アレッサンドロ・ガラティのニュー・アルバム Alessandro Galati 「Augustine」
全編、繊細な優しさ美しさに満ちている
<Jazz>
Alessandro Galati 「Augustine」
TERASHIMA RECORDS / JPN / TYR-1076 / 2019
ALESSANDRO GALATI (PIANO SOLO)
イタリアの名ジャズ・ピアニストのアレッサンドロ・ガラティを引っ張り込むに成功したアルバム『Sheads of Sounds』(TYR1062)を昨年リリースした寺島靖国だが、ここに最新作が早くも登場した。今作はガラティのピアノ・ソロ作品『Augustine』(TYR1076)とトリオでのライブ録音作品『Live From The Inside Out』(TYR1077)(→)と、2タイトルが同時発売となった。
まずここで取りあげるのはそのソロ作品。確かにこれはガラティのソロによる小品集といったところで、17曲が収録されている。彼の曲が6曲で、その他は比較的ポピュラーな曲で占められて居る。
これは彼が何かを求めて作り上げた作品というのでなく、あくまでも日本のファン向けのサービス版といったところを感じさせる。
(Tracklist)
ガラティの世界には、3面ぐらいの多彩さがあるが、このソロ録音はピアノの繊細さ、そして美しさ、優しさのみに目的化された最新録音作品だ。トリオ作品に見られる情緒豊かな優しさの面がたっぷりこのソロ全編に満ちていて、如何にも寺島靖国版といったところに仕上がっている。
トップの曲M1." In Beijing"は、アルバム『On a Sunny Day』で楽しませてくれた美旋律の曲で、このアルバムのスタートに相応しい。そして彼の名曲M6. "Seals"も登場する。
又ふと懐かしさに見舞われるのは、M7. "Theme From Sunflower"(映画「ひまわり」のテーマ=ソフィア・ローレンが頭に浮かびました。いやー懐かしい)、坂本龍一の M9. "Merry Christmas Mr. Lawrence"(「戦場のメリークリスマス」)と、心が熱くなる。
又、ちょっと気になったのはイタリアのルイジ・テンコの曲がM12. "In Qualche Parte Del Mondo"(世界のどこかで)はじめ3曲も登場するのだが、これはガラティが非常に愛しているミュージシャンであるとの事と言うことらしい。
とにかく全編ガラティがスタジオで一人物思いに耽りながら、周囲のことは気にせずしっとりと情感を込めて演奏した曲群という印象である。深夜に心休めるには最高のアルバムだ。
(評価)
□演奏 : ★★★★★
□録音 : ★★★★☆
(参考試聴) Alessandro Galati "Seals"
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コメント
風呂井戸さま、トラバをありがとうございました。m(_ _)m
17曲、70分超えはびっくりしましたね。
まさに、「ピアノの繊細さ、そして美しさ、優しさのみに目的化された最新録音作」ですよね。ライブ盤を聴くと、本当にそうにおもいますね。
シンプルにメロディを奏で、彼の内なる世界を一緒に旅する1枚でした。
投稿: Suzuck | 2019年2月 4日 (月) 18時31分
suzuckさん、こちらまでどうも有難うございます。
ガラティは意外にソロは少ないのですが、寺島靖国の要望もあってのことか、思いっきり優しさに特化した作品集でしたね。
まあ、私としては大歓迎でした。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2019年2月 5日 (火) 13時02分