[久々の衝撃]一人バンドのタッシュ・スルタナTASH SULTANA 「FLOW STATE」
パーフェクトなシンガー&マルチ・インストゥルメンタリスト"一人バンド"の初のフル・アルバム
今のようなネット社会になる前(1980-1990年代)のパソコンが普及してきた頃、もう30年以上前の話だが、「パソコン通信」という電話回線を使ってのパソコンとホスト局とのサーバとの間での通信手段があって、そこで全国の諸々の愛好者と仲間を作って参加者のみのクローズドな会話をしてきたものだ。その当時の「PC-VAN~ Rock」のロック仲間から新年早々、最近ジャズに現(うつつ)を抜かしている私に、年賀状での推薦があった。それがこの”衝撃のタッシュ・スルタナ”だ。
<Psychedelic Rock, Altanative Rock>
TASH SULTANA 「FLOW STATE」
Lonely land Records / EU / 19075870562 / 2018
Tash Sultana : Guitar, vocals, bass, piano, keyboards, trumpet, drums, pan flute, mandolin, saxophone, percussion
Produser : Tash Sultana
Engineered by Nikita Miltiadou、Dann Hume
Mastered Andrei Eremin
オーストラリア・メルボルン出身のシンガーソングライター、マルチ・インストゥルメンタリストの23歳の才女タッシュ・スルタナTash Sultanaの初のフル・アルバム。
なにせ、ギター、トランペット、サックス、パン・フルート、グランド・ピアノ等15種以上の楽器を自ら演奏。3歳から始めたというギターはジミ・ヘンドリックスに喩えられる程の腕の持ち主で聴く者を唸らせる。彼女はメルボルンの繁華街スワンストンで長年ストリートミュージシャンとしての活動してきた。
2008年から2012年までは”Mindpilot”というバンドのボーカリスト、メルボルンでいくつかの賞を受賞。その後ソロで活動を開始、2016年頃よりYoutubeにてパフォーマンス映像を公開し評判を呼びSNSで大きな注目を集めた。公開曲「Jungle」がオーストラリアチャート39位を記録し、現在までに5,000万回以上のストリーミングを記録する。2017年にはオーストラリアの権威ある賞、ARIAミュージック・アワードにて4部門にノミネート。現在はアメリカ、イギリスを中心にドイツ、フランス、ニュージーランド、イタリア、カナダなどワールドツアーを敢行中、ソールドアウトが続出とか。今年のコーチェラにも初出演するなど勢いが止まらない。
これまでは、インストを含む2枚のEP『Instrumentals』、『Notion』を発表しており、今回この初のフル・アルバムにはシングル「Free Mind」、「Salvation」、「Harvest Love」など全13曲を収録。
とにかくステージ上には一人だけ。足元や手元に多くのペダルやエフェクター、サンプラー、キーボード、ギター等を置き、全てを操って音を重ねていくパフォーマンスで圧巻。
(Tracklist)
1. Seed (Intro)
2. Big Smoke
3. Cigarettes
4. Murder to the Mind (Album Mix)
5. Seven
6. Salvation
7. Pink Moon
8. Mellow Marmalade
9. Harvest Love
10. Mystik (Album Mix)
11. Free Mind
12. Blackbird
13. Outro
(All songs written by Tash Sultana)
収録13曲、全てが彼女のオリジナル、そしてオール楽器も全て彼女が演奏。
ストリート・ミュージシャンと言うと、フランスのZAZを思い出しますが、総じて技量が高いのが特徴だ。このタッシュは例外で無いどころか、それ以上の楽器の演奏能力が高いのとヴォーカルが見事というところは、近年見たことのないハイレベルだ。それは当に衝撃!。
M1." Seed (Intro)"澄んだギター・サウンドからスタート。そして美し響くヴォーカルが次第にレゲェ調に・・・・冒頭から魅力的。
続くM2. "Big Smoke"から前半だけ聴いても衝撃が走る。
曲展開は当に「タッシュ・スルタン節」だ。サイケデリックな展開の中に、R&Bであったり、レゲェ、ヒップポップが絡んだり、ポップな要素がたっぷり盛り込まれている。
そしてギターは、エレキを中心に全ての要素が絡む奇っ怪さ。美しさ、リズムカル、泣き、早弾きと、恐ろしくなるギター・プレイだ。キーボードも説得力有り。
ヴォーカルは、ソウルフルであり、時にクールに、又展開によりパワフルに、情熱的に、と多彩。
M7. "Pink Moon"こうしっとりと歌われると、これが又たまりませんね。情感が伝わってくる。声域の広さも感心します。
M9. "Harvest Love" このようなスローな曲の情感も半端じゃない。
M12. "Blackbird"ギタリストの本領発揮。フラメンコ調を臭わせたりギター・テクニックはお見事。そしてギター・サウンドはM13. "Outro"へ続き美しく終わる。このあたりもニクイところだ。
いやはや恐ろしいミュージシャンが現れました。これぞ何年に一人の逸材だ。なんとなく低調なミュージック界を奮起すべく背負って立つプレイヤーが登場したと言って間違いない。私にとってはアデルの出現時より圧倒的に衝撃は大きい。
(評価)
□ 曲・演奏・歌 : ★★★★★
□ 録音 : ★★★★★☆
(視聴)
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