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2019年8月 6日 (火)

[今知る名盤] ステヴ・ルドルフ・トリオ Steve Rudolph, Phil Haynes, Drew Gress 「day dream」

スタンダード・ナンバーを流麗にして繊細、美メロのピアノ・トリオ

<Jazz>
Steve Rudolph,Phil Haynes, Drew Gress 「day dream」
PA-CT Records / US / PAKT1014 / 2010

Daydream1

Steve Rudolph(p)
Drew Gress(b)
Phil Haynes(ds)

 先日リリースされた寺島靖国の「For Jazz Ballad Fans Only Vol.1」で知ったこのピアノ・トリオ。アルバムを仕入れて聴いてみると何とこれは名盤そのもの。改めて9年前のリリースだが、ここに取り上げることとした。
  プロデュサーは、ドラマーのピル・ハイネスPil Haynesだが、曲のアレンジは米国のピアニストのステヴ・ルドルフSteve Rudolph(↓)、そして名ベーシストのドリュー・グレスDrew Gressというピアノ・トリオである。

Screenshot201503300133 (Tracklist) 
01. Some Other Time /L.Bernstein
02. Beautiful Love / V.Young
03. Viola  / S.Mendes
04. Turn Out The Stars / B.Evans 
05. Lover Man  / Ramirez、Davis, Sherman
06. I Get Along Without You Very Well /H.Carmichael
07. Theme For Maxine / W.Shaw
08. Day Dream / Strayhorn, Ellington
09. A Weaver of Dreams / V.Young

 "スタンダード・ナンバーで構成された甘くてほろ苦い流麗なピアノ・トリオ・サウンド"とのインフォメーションのあるこのアルバム。見事にその線をいっている。特にステヴ・ルドルフのピアノは華麗にして繊細、流麗な流れは出色である。
  そしてM5."Laver Man"の11分を超える曲にみるように、ピアノの余韻のある響きを持ったメロディーが流れ、プロデューサーを務めるピル・ハイネスのシンバルが繊細に響き、トリュー・グレスのベースが、これまたピアノに負けない繊細さと重厚感の味付けがあって、三者によりピアノ・トリオの王道を演じている。
 Pict0449 M1."Some Other Time"はBernsteinの曲で、美しく繊細なピアノの音と流れるようなメロディでスタート。ベースの響き、シンバルの響きが共にこれ又美しく、このアルバムの期待度が高まる。
 M4."Turn Out The Stars" B.Evansの曲も登場する。彼らの演奏も物思いにふける世界を描く。
 M6."I Get Along Without You Very Well "もゆったりとした流れが深遠だ。
 M7."Theme For Maxine"のベースのゆったりした語り口と早い流麗なピアノ流れが対照的で、次第にドラムスのリズムに乗ってゆくところが聴き所。
   M9."A Weaver of Dreams"は、このアルバムの中でも3者が楽しそうに演じている姿が目に見えるようなリズムカルな曲。 

 とにかくベテランの酸いも甘いも経験してきた人生からの曲の解釈は、見事にここに結実している。
 ステヴ・ルドルフはプロ・ミュージシャン50年以上となるベテラン・ピアノ・プレイヤーだが、意外に日本で多くは聴かれ語られていない。寺島靖国が取り上げたことにより私は初めてアルバムを鑑賞できた。彼は2000年のセブンスプリングスジャズフェスティバルでのJazziz Magazineピアノコンクールの優勝者として、彼は2つのJazz Composition Fellowshipsを受賞しているとか。 エバンスビルで生まれ、インディアナ州ブーンビル近郊で育ち、インディアナポリスのバトラー大学で奨学金を受けてトランペットと作曲を学んだ。彼は22歳で彼の主な楽器をピアノに切り替え、1977年にトミードーシーオーケストラと共演するようになったという経歴だ。彼の活動は範囲は広く、芸術と地域奉仕への貢献に対して2002年のハリスバーグ芸術賞というものも受賞している。

 このアルバムのさりげないトリオ演奏の中に、繊細な美と流麗なジャズ流れを十分に昇華したプレイに引き込まれる。名盤と言っていいと思う。もう一枚のアルバム「Everything I Love」(RLCD41049/2010=1995年盤の再発)も手にすることが出来たので、又近々取り上げたい。

(評価)
□ 選曲・演奏  ★★★★★☆
□ 録音     ★★★★☆

(試聴)   "Some Other Time"

 

 

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コメント

美しいなとは思うんですけど
土日、酷暑の中、女子大生たちを5万枚撮影し、月曜から毎日、深夜、1時、2時まで、頭を最大限に使って、疲れる果てるまで働き、それから写真の整理をするというToo Muchな生活をしていると、仕事しながら、ゆったりとジャズなんか聴いていられるかという気分に。
倒れそうになりながらも、それ行け!!
こんなときはLed Zeppelin 胸いっぱいの愛を!ストーンズのストリート・ファイティング・マン!
2017年のアメリカのデータで、ジャズ、クラシックの売り上げが各1%なのが、よくわかるような。
アメリカの超ベストセラー、イーグルスのグレイテストヒッツ。(スリラーは趣味の範囲外 )ビートルズ1 Fleetwood Mac 噂 Rolling Stones ホットロックス
など聞いていると、なるほど、売れるには訳があって、調子よくて、高揚感を生じるもの。一般的に若い頃はまっていた音楽が一生つきまとうという説あり。
Crosby,Stills,Nash&Youngのデジャブ聴きながら仕事してます(笑)
そういえば、高一の頃、これを一緒に聴いていた、レット・イット・ビーの映画を一緒に見に行った友達、二人とも死んじゃったなあ(しんみり)

投稿: MRCP | 2019年8月 8日 (木) 13時33分

アメリカから急にローカルな話をしますけど、我が岡山市は全国一、CDのネット購入率が高いそうです。タワーが撤退してから、まともな店がない。HMVが駅前イオンにはいったけれど、しょぼい(失礼)
最近、キムチポップがのしてきて、ロック、ジャズコーナーがさらに縮小。
世の中の趣味趣向からどんどんかけ離れていくおじさんのグチでした。

投稿: MRCP | 2019年8月 8日 (木) 14時04分

MRCPさん、コメントどうも・・・おかげで、私のように隔世に生きていると、世の中の情勢が良くわかります。
 しかし何となくロックでガンガン行きたくなる気持ちも解りますし、ユッタリとジャズを聴くのも貴重な時間です(それには、このSteve Rudolphですね)。その両者の比率の問題でしょうね。歳とともに後者が増えてきていることは隠せない事実でして、MRCPさんが、羨ましいです。

投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2019年8月 8日 (木) 22時31分

午前2時前にやっと仕事が終了した人間がうらやましいと言われてもね(笑)
普段、触れあってるのが、かなりの数の大学生だと、気分だけ若い。(笑)
大好きな二十歳の女の子とダベってると楽しいものね いつまでも鑑賞していたいし(笑)

投稿: MRCP | 2019年8月 9日 (金) 02時23分

風呂井戸さん こんばんわ。ご無沙汰しております。
このアルバム知りませんでしたが、今日一日の仕事を終えたあとのくつろぎタイムにしんみりと聴けて良さそうですね。
実はCHRISTMAS WITH THE STEVE RUDOLPH TRIOというアルバムが良いとジャズ友から情報いただき、今年のクリスマスシーズンに聴ければと入手していました。
「day dream」の方も入手試みたいと思います。

投稿: baikinnmann | 2019年8月13日 (火) 20時26分

 baikinnmannさん
 おはようございます。
 そうですか、CHRISTMAS WITH THE STEVE RUDOLPH TRIOというアルバムですか、情報有り難うございます。このトリオは今まで知らずに来てしまったのですが・・・なかなかセンスと味があります。ほんとにしんみり聴けていいです。

投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2019年8月14日 (水) 07時38分

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