取り敢えず注目株、エレン・ドティEllen Doty 「COME FALL」
カナダからの女性シンガー・ソングライターのソウルフルにして優しく美しいヴォーカル
<Jazz>
Ellen Doty 「COME FALL」
Alma Records / IMP. / ACD32182 / 2018
Ellen Doty (vocals)
Mark Lalama (piano)
Davide Di Renzo (drums)
Audio Mixer: John "Beetle" Bailey.
カナダからのシンガー・ソングライター・女性ヴォーカルのエレン・ドティの登場。これは彼女としては2ndアルバムらしい。いずれにしてもカナダはジャズ・ポップス女性シンガーを多数輩出してますね。
それはそれとして、このアルバム・ジャケからみても単なるジャズ・アルバムでなく、個性の強いものを感じさせる。
この曲作りの編成をみても彼女のヴォーカルに、ピアノとドラムスという構成で、なかなかやりそうなところは窺える。このアルバムは実はカナダではかなりの反響を呼んだものらしく、日本上陸となったもの。
とにかくこのアルバム作りに50曲以上書き、その中から下のリストに見るように12曲を選んだらしい。又もともとは多くの編成バンドがバックにあったらしいが、ふとこの簡素なメンバーで演奏したら、しっくり来たという個性派だ。
(Tracklist)
01. You're Too Late
02. Maybe I Knew
03. Sea Of Hearts
04. September Moon
05. Midnight
06. Dreams You Don't Remember
07. Go Easy
08. Give Love
09. Favourite Sweater
10. Give It Up
11. Stranger
12. Tried To Sing
M01. "You're Too Late" 、 まず冒頭から美声と言うよりはややハスキーな歌声が印象に残る。しかも半分囁くような、物語を語るような繊細な響きの間の置いたヴォーカルだ。そしてどこかソウルフルな味のあるコンテンポラリー・ジャズというところか。
バックのピアノは美しい旋律を奏でると言うよりは重い低音でやや暗いイメージを描き、ドラムスも重くリズムを刻む。
M02. "Maybe I Knew "になってやや暗さは解消して、むしろ優しさの感ずるところに。
M03. "Sea Of Hearts" さらに美しさが感じられる世界に、そして優しさも明るさも加わって・・・。
M04. "September Moon"これはアルバム先行シングルとしてリリースされた曲。やはり優しくここではむしろ美しい声でゆったりと心落ち着くところに歌いあげる。簡素なバックと無音の間をおき奥深い世界をイメージづける。
全編このような流れで構成されているが、驚いたのはM06. "Dreams You Don't Remember" とM09. "Favourite Sweater"の2曲では、突然男性ヴォーカルが登場して二人のデュエットが展開する。とくにM06は、美しいメロディーを歌いあげ、どこかサラ・マクラクランを思わせる世界になる。 M07."Go Easy"は再び彼女のヴォーカルとなり美しく優しくしっとりと歌いあげ、やっぱりカナダですね、これもサラ・マクラクランの世界だ。
M12. "Tried To Sing"のヴォーカルの間の置き方は見事で、それより印象を深め、又ピアノの美しさも聴かれ、短い中に充実感たっぷりの曲。
とにかく冒頭は”暗さが襲うのか”と思ったが、意外にハートフルと言うか、抒情的であり、又どこか安堵感の伴う優しさの満ちた大自然を思わせるところにある。そしてジャズというかポップにも近いものでの情緒豊かな世界だ。これは既にベテランの雰囲気すら漂っているお見事なアルバムである。
(評価)
□曲、歌 : ★★★★★☆
□録音 : ★★★★☆
(視聴) "September Moon"
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