« 2019年7月 | トップページ | 2019年9月 »

2019年8月30日 (金)

[ 近作名盤検証 ] リン・エリエイル・トリオ Lynne Arriale Trio 三部作

繊細にして情感に満ちた世界

 リン・エリエイル・トリオの三部作は1994年から1996年にリリースされた3枚のアルバムである。今日も愛されているので遅まきながら今になって聴いての私の感想だ。①「THE EYES HAVE IT」(DMPC CD 502 / 1994)、②「WHEN YOU LISTEN」(CD 511 / 1995)、③「WITH WORDS UNSPOKEN」(CD518 / 1996)
 全てアルバムのタイトルは、収録した彼女のオリジナル曲のタイトルであるという拘りがあるところが注目。

<Jazz>

    Lynne Arriale Trio 「THE EYES HAVE IT」
    Digital Music Prod / US / DMO CD502 / 1994(2015再発)

1w

Lynne Arriale (p)
Jay Anderson (b)
Steve Davis (ds)

(Tracklist)

1. My Funny Valentine
2. Witchcraft
3. My Man's Gone Now
4. Heartsong *
5. Yesterdays
6. Elegy *
7. Alone Together
8. The Eyes Have It *
9. Blues for TJ *
10. My One and Only Love

*印 彼女のオリジナル曲

Dyfzntgwoaaw  しかしリン・エリエイルの演奏は繊細にして情感がしっかり描かれていいですね。このアルバムも冒頭のM1." My Funny Valentine "からもうどっぷりその世界に浸かれます。
   M3."My Man's Gone Now" これは Gershwinの曲、繊細なシンバルの響きから、ベースが流れを作り、ピアノが美しく流れ、後半に盛り上がりのアクセントがくる。このあたりのタッチにハイセンスを感ずるのだ。
 M4.、M5.と明るく活発な曲。特にM5.ではジャズ独特のハイスピード・プレイを聴かせ、中盤にドラムス・ソロ。
 M6." Elegy " エリエイルのオリジナル曲、ピアノの調べがしっとりと情感たっぷり。それに伴ってベースも心に響く世界。 
 M7."Alone Together " ぐっと印象を変えての強いタッチ。ジャズの楽しさたっぷりにスウィングしてのこうしたアクセントがインパクトあり。
 M8."The Eyes Have It " これも彼女のオリジナル曲で、アルバム・タイトルに。独特な心の感情を呼び起こす演奏は特筆もの。
 M10."My One and Only Love" 気品ある優雅なバラード曲で締めくくる。

 深みのある感情表現がうまく繊細なピアノ・プレイで、なんか物語を聞かせてもらっているようなアルバムで堪能させてくれます。

(評価)
□ 曲・演奏  ★★★★★☆
□ 録音    ★★★★☆

    - - - - - - -

<Jazz>

 The Lynne Arriale Trio 「WHEN YOU LISTEN」
   Digital Music Prod / US / CD511 / 1995 

2w

ynne Arriale (p)
Drew Gress (b)
Steve Davis (ds)

(Tracklist)

1. How Deep Is the Ocean?
2. My Shining Hour
3. Waiting & Watching *
4. Bess, You Is My Woman Now
5. You and the Night and the Music
6. Slinky *
7. Lonely Woman
8. Seven Steps to Heaven
9. When You Listen *
10. I Love a Calypso *
11. In the Wee Small Hours of the Morning

*印 彼女のオリジナル曲

 これはリン・エリエイルの三部作の二作目で、翌年にリリースされた。上の第一作目はかなり考えて作り上げた印象あるが、好評であったことから、この二作目はもう少しフリーに広い分野にアプローチした感ありだ。

 このアルバムは冒頭の曲M1.、M2. は、ややジャズ・トリオのパワーを見せつけてのスタート。しかし彼女独特の詩的なピアノと早引きのジャスの味はしっかり出ている。
 M3."Waiting & Watching" 彼女のオリジナル曲の登場。ミッド・テンポの楽しい曲。
   M4." Bess, You Is My Woman Now" ここに来て、このアルバムでは初めて詩情豊かなバラードの登場、Gershwineの曲だ。この気品は彼女独特のものだ。
   M5."You and the Night and the Music" ホピュラーなスタンダードを編曲の妙とアドリブが冴える。
   M7." Lonely Woman" この繊細にして哀感のピアノは彼女独特、やはりしっとりと聴かせるのだ。
   M9."When You Listen" 彼女のアルバム・タイトルとなっているオリジナル曲。ゆったりとした演奏の中にメロディの美しさで思索への世界に誘う。
   M.11."In the Wee Small Hours of the Morning" も彼女らしい丁寧に繊細に気品豊かにピアノを聴かせてアルバムを締める。

(評価)
□ 曲・演奏  ★★★★★☆
□ 録音    ★★★★☆

       - - - - - -

<Jazz>

The Lynne Arriale Trio「WITH WORDS UNSPOKEN」
Degital Music Prod / US / CD518 / 1996 (2016年再発)

Withwordsunspoken_20190827200001 一年間隔でリリースされた三部作の三作目。このアルバムは先日ここで取り上げたので、そちらに譲る。
                         ↓
http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2019/08/post-250f63.html

 

(Lynne Arriale : Discography)

1994 「The Eyes Have It」* DMP Trio, with Jay Anderson (bass), Steve Davis (drums)
1995 「When You Listen」* DMP Trio, with Drew Gress (bass), Steve Davis (drums)
1996 「With Words Unspoken」 * DMP Trio, with Drew Gress (bass), Steve Davis (drums)
1997 「A Long Road Home」 TCB Trio, with John Patitucci (bass), Steve Davis (drums)
1998 「Melody」 TCB Trio, with Scott Colley (bass), Steve Davis (drums)
1999 「Live at Montreux」 * TCB Trio, with Jay Anderson (bass), Steve Davis (drums); in concert
2000 「Inspiration」 TCB Trio, with Jay Anderson (bass), Steve Davis (drums)
2002 「Arise」 Motéma Trio, with Jay Anderson (bass), Steve Davis (drums)
2004 「Come Together」 Motéma Trio, with Jay Anderson (bass), Steve Davis (drums)
2005 「Live」 Motéma Trio, with Jay Anderson (bass), Steve Davis (drums); in concert
2008 「Nuance」 Motéma Quartet, with Randy Brecker (trumpet, flugelhorn), George Mraz (bass), Anthony Pinciotti (drums)
2011 「Convergence」 Motéma Some tracks trio, with Omer Avital (bass), Anthony Pinciotti (drums); some tracks quartet, with Bill McHenry (tenor sax) added
2011 「Solo」 Motéma Solo piano
2018 「Give Us These Days」 * Challenge Trio, with Jasper Somsen (bass), Jasper van Hulten (drums); some tracks quartet, with Kate McGarry added

*印 ここで取り上げたアルバム

(参考試聴)  16:30-29:00 の"ESTATÈ" が聴きどころ

 

| | コメント (0)

2019年8月26日 (月)

[近年名盤探求] ステヴ・ルドルフ Steve Rudolph 「EVERYTHING I LOVE」

ジャズとはこれだと主張しているようなアルバム、脱帽。

<Jazz>

Steve Rudolph 「EVERYTHING I LOVE」
R&L Records / US / RLCD41049 / 2010

Everythingil1_20190819181001

Steve Rudolph : p
Roger Humphries : d
Dwayne Dolphin : b
Steve Varner : b (M5)

  これは1995年リリースされたアルバムの2010年再発もの。なんと20年以上前のものだ。先日紹介した「day dream」(PA-CT1014)が好評で再発となった経過にあるらしい。そんなことから今回初めて聴いてみたアルバムである。

Everythingil2

  それはさておき収録10曲のうち、ステヴ・ルドルフ自身の曲が上のように5曲の半分を占めていて、残るはビル・エバンスの曲などスタンダード曲となっている。ざっと聴いたところやはり彼のピアノは、流麗にして美しい音、美しいメロディを聴かせてくれる。彼のオリジナル曲は初めて聴くということもあって、即諸手を挙げて素晴らしい感動だというわけではないが、やはりスタンダードからの選曲は美旋律を主体に聴かせてくれて素晴らしい。
Sr201009hbgmag  まず、彼のオリジナル曲M1."This One's Fpr You. Bud"は、スゥイング・ジャズでスタート。
   アルバム・タイトル曲のCole PorterのM2."Everthing I Love" は、更に華麗にして流麗な彼のピアノ・プレイ。
 M3."Zebra #1"でガラッと変わって、深淵に。
   そしてこのアルバムを手にしようというきっかけはM4."Estate"で、これは私の好きな曲でどう演奏してくれるか楽しみであったと言うこともあるが、この料理法は単なるバラードには至らず、彼の流麗なピアノの響きと叙情的ムードを交錯させた響きはやはり並では無い。これぞジャズと感服。
 M5."Two Lonely Peaple" 、Bill Evans のこの曲も美しいの一言。
   M6."Back Home Again in Indiana" 後半の早弾きは聴きどころ、そしてM7."Wendy"は、やはり彼の持ち味の美しく流れるようなピアノの響きはバラード調で情緒豊かで納得ものである。
 M8.から最後のM9.は、彼のオリジナル曲。ベース・ドムスも弾んで楽しい。
 M10."The Last Lullaby "は締めの曲らしく情緒あるピアノでルドルフの世界観の凝縮したような曲で静かに幕を閉じる。
 
 いずれにしても、M4."Estate"は私にとっては多くのこれまでの演奏から一歩枠を超えた最高のジャズでした。アルバムのスタートから締めまで計算された曲展開となっていて、なるほど名盤だ !!。

(評価)
□ 曲・演奏 ★★★★★
□ 録音   ★★★★☆

(参考試聴)    このアルバム関係が見つかりませんので・・・"Day Dream"を

 

| | コメント (0)

2019年8月22日 (木)

ブラッド・メルドー2019年ライブ Brad Mehldau Trio 「HYOGO 2019」「LIVE IN UTRECHT 190510」

[2アルバム鑑賞] 
相変わらずのハイテクニック・プレイに満ち満ちて

<Jazz>

(日本ライブ) 
BRAD MEHLDAU TRIO  「HYOGO 2019」

MBFADISC / 2019
 
1_20190814163801

Brad Mehldau (p)
Latty Grenadier (b)
Jeff Ballard (d)
Live at Kobelco Grand Hall, Nishinimiya, Hyogo, Japan May30,2019

(Tracklist)
(Disc-1)
1.For David Crosby
2.Spiral
3.De-Dah
4.Backyard
5.From This Moment On 

(Disc-2)
1.Where Do You Start
2.Tenderly
3.Count Down
4.Cry Me A River
5.Monk's Dream

220234_10151138634512311w

 7年ぶりにトリオで来日したブラッド・メルドーのライブより、その初日となった5月30日の兵庫県立芸術文化センターでのライブをアンコールの3曲をも含んだ全曲収録盤。オーディエンス録音と思われるが三者の音はややホール感が大きいとはいえ、それなりにクリアに収録されている。スティックやシンバル音もきちんと入っていて聴き応えは悪くない。

 東京国際フォーラム公演とは演じた曲は異なっている。エルモ・ホープのM1-3."De-Dah"やコール・ポーターのM1-5"From This Moment On"、コルトレーンのM2-3"Count Down"などスタンダード名曲がメルドー流の解釈でトリオ演奏。なお若干難解だった近作アルバム「Seymour Reads The Constitution!」(2018)からは"Spiral", "De-Dah"の2曲と言うことになる。
 収録は当日の全曲。私にとってはむしろDisc-2が大歓迎。なじみ深いM2-1"Where Do You Start"が素晴らしいバラードにて迫ってくる(11:45)。
 M2-2"Tenderly"は、やはりメルドーの手にかかると一味も二味も違う、思いのほかハイテンポで中盤から後半は"Tendery"のメロディのニュアンスは残しつつも、アドリブをたっぷり楽しませてくれて、ム-ドをしっかり味合わせてくれる(9:25)。
 M2-4"Cry Me A River"がいいですね。この曲は好きで多くのミュージシャンの演奏を聴いているが、やっぱりメルドーは凄いですね。彼の手にかかると、今まで聴いてきた曲から彼独特のジャズに大変身(4:40)。
 この日のラスト・ナンバーはセロニアス・モンクの代表作であるM2-5."Monk's Dream"が披露され幕を閉めている。

(評価)

□   曲・演奏 ★★★★★☆ 
□ 録音        ★★★★☆☆  

                               - - - - - - - - - - - - - -

<Jazz>

BRAD MEHLDAU TRIO 「LIVE IN UTRECHT 190510」
HEADLESS HAWK / HHCD-19589 / 2019

2_20190814163901

Brad Mehldau (p)
Latty Grenadier (b)
Jeff Ballard (d)
Live at Hertz Zaal,Tivoli,Utrecht,Netherlands May.10.2019 EX-AUD 2019 Original Remaster 90 min

(Tracklist)
(Disc-1) 
1. Twiggy
2. Hormer Hope
3. Ode
4. Unknown
5. Countdown

(Disc-2) 
1. When I Fall in Love
2. Unknown / encore
3. Unknown
4. Cry Me A River

Bradmehldautrio702x336

 ニュー・アルバムを発表した直後ののブラッド・メルドー、待望のトリオでの来日直前であったオランダ・ユトレヒト・チボリ・ハーツ・サドルに於ける2019年5月10日のライヴ盤
 このレーベル独自のマスタリングを施したものと言うことだが、まあこのタイプとしては高音質といえるステレオ・サウンド(上の日本ライブものと音質は似ているがやや劣るか)にて、アンコール2曲まで1時間半に渡り完全収録した2枚組である。同じ5月であるが演奏曲目はかなり違いがある。

 昨年リリースしたニュー・アルバムからのメルドーのオリジナル作品を演じ、カヴァーなど多数の楽曲を演奏している。メルドーの自他共に許す卓越したテクニックで、長年に渡り活動を共にしてきたグレナディアとバラードとのトリオで呼吸はピタリと合っている。とにかく繊細な流れるようなピアノの音から、三者のアンサンブルも見事である。こうしたハイレベル・トリオを堪能するにはDisc-1全曲が聴きどころ。
  しかし、こちらのライブ盤も私的にはDisc-2の方が好みなんですが・・・とにかくM2-1."When I Fall In Love"は、しっとり演奏の極みですね。M2-2.は曲名不明なるも攻撃的なバラードのドラムスが聴きどころで、スリリングな展開。そしてやはりメルドー世界化したM2-4."Cry me River"は感服の世界。

 ブラット・メルドーの今年の2ライブ・アルバムを聴いてみた。やはりライブのトリオは、それなりに演ずるところ気合いが入っていて頼もしい。こうした盤もライブ参加できなかった私にとっては貴重である。

(評価)
□ 曲・演奏  ★★★★★☆
□ 録音    ★★★☆☆

(試聴)

 

| | コメント (2)

2019年8月18日 (日)

[ 近年名盤検証 ] リン・エリエイル Lynne Arriale Trio 「Live at The Montreux」「With words unspoken」

女流ジャズ・ピアニストの究極のバラード演奏に降参

61iybx1eoxlw  米国の女流ジャズ・ピアニストのリン・エリエイル(アリエール)Lynne Arriale の近作と言えば「Give Us These Days」(XATW-00145677)だが、それは今年の一月にここで取り上げた。(→)
(http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2019/01/lynne-arriale-t.html)。

  しかし最近リリースされた寺島靖国の「For Jazz Ballads Fans Only Vol.1に彼女の名演奏"ESTATE"が取り上げられ、この曲はアルバム「Live in Montreux」(再発2000年)に収録されているもので、たまたまこのアルバムは私は所持していたので改めて・・・かっての手持ちの他の1枚を含めて検証してみたいのだ。

 とにかく私にとってはこの彼女に関してはこれらの3枚のアルバムが知る全てであって、最近実はもう少し過去のアルバムをしっかりそろえてみたいと密かに思っているのだ ( 実はこれを書いているうちに、「WHEN YOU LISTEN」(1995) , 「INSPIRATION」(2001)の2アルバムが到着した )。

 

<Jazz>

Lynne Arriale Trio 「Live at the Montreux Jazz Festival」
TOB / EU / 20252 / 2000

Montreux

Lynne Arriale(p),Jay Anderson(b),Steve Davis(ds)
Recorded Live at Montreux Jazz Festival,July 4,1999

 彼女のトリオの1999年のモントルー・ジャズ・フェスに於けるライブ盤である。

(Tracklist)
1.Alone Together
2.Evidence
3.With Words Unspoken *
4.Seven Steps To Heaven
5.Think Of One
6.Estate
7.Calypso *
8.An Affair To Remember

*印 Arrialeのオリジナル

  彼女のオリジナル曲のM3."With Words Unspoken"が素晴らしい。これはエレガントにしてロマンティシズムいっぱいのバラードで、これで彼女のプレイを知らしめられる。とにかく注目のM6."Estate"は、私の好きなイタリアのMartinoの曲だが、暑い夏の出来事をしみじみと歌い上げるピアノには完全に降参です。
 そして最後のM8."An affair to remember"の演奏はこれ又素晴らしく、最後に司会者 Beautiful ! の言葉が収録されているが、正にBeautiful。過去をしっとり振り返えさせられる。

(評価)
□ 曲・演奏 ★★★★★☆
□ 録音   ★★★★☆

   *     *     *     *     *

<Jazz>

Lynne Arriale Trio「With words unspoken」
Digital Music PROD / US / CD158 / 2016

Withwordsunspoken

Lynne Arriale(p)
Drew Gress(b)
Steve Davis(ds)

  リン・エリエイルがDMP に残したピアノトリオ盤。「The Eyes Have It」(94 年作品) に続き1年ごとにリリースされ、3部作としても人気のあるアルバムである。これがそのうちの一枚(1996年、三作目)。モンクやジミー・ロウルズ、ジョビンやコール・ポーターなどの名曲を彼女の素晴らしいエレガントにしてリリカルなセンスあふるる演奏で、名盤と言ってよい好盤。

Lynne72145ew (Tracklist)

1. Think of you
2. Woody n' You
3. With Words Unspoken *
4. Windswept *
5. The Peacocks
6. A Promse Broken *
7. Zingaro
8. I Loves You Porgy
9. Where or When

 *印 Lynne Arriale のオリジナル曲

 彼女の美しいピアノ・サウンドとエレガントな流麗さ、そして哀感等の演奏に痺れるのは、まずは彼女自身の曲M3."With Words Unspoken "、そしてM5."The Peacocks"(J.Rowles)、さらにはM8."I Loves You Porgy"(G.Gershwin)、M9."Where or When"(R.Rogers)等の曲ですね。そして叙情的なものだけで無く、その他スウィングするジャズ・プレイにもどこか気品があるんですね。このアルバムもお勧めの名盤だ。

(評価)
□ 曲・演奏 ★★★★★☆
□ 録音   ★★★★☆

(試聴)

    "With Words Unspoken"

*

   " Alone Together "

 

 

| | コメント (2)

2019年8月14日 (水)

[名盤検証] ミーナ・クライアル MEENA CRYLE & THE CHRIS FILLMORE BAND 「in concert -Live on Tour 」

女性ギタリストのブルース・ヴォーカル・・哀愁と熱唱と

29184151764_b4ab2c3243_b

 

<Blues, Rock>

MEENA CRYLE & THE CHRIS FILLMORE BAND 「in concert -Live on Tour」
Continental Record / Holland / CBHCD2028 / 2017

Inconcert

Meena Cryle :Vocals,Rhysm Guitar
Chris Fillmore : Lead Guitar
Roland Guggenbichler : Organ
Carl Kaye : Pedal Steel Guitar
Jojo Lackner : Bass
frank Cortez : Drums

   なんとオーストリア出身の1977年生れの女性シンガー・ギタリストのミーナ・クライアルのブルース・ロック・アルバム。リード・ギタリストはクリス・フィルモアが共演しての充実演奏をバックに、ブルース、ソウル、ロックのヴォーカル・アルバムだ。
 なんとなく、時にブルースが無性に聴きたくなるのだが、元祖黒人のブルースは当然としても、白人系でもブルースをこよなく愛して演ずるミュージシャンも多い。あのエリック・クラプトンもそんな一人であり、又ここで取り上げたピーター・フランプトン、スノーウィ・ホワイト等の英国陣もなかなかそれなりのブルースを演じてくれる。

Meenabyjohanneswahlw  さてこのミーナ・クライアル(→)だが、注目は女性シンガー・ギタリストと言うところだ。ブルースの女性版はやはり注目したくなる。彼女は、アルバム・デビユーして既に20年近くになっている。最近と言っても彼女が40歳にならんとしていた2017年に、リリースされたのがこのアルバム。当初はミーナ独自の名義でのアルバムとして2001年に「twilight zone」がリリースされているが、やはりギタリストとしてクリス・フィルモアがサポートしている。そしてこのアルバムはライブ盤であるが、The Chris Fillmore Band と彼女と対等な名義でのアルバムとなっている。この形は前作「TELL ME」からで、こうしたブルースは如何にギターの味が重要かと言うことも示していることである。
  彼女はこのフィルモアとの共演で、ギター演奏はリズム・ギターに寄っているが、ここではヴォーカルに大きなウェイトをおいていて、独特のややハスキーなパンチのある熱唱の面と、時にブルース独特の哀愁のある訴えるところを巧みにこなすのである。

 

Songlist

1448998707_comp_20151128_w   ソング・リストは上のようだが、冒頭1曲目はロックで展開するが、M2."Since I Met You Baby"には堂々のブルースを展開して、彼女の歌と共に、やや後半にはフィルモアの泣きギターが訴えて、これぞブルースだと展開する。
 M3."Rather go blind"はこんどはしっとりとミーナが歌い上げ、後半は熱唱に。こうして聴いてくるとさすが暦年のブルース女子が円熟期を迎えて充実した歌唱力発揮である。
 M4.M6.はロックそのもの。
   M5."It makes Me Scream" なにせ人気曲。これは語り調の哀愁あるギター・プレイからスタートして、おもむろにミーナのブルース節が切々と迫ってくる。このアルバムでもトップ・クラスの出来。いやはやフィルモア(→)のギターに惚れ惚れしてしまう、約9分30秒の曲。
  M7."Load have Mercy"ここでもブルースを展開。
  M8."Tell Me"これが懐かしの演歌調スロー・バラード調ロック、ギターも歌い上げて久々に懐かしい気持ちになる。
 そしてM9.はロック、M10.は再びスロー・バラードととにかく変化を持たせて飽きさせない。彼女は歌が旨くて曲による歌い回しに情感が行き届いていて納得。多分これはこのステージのお別れの曲。そして以下のM11.M12はアンコールのようだ。

  いやはや久しぶりにブルース、ブルース・ロック、ロックン・ロール、泣きギター、そしてしっとりの哀愁のヴォーカル、さらにはジャニス・ジョプリンなみの熱唱と、諸々100%の満足感アルバムであった。
   
 ( Meena : Discopraphy )
2010: Try Me, Ruf Records
2012: Feel Me, Ruf Records
2013: Tell Me, Ruf Records (Meena Cryle & The Chris Fillmore Band)
2017: In Concert: Live On Tour, Continental Blue Heaven (Meena Cryle & The Chris Fillmore Band)

(評価)
□ 曲・歌・演奏 :  ★★★★★
□   録音     : ★★★★★☆

(試聴)     "It Makes Me Scream "

 

| | コメント (2)

2019年8月10日 (土)

エマ・フランク EMMA FRANK 「COME BACK」

SSWのフォーキーにしてエレガントなヴォーカル

<Jazz , Rock, Pops, Folk>

EMMA FRANK 「 COME BACK 」
JUSTIN TIME RECORDS / Canada  /  RCIP-0289 / 2019

41amlojohvl

Emma Frank (vo)
Aaron Parks (p , syn)
Tommy Crane (ds)
Zack Lober (b)
Franky Rousseau (g , syn)
Simon Millerd (tp) #6
Chi eh-Fan (vla , vn) #1, 3
Pedro Baraquinha ( g , b , perc , syn) #9

 この歌手は私の場合初物である。ちよつと巷ではそれなりの評価が出ている様子であり聴いてみたモノである。
 この作曲家・歌手のエマ・フランクEmma Frankはアメリカ生れで、カナダ・モントリオールの大学へ文学を専攻するために住んだ。そこでミュージシャンとしての道に進み、現在カナダ、アメリカでの音楽活動の道にいて、どちらかというとニューヨークが中心の活動になっているようだ。
 このアルバムはプロデュサーのフランキー・ルソーの力が大きいようだが、エマ・フランク自身も作曲家としての力を十二分に注いだものであり、又注目されるのはジャズ・ピアニトストとして今や私も関心の高いアーロン・パークスのピアノがバックに控えているところだ。この関係でのアルバム2作目となるものとか。

Emmafrank2 (Tracklist)
1. I Thought
2. Either Way *
3. Two Hours
4. Sometimes
5. Promises
6. Dream Team *
7. See You
8. Lilac *
9. Before You Go Away

*印以外はEmmaのオリジナル曲

 冒頭のM1."I Thought" は、シンガー・ソング・ライターでヴォーカリストの彼女の曲からスタート。成る程これはフォークぽい流れの中にエレガントな世界が展開し牧歌的世界というのが当たっている。彼女の歌声もソフトにして美しく包み込むような魅力がある。バックにはアーロン・パークスのピアノ・トリオに加えてViola, violin も加わっての曲作りだが、これはジャズというよりは、Folk, Pops, Rock の世界である。そしてその流れはM2.においても同様で、これがアルバム全編に及んでいるのだ。
 私はジャズの愛好者ではあるが、もともとロックの愛好者でもあり60年代から延々と続いているのだが、実はその流れからしてこの曲作りをみると、メンバーがジャズ・メンということでジャズと思われるかもしれないが、明らかにジャズというよりはPopsに近いFolkの世界であって、そのためジャズ愛好者からは異色で関心がもたれるのかもしれない。
 M3."Two Hours"は彼女自身の曲だが、支えるピアノにもまして高音の流れるような歌声、そしてハーモニー、ストリングスの流れが美しい曲。
 M5."Promises"、ここでは、ヴォーカルとピアノが対等に歌い上げるが、やはりパークスのピアノは魅力的。
 ここまで聴いてくるとM7あたりは添え物程度の曲で、M8."Lilac"になって、何か展望を感ずる世界を訴える。パークスのピアノもここでは弾んでいる。
 最後のM9."Before You Go Away" になってギターが登場してフォーク・ムードを静かに支えるも、パーカッション、シンセが参加して展望的に広がって終わる。

 確かに全編ノスタルジックで情緒豊かであり、暗くはないが、ただ明るいわけでもない。そこには歌詞の意味を十分理解してみないと簡単には評価してはいけないムードも感ずる。とにかくソフトにして美しくエレガントで、自然の中での人間の存在の価値観にも通ずるところも感じられて良いアルバムである。ただしやはりこれはジャズ分野で取り扱われているが、ジャズとは言いがたいですね、技法だけでなく世界観が違うとみる。

(評価)
□ 曲・演奏・歌 ★★★★★☆
□ 録音     ★★★★☆

(試聴)    " I Thought "

| | コメント (5)

2019年8月 6日 (火)

[今知る名盤] ステヴ・ルドルフ・トリオ Steve Rudolph, Phil Haynes, Drew Gress 「day dream」

スタンダード・ナンバーを流麗にして繊細、美メロのピアノ・トリオ

<Jazz>
Steve Rudolph,Phil Haynes, Drew Gress 「day dream」
PA-CT Records / US / PAKT1014 / 2010

Daydream1

Steve Rudolph(p)
Drew Gress(b)
Phil Haynes(ds)

 先日リリースされた寺島靖国の「For Jazz Ballad Fans Only Vol.1」で知ったこのピアノ・トリオ。アルバムを仕入れて聴いてみると何とこれは名盤そのもの。改めて9年前のリリースだが、ここに取り上げることとした。
  プロデュサーは、ドラマーのピル・ハイネスPil Haynesだが、曲のアレンジは米国のピアニストのステヴ・ルドルフSteve Rudolph(↓)、そして名ベーシストのドリュー・グレスDrew Gressというピアノ・トリオである。

Screenshot201503300133 (Tracklist) 
01. Some Other Time /L.Bernstein
02. Beautiful Love / V.Young
03. Viola  / S.Mendes
04. Turn Out The Stars / B.Evans 
05. Lover Man  / Ramirez、Davis, Sherman
06. I Get Along Without You Very Well /H.Carmichael
07. Theme For Maxine / W.Shaw
08. Day Dream / Strayhorn, Ellington
09. A Weaver of Dreams / V.Young

 "スタンダード・ナンバーで構成された甘くてほろ苦い流麗なピアノ・トリオ・サウンド"とのインフォメーションのあるこのアルバム。見事にその線をいっている。特にステヴ・ルドルフのピアノは華麗にして繊細、流麗な流れは出色である。
  そしてM5."Laver Man"の11分を超える曲にみるように、ピアノの余韻のある響きを持ったメロディーが流れ、プロデューサーを務めるピル・ハイネスのシンバルが繊細に響き、トリュー・グレスのベースが、これまたピアノに負けない繊細さと重厚感の味付けがあって、三者によりピアノ・トリオの王道を演じている。
 Pict0449 M1."Some Other Time"はBernsteinの曲で、美しく繊細なピアノの音と流れるようなメロディでスタート。ベースの響き、シンバルの響きが共にこれ又美しく、このアルバムの期待度が高まる。
 M4."Turn Out The Stars" B.Evansの曲も登場する。彼らの演奏も物思いにふける世界を描く。
 M6."I Get Along Without You Very Well "もゆったりとした流れが深遠だ。
 M7."Theme For Maxine"のベースのゆったりした語り口と早い流麗なピアノ流れが対照的で、次第にドラムスのリズムに乗ってゆくところが聴き所。
   M9."A Weaver of Dreams"は、このアルバムの中でも3者が楽しそうに演じている姿が目に見えるようなリズムカルな曲。 

 とにかくベテランの酸いも甘いも経験してきた人生からの曲の解釈は、見事にここに結実している。
 ステヴ・ルドルフはプロ・ミュージシャン50年以上となるベテラン・ピアノ・プレイヤーだが、意外に日本で多くは聴かれ語られていない。寺島靖国が取り上げたことにより私は初めてアルバムを鑑賞できた。彼は2000年のセブンスプリングスジャズフェスティバルでのJazziz Magazineピアノコンクールの優勝者として、彼は2つのJazz Composition Fellowshipsを受賞しているとか。 エバンスビルで生まれ、インディアナ州ブーンビル近郊で育ち、インディアナポリスのバトラー大学で奨学金を受けてトランペットと作曲を学んだ。彼は22歳で彼の主な楽器をピアノに切り替え、1977年にトミードーシーオーケストラと共演するようになったという経歴だ。彼の活動は範囲は広く、芸術と地域奉仕への貢献に対して2002年のハリスバーグ芸術賞というものも受賞している。

 このアルバムのさりげないトリオ演奏の中に、繊細な美と流麗なジャズ流れを十分に昇華したプレイに引き込まれる。名盤と言っていいと思う。もう一枚のアルバム「Everything I Love」(RLCD41049/2010=1995年盤の再発)も手にすることが出来たので、又近々取り上げたい。

(評価)
□ 選曲・演奏  ★★★★★☆
□ 録音     ★★★★☆

(試聴)   "Some Other Time"

 

 

| | コメント (6)

2019年8月 2日 (金)

スーザン・トボックマン Susan Tobocman のニュー・アルバム「LOVE FROM DETROIT」

独特の発声と歌い回しで・・・・オールマイティーに

<Jazz>

SUSAN TOBOCMAN 「LOVE FROM DETROIT」
TERASHIMA RECORDS / JPN / TYR-1079 / 2019

Lovefromdetrroitw_20190730123801

Susan Tobocman スーザン・トボックマン (vocal except 12)
Cliff Monear クリフ・モネア (piano)
Paul Keller ポール・ケラー (bass)
David Taylor デヴィッド・テイラー (drums)

Recorded Live at The Steinway Gallery on Nov. 7th, 2018

  過去に2アルバムが手元にあるニューヨークやデトロイトで活躍する女性歌手のスーザン・トボックマンの、5年ぶりのリリースとなるニュー・アルバム。
 ここで彼女を最初に取り上げたのは2013年に寺島レコードからアルバム「WATERCOLOR DREAM」がリリースされたときだった。彼女のヴォーカルは、所謂都会派ジャズ・クラブにぴったりスタイルで評判だった。
 過去の2アルバムは、2013年「WATERCOLOR DREAM」(TYR-1036)、翌年「Live in Detroit」(TYR-1040)がリリースされていて、今回はその2作目の続編といってもよいものである。 
 前作に引き続いてバックはクリフ・モネア(p)率いるピアノ・トリオだ。今回もデトロイト(場所も前作と同じスタインウェイ・ギャラリー)でのライヴ録音盤。

Susant3 (Tracklist)

1. Let's Face The Music And Dance (Irving Berlin)
2. The Way To You (Susan Tobocman)
3. I Should Care (Paul Weston, Alex Stordahl / Sammy Cahn)
4. Jim (Caesar Petrillo, Milton Samuels / Nelson Shawn)
5. I Could Have Danced All Night (Frederick Loewe / Alan Jay Lerner)
6. Too Late Now (Burton Lane / Alan Jay Lerner)
7. Fragile (Sting)
8. Frim Fram Sauce (Joe Ricardel / Redd Evans)
9. Every Time We Say Goodbye (Cole Porter)
10. Isn't It A Pity? (George Gershwin / Ira Gershwin)
11. I Wish I Knew (Harry Warren / Mack Gordon)
12. Touch And Go (Susan Tobocman) (instrumental)
13. I'll Be Seeing You (Sammy Fain / Irving Kahal)

 収録以上13曲。ますますジャズ・クラブ・ムードたっぷりの彼女のヴォーカルは円熟味を増しての感がある。ただし、ライブ録音の技術的問題の為かもしれないが、声量は以前より落ちているような印象がする。

 軽快にM1."Let's Face The Music And Dance"がスタートする。そうそうこの歌い方は彼女独特の世界だ。しぶいしゃがれ声と彼女独特のアクセント、それは彼女のオリジナル曲M2."The Way To You"のようにじっくり歌い上げる曲だとなおさら強調される。これは声の出し方に一息溜めて出す手法で実感は深い。ライナーの後藤誠一はこの技法に旨さの深みを強調していたが、私は少々気になる。これは1stアルバムでも見られたが、このアルバムに来てなお強調されている。
 M4."Jim"となると、クリフ・モネアのピアノ・トリオの味付けが如何に生きているのが解る。
 M5."踊り明かそうI Could Have Danced All Night "誰もが聴き慣れたこの曲の軽快な展開に、やはりこのトリオの生きの良い演奏と彼女の気合いの入ったヴォーカルが会場を喜ばせる。そして一転してじっくり歌い込みのM6."Too Late Now "、しかしこの曲途中からの転調してのスウィング・リズムを混ぜての旨い編曲が見事。
 M7." Fragile "は、スティングの代表曲。これも結構トボックマン節に化けている。こうして聴いているとやっぱり彼女の歌は旨いのが実感出来る。このアルバムでも出色の出来だが・・・・。
 M8."Frim Fram Sauce"は陽気そのもの。コール・ポーターのM9."Every Time We Say Goodbye"の歌い込みは情緒たっぷり。M11." I Wish I Knew"の情感はやっぱり並ではない。こうゆうバラッドはお手の物なんでしょうね。
   M12."Touch And Go"トボックマンのオリジナルでしかもインスト曲。トリオの溌剌とした演奏。   M13. "I'll Be Seeing You "最後にふさわしいお別れの曲。ここでも情感が溢れている。

Sttrio

 とにかく彼女の全てを感じ取れるライブ録音盤だ。ドスの効かした低音、しっとりと聴かせる説得力、パンチの聴いた熱唱と、スカっとした晴れやかさと、歌い込み・テクニック・情感全てトップクラス、ただ後は聴く者の好みにあるかどうかでしょうね。先に触れた彼女の独特の節回しとアクセント、これはハートフルと言えばそうだけど、私は若干というかかなり抵抗がある。アルバム全編これで攻められると、途中で参ったと降参してしまう。最後の挨拶なんかを聞くと良い声をしているので、このままで素直に歌っているのも織り込んだらどうなんでしょうかね、それは無理な相談か。

(評価)
□ 選曲・歌・演奏 ★★★★☆
□ 録音      ★★★★☆

(試聴)

 

| | コメント (4)

« 2019年7月 | トップページ | 2019年9月 »