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2019年6月30日 (日)

サンタナのニュー・アルバム SANTANA「AFRICA SPEAKS」

久しぶりの新作はアフリカン・ビート、そしてフュージョンの復活

<Latin Rock, Fusion>
SANTANA 「AFRICA SPEAKS」
ConcordRecords / IMPORT / 00888072100541 / 2019

Africaspeaks

Santana Bands
Buika (vocals)
Laura Mvula (vocals)

Conchabuika2a110116  サンタナの流れは我々にとっては人生の歴史の一幕であった為、なんといっても注目してしまう。そして原点回帰の「SANTANA Ⅳ」(2016)以来の3年ぶりのサンタナのニュー・アルバム。一時は「Super Natural」(1999)以来、多くのミュージシャンの共演をネタにしてのアルバム作りであったが、前作からサンタナCarlos Santana流を前面に出してきた。そしてそれからがバンド・サンタナが如何様に展開してゆくかは実は興味のあるところでもあった。そんな中で、ここに登場は、なんとアフリカン・ミュージックにインスパイアされたと思われるの作品の登場をみたのだ。
 そして共演リード・ヴォーカリストにスペイン・マヨルカ島出身の女性シンガーのブイカBuika(→)が選ばれた。彼女はアメリカ公共放送局NPR"The Voice of Freedom"(自由の声)と表され世界的にも認められる存在。
 とにかく全編サンタナの懐かしのギターが炸裂する。しかしそこには更なるサンタナの姿の再確認も出来ることとなった。

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(Tracklist)
1. Africa Speaks
2. Batonga
3. Oye este Mi Canto
4. Yo Me Lo Merezco
5. Blue Skies
6. Paraisos Quemados
7. Breaking Down The Door
8. Los Invisibles
9. Luna Hechicera
10. Bembele
11. Candombe Cumbele

Cindybio   冒頭M1."Africa Speaks"は、ボンゴ、コンガの音から出発して、サンタナの語り、ギターの語りと泣き、ブイカの歌、そしてなるほど今回のアルバムはかっての「不死蝶」の頃のフュージョン・スタイルの復活を思わせる音が聴こえてくる。 これはある意味で私は歓迎なのだ。
  バンド構成は、ドラムスはサンタナの女房Cidy Brackman Santana(→)が務めていて、例の総勢8人のバンド。
 もともとサンタナは、ロック、ラテン、ジャズ・ブルースのミックス・ミュージックだ。中でも「キャラバンサライ」(1972), 「ウェルカム」(1973), 「不死蝶」(1974)の頃はフュージン・バンドとしての印象の強いときがあった。私は当時は一種のプログレッシブ・ロックでもあると言っていたものです。
 M5."Blue Skies" は、サンタナのギターから流れ、女性ヴォーカルにカリビアン・ルーツのLaura Mvulaも加わって、完全にサンタナ・フュージョン・ミュージックの復活。これはロックというよりはジャズの世界と言ってもいい。このアルバムでは最長の9分を超える曲で私は最もこのアルバムではお気に入り。後半に流れるサンタナの静かなギターも聴きところ。やっぱりカルロス・サンタナ自身には、あの45年前の頃の音楽世界がしっかり残っていることが確信できて、今回は嬉しさを隠せなかった。
 M6."Paraisos Quemados"もアフリカン・ミュージックというよりは、サンタナ・フュージョン世界。ここでもサンタナの泣きギターがいいですね。

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 このアルバムは、勿論主題のアフリカン・ミュージックのリズムカルにしてパワーフルな曲による世界がしっかり描かれているのだが、私の好みのサンタナのフュージョン世界が見事に織り込まれていたことに大歓迎したアルバムだった。

(評価)
□ 曲、演奏 : ★★★★☆
□ 録音   : ★★★★☆

(視聴)

 

 

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2019年6月26日 (水)

アヴィシャイ・コーエンのニュー・アルバム Avishai Cohen 「Arvoles」

異空間のみ感じられて・・・

<Jazz>
Avishai Cohen 「Arvoles」
RAZDAZ /  EU / RD4619 / 2019

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Avishai Cohen (bass)
Elchin Shirinov (piano)
Noam David (drums)
Bjorn Samuelsson (trombone #1,4,6,9,10)
Anders Hagberg (flute #1,4,6,9,10)
2019年2月18日-3月15日 Nilento Studio,Sweden 録音

Recorded mixed and mastered by Lars Nilsson

 
注目のイスラエルのベーシスト、アヴィシャイ・コーエンのニュー・アルバムの登場。アルバム・タイトル「Arvoles」は、トラッド曲で「木」を意味するのだというのだが、ジャケも彼のアルバムでは一風変わった絵画での「木」が描かれている(彼の母親が描いたものらしい)。とにかく彼の今までのアルバムには、どこか郷愁を誘う美しさがあって、今回も期待のアルバムだった。
 基本はピアノ・トリオ編成。ピアノはエルチン・シリノフ(アゼルバイジャン出身)、ドラマーはイスラエル出身のノーム・ダウであり、アルバムとしては初編成トリオ。

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(Tracklist)

1.Simonero
2.Arvoles (Traditional)
3.Face Me
4.Gesture #2
5.Elchinov
6.Childhood (for Carmel)
7.Gesture #1
8.Nostalgia
9.New York 90's
10.Wings
*#1,3-10 Composed by Avishai Cohen
*All Tracks Arranged by Avishai Cohen

 

Avishai_cohenw_20190626181601  曲はのアルバム・タイトル曲M2.以外は全てアヴィシャイ自身のオリジナル曲で占められている。又今回は5曲ではホーンセクションが加わっているという試みもみられる。
 スタートM1."Simonero"はちょっと今までのイメージと違ってベースのソロから始まって展開が異様、おとなしいピアノ・トリオではない。何か新展開を試みているムード。グルービーな世界を狙ってのことか。
 M2."Alvoles"はトラッドらしいのだが、がらっと変わって軽いリズムのピアノ旋律が流れる優しい曲で、中盤彼のベースが物語るという曲だ。どこか母親に対する優しい心を描いているのだろうと思わせる。
 そしてM3"Face Met"はイスラエルっぽいムード。彼のベースが低音のアルコ奏法で響き、ピアノ、ドラムスはアフリカンぽく、ラテンぽくといったハイテク展開。
 なんかファンキーっぽくもあったり、まあピアノ・トリオの抒情的世界とは異なる。
 M6."Childhood"もホーンセクションによるメロディーを流して郷愁感はあるも、どうも馴染めない。
 M8."Nostalgia"はピアノトリオらしい展開で、ややほっとして聴くも私の期待ではなかった。

 結論的に、アヴィシャイ・コーエンの新展開と技術的な高度さもうかがえる筋は解るが、ホーンセクションが加わったり私の期待し好む世界とは別物であった。こうゆうのにのめりこむ人がいるなら話を聞いてみたいところだ。

(評価)
▢ 曲・演奏 :   ★★★★☆
▢ 録音         : ★★★★☆

(視聴)

 

 

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2019年6月22日 (土)

梅雨時はInfraRedで気分替え・・・・

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InfraRed Photography (赤外線写真) =  IR76filter  june 2019
                                                                    (画像クリック拡大)

このデジタル・カメラによる赤外線撮影は、カメラの改造を行っています。つまりデジタル映像センサーCCD(CMOS)前のIRカット・フイルターを外してIR76フィルターに交換したものです。
(参照) 瞬光残像 https://photofloyd.exblog.jp/

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2019年6月19日 (水)

サラ・ガザレクSara Gazarek「DISTANT STORM」

まさに"通"の聴くコンテンポラリー・ジャズ・ヴォーカル世界

<Jazz>
Sara Gazarek 「DISTANT STORM」
CORE PORT / JPN / RPOZ-10045 / 2019

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Sara Gazarek サラ・ガザレク (vocal)

Stu Mindeman ステュ・ミンデマン (piano, electric piano)
Alex Boneham アレックス・ボーナム (bass)
Christian Euman クリスチャン・ユーマン (drums)
Josh Johnson ジョシュ・ジョンソン (alto saxophone)
Larry Goldings ラリー・ゴールディングス (organ)
Ido Meshulam イド・メシュラム (trombone)
Danny Janklow ダニー・ジャンクロー(ヤンクロー?) (alto saxophone)
Brian Walsh ブライアン・ウォルシュ (bass clarinet)
Keita Ogawa 小川 慶太 (percussion)
Aaron Serfaty アーロン・サーファティ (percussion)
Erin Bentlage (background vocal)
Michael Mayo (background vocal)
guest:
Kurt Elling カート・エリング (vocal & backgound vocal on 12)

2018年8月カリフォルニア州ロサンジェルスのLA Jim Henson Studio録音

 

Thirstyghost  ここにきて、ニュー・アルバム「THIRSTY GOST」(→)の話題が出ているサラ・ガザレクであるが、一方、今年4月に日本からのリリースされたニュー・アルバムがここに取り上げたこのアルバムだ。
 彼女は、美声はそれで良いのだが、日本人一般リスナー向きのジャズとしては若干敷居が高過ぎる。と、言っては見たが難解というより慣れの世界か、コンテンポラリー・ジャズのこの曲展開が異様なのである。しかしそこには奥の深い世界が見えてきて、従ってポピュラーな一般向きジャズ・アルバムというところにはなかなか行かない。簡単に聴きながすバックグラウンド・ミュージックとは、かなり違う世界だ。
 彼女は、2ndアルバム「ユアーズ」で2006年日本デビューしている。
 思い出すのは、Triosence との「Where time stands still」などのアルバムも過去にあった。


(Tracklist)

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01. ネヴァー・ウィル・アイ・マリー
02. アイム・ノット・ジ・オンリー・ワン
03. イージー・ラヴ
04. アイ・ビリーヴ
05. リヴァーマン / リヴァー
06. コクーン
07. ジョリーン
08. アイム・ア・フール・トゥ・ウォント・ユー (※日本盤ボーナス曲)
09. ガスライト・ディストリクト
10. スピニング・ラウンド (※日本盤ボーナス曲)
11. ロンリー・アワーズ
12. ディスタント・ストーム (ホエン・イット・レインズ) feat.カート・エリング

  "瑞々しいクール・ヴォイス"とか、"透明感あるナチュラルな歌声"と評されている彼女だけあって、このアルバムでも非常にきめ細かい情緒あるヴォーカルを披露している。
 又上の参加ミュージシヤンを見ても解るように、曲によりメンバーの異なった比較的小コンポで、かなり高度なテクニックをもってしてコンテンポラリーなジャズを展開している。そんな世界に彼女の歌声がごく自然に入り込んでいるといった曲作りで、そこにはジャズのこれからの流れを先取りしたような展開に驚かされる。とにかくカヴァー曲の多岐にわたるのも聴きどころ。

Sz1  聴きようによっては難解なところもあり、そうかといって全く拒否反応というところではない。むしろそれぞれのミュージシャンが描くジャズのニュー・ワールドを聴くがごとくの感がある。
 スティービー・ワンダーのM4."I believe wheh i falling love"では、曲の週末部では彼女の高音が楽器の音の中に入りこんで同化してゆくところは驚きだ。
   ニック・ドレイクのM5."The river/ Riverman"の物語調ヴォーカルにも彼女の技量を感じ取れる。
 ビョークのM6."Cocoon" は、バックが静かで、彼女のアカペラに近い歌い上げが聴け、なんと仕上げは異国ムードたっぷりの曲。
 ブラット・メルドーの曲M12."Distant Storm"がアルバム・タイトルとなっていて、高音と低音の両端を、又リズムも変動を十二分にこなしアルバムを納めるのに十分な展望のあるハイセンスの曲展開に脱帽。

 しかし何時もの女性ジャズ・ヴォーカルものとして安易に取り付くと多分しっぺ返しに合う。それだけ技量の卓越したコンテンポラリー・ジャズ・ヴォーカルなのである。じっくり聴いてみる価値ありだ。聴き込むとそこにはジャズ゜・ヴォーカルの一つの道が見えてくるから凄い。 彼女は1982年米国シアトル生まれだから30歳代後半だ。それにしては歌の充実度が高いことを知らされる。

(評価)
□ 選曲・演奏・歌 :  ★★★★★☆
□ 録音                 :    ★★★★☆

(参考視聴)

 

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2019年6月15日 (土)

シゼル・ストームのニュー・アルバム Sidsel Storm 「AWAKE」

ソフトでテンダリーな円熟ムードで

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<Jazz>

Sidsel Storm 「AWAKE」
 CALIBRATED / JPN /  CALI146 / 2019

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Sidsel Storm (vocal)
Magnus Hjorth (piano)
Lasse Mørck (double bass except 9)
Snorre Kirk (drums except 9)
Tobias Wiklund (cornet on 1, 2, 3, 4, 5)

*guests:
Pernille Kristiansen (violin on 6)
Jenny Lüning (viola on 6)
Nicole Hogstrand (cello on 6)

 シゼル・ストームSidsel Stormのニュー・アルバム、考えてみると久しぶりのような感じだが、前作は「CLOSER」(2015)だと思うで4年ぶりという事になるか。手持ちとしては4枚目のアルバムとなる。今までのアルバムはラーシュ・ヤンソンとかヤコブ・カールソン、マグネス・ヨルトといった欧州人気ピアニストのバックでのヴォーカル・アルバムであったので、それも手伝って結構人気があった。
 彼女はデンマークの美人歌手として紹介がされて、端正な清澄ヴォイスとして評価もある。今回のアルバムは久しぶりという事での彼女に進化があるか、期待をこめて興味津々で聴いたところだ。

(Tracklist)

1. Comes Love (Stept/Brown/Tobias)
2. The Road (Hjorth/Storm)
3. You're Getting To Be A Habit With Me (Warren/Dubin)
4. I Didn't Know About You (Ellington/Russell)
5. Back To You (Hjorth/Storm)
6. I Got It Bad (And That Ain't Good) (Ellington/Webster)
7. All Through The Night (Porter)
8. Too Marvelous For Words (Whiting/Mercer)
9. Awake (Otto/Storm) (vocal & piano duo)

Sidsel  まず聴いての感想は、彼女の瑞々しく誠実感あるどちらかというと優し気な温かみある美声派は変わっていない。
  オープニングM1."Comes Love"快調なスタート、そしてM2."The Road"でがらっとバラード調にしっとりと聴かせる。両曲ともPianoとCornetが彼女のヴォーカルのバックと曲のメロディーとを演じてのムード作りが功を奏している。
 M3."You're Getting To Be Habit With Me"のハイテンポに続いて、M4."I Dn't Know About You"のしっとり寄り添ったヴォーカルと、多彩なところで飽きさせない。
 その後もリズムカルとバラードの交互な展開をして単調でなく聴きやすいアルバム仕上げ。
 M6."I Got It Bat"は特に説得力のあるテンダリーな情感的なヴォーカルとViolin、 Viola、 Cello のストリングスと共に大人の味付けが妙に説得力がある。
 最後のM9."Awake"が、落ち着いた語り聞かせるような曲展開で、ピアノの調べと共にソフトなヴーカルが聴きどころ。

 デビュー・アルバムから10年、来日公演なども経て日本では北欧の気風とマッチングして人気を獲得しつつある彼女も、なかなか円熟してきたという印象を持つ。今回のアルバムは快調なスウィング感からラテンタッチそして本領のソフトに語りかけてくるようなバラードと幅広く網羅していて聴きごたえ十分。今や、なかなか洒落たバックの好演にのって、北欧の重要なヴォーカリストの位置を築いた感がある。

(評価)

▢ 選曲・演奏・歌 :  ★★★★★☆
▢ 録音               : ★★★★☆

(視聴)

 

 

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2019年6月11日 (火)

クラーラ・ヴーストClara Vuust のアルバム「BEFORE」&「HERE'S TO LOVE」

デンマークよりの端正な美声

<Jazz>

Clara Vuust 「BEFORE You Walk Away」
STORYWILLE / EU / 1014322 / 2018

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Clara Vuust クラーラ・ヴースト (vocal)
Francesco Cali フランチェスコ・カリ (piano, accordion, arrangement)
Jeppe Holst イェッペ・ホルスト(guitar except 04, 06, 09, 10)
Andreas Hatholt アンドレアス・ハットホルト(bass except 06, 10)
Carsten Landors カーステン・ランドース(drums except 06, 10)
Gerard Presencer ジェラード・プレゼンサー (trumpet, flugelhorn on 01, 04, 05, 09)

2018年2月 デンマーク録音

 何時も思うのはジャズ界は、ヴォーカルものは9割以上女性ものになってますね。そこがロック界とは逆で不思議と言えば不思議。このアルバムも、北欧デンマークの女性歌手クラーク・ヴーストの3rdアルバムだ。しかし若干異色である。ここで取り上げるポイントは、最新盤は昨年のリリースだが、とにかく美声、爽涼さや透明感があって、何といっても気持ちよく聴ける技巧を凝らさない端正な歌声と言うところにある。そこがジャズとしてはちょっと珍しいというか、稀有の部類に入る。
 しかしバックはピアノ、ギターなど小編成で選曲はスタンダードが中心である。4曲にトランペッターのジェラード・プレゼンサー(英国)がゲスト参加していて、ジャズとしては一般的。

Cw1 (Tracklist)

1.Some Other Time
2.
Estate
3.I Will Wait For You
4.Out Of Nowhere
5.Sea Lady
6.One November Day (vocal &amp; piano duo)
7.I Wish You Love
8.Watch What Happens
9.Tomorrow 
10.When I Look In Your Eyes (vocal &amp; piano duo)
11. Joana Francesa


 とにかく曲の展開がゆったりとしていて、しっとり歌いあげる。そしてこのクラーラの声は低音から高音まで美声で訴えてくる。しかもその歌い方は、きめ細かく丁寧で清涼感があり、端正で好感度が高い。ここまでクリーンな技巧を凝らさない素直な歌は、もはやジャズという世界からは逸脱しているのではとでも言いたくなる程のところにある。
 そんなところからか、結構好評で2013年の1stアルバム(下に紹介)からここに3rdの登場となった。
 聴いてみてM3."I Will Wait For You"は親しみのある曲であるからと言うだけでなく、ギターの落ち着いたバックとのバランスもよく良い曲に仕上がっている。M4."Out Of Nowhere"はトランペットの演奏ベースの響きなど中盤にはジャズ色を高めているが、リズムカルでありながら彼女の落ち着いたヴォーカルはそれにも結構マッチングしていて無難にこなしている。
 M6."One November Day "、M10."When I Look In Your Eyes"はピアノのみのバックでのデュオ・タイプであるが、これがどうも一番彼女のヴォーカルとはマッチングがいいのではと思うところにもあった。このピアノ担当のフランチェスコ・カリはアルバム製作の主役にある。
 又M7."I Wish You Love"は冒頭はギターのみとのデュオが続くが、又このスタイルもいい。

 全体には、ジャズ・アルバムでありながら、クラシック的歌声にちょっと気持ちが洗われる世界に導かれて、異色のジャズ・ヴォーカル・アルバムと言っておきたい。決して悪くないです、一聴の価値ありだ。
 このクラーラは、音楽一家で育ちデンマーク・コペンハーゲンのThe Rhythmic Music Conservatoryにて学び、2013年にStoryvilleから「HERE'S TO LOVE」の1stアルバムをリリースしている(参考↓)。

          ◇          ◇          ◇

(更に)

Clara Vuust 「HERE'S TO LOVE」
Storyville Records / EU / 10014288 /2013

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Clara Vuust (vocal)
Francesco Calì (piano & acc)
Nico Gori (clarinet)
Daniel Franck (bass)
Jeppe Holst (guitar)
Flemming Agerskov (trumpet track 8)
All music arranged by Francesco Calì

2012年12月 Italy録音

 クラーク・ヴーストの1stアルバム。私は3rdの後からこのアルバムを聴いたのだが、彼女の清楚にして端正な極めて美しい歌には全く変わりが無い。

Fc1 (Tracklist)
1.Don't Care Much (J.Kander/F. Ebb)
2.Here's to Life (A. Butler/P. Molinary)
3.Once Upon a Summertime (M.Legran/J. Mercer/E.Barclay)
4.Samba Em Preludio (B.Powell/V.de Moraes)
5.Sicilian Lovesong (E.Cali/C.Vuust)
6.Time After Time (S.Cahn/J.Styne)
7.Evening (E.Cali/C.Vuust)
8.It's Happening Again (E.Cali/C.Vuust)
9.Smile (C.Chaplin/J.Turner/G.Parsons)
10.Você Vai Ver (A.C.Jobim)

 曲はM9のチャーリー・チャップリンの曲で、このようなアメリカン・スタンダードを取り上げ、誰もが愛するミッシェル・ルグランのM4、バーデン・パウエル、カルロス・ジョビンによるボサM4、M10 も登場。そして、アルバム造りに主たる役割を果たしているフランチェスコ・カリ(右上)のオリジナル曲など、広く選曲されている。アルバム通してゆったりと優雅であって、気持ちが洗われるような技巧なしのヴォーカルで気持ちが良い。

(評価) 2枚のアルバムは取り敢えず合格点
□ 選曲・歌・演奏 ★★★★☆ 
□ 録音      ★★★★☆

(視聴)

 

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2019年6月 7日 (金)

ロバータ・ガンバリーニRoberta Gambariniのヴォーカル・アルバム「DEDICATIONS」

三大女性シンガーのエラ、サラ、カーメンのカヴァー集だ

<Jazz>

Roberta Gambarini 「DEDICATIONS」
55 Records / JPN / FNCJ-5566 / 2019

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Roberta Gambarini : vocals
Jeb Patton : piano

Recorded at Alley Cat Production(USA) on 14,Jan,2019

イタリア出身で米国でニューヨークを拠点に活躍で知られるジャズ・ヴォーカル女性シンガー、ロバータ・ガンバリーニRoberta Gambariniのアルバムだ。これは三大女性シンガー、エラ・フィッツジェラルド、サラ・ヴォーン、カーメン・マクレエに捧げる日本限定のアルバムで来日記念盤でもある。従って、彼女らの定番曲をカヴァーした新録音集。
 バックはJeb Pattonのピアノのみで、むしろデュオといった作品だ。

Rg2_1 (Tracklist)

1. Lady Be Good / How High The Moon
2. As Time Goes By
3. Willow Weep For Me
4. Blame It On My Youth
5. Two For The Road
6. Lullaby Of Birdland
7. It Don't Mean A Thing
8. Misty
9. I Can't Give You Anything But Love

 彼女自身ジャズ教育者であるだけあって、簡単に言うとしっかりしたヴォーカル、歌いこんだ実質的で張りとか艶とかをもって情感たっぷりに歌う。いわゆるセクシーな崩しとかするタイプではない。むしろイタリアっぽくハートフルな面のほうが前面にあって、しかも可憐さとは逆にホットなパワーすら感ずる。その為、現在広くジャズ・ファンには受け入れられるタイプと思う。
 過去のジャズ・三大シンガーを取り上げているので、若干ややオールド・ジャズ感はあるが、それでも彼女自身の唄として仕上げているので聴きがいはある。つまりイタリアっぽいところはちゃんとあるのだ。
 又、ピアニスト・ジェブ・パットンも同年代でおそらく息があったのであろう、どちらかというと彼のピアノも昔ながらのジャズを心を込めて引くというタイプであり、この企画にはピッタリといったところ。

 私としては、M3."Willow Weep For Me", M6"Lullaby Of Birdland"など聴きなれた曲が登場して聴きやすいが、何といっても好きな曲M8."Misty"をまず取り上げたいが、これもなかなか味のあるヴォーカル、つまり彼女の情熱と力学を感ずる仕上げで、しっかりじっくり歌いこんでいて、推薦曲というところだ。
 やはり歌唱に自信があるせいか、バックはピアノのみであるため、歌声そのものが味わえる作品となっている。

512reyinpsl ロバータ・ガンバリーニは、1972年イタリア・トリノ生まれで今や40歳代後半になっての円熟期シンガーだ。1991年にはリーダー作も発表していて、1998年に米国に渡ってニューイングランド音楽院(ボストン)で学んでいる。渡米早々にセロニアス・モクク・インターナショナル・ジャズ・コンペテションで3位に輝いて注目されたとか。もうキャリヤー30年となるシンガーだけあって米国中心に国際的な活躍と共にジャズ教育者としての道も歩んでいる。
  過去のアルバムに「You Are There」(2007),「So in Love」(2009 ↑),「Easy to Love」(2005)などがある。

(評価)

▢ 選曲・歌  ★★★★☆
▢ 録音    ★★★★☆

(参考視聴)

 

 

 

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2019年6月 3日 (月)

ロジャー・ウォーターズRoger Watersの「US+THEM」記録盤

「US+THEM TOUR」 の英国ハイド・パークの記録

<Progressive Rock> 

PINK FLOYD'S ROGER WATERS 「 US+THEM」
HYDE PARK LONDON  FRIDAY 6 JULY 2018
COLUMBIA/LEGACY / EU /4607147953443 37852 / 2019

2

 既に、ここで何回か取り上げたピンク・フロイドの頭脳ロジャー・ウォーターズの「US+THEM Tour」ライブの記録されたCD2枚組盤。これはキング・クリムゾンのロバート・フリップがよく行ってきたオフィシャル・ブートレグというタイプの代物である。(COLUMBIA/Legacy 、Roger Waters.com、SONY MUSIC の名がクレジットされている)
Roger1  従って、ロジャー・ウォーターズも当然関わっているものと思うが、なるほど期待以上の高音質録音盤である。とにかくこのツアーものは、数え切れないほどの映像版も含めて巷には溢れている中で、それならばと、取り敢えずオーディエンス録音には近いが、音質はライブものとしてはトップ・クラスに値するものを出してくれた訳です。今年中には映像版とともに正規版がリリースされるという話がある中での思わぬ出現に驚いたといったところ。

  2016年、トランプ批判を展開したアルバム「アニマルズ」の曲"Pigs(three different ones)"が圧倒的支持を得たことに端を発して、彼の久々のニュー・アルバム「is this the life we really want ?」も丁度リリースされた時でもあり、その紹介曲も含めての人気のアルバム「狂気」「炎」「アニマルズ」「ザ・ウォール」からの選曲で構成して、特にピンク・フロイドと言っても殆ど彼のワンマン・バンドと化したアルバム「アニマルズ」からの"Dogs","Pigs"には充実した演奏を展開した。特に"Pigs"は、"TRUMP IS PIG"と大々的に打ち上げ、そして人間の根源に迫る"Us and Them"を演奏して世界情勢の不安定を訴えた。

List1

 いずれにしても再び大規模な世界ツアーへと発展したこの「US+THEM Tour」。2017年北米・オセアニア・ツアーから2018年の欧州、南米のほゞまる2年間の世界規模ツアーと拡大して、その2018年7月6日のブリティッシュ・ハイド・パーク・フェスにてのパフォーマンスをここに収録されたものだ。残念ながら日本には上陸しなかったが、このツアーの大規模さは群を抜いている。そしてすでに私自身も多くの映像ブートレグでも見てきたものである。しかしこれはおそらく放送用音源として録音されたものではないかと推測される良質もの。とにかくSEはもちろん効果音もしっかりとクリアに記録されていて十二分に楽しめる。

List2_1

 メンバーは10名編成バンドで、重要なギターはお馴染みのデイブ・キルミンスターに加えて人気のジョナサン・ウィルソンのツイン構成。そしてジョン・カーリンがキー・ボードを中心にマルチなプレイヤーぶりを発揮。また、女性ヴォール陣はLUCIUSの二人、又サックスは長い付き合いになっているイアン・リッチー。2年間通して同じメンバーでやりきった団結力も見事であった。

Lastshow

 歴史的経過からは、ピンク・フロイドを離れたろロジャー・ウォーターズだがこうして聴いてみると、殆どがなんのことはない彼によって作られた曲群であって何の違和感もなく、むしろ彼によるピンク・フロイドの問題意識をここに再現していることに驚かされる。そしてニュー・アルバム「is this the life we really want? 」の世界情勢の不安定さに問題意識が、なんともう40年以上も前のアルバムがここに生きている彼のピンク・フロイド作品に驚くのである。このライブ演奏の締めくくりは相変わらず"Comfortably Numb"であったが、「狂気」の最後を飾る"Brain Damage", "Eclipse"が、ここまで生き生きとこの時代にマッチするのに驚きを隠しえなかった。

 おそらく、これ程大規模ツアーはウォーターズはもう考えていないだろうから、ロックの時代を作った彼の今となっての75歳の男の努力に敬意を表したい。

(参考視聴)

 

 

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