ピーター・フランプトンのニュー・アルバム Peter Frampton Band 「All Blues」
ブルースで最後の花を・・・・
<Blues, Rock>
Peter Frampton Band 「 All Blues」
Ume(USM) / IMP / 7764424 / 2019
PETER FRAMPTON(El.Guitar, Voc)
ADAM LESTER (El.Guitar)
ROB ARTHUR(Key. Voc)
DAN WOJCIECHOWSKI(Drums)
英国出身でロック全盛期にギタリストとして生きてきた男のブルース・ギターは、やっぱり40-50年の経過の中から築かれた世界であって、それなりに味わい深いのだ。ブルースはその起源からして英国の白人とは一線を画しているかの如くであるが、ギタリストからみるとロックとは離しても離されない流れにあって、ブルースを極めんとする心は自然と生まれたものでもあるといえる。
このピーター・フランプトンPeter Framptonも1950年生れだから、70歳に近くになって、深刻な病に冒されていて今年ライブ活動の引退宣言ということになってしまった。しかしここにブルース曲のニュー・アルバムをリリースしたことは、ロッカーである彼のブルースに対する思い入れをみる思いである。
(Tracklist)
1.I Just Want To Make Love To You (with Kim Wilson)
2.She Caught The Katy
3.Georgia On My Mind
4.You Can't Judge A Book By The Cover
5.Me And My Guitar
6.All Blues (featuring Larry Carlton)
7. The Thrill Is Gone (with Sonny Landreth)
8. Going Down Slow (with Steve Morse)
9. I'm A King Bee
10.Same Old Blues
6番目の曲のタイトルをアルバム・タイトルに持ってきて、全曲ブルースのオンパレード。
60年代末のロック・グループ・ハンブル・パイHumble Pie結成からブルースをも演じてきた彼にとっては、やはりブルースなんでしょうね。
このアルバム、勿論冒頭からブルース・ギターが全開して楽しめる。
ボギー・カーマイケルのM3."我が心のジョージア"なんかが登場するが、ピアノから始まって彼のしっとりした泣きギターが歌い上げていいですね。
M6."All Blues"はマイルス・ディビスの曲だがLarry Carltonのギターも呼び込んでの演奏だ。それが又美しい曲の仕上げに驚きますね。この曲もヴォーカルなしで、ピアノも生きていて共にメンバーどおし演奏を楽しんでいる雰囲気すらある。このあたりはロックというよりはジャズですね。
M7."The Thrill Is Gone"は、 やや哀愁のあるブルースで、泣きのギター、ヴォーカルがしっとりと迫ってきて、これも私好みだ。
M10."Same Old Blues"は、なんとなく昔懐かしい歌と演奏で始まり、最後は泣きのギターが登場して幕を閉じるところはちょっと感傷的になってしまう。
とにかくこのアルバムはやはりフランプトンの記念碑的ニュアンスが濃い。メンバーも長年のツアー・メンバーと共にしていて、彼らと共にナシュビルにある彼のスタジオであるスタジオ・フェニックスに集結して録音されたものいう。そしてそこにラリー・カールトン、サニー・ランドレス、スティーヴ・モーズらがゲスト参加という豪華さである。
かっての1976年の当時のLP二枚組というライブ・アルバム「Frampton Comes Alive」の世界的大ヒット以来「ライブの人」と言われ、ステージの演奏を数十年楽しませてくれた彼が、今年で病(封入体筋炎)でライブは終了宣言したわけであるが、この病気が本当であれば、これは難病で四肢の筋力低下、嚥下障害を起こす。特に上肢の手指、手首屈筋の筋力低下が進行するので、ギタリストとしては致命傷だ。
そんなことを考えながら聴くと、非常に心引かれるアルバムということになった。
(評価)
□ 選曲・演奏 : ★★★★☆
□ 録音 : ★★★★☆
(試聴)
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コメント
キャリアの最後にこういうアルバムを仕上げてくるのはちょいと意外でしたが、やはり時代的に世代的にこうなるんでしょうね。良し悪しじゃなくて感謝の気持ちで聴いている節が強いです。
日々相変わらずの音楽遍歴を見ていて、あ、これリリースされたんだ、と聴くきっかけはこちらのレビューでした(笑)。
もうそういうサイトもほぼ壊滅してますし、貴重な情報源ですからね。
なことで今後もイイ女探し、期待してます♪
投稿: フレ | 2019年7月20日 (土) 08時49分
いやはや、フレさんこちらまでお出向きくださいまして有り難うございます。
あの若者にとってロックの華々しい時代を創り上げてきた若者が約半世紀を経てこうして結晶していることが嬉しいですね。フランプトンの場合は病気引退ということで寂しいのですが・・・それでも何度も聴いてみたいと思わせるアルバムを作り上げたことに万歳です。スノーウィ・ホワイトのように表にあまり出ないプレイヤーも頑張っていて嬉しいのです。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2019年7月23日 (火) 18時02分