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2019年3月 2日 (土)

フレッド・ハーシュ・トリオFred Hersch 「FRED HERSCH TRIO '97」

ハーシュ“人生を変えた一週間”の記録

 <Jazz>

Fred Hersch   Drew Gress  Tom Rainey
「FRED HERSCH TRIO '97 `@ THE VILLAGE VANGUARD 」
King International / JPN / KKE9003 / 2018
97w

Fred Hersch (piano)
Drew Gress (bass)
Tom Rainey (drums)

Recorded July 18, 1997 at The Village Vanguard

   抒情派ピアノの名手と言われるピアニスト、フレッド・ハーシュFred Herschが、自己の当時のレギュラー・グループで初めて米ニューヨークの名門ジャズ・クラブ“ヴィレッジ・ヴァンガードThe Village Vanguard”(1935年オープン)に出演した1997年の記念すべき演奏がリリースされた。このジャズ・クラブは歴代のジャズ・メンが名演・名盤を残してきた場所だけにハーシュもかなり意識しての出演であったようだ。

  このアルバムは、もちろん未発表音源で注目されたものだが、このジャズ・クラブでの演奏は、ハーシュはそれ以前にも出演依頼があったらしいが、納得出来る状態での出演を期していて、これは遂に彼自身が自信を持っての7年熟成したトリオとして臨んだものらしい。それはピアノもお気に入りのスタンウェイを運び込んだという気合いの入れ様だったという。“人生を変えた一週間”と彼が称する貴重な公演の収録したものと評価されている。

Fh1w(Tracklist)

1. Easy To Love (Porter) 9:50
2. My Funny Valentine (Rodgers) 10:06
3. Three Little Words (Kalmar / Ruby) 6:00
4. Evanessence (Hersch) 5:47
5. Andrew John (Gress) 7:36
6. I Wish I Knew (Warren) 5:48
7. Swamp Thang (Hersch) 5:44
8. You Don't Know What Love Is (Raye / DePaul) 7:28

<日本盤ボーナストラック>
9. The Nearness Of You (Carmichael / Washington) 9:43

 歌心があり詩情豊か、そして耽美という彼の演奏かと思いきや、もちろんそのパターンは十分認められるが、それだけでなく力強いアップテンポの曲も織り交ぜての充実感あるライブであったことが解る。

 アルバム冒頭のM1."Easy To Love "は、彼の得意の抒情性というものでなく、実際のクラブでの演奏順とは異なると思われるが、ジャズ・トリオの楽しさを前面に出したトリオ挨拶といったメンバーのめくりめくる充実の演奏の展開である。
 しかし、M2. "My Funny Valentine"は、ぐっと静かに物思いに耽るが如くのハーシュのピアノ・タッチからの展開で、おや、こんな曲だったかと思うくらいに美しいピアノの調べを堪能できる。 又ライブらしく中盤にはベースが流れを演出し、そしてピアノが締めくくるという楽しさも味わえる。
 このアルバム、おおよそ急そして緩の演奏を聴かせる多彩な曲を収録している。M3. "Three Little Words"、M4. "Evanessence"はどちらかというとハイテンポ。
 M5. "Andrew John"はぐっと落ち着いた深い叙情を感ずるパターンからスタート。これぞハーシュと言わせる美演奏。
 M6. "I Wish I Knew "の完成度も凄い。繊細さ、リズム感、ピアノタッチの美しさなどトリオとしての完璧な姿だ。
 M8. "You Don't Know What Love Is"は、このアルバムの最後を飾る曲だが、アップテンポにして三者の楽しそうな力強さが漲っている。
 嬉しいことに、この日本盤はボーナス・トラツクのM9. "The Nearness Of You" がM8と対比をみせてのバラード曲。日本人好みの美しいピアノの旋律が深く抒情的な世界に誘って余韻を残して終わる。  
(評価)
□ 演奏 :★★★★★
□ 録音 :★★★★☆

*
(試聴)
 

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コメント

風呂井戸さん こんにちは。
こちらは、ノーマークでした。
いつも良い情報ありがとうございます。
それにしても、このところハーシュは、良い作品、目白押し状態ですね。

投稿: baikinnmann | 2019年3月 2日 (土) 13時03分

Baikinnmannさん、こんばんわ。コメント有り難うございます。
 おっしゃるように、このところハーシュのアルバムは沢山お目見えしていますね。
 私は彼の抒情的な詩情豊かな演奏が好きなんでして、米国ではやや異色感ありますが応援したくなります。このところ体調は全く問題ないのでしょうか、活躍してくれるのは大歓迎です(このアルバムは過去の遺産ですが)。

投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2019年3月 2日 (土) 18時26分

Open Book を聴いてから気になっています。

投稿: 爵士 | 2019年3月 4日 (月) 23時03分

爵士さん、コメント有難うございます。
 なんとなく私はFred Herschって気になるんです。すべて諸手を上げて感動しているわけでもないのですか・・・。
 歴史的なものですが、これも一度聴いてみてください。その価値はあると思います。

投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2019年3月 5日 (火) 17時52分

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