メッテ・ジュール Mette Juul 「CHANGE」
究極のヴォーカル・アルバムの線をゆく
<Jazz>
Mette Juul 「CHANGE」
UNIVERSAL / Denmark / 7796107 / 2019
Mette Juul : vocal & guitar
Ulf Wakenius : guitar
Lars Danielsson : acoustic bass, cello, cymbals
Heine Hansen : piano, rhodes, celeste, harmonica
Gilad Hekselman : guitar
Per Mollehoj : guita
北欧デンマークの女性ギタリスト兼ヴォーカリストのメッテ・ジュールの最新盤。彼女に関しては、かってここでそのヴォーカルに高評価を付けた私だが(参照 「Comming In From The Dark」(2010) →)、あれから9年経っているんですね(その間アルバム「Moon on My Shoulder」(2013)があるが)。ここでもその流れは十分に発揮している。
アコースティックな静かな落ち着いたギターを中心としたバックに、フォーキィーにブルージーにシンプルに際だった装飾やテクニックをこらすことなく歌い上げる。
(Tracklist)
1.Beautiful Love
2.At Home (There Is a Song) *
3.Get Out of town
4.It Might Be Time To Say Goodbye *
5.Double Rainbow
6.Just Friends
7.I`m Moving On
8.Dindi
9.Young Song *
10.Without a Song
11.Northern Woods
12.The Peacocks ( A Timeless Place )
13.Evening Song *
(*印 メッテ・ジュールのオリジナル)
彼女自身のギター以外にも、ウルフ・ワケニウスそしてギラッド・ヘルスマンのギターがいいですね。又ラーシュ・ダニエルソンのベースやチェロなどが入る。これらも極めてシンプルに、アコーステイックで、彼女の歌声を支える。
その彼女の歌は、どちらかというとフォークに近い牧歌的であるが、時にブルージーでとにかく冒頭M1.".Beautiful Love"からしっとりと嫌みの無い充実感たっぷりの素直なヴォーカルである。これぞ彼女の神髄と言って良いだろう。とにかくシンプルな演奏で、彼女のヴォーカルが眼前で歌っているがごとく録音されている。
13曲収録されているが。メッテ自身の曲も4曲ありM4."It Might Be Time To Say Goodbye"あたりはしっとり歌い聴かせる曲でなかなかいい。最後のM13."Evening Song "も同様でアコースティック・ギターの弾き語りであろうか、訴える力を持っていていつの間にか彼女の世界に引き込まれる。
M3."Get Out of town"は、なんとコール・ポーターの書いたミュージカルの曲で、このアルバムの中でも異色で結構リズムカルに迫ってくる。
その他、アントニオ・カルロス・ジョビンの曲もM5."Double Rainbow "、M8."Dindi "と登場する。このように意外に幅広いところを網羅しているが、いずれもメッテ流の世界になっていて、このあたりは彼女の実力を評価したい。
なかなか彼女の声の質も良く、含蓄のあるヴォーカルで、アコースティックな演奏がバックで支え、上出来のアルバムといっておく。
(評価)
□ 曲・歌 ★★★★★☆ 90/100
□ 録音 ★★★★☆ 85/100
(視聴)
| 固定リンク
« ミクロス・ガニ・トリオ Miklós Gányi Trio 「Retrospective Future」 | トップページ | イエトゥル-・ルンデの美声 Gjertrud Lunde 「HJEMKLANG」 »
「音楽」カテゴリの記事
- ビル・エヴァンス BILL EVANS 「FURTHER AHEAD - Live in Fland 1964-1969」(2025.05.12)
- 「ピンク・フロイド伝説-LIVE AT POMPEII」 5回目のお披露目 Pink Floyd「AT POMPEII ‐ MCMLXXII」(2025.05.07)
- イェスパー・サムセン 「Jasper Somesen Invites Anton Goudsmit Live!」(2025.05.02)
- セリア・ネルゴール Silje Nergaard 「Tomorrow We'll Figure Out the Rest」(2025.04.27)
- マテウス・パウカ MATEUSZ PALKA TRIO 「MELODIES.THE MAGIC MOUNTAIN」(2025.04.22)
「JAZZ」カテゴリの記事
- ビル・エヴァンス BILL EVANS 「FURTHER AHEAD - Live in Fland 1964-1969」(2025.05.12)
- イェスパー・サムセン 「Jasper Somesen Invites Anton Goudsmit Live!」(2025.05.02)
- セリア・ネルゴール Silje Nergaard 「Tomorrow We'll Figure Out the Rest」(2025.04.27)
- マテウス・パウカ MATEUSZ PALKA TRIO 「MELODIES.THE MAGIC MOUNTAIN」(2025.04.22)
- ヤニエル・マトス Mani Padme Trio 「The Flight-Voo」(2025.04.17)
「女性ヴォーカル」カテゴリの記事
- セリア・ネルゴール Silje Nergaard 「Tomorrow We'll Figure Out the Rest」(2025.04.27)
- 寺島靖国 「For Jazz Vocal Fans Only Vol.8」(2025.03.28)
- ダイアナ・パントン DIANA PANTON 「SOFT WIND AND ROSES」(2025.03.23)
- アドニス・ローズ、ガブリエル・カヴァッサ Adonis Rose Trio「FOR ALL WE KNOW」(2025.03.18)
- エル ELLE 「ESTATE」(2025.03.08)
「北欧ジャズ」カテゴリの記事
- セリア・ネルゴール Silje Nergaard 「Tomorrow We'll Figure Out the Rest」(2025.04.27)
- カーステン・ダール Carsten Dahl Golden Ratio Trio 「Interpretations The Norway Sessions」(2025.04.07)
- ヤコブ・カールソン Jacob Karlzon 「Winter Stories」(2025.01.12)
- <謹賀新年2025> ラース・ダニエルソン Lars Danielsson, V.Pohjola , J.Parricelli 「TRIO」(2025.01.03)
- ヨーナス・ハーヴィストJoonas Haavisto 「INNER INVERSIONS」(2024.11.25)
「ユーロピアン・ジャズ」カテゴリの記事
- イェスパー・サムセン 「Jasper Somesen Invites Anton Goudsmit Live!」(2025.05.02)
- マテウス・パウカ MATEUSZ PALKA TRIO 「MELODIES.THE MAGIC MOUNTAIN」(2025.04.22)
- レシェック・モジュジェル leszek możdżer 、Lars Danielsson、Zohar Fresco「Beamo」(2025.04.12)
- エル ELLE 「ESTATE」(2025.03.08)
- ルドヴィコ・フルチ Ludovico Fulci 「TI RACCONTO DI ME」(2025.03.03)
「メッテ・ジュール」カテゴリの記事
- メッテ・ジュール(メテ・ユール) Mette Juul 「Celeste」(2023.11.28)
- メッテ・ジュール Mette Juul 「CHANGE」(2020.01.24)
- なんとなく好きな曲 (2) 「 ESTATE (夏) 」・・夏の恨み節(2019.09.18)
- 北欧からの女性ジャズ・ヴォーカル:メッテ・ジュール Mette Juul デビュー(2011.08.08)
コメント
「Comming In From The Dark」のころよりはるかに成熟した歌唱。この先も目が離せませんね。
投稿: 爵士 | 2020年1月30日 (木) 23時27分
爵士さん、こんにちわ。
炭焼きの成果凄いですね。あの菊模様には圧倒されました。
ところで、このご推薦のMette Juulは、嫌みが無く又声の質もトゲが無くなかなかのモノですね。もう1stからは一昔と言うことになろうとしていまして、なかなか円熟してきたのではないでしょうか。
CD難産の時代ですが、次作も期待です。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2020年1月31日 (金) 17時51分