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2019年9月30日 (月)

ロジャー・ウォーターズRoger Waters 「US+THEM」Film 公開

「US+THEM Tour」の記録を映画として制作し公開する

音楽と人権、自由、愛のメッセージにインスピレーションを与える創造的な先駆的な映画・・・と言うが

 

<Rock>   映画 「Roger Waters US+THEM」
                               by Bean Evans and Roger Waters

Usthemmoview  ロジャー・ウォーターズの2017-2018年の世界的ツアーであった(残念ながら日本にはこなかった)「US+THEM」ツアーの模様を納めた映画の公開を、世界的にこの10月2日と6日に行う。
 ライブものとしては今までに無い画期的な内容と言われているが、その中身は不明、彼のことだから何か新しい試みをしているのだろうことは容易に想像が付く。

 その前の歴史的大規模だった3年に及んだ「The Wall 」ツアーの記録は、彼の戦場で失って会えることが無かった父親を戦争批判をこめて回顧した映画として作り上げたが、果たして今回は ?・・・・。

   おそらくこの作品も「映像もの」として一般にリリースしてくれるだろうと期待しているのだが。

 一方、彼は大がかりなツアーは、この「US+THEM」で終わりにすると言っていたが・・・、ここに来て別企画の北アメリカ、メキシコにてのライブ・ツアーを2020年に行うこともほのめかしているようだ。彼の集大成をしたいのか、入場料は無料でやりたいと言っているらしい。
 "アンチ・トランプ"、"パレスチナ情勢"などに問題意識を持って訴えた「US+THEM」であったが、今度は何を企画しているか・・・このあたりも、彼のエネルギーが続く限りは問題意識の中から何かを展開してゆくのであろう。楽しみと言えば楽しみである。

Usthem-2

(参考視聴)


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2019年9月27日 (金)

アダム・バウディヒAdam Bałdych =「sacrum profanum 」ジャパン・ライブ

Daldychdys アダム・バウディヒとクシュストフ・ディスのライブ・デュオ

・・・小ホールでの白熱の緩急自在の完全アコースティック演奏
・・・今年リリースしたアルバム「sacrum profanum」から

 

 ポーランドのヴァイオリニストのアダム・バウディヒは牧歌的であり静謐な世界を描くことで数年前から注目しているが、その彼とピアニストのクシュストフ・ディスの昨日(2019/9/26)ライブ・デュオ演奏。(アダム・バウディヒのアルバムは過去にもここで取り上げている=アルバム「Bridge」(2015/11/14)、アルバムBrothers」(2017/7/30))

 会場は上越ラ・ソネ菓寮。曲目はACTレーベルから今年リリースされたアルバムからである。(↓)

<Jazz>
Adam Bałdych Quartet「sacrum profanum」
ACT / Germ / 9881-2 ACT / 2019

Sacrumprofanum

(このジャケはアダム・バウディヒとクシュストフ・ディスに当日サインして頂いたもの)

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 収録曲は上のようで、アダム・バウディヒのカルテットである。そして今回来日ライブはそのメンバーのアダム・バウディヒとクシュストフ・ディスのデュオという形である。

Adam Bałdych アダム・バウディヒ - violin
Krzysztof Dys クシュストフ・ディス - piano

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 曲目は全く私には解らないのだが、紹介による上のように神聖でクラシックな Hildegard von Bingen (ヒルデガルト・フォン・ビンゲン )或いは Thomas Tallis(トーマス・タリス)の曲などを アダム・バウディヒによりアレンジされたものとポーランド・フォークの影響を受けた彼の曲と言うことだ。
 過去のアダム・バウディヒのアルバムも、ヘルゲ・リエン・ピアノ・トリオをバックに、牧歌的な優雅にして広大な世界、そして静謐な音展開、更に時として激しい高揚をみせる演奏で注目してきたが、今回もその通りの演奏を小さなホールで、完全アコースティック演奏を聴かせてくれた。
 特に緩急自在の彼のヴァイオリンは感情を込めた静謐の演奏が特に素晴らしい。それにクリシュストフ・ディスは元クラシック・ピアニストであるだけに演奏の確実性はみごとで、インプロもまじえながら美しい世界を描いていた。

 何時も感ずることだが、この上越のラ・ソネ菓寮に於けるライブは小会場であるだけに、完全アコースティックで、静かな中の緊張感は尋常で無く、そこに繊細なデュオによる音が交錯しそして次第に演奏は盛り上がり絶頂に至る流れは素晴らしい。とにかくアット・ホームで、演者と聴衆の親密感があり素晴らしいライブであった。

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(会場ラ・ソネにて    右は私も一緒に記念撮影)

 

[(参照) 以下 ブログ「タダならぬ音楽三昧」よりの紹介文]

Adam Bałdych (アダム・バウディヒ)

 ポーランドのヴァイオリニスト、作曲家。16歳で既に国際的に活躍(ドイツ、ポーランド、セルビア、ハンガリー、インドネシア、スペイン、フランス、アメリカ)していた。最初、天才児と呼ばれ、今はヨーロッパで最もすぐれたジャズ・ヴァイオリニストの一人と言われている。2012 年、ACT Music レーベルより最初のアルバム "Imaginary Room" をリリース。これはヨーロッパの第一線で活躍するジャズ・ミュージシャン (Lars Danielsson、Jacob Karlzon、Verneri Pohjola、Morten Lund、Marius Neset)と録音されたもの。第二作目 "The New Tradition"はイスラエルのピアニスト Yaron Hermanと録音され、2014年5月にリリースされた。そして三作目 "Bridges" はノルウェーの Helge Lien Trio とコラボレーションしたもので 2015 年 8月に、四作目 "Brothers"は 2017 年 8月に Helge Lien Trio と Tore Brunborg とが参加している。

 Adamはドイツで最も重要な音楽賞 ECHO Jazz 賞の2013 年優勝者であり、ポーランドの「素晴らしき芸術」(Gazeta Wyborcza、Radio Zachod とTVPの三つのメディアによる)投票の優勝者でもある。更に、2011 年 Jazz Melomani の Jazz Hope 部門でグランプリ、 2012年には Jazz Melomani で年度優勝している。

 彼はまた 2013 年と 2015 年にポーランドの音楽賞 Fryderyk 賞(アメリカのグラミー賞相当)にノミネートされた後、2016 年度ジャズ・アーティストに選ばれている。アルバム "The New Tradition" は Best Jazz Album 2014 賞を受賞(TVP プログラム 2 と Jazz Melomani 協会により毎年 Gala Grand Prix Jazz Melomani の中より選ばれる)。2016 年 6 月にはポーランド大統領より Gold Cross of Merit 勲章を受章した他、Medal of Merit 勲章を文化的貢献・成功に対して受章している。

 2019年に 3月、新たにAdam Baldych Quartet (Baldych / Dys / Baranski / Fortuna)のアルバム "Sacrum Profanum" を発表している。

 

Krzysztof Dys (クシュストフ・ディス)

 1982 年生まれ。ポーランド人のピアニストで即興演奏家。イグナシー・ヤン・パダレウスキー音楽院でクラシックピアノの博士号を取得、現在は同学院で講義も受け持つ。クラッシックではスクリャービン国際ピアノ・コンクールで 3位(2007 年、パリ)、ジャズでワルシャワ・ジャズ・コンテストで 2位、「ジャズ・ナッド・オドゥラ」フェスで 1位となるなど、若いうちからクラシックピアノの賞を数々受賞。マイルス・デイビス、ハービー・ハンコック等に触発され、ジャズに傾倒。2002年以来、Soundcheck Quartet の一員として、6 枚のアルバムをリリースし、国内外の名だたる賞を受賞している。2016 年に自身が主宰するトリオとして初のアルバム『Toys』を発表。Adam Bałdych Quartet のメンバーでもある。

(視聴) Adam Baldych Quartet

 

 

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2019年9月22日 (日)

メリッサ・スティリアヌMelissa Stylianou「SILENT MOVIE」

とにかく柔らかく澄んで温かみのある美しい声は特筆ものである

<Jazz>
MELISSA STYLIANOU  「SILENT MOVIE」
Anzic Records / US / ANZ-0036 / 2012

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Melissa Styianou(vo)
Pete McCann(g)
Gary Wang(b)
Rodney Green(ds) 
Jamie Reynolds(p)
Anat Cohen(ss=M2.5, bs=M4,11, cl=M9) 
Jamie Shipp(perc=M2,4,5,10,11)
Yoed Nir(cello=M4,10,11)

51hwxcsze4l  カナダはトロントに生まれたジャズ・ヴォーカリストMELISSA STYLIANOU(メリッサ・スティリアヌ)の第4作目のアルバム(2012年リリース)。実はこの歌手知らなかったんですが、1976年生れと言うことで、このアルバム制作時は30歳中頃ですね。今年リリースされた寺島靖国の「For Jazz Ballad Fans Only Vol.1」で知って、是非聴いてみたいと手に入れた一枚なんです。結論的に聴いてみて良かった一人ですね。
 実はこのアルバムは、彼女がWEBでCDリリースの為の$13,500を目標に寄付を呼びかけ、約150名の方がそれに賛同、目標金額を達成し、CD完成に至ったのだという。それ以前の三作は自主制作であったようだ。この後2014年にアルバム「NoRegrets」(同じANZICから>右上)もリリースしている。彼女は、現在、ニューヨークを拠点に活動しているようだ。

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(Tracklist)
01. Smile
02. Something in the way she moves
03. Silent Movie
04. Onde Ir
05. Hearts and Bones
06. Today I Sing the Blues
07. Hearing Your Voice
08. I Still Miss Someone
09. The Folks Who Live on the Hill
10. First Impressions
11. Swansea
12. Moon River

 最初と最後に"Smile"、"Moon River"というおなじみのナンバーが登場しています。とにかく彼女の歌う声の質が、伸びやかにして柔らかく美しく癖の無いのがいいですね。これが何と言っても強みです。寺島靖国もこれに参ったんでしょうね。
 James Taylor (M2.“Something in the Way She Moves”)の曲を聴くと、妖艶なというのでなくむしろ素直な素朴な美しさが漂っている。
 アルバム・タイトル曲M3."Silent Movie"こそ、清純さすら感じられる美しさだ。そしてM5."Hearts and Bones”のPaul Simon"の曲、更にJohnny Cash のM8.“I Still Miss Someone”などを聴くと、意外に彼女はこうしたフォークっぽい曲が好きなのかもしれない。
 M9."The Folks Who Live on the Hill "などはギターとクラリネットのバックで、静かに説得力のある歌を聴かせ、当初のイメージを完全に変えさせられた。

 彼女のデビューは1999年で、2003,2004,2006年と3回、自国のNational Jazz Awards of Canadaで、ジャズ・ヴォーカリスト・オブ・ザ・イヤーにノミネートされた様だ。ただ商業ベースにしっかり乗っているようで無く、現在2014年以来はアルバムリリースは無い。ニューヨークのジャズ・クラブで歌っているようだが、ナイトクラブ的ムードとちょっと違ったところがそんなところになっているのかもしれない。
 近年の彼女、体格はSinne Eegと同等に迫力ある。それはそれとしていずれにしても彼女の声の質、やさしいムードはこれからも支持は必ずありそうだと思うのだが。

(評価)
□ 選曲・演奏・歌  ★★★★☆
□ 録音       ★★★★☆

(試聴)

 

 

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2019年9月18日 (水)

なんとなく好きな曲 (2)  「 ESTATE (夏) 」・・夏の恨み節

どこか哀感のある美旋律が・・・・・

Thfvyj925bw  イタリアのブルーノ・マルティーノの曲「ESTATE」を取り上げたい。

 この曲は現在ジャズ界では、多くの演奏家やヴォーカリストによって歌われ演奏されている曲だ。イタリアのピアニストであり作曲家・歌手であったブルーノ・マルティーノBruno Martino(1925-2000)(右)が作曲した曲であり、彼自身が歌って1950年代にヒットしたもの。
 しかし、現在は女性ヴォーカリストに好まれて歌われているし、一方歌なしのピアノ・トリオとして演奏されている場合も多い。そんなところから、私の所持しているアルバムを紐解いてみると、取り敢えずは下のように11の演奏家、歌手のものが出てきた。
 最もポピュラーなのはピアニスト・ヴォーカリストのEliane Elias(右下)ですかね。演奏としては美しいピアノを聴かせてくれるMichele Di ToroとかLynne Arriale、Steve Rudolphなどが気になりますね。そんなわけでこの11ミュージシャンの演ずるものを取り出して、聴いて楽しんでいるのである。

 

<ESTATE を演ずる11ミュージシャン>

Elianeeliasw 1. Akira Matsuo Trio
2. Clara Vuust
3. Andreas Mayerhofer Trio
4. Mette Juul
5. Michele Di Toro
6. Sara Lancman
7. Lynne Arriale Trio
8. Francesca Tandoi Trio
9.Steve Rudolph Trio
10. Eliane Elias
11. The Kirk Lightsey Trio

 こんな演奏・歌などが出てきたので取り敢えず聴きやすいようにCD一枚にまとめてみた。
 もともと歌詞は下の通りで、ブログで日本語訳も載せているものがあったのでここに紹介する。

[ ESTATE  イタリア語歌詞 ]
Estate sei calda come i baci che ho perduto,
sei piena di un amore che è passato
che il cuore mio vorrebbe cancellar.
estate il sole che ogni giorno ci scaldava
che splendidi tramonti dipingeva adesso brucia solo con furor
Verrà un altro inverno cadranno mille di petali di rose
la neve coprirà tutte le cose e forse un po di pace tornerà.
Odio l'estate
che ha dato il suo profumo ad ogni fiore,
l'estate che ha creato il nostro amore
per farmi poi morire di dolore.

Tornerà un altro inverno cadranno mille petali di rose la neve coprirà tutte le cose e forse un pò di pace tornerà.
odio estate
che ha dato il suo profumo ad ogni fiore
estate che ha creato il nostro amore
per farmi poi morire di dolor.
odio estate.
odio l'estate.

Clara_vuust1wMettejuul1wLynne72145ew_20190915212101Francescatandoi1w

(Clara Vuust,  Mette Juul,  Lynne Arriale,  Francesca Tandoi)

[ Estate (夏 ) 日本語訳 ]

山本のりこ訳 (http://noriko-yamamoto.cocolog-nifty.com/memo/2011/07/estate-0e4b.html )
Cdw
それは失ったキスのように熱く
心から消してしまいたいと私が願う
ある過ぎ去った愛に満ちている

私たちを毎日温めた太陽
絵のように美しい夕暮れ
いまは怒り狂うように照りつける
また冬になれば
幾千の薔薇の花びらが落ち
雪がすべてをおおうだろう
そうすれば しばらくの平和が戻ってくる

それぞれの花に香りを与えて
夏は二人の愛をつくった
私を苦しみで殺すほどに
夏を憎む

 これはがマルティーノが「夏の恨み節」を歌ったようだが、女心なのか自分の経験の男の歌なのかそれは良く解らないが、現在は殆どが女性に歌われていて、私としては女心ではないかと。推測している
 ヴォーカルでは、Clara Vuustが素直な歌、Mette Juulはしっとりと、Sara Lancman、Francesca Tandoiは恨み節、Eliane Eliasは大人の回顧といった感じですね。
 演奏ではMichele Di Toroは静かに回顧する、Lyne Arrale Trioは思い出をかみしめて、Steve Rudolph Trioは思い出を軽く美しく、The Kirk Lightsey Trioは人生の新たな出発点として・・・と、いった異なったムードの演奏だ。

 ヴォーカルもそれぞれ違うし、演奏も全く異なる世界に・・と、十分聴き応えがあった。これぞミュージシャンってとこですね。

 

(試聴)

①   Clara Vuust

②  Eliane Elias

 

③ Lynne Arriale Trio

 

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2019年9月14日 (土)

イリアーヌ・イリアスEliane Elias のニュー・アルバム「Love Stories」

ストリングス・オーケストラを擁しての「いろいろの形の愛」を歌う

<Jazz>
Eliane Elias 「Love Stores」
CONCORD Jazz / JPN / UCCO-1210 / 2019

Lovestoriesw_20190912210001

Eliane Elias- vocals, piano
Marc Johnson – bass
Mark Kibble – background vocals (2)
Marcus Teixeira – guitar (1, 2, 3, 6, 9)
Daniel Santiago – guitar (2)
Roberto Menescal – guitar (8)
Edu Ribeiro – drums (1, 2, 3, 9)
Rafael Barata – drums (5, 8)
Paulo Braga – drums (4)
Celso de Almeida – drums (6)

 円熟のイリアーヌ・イリアスのニュー・アルバム登場。近年では、2015年作品『メイド・イン・ブラジル』でグラミー賞を獲得し、その後も『DANCE OF TIMES』(2017)、『MUSIC from Man of La Mancha』(2018)と矢継ぎ早にアルバムをリリースしているピアニストのイリアス、もうこれで26・7枚目位になる。彼女は1960年生れですから、すぐ還暦です。しかしアルバム・ジャケの写真は若くて驚きますね。写真というものは恐ろしいです(笑い)。
 今作は新たなオーケストラ・プロジェクトを擁して、「イリアーヌの愛へのオマージュ」と銘打っている。中身は多彩で、全て彼女のアレンジによるもので、当然と言えるボサ・ノヴァ、そしてなんとシナトラ・ヒット、更に自己のオリジナル曲(3+1)までを収録している。とにかく彼女のピアニスト、ヴォーカリスト、アレンジャー、コンポーザーそしてプロデュサーとしての多彩な才能発揮のアルバムである。

Eliane_elias (Tracklist)
1. A Man and a Woman
2. Baby Come to Me
3. Bonita
4. Angel Eyes
5. Come Fly with Me
6. The Simplest Things *
7. Silence *
8. O Barquinho (Little Boat)
9. The View *
10. Incendiando * (Bonus Track)
*印 Music by Eliane Elias

 まず聴いてみて解るのは、所謂ピアノ・トリオのスタイルに曲によりギターが加わり、そして全曲ストリングス・オーケストラが支えていて、所謂ジャズ演奏よりはムーディーな彼女のヴォーカル・アルバムと言うところを優先している。前作『MUSIC from MAN of La MANCHA』が彼女のヴォーカル抜きの本格的ピアノ・トリオ・ジャズだったので、おそらく、ここではジャズ・ファン向けと言うより広く一般向けに仕上げたアルバムを企画したのだろう。又全曲英語で歌っていることもあり、これは久々にかなりのヒット作となりそうだ。
 アルバム・テーマは「愛」だが、イリアーヌは、「ロマンチックな愛は、感情の現れる様々な愛のうちの一つにすぎず、本作収録の様々な曲を通じていろいろな形の愛を実感してもらい、また愛おしく感じてほしい」というのだ。

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 スタートは、M1."A Man and a Woman"と、なかなか振るっている。この曲の出典である映画「男と女」はここでもふれたので、中身はそちらに譲るが世界的ヒット曲だ。この冒頭からイリアーヌのマイルドにして中低音がソフトな包容力ある歌声が広がる。
 M4."Angel Eyes"は珍しく中盤から後半には、ピアノ・トリオの演奏が中心となるが、やはりストリングス・オーケストラが加わる。この曲は、むしろオーケストラ抜きの方がよかったのでは、というのは私だけだろうか。
 M6."The Simplest Things"は、彼女のオリジナル曲で、なかなかムーディーで、彼女の優しさ溢れる歌が堪能出来る。
 M7."Silence"も彼女のオリジナル。更に静かに流れるような曲で、ストリングス・オーケストラが美しく曲を流して、これぞオーケストラの有効な曲だ。歌も微妙な愛の姿を切々と歌い上げての佳曲。
 M8."Little Bout"は、取り敢えず定番のボサノバ。
   M9."The View"も彼女のオリジナル、やはりやや哀感のあるラブストリーだ。このアルバムはこれで締めくくりとなる。

 日本版は、更にM10のボーナス曲が収録されているが、イメージは全く異なる曲で、このアルバムの仕上げの描いた世界をむしろ壊している。曲は良いのだが、アルバムをトータルに仕上げているのに対して意味の無いボーナス曲、ちょっとセンスを疑う。

 イリアーヌのジャズ・ピアノを期待すると少々空しいが、ヴォーカル・ファンにとっては最上級の仕上がりだった。又彼女の作る曲はかなり美的な説得力があって、そうなのかとやや驚きつつ納得した。そんなアルバムとして取りあえずは無難な良盤と評価しておこう。

(評価)
□ 曲・演奏・歌 : ★★★★☆ 
□ 録音     : ★★★★☆

(試聴)

 

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2019年9月10日 (火)

アイヴィン・オースタ・トリオ Eivind Austad Trio 「Northbound」

ノルウェーからの詩的で牧歌的にしてロマンティックなピアノ・トリオ・アルバム

<Jazz>
Eivind Austad Trio 「Northbound」
LOSEN RECORDS / EU / LOS211 / 2019

Northbound

Eivind Austad (piano)
Magne Thormodsater (bass)
Hakon Mjaset Johansen (drums)

Recorded April 26-27, 2018 by Devide Bertolini at Gunnar Saevins sal, The Grieg Academy, Bergen

  北欧らしいと言われるピアノ・トリオ・ジャズ。2016年リリースの「Moving」に続くトリオ作品第2弾。 アルバム・タイトルは"北に向かって"と言ったところか。
 演ずる曲は彼らが感動しているデビッド・ボウイの名曲"SPACE ODDITY"を取り上げているが、その他の7曲はトリオ・リーダーのピアニスト・アイヴィン・オースタEivind Austad(1973-)によるオリジナル曲により占められている。

Eivindaustadtrio

(Tracklist)

1. 7 Souls 8:52
2. Space Oddity 5:05
3. Northbound 6:05
4. Open Minded 6:59
5. Beyond The 7th Ward 6:58
6. Folk 6:51
7. Down That Road 6:29
8. Faith 6:46
Total Time 54:05

 確かに北欧らしいと言ってよいのか、ピアノが美しく響き、展開は微妙に深遠な世界に導くピアノ・トリオ・ジャズだ。2曲目に登場するデビッド・ボウイの"SPACE ODDITY"を聴いても、耽美な世界に彼なりきの独自世界に染め上げた曲の仕上げである。
 他は全てオリジナル曲であり、M5."Beyond The 7th Ward"にみるように、特徴的なスローなテンポでピアノの音を一つ一つ響かせて、どこか非都会的牧歌的な大自然のイメージを感じさせる。
 いわゆるジャズらしい展開はM6."Folk "ぐらいで、オースタのピアノ・プレイが速テンポをみせるのもこの曲ぐらいだ。
 アルバム・タイトルのM3." Northbound"を聴くと彼らのしたいことが見えてくる。静かにどこかノルウェーの民族的なメロディーに聴こえてくる展開を見せつつも、次第にピアノの旋律も近代的即興に変化して、三者の交錯展開が面白く聴かせてくれる。そして最後は再び静かな世界に沈んでゆくという形をとっている。
   そしてM7." Down That Road"では、彼らのロマンティックな流れが結実していて、展開も面白い。
 M8."Faith"は冒頭から深く沈んで、これぞ北欧ノルウェーといった感じだ。
 ベース、ドラムスはそれ程特徴的な演奏展開は無い。曲が全てピアニストのものであり、更にこのトリオは録音のために集まると言ったグループのようで、曲の進行を補佐するといったところに終始している。

   トリオ・リーダーのアイヴィン・オースタは、1973年ヘルゲン生まれ、トロンハイム科学技術大学(NTNU)でジャズ研究を学び学士号。現在ベルゲン在住で、ベルゲン大学グリーグ・アカデミーのジャズ学科准教授と、演奏家としてのキャリアを組み合わせて活動しているようだ。ピアニストとして結構引き手あまたで、この自身のグループの他、幅広いプロジェクトに参加。

 全体に北欧ジャズの世界に特化して、静にして凛としたピアノの響きにまつわる曲展開を目指したものと見るが、同じノルウェーのトルド・グスタフセンほど哲学的で無く、その点は若干私は不満だったが、ソウル、ゴスペルを加味した牧歌的な世界を描くとなると、こうなるのかもしれない。とにかく彼らは目下諸々探究中にあることを述べているので、これからの展開に興味も持たれる。しかしノルウェーはこうした多くのピアノ・トリオが健闘していますね。

(評価)
□ 演奏・曲 ★★★★☆
□ 録音   ★★★★★☆

(試聴)

 

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2019年9月 6日 (金)

[カメラ話題] テックアートから驚きの傑作マウント・アダプター「TECHART LM-EA7」

「ライカMレンズ」を 今人気の「SONY Eマウント・カメラ」で
・・・オートフォーカス動作させるマウント・スマートアダプター
     「TECHART LM-EA7」

(カメラ・レンズ遊び)

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 上の2枚の写真は、今人気のフルサイズ・ミラーレス・デジタル・カメラ「SONY α7Ⅲ」に世界のトップ・ブランドのドイツのライカ・カメラのMマウントレンズをレンズアダプター「TECHART LM-EA7」(下参照)を介して付けた状態だ。左が「ズミクロンM35mm」、右が「エルマリットM90mm」を付けている。
 これがなんと、両者がMF(マニュアル・フォーカス)のレンズであるが、驚きのAF(オート・フォーカス)として機能してしまうという画期的なアダプターなのである。

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                                              ( F/2.0 , 1/250sec , ISO100)

 実はこれは昨年から話題になっていたのだが、大分改良もなされてきたようであり(現在Ver.6である=無線アップデート)、私の場合はここに来て、十数年前に使っていたフィルム・カメラ時代のライカ・レンズの味が忘れられず、それをデジタル機で使いたくなったのである。しかもオートフォーカス機能の無いレンズをオート・フォーカスで使おうという離れ業なのだ。(上がその[作例 1] 「Sony α7Ⅲ + エルマリットM 90mm」で、ガマズミの実にオートで焦点を合わせ撮ったもの)

 このアダプターのメーカーのTECHARTというのは中国のメーカーで、日本にこの製品を大量に送込んできている。こうした画期的製品を目下は中国のお家芸化していて、日本でも昔と違って評価も上がって来ている
 今年早々に紹介したコンタックスNレンズをSONYα7に付けてオートフォーカスで使えるスマート・アダプターfringer社の「SMART ADAPTAER FR-CNSE Mark Ⅲ」なども性能は良く評価は高いが、それに匹敵する注目製品である。

 このように電子接点によりカメラに情報を伝えオートフォーカス機能などがあるものをスマートアダプターというが、ここで取り上げたアダプターは下のようなものである。

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 この「LM-EA7」は、MF方式のライカMマウントレンズを、どうやってAF動作させるのかと言うと、これはテックアートが独自開発したモーターを内蔵し、Sony Eマウント・カメラからのバッテリーによる電流により、レンズ側のマウント面を前後に動かしてピントを合わせる。繰り出し量は4.5mmで、レンズのピントリングを無限遠にセットしておけば、無限遠から近接までAFでピントが合うという仕掛け。

Img_1785trw_20190905163501 オールドレンズはその大半がMFレンズだ。そしてマウントアダプター経由でデジタルカメラで使う際も当然MF撮影となる。ところがその常識を、これはあっさりと覆す製品として登場したのだった。このテックアートの「LM-EA7」は、ライカMマウントレンズをSony機でAF動作させるマウントアダプターだ。従って、かっての名器コニカのレンジファインダー・カメラのHEXAR RFも実はMマウントであるので、このM-HEXANONレンズも当然使える(右--作例下)のだ。合焦までの時間も思った以上にスムーズで、しかも合焦精度も悪くない。

Img_1798trw_20190905165001 そして更に面白いことに、例えば、ニコンのレンズも実はニコン独特のFマウントであるが、それをライカのMマウントに変えるアダプターもあり(例えば K&F concept NIK-L/M  )、それを付けるとこの「LM-EA7」に付けられるので、結局のところSONYのデジタル機に付けられると言うことになる(オールド・レンズNIKKOR 50mm F/1.4を付けた例が右)。その結果、ニコンのオールド・レンズはニコンのカメラではオートフォーカス撮影することが出来ないのに、なんとSONYのカメラではオートフォーカスレンズとして復活できるという珍現象も起きているのだ。

 これはSONYは、自己のレンズのEマウントの基本仕様を2011年4月から無償開示していることにより、各社がこのEマウントのレンズを始めアダプターなど制作していることが、こんな現象を起こす源であるようだ。

 (作例 2)  Sony α7Ⅲ + [TECHART LM-EA7] + Konica M-HEXANON 50mm F2

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                                                ( F/2.0,  1/1600,  -1.3eV, ISO100) 
*
 (作例 3)     Sony α7Ⅲ + [TECHART LM-EA7] + [NIK-L/M] + NIKON NIKKOR 50mm F/1.4

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                                              ( F/1.4, 1/2000,  ISO640)
(参考)
[TECHART LM-EA7の概要]
  「ライカMマウントレンズ」をソニーα「Eマウント」規格のミラーレスカメラに取り付けるための、AFモーター搭載の電子マウントアダプター。
 (特徴)
■TECHART独自開発したAF駆動用モーター搭載、MFレンズのAF動作を実現
■コンティニュアスAF(AF-C)対応
■他社のMマウントアダプターを組み合わせて使用可能
■ヘリコイドで最短撮影距離を延伸、繰り出し量:4.5mm
■レンズデータ(10本まで)の記録可能
■無線で製品アップデートが可能

対応機種
ソニーα9、α7RIII、α7III、ソニーα7R II、α7 II、α6500 およびα6300など、位相差AF搭載のEマウントカメラ

(参考)

*

 

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2019年9月 3日 (火)

キャロル・ウェルスマンCarol Welsman「This is Carol - Jass Beauties」

キャロル・ウェルスマンのピアノ弾き語りのマイルド・ヴォーカルと・・・
ニッキ・パロットのベースとのデュオをまじえて

511tjefn9jlw  ここで取り上げるのが少々遅くなったが、今年三月リリースのアルバムだ。我が美女狩りを得意とする友人から頂いていたアルバムで、2016年日本盤リリースの・・・・
『ディス・イズ・キャロルThis is Carol - ラヴ・ソング20』(MUZAK Fab./MZCF1340/2016)(→)がベスト・セラーとなり、それに続くキャロル・ウェルスマンのピアノ引き語りアルバム第二弾である。
 彼女はカナダのトロント生まれで、既に円熟期に入っていて、ここでも以前から何枚かの彼女のアルバムは取り上げてきた。

<Jazz>

Carol Welsman featuring Nicki Parrott 「This is Carol - Jazz Beauties」
MUZAK.Fab. / JPN / MZCF1385 / 2019

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キャロル・ウェルスマンCarol Welsman (ヴォーカル、ピアノ)
ゲスト:
ニッキ・パロット Nicki Parrott(ヴォーカル3/4/15、ベース1/3/4/6/8/15)
ラリー・クーンスLarry Koonse (ギター4/5/8)
録音:2018年11月/ロサンゼルス

 今回はベーシストに日本人気のニッキ・パロットを招いてピアノ、ベースのデュオ演奏にウェルスマンのヴォーカルを乗せている。それが又バックがシンプル演奏であり、その為アカペラに近いヴォーカルが手に取るように聴ける。又三曲ではパロットのヴォーカルも登場する。
 これは完全に日本人向けの日本盤アルバムで、とにかくポピュラーな曲がぞろぞろ出てくる。

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1. バードランドの子守唄
2. 慕情
3. アローン・トゥゲザー
4. サヴォイでストンプ
5. 酒とバラの日々
6. アズ・ロング・アズ・アイ・リヴ
7. 時の過ぎ行くまま
8. イルカに乗った少年
9. 降っても晴れても
10. ラヴ・ミー・テンダー
11. バット・ノット・フォー・ミー
12. グッド・ライフ
13. フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン
14. 素敵なあなた
15. ドリーム

 とにかく人気、実力を兼ね備えたトップ・シンガー&ピアニスト、キャロル・ウェルスマン。彼女の落ち着いた温もりたっぷりのマイルドにして包み込むような歌声が好感である。又彼女のピアノは非常に丁寧に優しく弾かれ、そこにニッキ・パロットのベースが6曲でサポートする。まあとがった刺激の無い、しかし軽くなく重量感のあるところはさすがベテランだ。

 上のListのように、とにかくなじみ深いポピュラーなスタンダード曲を後から後から登場させる。そんなところからとにかく刺激無くゆったりと聴くことが出来る。
 M2."Love Is A Many Splendored Thing 慕情" こんな映画音楽も懐かしい。
   M4."Stompin' At The Savoy"は、ピアノとベースのデュオの上にウェルスマンとパロットのヴォーカルのデュオが乗って、又ギターも加わって楽しい曲に仕上がっている。
   M5."Days Of Wine And Roses 酒とバラの日々"この曲が、このアルバムではギターも入ってちょっと特徴があって、なかなかよい出来だったと言って良いのだろう。
 M8."Boy On A Dolphin イルカに乗った少年"もピアノの調べに乗って美しく歌い上げている。
 M10."Love Me Tender"、昔プレスリーでよく聴ききましたが、ウェルスマンもしっとり歌ってくれる。
 M13."Fly Me To The Moon" 結構一生懸命歌ってくれてます。
 M15."Dream" これを聴くと、パロットと一緒のヴォーカル・デュオが結構良くて、もう少しこのスタイルあってもよかったのかなぁーとも思うところだ(3曲だけだった)。

 とにかく毒の無い素直な丁寧な優しいそしてちょっと洒落ているヴォーカル・アルバムで万人向きというか、日本人向けのやさしいジャズ・アルバム。これは多分、日本からの要請で、彼女の気合いの入ったアルバム作りの中での息抜きみたいなものなんでしょうね。何かジャズを求めての芸術性みたいなところからは別物で、簡素と言えば簡素な曲作りだ。ときにはこうゆう気楽なアルバムも良いと言っておきたい。

(評価)

□ 選曲・演奏・歌  ★★★★☆
□ 録音       ★★★★☆

(試聴)

 

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