ツォーマス・トゥルネンのピアノ・ソロTuomas A. Turunen 「Ornaments of Time」
自然を見つめる思索的響きの世界
<Jazz>
Tuomas A. Turunen 「Ornaments of Time」
SKIP RECORDS / GERM. / SKP 9139-2 / 2017
Tuomas A. Trunen plays on piano (Fazioli F278 mkⅢ)
Recorded, mixed & mastered by Stefano Amerio on Sep.5-8 2017
このところスウェーデンのEmil Brandqvist trioの2枚のアルバム(『Falling Crystals』(SKP 9135-2)、『Within A Dream』(SKP 9141-2))で 、その美しいピアノの調べを披露しているピアニストとして気になったのがツォーマス・トゥルネンTuomas Antero Turunen である。彼の名前をみると、フィンランドのシンフォニック・メタル・ロック・グループ「Nightwish」のTuomas HolopainenとTaja Turunenを思い起こすと言うと、知る人ぞ知るということなのだが、まあそれはそれとして、とりあえずは彼のアルバムを手に入れてみた。
彼はフィンランド出身(1980年生まれ)で子供のころからピアノに接し、なんと5歳で作曲をしたといわれている。
しかし大学では数学を専攻し、又格闘技も身に着けたりしているらしいが、その後ミュージックの世界への魅力は持ち続けていたようで、2001年からはクラシック及びジャズの本格的勉強をしてきた若き新鋭ピアニストで、ジャズ・ピアノとしてはスウェーデンにてあのLars Jansson やAnders Jorminからも教育を受けてきたという。そんなところからも抒情的なピアノ・プレイが築かれてきたのかも知れないと想わせるのだ。
(Tracklist)
収録曲は上のような12曲で、トラディショナルの2曲を除いて10曲は彼の手による曲で、完全なピアノ・ソロ・アルバムである。
オープニングのM01."I heid her and said goodbye..."から、抒情的美旋律のクラシック調のピアノの調べが流れる。
そしてほぼ全編、美しい自然に向かって詩的な感覚で眺めた哲学的・抒情的な演奏で占められている。
ジャケをみると息子そして母のメモリーに捧げるアルバムと記されていて、自己のファミリーに想いを馳せた演奏集とも言えるようだ。
2曲のトラディショナルも彼の地と関係したものであろうか、心安まる美しさに満ちている。
ピアノもFazioliF278を使っており、又録音、ミックスの技術者として Stefano Amerio を起用していて、かなり美とリアリティーを意識して作られたアルバムであることは容易に想像され、そんな意味でも聴き応えある。
(このアルバム・ジャケは何を描いたのか、じっと見ても解りません。水のしぶきのようにも見えますが・・・・どなたか解りますか ? )
彼はEmil Brandqvist trioの重要なピアノを担当しており、これからユーロ・ジャズのやや前衛性を加味した抒情的ピアノ演奏として益々目を離せない存在になりそうだ。
(評価)
□ 曲・演奏 : ★★★★★☆
□ 録音 : ★★★★★☆
(試聴)
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