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2019年1月19日 (土)

ザーズZAZの4thアルバム「EFFET MIROIR~心、重ねて~」

ちょっと大人の味も出ての新境地のアルバム登場
*
  ストリート・ミュージシャンからのスーパー・スター”タッシュ・スルタナ”登場で刺激を受けると、そうそう忘れてはいけないフランスの”ZAZ(Isabelle Geffroyイザベル・ジュフロワ 1980-)”がいる。しかもなんと久々のニュー・アルバムが登場しているので、当然ここに取り上げるのだ。
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<Chanson, Jazz, Rock, Pop>

ZAZ 「EFFET MIROIR~心、重ねて~」
Waner Music France / JPN / WPCR-18126 / 2018
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*
 前作「PARIS "~私のパリ~"」(2014)以来、4年ぶりの4作目となる本作。今回は”日仏同時発売”されたということで、日本での彼女の”人気の高さ”が裏付けられている。
  2010年のデビュー・アルバム「ZAZ~モンマルトルからのラブレター」 (RESPECT RECORD/RES180)がフランスでは大ヒットして、日本にも伝わってきたわけだ(2010年、フランス・アルバム・チャートにて8週連続1位を記録した)。ストリート・ミュージシャンとして鍛えられたところに魅力をはらんでいて、曲自身の魅力としては、シャンソンはもちろん、フォーク、ブルース、アヌーシュ(ジプシー)・スウィング、ロックなどが加味して、ジャズ的アプローチが結実しているところにある。 更にそれに加えて、特にヒット曲”私のほしいもの”でも感じられるように、若いなりきの生き様に一つの”確固たる信念”とも思えるものが見えているところも魅力の一つだったように思う。
 そして時は流れフランスの大シャンソン歌手エディット・ピアフの再来と言われるまでに成長して、彼女のややハスキーな魅力の歌声で、しっかりフランスはじめ世界各地で確固たる地位を築いてきた。そんな中で久々のニュー・アルバムの登場をみたわけだ。

(Tracklist)
1.Demain c'est toi 明日はあなたのもの
2.Que vendra 何が起きようが我が道をゆく
3.On s'en remet jamais もう一度あなたの声を
4.J'aime j'aime 好き好き
5.Mes souvenirs de toi あなたの思い出
6.Toute ma vie 私の一生
7.Je parle 私は話す
8.Resigne-moi 私にかまわないで
9.Ma valse ワルツ
10.Si c'etait a refaire またやり直せたら
11.Pourquoi tu joues faux どうして調子はずれなの
12.Plume 羽根のように
13.Nos vies 私たちの人生
14.Saint Valentin ヴァレインタインデー
15.Laponie ラップランド
*
  このアルバムには15曲登場するが、今作の特徴はかってのヒット曲のカヴァーでなく、全てオリジナルだ。彼女自身の曲の外、フランスの新進気鋭の一連のミュージシャンが提供した曲であることだ(彼女がそれに詩を担当したものもある)。
  曲のタイプは、シャンソンをベースに南米音楽、ポップ、サルサ、ロックなど様々なジャンルをクロス・オーヴァーしたものでジャジーな雰囲気もある。まさに「ザーズの世界」が堪能できる。これらはパリ、ブリュッセル、そしてモントリオールで制作されたものだという。

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 M1."明日はあなたのもの"で、おやっと思うほどの彼女の成長が感じられる。未だ見ぬ我が子に想いを馳せて、しっとりと歌いあげる。いっや~大人のムードだ。
 
M2."Que vendra何が起きようが我が道をゆく"から続く曲は、いつものザーズの流れで、リズムを刻み意志の強さを歌う。
 
M3、"On s'en remet jamaisもう一度あなたの声を"、M4."J'aime j'aime好き好き"は、シャンソンと言うよりは”ロックのザーズ節”の展開だ。
 M5 ".Mes souvenirs de toiあなたの思い出"は、ちょっぴり淋しさのシャンソン曲。こうした曲は彼女はうまくなりましたね~~。
 M8. "Resigne-moi私にかまわないで" この曲はこのアルバムではかなり重要な位置にある訴えも重い。彼女のミュージシュンとしてここまで進歩・発展した充実の曲。このアルバムの一つの頂点。
 M9、M10 は再び自分を取り戻していくシャンソンとロックの2曲。
 このように、彼女のこの数年間を振り返り、そしてこれからの人生に向かってゆく決意のような曲展開になっている。
 M13."Nos vies私たちの人生" 重なり合う不思議な人生を歌いあげる。そこには展望が描かれている。
 M14 ."Saint Valentinヴァレインタインデー"は、ちょっと印象的な歌。”私はいつもここにいる”と存在感を訴えているのか、それとも開き直り?
Guillaumeponcelettrw_2 M15."ラップランド"この最後の曲は印象的。殆ど彼女の唄というよりは語りでしめられているが、その美しさは抜群で、かってなかった彼女の別の世界が見えてくる。これは彼女の詩に注目のフランス若手ピアニストのギヨーム・ポンスレGuillaume Poncelet(1978-)(→)(おそらく彼のアルバム「Quatre Vingt Huit(88)」からの曲"Morning Roots"だと思う)が曲を付けたもので、「極北の地」に対する”憧れ”なのか、未来に自己を求める姿が見えてくる。
 印象深いのは”過去の息を吐き出し、新たに息を吸い込む”のくだりであり、おそらく自分をもう一度見つめ直して歩む決意を歌っているのではと想像するのだが・・・それにつけても美しい曲、往年のフランス映画のシーンのようだ。
 なかなか全編トータルに彼女が自己を見つめてこれから新しい道を進もうとする意志のようにも感ずるアルバムで、彼女の歌声と言い、曲の変化といい、なかなかの上出来アルバムの登場だ。進歩を感じた。
(評価)
□ 曲・演奏・歌 : ★★★★★☆
□ 録音      : ★★★★★☆
(視聴)

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