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2018年12月 9日 (日)

ラーシュ・ヤンソンのニュー・アルバム Lars Jansson Trio 「JUST THIS」

端麗なピアノ・タッチは緩急・メリハリの効いたメロディーに乗って

<Jazz>
Lars Jansson Trio 「JUST THIS」
Spice of Life / JPN / SOLSV41 / 2018

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Lars Jansson ラーシュ・ヤンソン (piano)
Thomas Fonnesbaek トーマス・フォネスベック (bass)
Paul Svanberg ポール・スヴァンベリー (drums)

 スウェーデン抒情派ピアノのベテラン・ラーシュ・ヤンソンLars Jansson (1951年スウェーデンのオーレブロ生まれ)の、レギュラー・トリオによる全曲13曲をオリジナルで構成したアルバムの登場だ。2015年の『Facing The Wall』(SV-0033/2015)以来3年ぶりとなる。
 前回ここで取りあげたのは2年前のセルフ・カヴァー・アルバム『More Human』(SOLSV-00371/2016)だったが、あのアルバムからは、人間性が溢れていたところにどっぷりと浸かることが出来たが、さてこのオリジナル曲集は?と興味の湧くところである。

20170720_210108trw 少し難題にはなるが、タイトルの「Just This」は彼の探求する禅の心「ビギナーズ・マインド “初心”」の見地から生まれたと説明されている。全13曲には全てが彼の人生への深い想いと彼自身の心の反映されたものとして受け入れられているが・・・・。
 更に、このアルバムをレコーデイングする直前に夫人のクリスティーナの重篤な病気という精神的に苦悩する中での作品作りとなったものと言うことで、彼の持ち前の人間性の表現がここにありと言う世界のようだ。

 ”その追い込まれた精神の中で葛藤する彼のピアノは今まで以上に人間味溢れ極めて説得力のある力強いものになっている”と評価されているが・・・・。
 ヤンソンの言うところよると「人生の全てを受け入れるということは簡単なことではない。しかし現在を見つめ完全に自分を没頭させること、Just This。」と・・・・。

(Tracklist)
01. ジャスト・ジス / Just This
02. ピュア・センセイション / Pure Sensation
03. ワルツ・フォー・ビル / Waltz For Bill
04. レシーヴィング / Receiving
05. ボーヒュースレン / Bohuslan
06. ムスタファ / Mustapha
07. インティメイト・トーク / Intimate Talk
08. チェリッシュド / Cherished
09. ターン・ザ・ホール・シング・アップサイド・ダウン / Turn The Whole Thing Upside Down
10. ノー・パーパス / No Purpose
11. セイフ・トリップ / Safe Trip
12. アナッタ/ Anatta
13. トゥー・ハヴ・オア・トゥー・ビー/ To Have Or To Be

(all tracks composed and arranged by Lars Jansson)


Larsjansson01 スタートからアルバム・タイトル曲M01."Just This"が登場するが、なるほどヤンソンの陰影の感じられない家族愛的優しいメロディーが流れる。
 M02."Pure Sensation"やビル・エヴァンスに捧げたと言うM03."Waltz For Bill"は、ややアップ・テンポに展開する曲。しかし意外に印象に残らない、それは難点らしいところが無いのだ。これが実はヤンソンの演ずる曲の一つの特徴であるように思う。
 M04."Receiving"は、彼の技巧の妙による流れの魅力的な曲。
 中盤には、トリオとしての三者の技量の交錯が聴きどろの数曲が展開する。
 M10."No Purpose"M12. "Anatta"は、彼らしい心に落ち着きと安らぎを与えてくれる。
 最後のM13."To Have Or To Be"は、締めくくりに相応しいどこか愛情のあるバラッド。

  相変わらず彼の持ち味どおりで、難解な展開にはならない。やはり「ピアノ・トリオの教科書」的安定感があり、安心して聴いていられるピアノ・トリオ世界だ。そこがヤンソンの特徴だろうと思うが、聴き終わって”これだ!”というインパクトがない。逆にそうしたところが魅力なのかも知れないが、私にとってはどこか”毒”とまでは言わないが、そんな刺激がないところがちょっと寂しいのである。
 

(評価)
□曲・演奏 ★★★★☆
□録音   ★★★★☆

(試聴)

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