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2020年1月28日 (火)

イエトゥル-・ルンデの美声 Gjertrud Lunde 「HJEMKLANG」

とにかく素晴らしい心洗われる美声に包まれて・・・

<Jazz>

Gjertrud Lunde 「HJEMKLANG」
ozella music / Germ. / OZ054CD / 2014

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Gjertrud Lunde - イェトゥルー・ルンデ - voice
Wolfert Brederode - ヴォルファート・ブレーデローデ - piano
Florian Zenker - フロリアン・ゼンカー - guitar, baritone guitar ,electronics
Bodek Janke - ヴォデック・ヤンケ - drums, percussion
Guest : Arve Henriksen - アーブ・ヘンリクセン - trumpet

 美女・美声のノルウェーのシンガー=イェトゥルー・ルンデは、2017年に来日しているが、この一月に再び来日して各地でのライブを行うと言うことで、取り敢えず聴いてみたアルバムである。さらに、ここでかって紹介したことのあるヴォルファート・ブレーデローデ (アルバム「Black Ice」(ECM2476/2016))がピアノでバックを固めている。来日も彼はトリオで同行してのカルテット構成で演奏してくれるというので楽しみである。

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  まあジャズと言えばジャズ。つまりジャズ特有の境界域の不明なジャンルには入るのだろうが・・・ちょっと違うと言えば違うようにも・・・というアルバムですね。

(Tracklist)

1.Akk Mon Min Vei
2.Going Home
3.Marche Vers L'aube *
4.I Dine Tanker / Tanto *
5.Finnskogene *
6.Pilgrim *
7.Rêve Bleu *
8.Beautiful *
9.Lead Me *
10.Gjendines Bådnlåt
11.Eg Veit I Himmerik Ei Borg

 収録曲11曲中7曲が彼女のオリジナル曲と来るから、音楽院の学位を持つ彼女の立ち位置が想像できるところであり、とにかく冒頭から清涼感ある透明度の高い歌声に驚かされる。
 M1."Akk Mon Min Vei "はノルウェーのトラッドのようであり、M2."Going Home"は、我々もよく知るドヴォルザークの「家路」である。その他の彼女の曲以外の2曲(M10, M11)はやはりノルウェーのトラッドと記されていて、深淵である。
 バックの演奏もギターが、ピアノが、北欧ならではの幻想的というか、広い静かな空間に広がるサウンドを聴かせてくれる。

 彼女のオリジナル曲も、伝統を重んじての美しい世界を描いていて感銘を受けるが、 そこには単に美しいと言うだけで無く、ノルウェーの北欧の暗さもあるし、海の冷たい青も描いている。又深遠な森にある不思議な空気感も訴えてくる。
 とにかく全編ブレることなく 北欧の自然を我々に見せてくれる世界だ。アルバムとしての価値は高い。
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 イェトゥルー・グルンデGjertrud Lundeは現在ドイツで活動中のようだが、彼女はノルウェーの音楽一家に生まれる。4歳で最初のコンサートを行う。ノルウェー Stavanger音楽院で学んでいる間においても、幾つかの歌唱コンペで優勝したり幾多の賞や奨学金も得ていたという。オランダのハーグ音楽院でクラシック歌唱と古楽を学んで学位を得ている。このあたりの実力がこのアルバムではにじみ出ている。
 学業と並行してヨーロッパやアメリカでフェスティヴァルやコンサート・ツアーなども行ったらしい。ドイツに住んでからは、古楽、ワールド・ミュージック、ジャズを合わせての自分の音を作り出したのだそうだ。そしてこの2014年のデビュー・アルバムである 「Hjemklang」 は、世界的なジャズ批評サイト All About Jazz により 2014年のベストアルバムの一つに挙げられていると紹介されている。

Image_20200125213601  ヴォルファート・ブレーデローデWolfert Brederode (ピアノ) は、オランダ出身。現代オランダ・ジャズ・シーンで最も輝き、評価は非常に高く、三枚の ECMレーベル・アルバム( 「Currents」( 2007)、「Post Scriptum」(2011)、「 Black Ice」( 2016) ) がある。スイスのシンガーSusanne AbbuehlのECMアルバムにも参加していて一緒に来日した(右は来日時の私とのツーショット)。洗練されたピアノ・タッチから生まれる深遠な世界も聴きどころ。

(評価)
□ 曲・演奏・歌  ★★★★★☆      95/100
□ 録音      ★★★★☆         85/100

(参考視聴)

*

 

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2020年1月24日 (金)

メッテ・ジュール Mette Juul 「CHANGE」

究極のヴォーカル・アルバムの線をゆく

<Jazz>

Mette Juul 「CHANGE」
UNIVERSAL / Denmark / 7796107 / 2019

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Mette Juul : vocal & guitar
Ulf Wakenius : guitar
Lars Danielsson : acoustic bass, cello, cymbals
Heine Hansen : piano, rhodes, celeste, harmonica
Gilad Hekselman : guitar
Per Mollehoj : guita

Image_20200122214101  北欧デンマークの女性ギタリスト兼ヴォーカリストのメッテ・ジュールの最新盤。彼女に関しては、かってここでそのヴォーカルに高評価を付けた私だが(参照 「Comming In From The Dark」(2010) →)、あれから9年経っているんですね(その間アルバム「Moon on My Shoulder」(2013)があるが)。ここでもその流れは十分に発揮している。
 アコースティックな静かな落ち着いたギターを中心としたバックに、フォーキィーにブルージーにシンプルに際だった装飾やテクニックをこらすことなく歌い上げる。

(Tracklist)

1.Beautiful Love
2.At Home (There Is a Song) *
3.Get Out of town
4.It Might Be Time To Say Goodbye *
5.Double Rainbow
6.Just Friends
7.I`m Moving On
8.Dindi
9.Young Song *
10.Without a Song
11.Northern Woods
12.The Peacocks ( A Timeless Place )
13.Evening Song *

(*印 メッテ・ジュールのオリジナル)

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  彼女自身のギター以外にも、ウルフ・ワケニウスそしてギラッド・ヘルスマンのギターがいいですね。又ラーシュ・ダニエルソンのベースやチェロなどが入る。これらも極めてシンプルに、アコーステイックで、彼女の歌声を支える。
 その彼女の歌は、どちらかというとフォークに近い牧歌的であるが、時にブルージーでとにかく冒頭M1.".Beautiful Love"からしっとりと嫌みの無い充実感たっぷりの素直なヴォーカルである。これぞ彼女の神髄と言って良いだろう。とにかくシンプルな演奏で、彼女のヴォーカルが眼前で歌っているがごとく録音されている。
 13曲収録されているが。メッテ自身の曲も4曲ありM4."It Might Be Time To Say Goodbye"あたりはしっとり歌い聴かせる曲でなかなかいい。最後のM13."Evening Song "も同様でアコースティック・ギターの弾き語りであろうか、訴える力を持っていていつの間にか彼女の世界に引き込まれる。
 M3."Get Out of town"は、なんとコール・ポーターの書いたミュージカルの曲で、このアルバムの中でも異色で結構リズムカルに迫ってくる。
 その他、アントニオ・カルロス・ジョビンの曲もM5."Double Rainbow "、M8."Dindi "と登場する。このように意外に幅広いところを網羅しているが、いずれもメッテ流の世界になっていて、このあたりは彼女の実力を評価したい。

 なかなか彼女の声の質も良く、含蓄のあるヴォーカルで、アコースティックな演奏がバックで支え、上出来のアルバムといっておく。

(評価)
□ 曲・歌  ★★★★★☆   90/100  
□ 録音   ★★★★☆   85/100

(視聴)

 

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2020年1月19日 (日)

ミクロス・ガニ・トリオ Miklós Gányi Trio 「Retrospective Future」

新感覚のピアノ・トリオを目指して・・「回顧的未来」の意味は ?

<Jazz>

Miklós Gányi Trio「 Retrospective Future」
Atelier Sawano / JPN / AS168 / 2020

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Miklós Gányi  (piano)
Péter Oláh (bass)
Attila Gyárfás (drums)

 私にとっては初めて知るピアノ・トリオだ。澤野工房がヨーロッパのピアノ・トリオを中心にアルバムのリリースを展開しているが、今や音楽業界とくにヨーロッパではCDリリースは下火の状況であり、そんな中で、ハンガリーのピアニストのこのミクロス・ガニは自ら澤野に売り込んできたという。
1007927958  しかしその評価は良好で、2017年にスタンダード曲限定という制約の中で『Beyond the Moment』(AS157)がリリースされ、そして晴れて2019年になってオリジナル曲を加味してのアルバム『The Angle of Reflection 』(AS166)(→)がリリースされることになった。更にそれがそれなりの評価があったと言うことだろう、日本でのライブが行われ、更にこの第三作目のアルバム『Retrospective Future』がリリースされたという経過である。

(Tracklist)

1. Majority
2. Get Lucky
3. Estate*
4. Continuum
5. Fragile
6. 'Round Midnight*
7. One For P.B.
8. Wicked Game
9. Overjoyed*
10. Body and Soul
(*Piano Solo #3,6,9)

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 このアルバムにはトリオ演奏7曲、ガニのピアノ・ソロ3曲という構成で、又オリジナル曲は2曲に止まっていてその他はカバー曲である。

 冒頭M1に"Majority"というオリジナル曲を配して、彼ら自身のピアノ・トリオというものの解釈をもって我々に迫ってくる。これはユーロ独特の美旋律による哀愁の曲というのとは全く異なっていて、むしろトリオのアンサンブルを全面に出しながらも快適なテンポで、ピアノ、ベース、ドラムスがそれぞれソロ展開を取り入れつつ主張する演奏パターンをみせ、これはちょっと一筋縄では行かないぞと思わせるのである。
 大体アルバム・タイトルが「回顧的未来」というところが意味深で、スタンタード曲とオリジナル曲のギャップをどうこなすかというピアノ・トリオとしての意気込みが感ずるところだ。
 しかしM3." Estate"をガニがソロ演奏するというところに、なるほど一つの旋律の美学をはらんでいることが見える。しかし決して単純なカヴァーでなく、その編曲は今まであまり聴かない面白いパターンで聴かせてくれる。この曲は私の好きな曲(参照 http://osnogfloyd.cocolog-nifty.com/blog/2019/09/post-668808.html)であるので多くの演奏を聴いてきたので比較できるのだが、いかにも新感覚ジャズを求めていると言う世界だ。
 M4. Continuum", M5"Fragile" は、やはりそこにはピアノの美旋律によるピアノ・トリオとしての形はしっかり築いている。
 M6."'Round Midnight" はモンクの曲だが、ピアノ・ソロでゆったりと演じて心地よい。
 M7."One For P.B." はオリジナル曲で再び新感覚ジャズに迫ろうとする。M8."Wicked Game"は美しく優しい展開を見せ、このような曲の配置はメリハリがあって上手い。
 M9."Overjoyed" のピアノ・ソロ演奏も単純な音に流さない技法を聴かせて自己主張するところが聴きどころ。

 こんな流れのアルバムであって、すぐ飛びつく名盤というのでなく、何度も聴くに従って味が出てくるという不思議なアルバムでもある。

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 ピアニスト・ミクロス・ガニは、1989年プダペスト生まれというから、なんとまだ若き30歳。5歳よりバイオリンを習い、その後ピアノに転向、わずか12歳で権威あるコンクールで優勝したという。クラシックを学んだが、高校時代からジャズに傾倒していったという経過。近年、澤野に売り込みそれなりの評価を受けたというところ。彼らの写真をみると特にガニは30歳とはおもえない貫禄があって、むしろそのあたりと感覚の新鮮さのギャップが面白い。彼のピアノは意外に単純にゆかない早引きと余韻の残し方の世界が印象に残る。

(評価)
□ 曲・演奏  ★★★★☆  85/100
□ 録音    ★★★★☆  80/100

(視聴)

 

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2020年1月14日 (火)

ダイアナ・クラール2019年東京ライブ Diana Krall 「3 DAYS IN TOKYO 2019」

相変わらずの広範囲カヴァー曲群を披露
あの好録音マルチ・ステレオIEMマトリクス音源で登場

<Jazz>

Diana Krall「DIANA KRALL 3 DAYS IN TOKYO 2019」
Non-Official Album  / XAVEL-SMS-216 / 2019

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Recorded Live at Orchard Hall, Tokyo, Japan
5th, 6th, 7th November 2019

XAVEL ORIGINAL MASTER
MULTIPLE STEREO IEM SOURCES MATRIX RECORDING

ダイアナ・クラール(ヴォーカル&ピアノ)
アンソニー・ウィルソン(ギター)
ロバート・ハースト(ベース)
カリーム・リギンス(ドラムス)

  いやはや、このような立派なサウンドのダイアナ・クラール・ライブ・アルバムがリリースされるとは有難いですね。
 今回の2019年のジャパン・ライブも大都市、大会場、高額チケットと言うことでパスしたんですが、これだけの出来のCD盤がリリースとなれば、もはやこれで十分、我が貧弱なオーディオ・ルームと言えども大音響で手に取るように聴き取れてバンザイである。

 今回は前回と違って、彼女もコンディション良好の溌剌たるパフォーマンスで会場を沸かしている。オープニングの挨拶"こんにちわ"も元気が良い。
 このアルバムは東京三日間の公演で、セットリストには日替わりでかなりの相違があるので、やはりファンとなれば三日間しっかり聴きたいところ、そんな意味でも CD五枚組で、三日間全てを網羅しているところも納得ものだ。
 これは近年びっくりさせられたあの評判の良い「マルチ・ステレオIEMマトリクス音源」で、オフィシャルものといっても十分以上であるパーフェクト・サウンドで優良最たる盤である。

(Tracklist)

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◆Recorded Live at Orchard Hall, Tokyo, Japan 5th November 2019
[XAVEL ORIGINAL MASTER : Multiple Stereo IEM Sources Matrix Recording]
(DISC 1)
01. 'Deed I Do
02. All or Nothing at All
03. L-O-V-E
04. You Call It Madness (But I Call It Love)
05. I've Got You Under My Skin
06. Devil May Care
07. Cry Me a River

(DISC 2)
01. East of the Sun (and West of the Moon)
02. A Case of You
03. I Was Doing All Right
04. Cheek to Cheek
05. Boulevard of Broken Dreams
06. The Look of Love

[2nd Night]
◆Recorded Live at Orchard Hall, Tokyo, Japan 6th November 2019
[XAVEL ORIGINAL MASTER : Multiple Stereo IEM Sources Matrix Recording]
(DISC 1)
01. 'Deed I Do
02. All or Nothing at All
03. You Call It Madness (But I Call It Love)
04. L-O-V-E
05. How Deep Is the Ocean
06. The Look of Love
07. East of the Sun (and West of the Moon)

(DISC 2)
01. Take It With Me
02. Moonglow
03. Exactly Like You
04. I Just Found Out About Love
05. I've Got You Under My Skin
06. The Night We Called It A Day
07. I Don't Know Enough About You

[3rd Night]
◆Recorded Live at Orchard Hall, Tokyo, Japan 7th November 2019
[XAVEL ORIGINAL MASTER : Multiple Stereo IEM Sources Matrix Recording]
01. 'Deed I Do
02. All or Nothing at All
03. I've Grown Accustomed To His Face
04. East of the Sun (and West of the Moon)
05. Night and Day
06. I Was Doing All Right
07. A Case of You
08. Quiet Nights Of Quiet Stars
09. I Just Found Out About Love
10. This Dream of You

 ダイアナ・クラールの近作は『ターン・アップ・ザ・クワイエット』(2017)、グラミー賞ノミネートの『ラヴ・イズ・ヒア・トゥ・ステイ』(2018)と言うことになるが、スタンダード・アルバムとヴォーカル・アルバムということで、今回の来日もヴォーカリストとしての立ち位置での演奏も多く、非常に一般的に聴きやすい選曲と演奏になっている。実のところ彼女の演奏能力も高くカルテットとしての演奏もしっかり盛り込んでいる。現在の人気はヴォーカルに寄っているので、両者うまく並べての日本ファン向けのライブという内容であったと言って良いだろう。

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(  ↑ 2nd Night : 6th November)

 連日披露の得意の"East of The Sun(and Ewst of The Moon)"は演奏、ヴォーカルともバランスよく披露。
 又バラード調でしっとりと歌い込んでくれる曲も多く、ジョニィ・ミッチェルの"A Case of You"もいいですね。更にナット・キング・コールの"You Call It Madness"、そしてコール・ポーターの"I've Got You Under My Skin"などのギターをバックの静かに、しっとりムードは最高ですね。
 更に初日のみであった代表曲"Cry Me a River"、そして二日目の"The Night We Called It A Day"は、ピアノの弾き語り、静かに美しいギターをバックのボーカルは円熟した彼女を見る思いである。
 一方、初日のマイルス・デヴィスの得意曲"Devil May Care"はこのカルテットの実力発揮のジャズ演奏。又"Deed I Do", "I Just Found Out About Love" ," I Was Doing All Right"などなどは彼女らしいスウィングしたピアノ演奏も堪能出来る。特に初日の得意の"Cheek Cheek"は過去の演奏より更に快調である。
 一方、ロック畑からのグリーン・ディの"Boulevard of Broken Dreams" をギターをバックにしっとりとした歌い込み、又二日目のトム・ウェイツの"Take It With Me"の弾き語りといいですね。彼女はロック曲の歌が結構ナイスなんですね。
 又二日目のアンコール曲" I've Got You Under My Skin"なんかは今までに無くご機嫌で歌っているし、初日のジョニ・ミッチェルの"A Case of You"も相当ご機嫌だ。

 いずれにしても、今回のジャパン・ライブは盛況であったり、彼女自身のコンディションも相当良かったようで、少なくともここで聴く東京公演はかなりご機嫌で話も多く、彼女としては珍しい明るいライブであった。ここ何年かのライブの中でも非常に充実度は高かったと言ってよい。

(評価)
□ 選曲・演奏 : ★★★★★☆ 95/100         
□ 録音    : ★★★★☆   85/100

(参考視聴)

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2020年1月10日 (金)

ジェフ・ベック Jeff Beck 「CROSSROADS GUITAR FESTIVAL 2019」

ジェフ・ベックは相変わらずの歳を感じさせない若さを発揮
ジョニー・デップがゲスト参加

<Rock>

Jeff Beck 「CROSSROADS GUITAR FESTIVAL 2019」
VIDEOSMASH / VS-324BDR / 2019

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LIVE PRO-SHOT BLU-RAY DISC 5.1SURROUND
Live at American Airline Center, Dallas, Texas, USA
September 20, 2019

Jeff Beck : Guitar
Vinnie Colaiuta : Drums
Rhonda Smith : Bass
Jimmy Hall : Vocal
Venessa Freebairn-Smith : Cello
(Guest)Johnny Depp : Guitar, Vocal

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 エリック・クラプトンの主催する毎年行われているギター・フェスティバルの「CROSSROADS」だが、今年9月20日のジェフ・ベックのステージの模様をプロショットで完全収録したBootleg盤。しかしブルー・レイによる画像も素晴らしく、又音質も5.1サラウンドと立派。

 そして今年はなんとスペシャル・ゲストとして、昨年来共演で話題になっていたあのジョニー・ディップがギターとともにボーカル・ナンバーを披露している。

  メンバーはこのところのあの美人チェロリスト擁したジェフ・ベック・バントである。そして演ずる曲は下のようなところであった。

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 ジェフJeff Beck のギターに、いつものスミスRhonda Smith(Bass) ,  久しぶりのカリウタVinnie Colaiuta(Drums)そして話題の ヴェネッサVenessa Freebairn-Smith のCelloが加わる布陣で、今までプロショットものがまだ公開してかったため、貴重な映像盤。例のJimmy Hallのヴォーカルが入る。
 そしてなんと あの話題のジョニー・デップJohnny Depp がギターとヴォーカルでこの「CROSSROAD」にもゲスト出演。これはやっぱり話題になる。

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 しかし私は、このジェフ・ベック・バンドでは注目の一つは、ヴェネッサのチェロがどのように曲の中で生きるのかということにもあった。もともと過去にキー・ボードも多用したジェフ・ベックであるので、恐らくそのような感覚でチェロを流すのだろうと踏んでいたのである。それはM2."CAROLINE,NO"で手に取るように解った。それはバラード調の曲でチェロの調べが流れ、そこにシェフの美しいギターが乗るパターンでお見事と言うことになる。このあたりはこの映像版で非常に解りやすい。

 そしてM4."RUMBLE"からジョニー・デップが登場して、まずM5."ISOLATION"でヴォーカル披露開始、まあ上手いとは言えないが、興味をそそるところはピカイチ。
 そしてM6."HEDDY LAMAR"では、ジョニーはしっとりと歌い上げる。この曲がこのゲスト出演のメインの曲なんだろうなぁ。チェロ、ギターが静かにメロディーを流し、しっとりと聴かせるパターン。
 M7."BRUSH WITH THE BLUES"は、ジェフのギターの聴かせどころで盛り上がる。

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 毎年、「CROSSROADS」で楽しませてくれるジェフ・ベック、これも年中行事になっていて彼の健在ぶりを見ることが出来て。結構なことである。又こうしたプロショットの優良映像盤の出現も頼もしい限りである。そしてここでも観れたジョニー・デップには、いずれにせよ驚きました。

(評価)
□ 選曲・演奏 ★★★★☆  80/100
□ 録音・映像 ★★★★★    100/100

(参考視聴)

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2020年1月 6日 (月)

キース・ジャレットの挑戦 Keith Jarrett Trio 「DIFINITIVE HAMBURG 1989」

キースのスタンダーズ・トリオによるジャズへの挑戦
ベストパフォーマンス
"ムジークハレ(1989)"の完全盤登場

<Jazz>

Keith Jarrett Trio 「DIFINITIVE HAMBURG 1989」
Live At Musikhalle, Hamburg, Germany October 1989
K-PROJECT (Non-Official)

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キース・ジャレット(p)
ゲイリー・ピーコック(b)
ジャック・デジョネット(dr)

 1977年のゲイリー・ピーコックのアルバム『テイルズ・オブ・アナザー』(ECM)が初めての顔合わせとなったキース・ジャレット、ゲイリー・ピーコック、ジャック・ディジョネットのトリオは、1983年になって再びECMのマンフレート・アイヒャーによって集められ、『スタンダーズVol.1』『スタンダーズVol.2』『チェンジス』の3つのアルバムを発表した。このトリオはスタンダーズと名付けられているが、実はスタンタード・ナンバーを演ずる目的よりは、アルバム『チェンジレス』(ECM1987)にみるように、それを契機に彼らの世界を広めたのであったと言ってもいい。つまり自作の発表の舞台としての役割だったと思うのがスタンダードの演奏であり、しかもそのものの曲自身もスタンダード演奏として誰も聴いていないところがミソなんだろう。

█ ジャズへの挑戦であったこのスタンダーズ・トリオ

  キースがスタンダードを演奏すると言うことは、実はジャズそのものへの挑戦であったというのは間違いないと思う。古くはジャズと言えばデキシー・ランド・ジャズだというアメリカ人の感覚は、キースから見れば、それに対する抵抗であったも言えるのだ。スタンダードをピーコックとディジョネットとのトリオで演ずること事態、実はその影にトリオによるフリー・ジャズの発展を企てたと言って良いのだろう。
 そこが当時のスタンダーズ・トリオの興味が引かれる重要ポイントだ !! 。スタンダーズ・トリオは実はライブで初めて彼らの姿を知ることが出来るのである。

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 そんな流れが確立した時に行われた1986年のドイツはハンブルグでのライブ、これがオフィシャル・リリースがないだけに、"ムジークハレ"と呼ばれ世間の注目度も高く、従来はエア・チェックされたものを音源として、マニアには宝物として扱われたきた。ところがここに来てデジタル音源の登場で、まさにものによってはオフィシャル盤を超えたCD盤の登場を見たモノだ。しかも二枚組でライブ・フル録音盤でありそこに意味があり、取り敢えず私の愛聴盤と化しているのである。

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Disc 1
1.My Funny Valentine
2.Never Let Me Go
3.All Of You
4.The Cure
Disc 2
1.Summer Night
2.Everything Happens To Me
3.I'm A Fool To Want You
4.I Remember Cliford
5.U Dance


 以上全9曲、一曲20分を超える熱演もある。
 実はこの当時の80年代後半から90年代にかけては、キースは本格的なクラシック音楽のレコーディング活動を行っている。ECMのクラシック部門であるECM New Seriesが創設され、しかもその第一弾であるアルヴォ・ペルトの『タブラ・ラサ』のレコーディングへの参加が、最初の本格的なクラシック・現代音楽作品の録音だ。このアルバム収録の「フラトレス」でジャレットはギドン・クレーメルと共演しているのだ。その後キースは1987年のJ.S.バッハの『平均律クラヴィーア曲集第1巻』を、更にJ.S.バッハとショスタコーヴィチ、他にはヘンデル、モーツァルトなどの作品を取り上げている。もともとマルチ・プレイヤーでピアノだけでなく、ハープシコード、クラヴィコードも演奏した。これはこんな時のスタンダーズ・ライブである。

 オープニングM1-1."My Funny Valentine"から、キースが奏でる音の美しさに痺れてしまう。そしてM1-2."Never Let Me Go"では完全に美しく心の奥底に響くのである。ゲイリー・ピーコックの当時のベースの音も包容力がありますね。。ピアノの音にデジョネットのシンバル、スネアが生み出す音が、これまた不思議に重なり合って美しく化して素晴らしい。
 Disc2においてもM2-2"Everything Happens To Me"の中盤からのベース、ドラムスの展開はこれぞジャズと訴えるが、後半キースのピアノががらっと変わって物思いにふけってゆく。
 M2-3."I'm A Fool To Want You"  はベースそしてドラムス・ソロを絡めてピアノの美しさを聴かしいゆく憎い展開。それはなんと20分を超えてのスタンダース越えの曲となる。
 M2-4."I Remember Cliford " も、静かに聴かせるピアノ・ソロに近いパートがしっかりとられ、静かに心の奥に沈むことが出来る。

 これぞ、私にとっては当時のアメリカン・ジャズへの挑戦の姿として捉えるキース・ライブであり、従って当時のオフィシャル盤(『チェンジレス』を除いて)では知り得ないアルバムとして存在する。

(評価)
□ 曲・演奏 :   ★★★★★ 100/100
□  録音   : ★★★★☆    80/100

 

(参考試聴)

 

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2020年1月 1日 (水)

アレキサンドラ・シャキナ Alexandra Shakina 「MOOD INDIGO」

Dsc03261trsw 謹賀新年  

2020年元旦
今年もよろしくお願いします。

 

 

 

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                        (ナナカマド)

 さて元旦早々何からスタートしようか考えましたが、やはりシャズ・ヴォーカル界は完全に女性ヴォーカルの天下、従って2019年リリースの注目株からスタートとします。

  ロシアの歌姫の相変わらずの低音の魅力で2ndアルバム登場

<Jazz>
Alexandra Shakina 「MOOD INDIGO」
Venus Records / JPN / VHCD-1267 / 2019

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Alexandra Shakina (VOCALS)
Massimo Farao (PIANO)
Nicola Barbon (BASS)
Gianni Cazzola (DRUMS)

2019年1月21日,22日 Riverside Studio Torino Italy 録音

Produced by Tetsuo Hara
Engineered by Alessandro Taricco
Mixed and Mastered by Tetsuo Hara
Photography by VictoriaNnazarova
Designed by Artplan

  ロシアの歌姫アレキサンドラ・シャキナの第二弾。ロマンチックなハスキー・ヴォイスと言われているが、ハスキーというよりは低音に重量感のある歌声で訴えてくる。アルバム・デビューは2018年で、まだニュー・フェースに近いが、なかなかの学歴と経験の持ち主で教壇にも立っているようで、所謂若者ではなさそう。

91akeo3vbl_ss500_  今作も、以前ここで取り上げた前アルバムの1st『All The Way』(2018年)(→)と全く変わらないスタイルでのロマンチックなスタンダード曲集である。
 実はVenus Records と言うことで、少々尻込みするのだが、この彼女のヴォーカル・アルバムは前作以来、かなりの実力のあるヴォーカリストとして実は一目置いている。とにかく曲の内容をしっかり歌い込んでくるテクニックも素晴らしく、訴える力も大きい。おそらくロシア出身とはいえ、自由主義圏での学んだ成果が出ているのではと思うところだ。
  バックは女性ヴォーカルを支えるに手慣れている前作同様マッシモ・ファラオ・トリオである。このトリオはイタリアにしてはアメリカ的ジャズが得意で、私はそれ程思い入れは無かったが、過去にここで二度ほど取り上げている。そして録音はイタリアに於けるものであり、明らかにこれはロシアとの関係では無く、イタリア産とみてよいと思う。

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1.エスターテ
2.アイ・クッド・ハブ・トールド・ユー
3.ロマンチックじゃない?
4.レッツ・フェイス・ザ・ミュージック・アンド・ダンス
5.ラブ・ユー・マッドリー
6.ムード・インディゴ
7.オンリー・トラスト・ユア・ハート
8.スリーピン・ビー
9.テイク・ラブ・イージー
10.ユー・アー・ザ・トップ
11.カムズ・ラブ
12.アイム・ア・フール・トゥ・ウォント・ユー
13.あなたを想いて

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 スタートはマルティーノの私の好きな曲M1."ESTATE"だ。これで新年冒頭のアルバムとして選んだとう事もあるかも。これが又従来聴く多くのシンガーとは全くイメージの違う太く豊かな低音で迫ってくるところが凄い。そして歌が上手い。
  M2."I Could Have Told You " 、M3."Isn't It Romantic" かなり昔の2曲、こうゆうのを選んでゆったりと情感込めてクールに歌われる様は説得力十分。
 アルバム・タイトル曲M6."Mood Indigo" は、デューク・エリントンの曲で、スローにブルージィーにアメリカン・ムードに仕上げているが、マッシモ・ファラオのピアノがしっとり聴かせるにピッタリのヴォーカルが乗っていい仕上げ。もともとファラオはアメリカン・ジャズ・ムードが得意としているので、M8."A Sleepin Bee"でもスウィング・ジャズを立派に演じている。
 M11."Comes Love"は、なんとベースとのデュオで歌い上げる。こうしたはスタイルはアカペラに近いので歌唱力に自信のある証拠だし、そんな実力を十分発揮だ。
 M12."I'm A Fool To Want You " はビリー・ホリデイーがしっとりきかせてくれた曲で、如何に歌い上げるか注目曲。ここにも彼女なりきの世界が十分感じられていい仕上げだ。

 古きアメリカン・ジャズ・ヴォーカルをファラオのピアノ・トリオをバックにオーソドックスに挑戦したアルバム。そこには立派に歌唱力の実力を示し、ジャケにみる顔立ちからは想像も出来ない魅力的重量級のヴォーカルが全編に満ちている。これはまだまだ続編の出そうな雰囲気を感ずるところであった。評価は並以上とする。

(評価)
□ 選曲・歌唱力  ★★★★☆  85/100
□ 録音      ★★★★☆  85/100

(参考視聴)

 

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