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2019年6月19日 (水)

サラ・ガザレクSara Gazarek「DISTANT STORM」

まさに"通"の聴くコンテンポラリー・ジャズ・ヴォーカル世界

<Jazz>
Sara Gazarek 「DISTANT STORM」
CORE PORT / JPN / RPOZ-10045 / 2019

Distantstorm

Sara Gazarek サラ・ガザレク (vocal)

Stu Mindeman ステュ・ミンデマン (piano, electric piano)
Alex Boneham アレックス・ボーナム (bass)
Christian Euman クリスチャン・ユーマン (drums)
Josh Johnson ジョシュ・ジョンソン (alto saxophone)
Larry Goldings ラリー・ゴールディングス (organ)
Ido Meshulam イド・メシュラム (trombone)
Danny Janklow ダニー・ジャンクロー(ヤンクロー?) (alto saxophone)
Brian Walsh ブライアン・ウォルシュ (bass clarinet)
Keita Ogawa 小川 慶太 (percussion)
Aaron Serfaty アーロン・サーファティ (percussion)
Erin Bentlage (background vocal)
Michael Mayo (background vocal)
guest:
Kurt Elling カート・エリング (vocal & backgound vocal on 12)

2018年8月カリフォルニア州ロサンジェルスのLA Jim Henson Studio録音

 

Thirstyghost  ここにきて、ニュー・アルバム「THIRSTY GOST」(→)の話題が出ているサラ・ガザレクであるが、一方、今年4月に日本からのリリースされたニュー・アルバムがここに取り上げたこのアルバムだ。
 彼女は、美声はそれで良いのだが、日本人一般リスナー向きのジャズとしては若干敷居が高過ぎる。と、言っては見たが難解というより慣れの世界か、コンテンポラリー・ジャズのこの曲展開が異様なのである。しかしそこには奥の深い世界が見えてきて、従ってポピュラーな一般向きジャズ・アルバムというところにはなかなか行かない。簡単に聴きながすバックグラウンド・ミュージックとは、かなり違う世界だ。
 彼女は、2ndアルバム「ユアーズ」で2006年日本デビューしている。
 思い出すのは、Triosence との「Where time stands still」などのアルバムも過去にあった。


(Tracklist)

List2_2

01. ネヴァー・ウィル・アイ・マリー
02. アイム・ノット・ジ・オンリー・ワン
03. イージー・ラヴ
04. アイ・ビリーヴ
05. リヴァーマン / リヴァー
06. コクーン
07. ジョリーン
08. アイム・ア・フール・トゥ・ウォント・ユー (※日本盤ボーナス曲)
09. ガスライト・ディストリクト
10. スピニング・ラウンド (※日本盤ボーナス曲)
11. ロンリー・アワーズ
12. ディスタント・ストーム (ホエン・イット・レインズ) feat.カート・エリング

  "瑞々しいクール・ヴォイス"とか、"透明感あるナチュラルな歌声"と評されている彼女だけあって、このアルバムでも非常にきめ細かい情緒あるヴォーカルを披露している。
 又上の参加ミュージシヤンを見ても解るように、曲によりメンバーの異なった比較的小コンポで、かなり高度なテクニックをもってしてコンテンポラリーなジャズを展開している。そんな世界に彼女の歌声がごく自然に入り込んでいるといった曲作りで、そこにはジャズのこれからの流れを先取りしたような展開に驚かされる。とにかくカヴァー曲の多岐にわたるのも聴きどころ。

Sz1  聴きようによっては難解なところもあり、そうかといって全く拒否反応というところではない。むしろそれぞれのミュージシャンが描くジャズのニュー・ワールドを聴くがごとくの感がある。
 スティービー・ワンダーのM4."I believe wheh i falling love"では、曲の週末部では彼女の高音が楽器の音の中に入りこんで同化してゆくところは驚きだ。
   ニック・ドレイクのM5."The river/ Riverman"の物語調ヴォーカルにも彼女の技量を感じ取れる。
 ビョークのM6."Cocoon" は、バックが静かで、彼女のアカペラに近い歌い上げが聴け、なんと仕上げは異国ムードたっぷりの曲。
 ブラット・メルドーの曲M12."Distant Storm"がアルバム・タイトルとなっていて、高音と低音の両端を、又リズムも変動を十二分にこなしアルバムを納めるのに十分な展望のあるハイセンスの曲展開に脱帽。

 しかし何時もの女性ジャズ・ヴォーカルものとして安易に取り付くと多分しっぺ返しに合う。それだけ技量の卓越したコンテンポラリー・ジャズ・ヴォーカルなのである。じっくり聴いてみる価値ありだ。聴き込むとそこにはジャズ゜・ヴォーカルの一つの道が見えてくるから凄い。 彼女は1982年米国シアトル生まれだから30歳代後半だ。それにしては歌の充実度が高いことを知らされる。

(評価)
□ 選曲・演奏・歌 :  ★★★★★☆
□ 録音                 :    ★★★★☆

(参考視聴)

 

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コメント

彼女へのイメージが一新されるほどの変貌を感じました。

投稿: 爵士 | 2019年6月22日 (土) 09時35分

 爵士さんご推薦のSara Gazarekは、一筋縄ではゆきませんね。中身が濃い。
 安易に、女性ヴォーカルもののバッククラウンド・ミュージック感覚で聴くとしっぺ返しが来る・・・と、言うところでしょう。よくよく聴き込むと味がある。

投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2019年6月22日 (土) 17時29分

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