アヴィシャイ・コーエンのニュー・アルバム Avishai Cohen 「Arvoles」
異空間のみ感じられて・・・
<Jazz>
Avishai Cohen 「Arvoles」
RAZDAZ / EU / RD4619 / 2019
Avishai Cohen (bass)
Elchin Shirinov (piano)
Noam David (drums)
Bjorn Samuelsson (trombone #1,4,6,9,10)
Anders Hagberg (flute #1,4,6,9,10)
2019年2月18日-3月15日 Nilento Studio,Sweden 録音
Recorded mixed and mastered by Lars Nilsson
注目のイスラエルのベーシスト、アヴィシャイ・コーエンのニュー・アルバムの登場。アルバム・タイトル「Arvoles」は、トラッド曲で「木」を意味するのだというのだが、ジャケも彼のアルバムでは一風変わった絵画での「木」が描かれている(彼の母親が描いたものらしい)。とにかく彼の今までのアルバムには、どこか郷愁を誘う美しさがあって、今回も期待のアルバムだった。
基本はピアノ・トリオ編成。ピアノはエルチン・シリノフ(アゼルバイジャン出身)、ドラマーはイスラエル出身のノーム・ダウであり、アルバムとしては初編成トリオ。
(Tracklist)
1.Simonero
2.Arvoles (Traditional)
3.Face Me
4.Gesture #2
5.Elchinov
6.Childhood (for Carmel)
7.Gesture #1
8.Nostalgia
9.New York 90's
10.Wings
*#1,3-10 Composed by Avishai Cohen
*All Tracks Arranged by Avishai Cohen
曲はのアルバム・タイトル曲M2.以外は全てアヴィシャイ自身のオリジナル曲で占められている。又今回は5曲ではホーンセクションが加わっているという試みもみられる。
スタートM1."Simonero"はちょっと今までのイメージと違ってベースのソロから始まって展開が異様、おとなしいピアノ・トリオではない。何か新展開を試みているムード。グルービーな世界を狙ってのことか。
M2."Alvoles"はトラッドらしいのだが、がらっと変わって軽いリズムのピアノ旋律が流れる優しい曲で、中盤彼のベースが物語るという曲だ。どこか母親に対する優しい心を描いているのだろうと思わせる。
そしてM3"Face Met"はイスラエルっぽいムード。彼のベースが低音のアルコ奏法で響き、ピアノ、ドラムスはアフリカンぽく、ラテンぽくといったハイテク展開。
なんかファンキーっぽくもあったり、まあピアノ・トリオの抒情的世界とは異なる。
M6."Childhood"もホーンセクションによるメロディーを流して郷愁感はあるも、どうも馴染めない。
M8."Nostalgia"はピアノトリオらしい展開で、ややほっとして聴くも私の期待ではなかった。
結論的に、アヴィシャイ・コーエンの新展開と技術的な高度さもうかがえる筋は解るが、ホーンセクションが加わったり私の期待し好む世界とは別物であった。こうゆうのにのめりこむ人がいるなら話を聞いてみたいところだ。
(評価)
▢ 曲・演奏 : ★★★★☆☆
▢ 録音 : ★★★★☆
(視聴)
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コメント
風呂井戸さま! コメントをありがとうございました。m(_ _)m
風呂井戸さま、お悩みのポイントはわかるつもりです。
二本、管楽器が入って、、変化がつけられたか?
って、いうと、、おもったより普通の感じでしたものね。
だったら、トリオでやってよ、って気持ちもわかる気がします。
個人的には、イスラエル・ジャズしてて、、2、3曲歌うくらいな感じがいいかな。
アドレスを貼っておきます!
http://mysecretroom.cocolog-nifty.com/blog/2019/07/post-f3732a.html
投稿: Suzuck | 2019年7月 5日 (金) 17時56分
Suzuckさん、いつもこちらまでお越し頂いて有り難うございます。
アヴィシャイ・コーエンも、それなりの評価を勝ち取って来ていますので、新しい試みとか、自分の意志があってもこれまでの環境では出来なかったこと等・・・を現在やってみようとする意志は解ります。そのような時期にいるとみています。又評価や支持を得た原点回帰がそのうち来ると思ってますが。
いすれにしても彼は愛されるミュージシャンですね。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2019年7月 8日 (月) 16時41分
コメント+tb ありがとうございます。
Avishai Cohenのリーダー作をながらく聴いていると、イスラエルの伝統音楽(のサウンドパターン)を世界的に認知させたいという意識と、イスラエルの若手ミュージシャンをNYで認知させたいという意識、の2つが創作意欲の基本にあるんだろうなと意識しています。
本作は、後者をさらに発展させたところに存在意義を作っているんだろうなと予測しています。
(もしかしたら、実力が微妙に足りない人を、人数で盛っている可能性も否定できません)
TBありがとうございます。逆TBさせていただきます。
http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/468529997.html
投稿: oza。 | 2019年8月12日 (月) 21時01分
oza さん、こちらまで・・・有り難うございます。
実は私はイスラエルの音楽に興味があってAvishai Cohenを聴いてきたわけで無く、その匂いはありますが、どこか訴えてくる美メロディーやトリオとしての味に共感が持てたのですが、今作はそのような世界からちょっと別世界に歩んでいるように感じられ、早い話が毎日聴きたいというように思う作品では無かったと言うことだけなんです。好む好まないは個人的な世界ですので、こればっかりはどうしようも無いですね。・・・と、言った話で、個人的には原点回帰して欲しいですね。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2019年8月13日 (火) 18時45分