クラウディオ・フィリッピーニ Claudio Filippini Trio 「THE ENCHANTED GARDEN」 & 「BEFORE THE WIND」
ピアノの美しさにコンテンポラリーな味付けのトリオ
<Jazz>
Claudio Filippini Trio 「THE ENCHANTED GARDEN」
CAM Jazz / ITA / CAMJ7839 / 2011
Claudio Filippini (p,key)
Luca Bulgarelli (b)
Marcello Di Leonardo (ds)
寺島靖国が『For Jazz Audio Fans Only Voll.11』(TYR-1074/2018)で取りあげた曲"Django"の納まっているアルバムである。当然これは聴いておかねばと注目したもの。
あのエンリコ・ピエラヌンツィが、ライナーノーツを担当し、その才能を褒めたたえるイタリアのピアニスト、クラウディオ・フィリッピーニClaudio Filippini(1982年ペスカーラ生まれ) の2011年のリリースもの。当時30歳前後の新進気鋭の作品だった。これは日本でも評価が高くそれなりに売れたアルバムだったようだが、私は未聴だったもの。
(Tracklist)
なるほど、ピエラヌンツィが目をつけるだけあって、まずはピアノの音が瑞々しく透明感のあるところで、M1."Il Fiore Purpureo"はそのピアノ・ソロからスタートして、シンバル音、ベースと入ってくるところがこれはなかなかと魅力を感じさせる。次第にペースを上げてジャズの世界に突入するも騒がしさが無い中にしっかりと主張はしている。
M2."Verso Sera"は、所謂スウィング・ジャズとは一線を画して、フリー・ジャズに近い世界を展開。しかしそこにはふとピアノがクラシックを思わせる中に、シンバルの繊細な響き、ベースは曲の支柱になって支えるの音が十分対等に交錯して違和感の無いジャズにしてみせる。これが又録音エンジニアはStefano Amerioとくるから、なかなか快感の音であるのだ。
寺島靖国はこのアルバムの最後の曲ジョン・ルイスのM13."Django"を選曲したのだが、これが静かにメロディアスな優しいピアノ、そしてベース、ブラシ・ドラムスの音がゆったりと繊細に響き、なんとも言えない魅惑の快感の世界に包まれる。ユーロの世界、イタリアの世界と華々しいアメリカン・ジャズとは別の感覚を楽しませてくれる。
ミッシェル・ルグランの曲M8."You Must Belieave in Sprig"のピアノの美しさには惚れ惚れする。
このアルバムは13曲盛り込まれているが、彼らのオリジナルが多く、曲によっては三者の責め合いもあって、単なる抒情性の世界では無く、既成の世界から一歩出て行くフリー・ジャズの色も見せてコンテンポラリーなところは将来楽しみなところである。
(評価)
□曲・演奏 : ★★★★☆
□録音 : ★★★★★☆
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
(参考)
■ Claudio Flippini Trio 『BEFORE THE WIND』
(Cam Jazz/CAMJ 7936-2/2018)
彼らのトリオは不変で、今年はこのニュー・アルバムをリリースしている。このアルバムもついでにと手に入れてみたが、ここでもクラウディオ・フィリッピーニのややクラシックがかった美しいピアノが展開し、決して難解にならないコンテンポラリーさもやはり持っていて、結構快感で楽しめるところにある。なんとエレクトリック・サウンドも交えるという一幕もある。又ベースのLuca Bulgarelliは、ソロ演奏で聴かしたり、アルコ奏法を交えてうやはり美しいバックを構築するところもある。これもAmerioの録音で、サウンドにうるさい人には是非聴いて欲しい魅力的トリオ・バランスを構築している。
(Tracklist)
1. Maia (4:41)
2. Andromeda (5:50)
3. Don’t Elevarsi (6:19)
4. Bassever (1:09)
5. Forever (5:36)
6. Goa (6:21)
7. Mentre Dormi (4:59)
8. Haze (6:14)
9. Encore (4:06)
All music by Claudio Filippini except tracks #4 Luca Bulgarelli;
#6 Claudio Filippini, Luca Bulgarelli, Marcello Di Leonardo
Claudio Filippini(p, keys),
Luca Bulgarelli(b),
Marcello Di Leonardo(ds)
Recorded in Decem.2017 at ARTESUONO RECORDING STUDIO
Recording & Mixing engineer Stefano Amerio
(視聴)
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