaway Records - JARCD 030)
2013: Seven Hills (Edition Records - EDN1041)
2017: Kingdom (Edition Records - EDN1090)
(評価)
□ 曲・演奏 : ★★★★★☆
□ 録音 : ★★★★★☆
(参考視聴)
**
| 固定リンク
« キング・クリムゾンKing Crimson Live in Mexico「MELTDOWN」 | トップページ | アレキサンドラ・シャキナAlexandra shakina「All The Way」 »
「音楽」カテゴリの記事
- レイヴェイ Laufey 「Bewitched」(2023.09.28)
- ミシェル・ンデゲオチエロ Meshell Ndegeocelle「The Omnichord Real Book」(2023.09.23)
- アロン・タラス Aron Talas Trio 「New Questions, Old Answers」(2023.09.17)
- カレン・ソウサ Karen Souza 「Suddenly Lovers」(2023.09.12)
- ビル・エヴァンス・リマスター・シリーズ Bill Evans 「Waltz for Debby」etc(2023.09.02)
「JAZZ」カテゴリの記事
- レイヴェイ Laufey 「Bewitched」(2023.09.28)
- ミシェル・ンデゲオチエロ Meshell Ndegeocelle「The Omnichord Real Book」(2023.09.23)
- アロン・タラス Aron Talas Trio 「New Questions, Old Answers」(2023.09.17)
- カレン・ソウサ Karen Souza 「Suddenly Lovers」(2023.09.12)
- ビル・エヴァンス・リマスター・シリーズ Bill Evans 「Waltz for Debby」etc(2023.09.02)
「北欧ジャズ」カテゴリの記事
- ニルス・ラン・ドーキー Niels Lan Doky 「Yesterday's Future」(2023.08.17)
- トーマス・フォネスベック Thomas Fonnesbaek & Justin Kauflin 「Danish Rain」(2023.06.17)
- ガブリエラ・ガルーボ Gabriela Garrubo 「 Rodando」(2023.06.12)
- レベッカ・バッケン Rebekka Bakken 「Always On My Mind」(2023.04.23)
- ラーシュ・ダニエルソンの異色作 Lars Danielsson 「Symphonized」(2023.04.13)
「ピアノ・トリオ」カテゴリの記事
- アロン・タラス Aron Talas Trio 「New Questions, Old Answers」(2023.09.17)
- ビル・エヴァンス・リマスター・シリーズ Bill Evans 「Waltz for Debby」etc(2023.09.02)
- バンクシア・トリオ Banksia trio「MASKS」(2023.08.28)
- ティングヴァル・トリオ Tingvall Trio 「BIRDS」(2023.08.23)
- ニルス・ラン・ドーキー Niels Lan Doky 「Yesterday's Future」(2023.08.17)
「ユーロピアン・ジャズ」カテゴリの記事
- アロン・タラス Aron Talas Trio 「New Questions, Old Answers」(2023.09.17)
- ティングヴァル・トリオ Tingvall Trio 「BIRDS」(2023.08.23)
- ニルス・ラン・ドーキー Niels Lan Doky 「Yesterday's Future」(2023.08.17)
- ベーラ・サクチ・ジュニア Szakcsi Jr. Trio 「Easy to Love」(2023.07.18)
- トーマス・フォネスベック Thomas Fonnesbaek & Justin Kauflin 「Danish Rain」(2023.06.17)
コメント