72年の キング・クリムゾンKing Crimson 「Live in Newcatle」
72年の驚異の好演奏と好録音・・これは決定盤
ミューアのパーカッションが・・これぞクリムゾン
<Progressive Rock>
King Crimson 「Live in Newcatle」
Panegyric / EU / CLUB48 / 2019
Robert Fripp(g, mellotron)、John Wetton(b, vo)、David Cross(violin, mellotron)、Bill Bruford(ds)、Jamie Muir(per, allsorts)
ここに来て、またしてもフリップ魔術でキング・クリムゾン病が発症している。近年のライブ総集編『KING CRIMSON AUDIO DIARY 2014-2018』(KCXP5007/2019)(→)がリリースされ、これは5枚組アルバムであって連日聴いているのだが、これをレポートする前に、まずは片付けておかねばならないアルバムがある。それはこの『Live in Newcastle』だ・・・今年リリースされたライヴ音源発掘シリーズ「The King Crimson Collectors’ Club」の第48弾。1973年のアルバム『Larks' Tongues In Aspic 太陽と戦慄』 発売前の1972年秋から冬にかけてのUKツアーより12月8日のニューカッスル公演を収録したもの。なんと言っても私がファンであったジェイミー・ミューア在籍時の音源で、涙もの。
(Tracklist)
1. Larks’ Tongues in Aspic Part One 10:47
2. RF Announcement 1:09
3. Book of Saturday (Daily Games) 2:49
4. Improv I 14:49
5. Exiles 6:20
6. Easy Money 9:33
7. Improv II 17:28
8. The Talking Drum 5:49
9. Larks’ Tongues in Apsic Part Two (incomplete) 3:47
アルバム『Larks' Tongues In Aspic太陽と戦慄』の全曲収録。しかもその間にインプロが挟まれるという構成。それぞれの曲のスタイルはほぼ完成しいるが、なんと言ってもライヴであるだけに、それぞれのメンバーの試行錯誤と思い入れが入っていて、正直言ってアルバムよりインパクトがある。又不思議なことに何十年と彼らのライブ音源を追ってきたのであるが、当時のものがこのモノラルではあってもこの良音質で聴けるのは奇跡に近い。演奏も悪くない、とくにフリップのギターフレーズを振るっているし、なんと言ってもミューア(→)のパーカッションが十分堪能出来る。
M1."Larks’ Tongues in Aspic Part One" 伝説的な映像版でも見てきたとおりのミューアはホイッスルを駆使してのパーカッション・プレイが重要で、クロスのウァイオリンもスリリングに、そしてフリップのギターもロックを超越していて・・・当時両者ここまでプログレッシブであったことに改めて脱帽。
M3."Book of Saturday " はウェットンのヴォーカルが懐かしさを呼び起こす。当時のクリムゾンのスリルと荒々しさとこのロマンティックな歌の交錯による世界は類を見ないモノだった。
M4."Improv I" これと M7."Improv II" がこのアルバムでは核である。これぞクリムゾンと唸らせる。彼らのインプロヴィゼーションの結晶。15分と17分のブラッフォードのドラムスとミューアのパーカッションが最も生き生きとする世界だ。なんとミューアのソロ・パートもあってアルバムでは聴けないライブものの最も楽しめるところ。今のクリムゾンにはこのミューアのパーカッションが無いのが物足りない一つだ。フリップのキターがどこか哀愁がある。 M5."Exiles" クロスのヴァイオリンとフリップ(→)のメロトロンの叙情性がクリムゾンのもう一つの私が愛した面である。
M6."Easy Money" いつもどうりの盛り上がりを作るが、後半のインプロがいいですね、パーカッションがここでも有効。
M8."The Talking Drum" ブラッフォードのドラムスは当然だが、クロスのヴァイオリンの盛り上がりも凄い。
M9." Larks’ Tongues in Apsic Part Two (incomplete)" はおまけのように途中でストンと終わってしまうのが残念。
こうして驚異の録音盤が時として現れるのはフリップの魔術なのか、何時も私なんかはそれにまんまとひっかかって興奮してしまう。こうして周期的にクリムゾン病が発症するのはなんと50年も続いているのである。
それにつけても、ミューアをここで感じ取れたことは感動であったと同時に、このところの三人ドラムス・クリムゾンに現をぬかしていたわけだが、それにも増してこの50年近く前のがクリムゾンが如何に素晴らしかったかを再認識するのである。
(評価)
□ 曲・演奏 ★★★★★
□ 録音 ★★★★☆☆
(視聴)
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コメント
風呂井戸さん,おはようございます。
よくもまぁこんな音源が残っていたものだと思いますが,これ聞いたら誰だって興奮しますよね。Larks Part 2のフェードアウトは痛いですが,それを補って余りある強烈な音源でした。
ということで,当方記事のURLを貼り付けさせて頂きます。
http://music-music.cocolog-wbs.com/blog/2019/06/post-52de99.html
投稿: 中年音楽狂 | 2019年11月 4日 (月) 10時03分
中年音楽狂様
わざわざ、こちらにお出まし頂いて有り難うございます。
このところ、クリムゾンの歴史ではもう長い方になる6年続いた"三人ドラムス・クリムゾン"も締めくくりの様相が出てきていますので、ちょっと諸々回顧しています。そんな中でやはり私的にはジェイミイ・ミューアの存在を評価している訳でして、そんな中ではこの突然出た1973年の「Live in Newcatle」は取り敢えず記録に残しておかねばと、取り上げた次第です。
私はイエスよりフロイド派ですが、クリムゾンはその一方に必ず存在しているというロックの歴史でした。50年もこうして聴いてこれるバンドはフリップ様々です。そして"宮殿"、"スターレス"、"エピタフ"を愛しつつ" Larks’ Tongues in Aspic "をこよなく評価しているということで、よろしくお願いします。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2019年11月 5日 (火) 10時56分