イエトゥル-・ルンデの美声 Gjertrud Lunde 「HJEMKLANG」
とにかく素晴らしい心洗われる美声に包まれて・・・
<Jazz>
Gjertrud Lunde 「HJEMKLANG」
ozella music / Germ. / OZ054CD / 2014
Gjertrud Lunde - イェトゥルー・ルンデ - voice
Wolfert Brederode - ヴォルファート・ブレーデローデ - piano
Florian Zenker - フロリアン・ゼンカー - guitar, baritone guitar ,electronics
Bodek Janke - ヴォデック・ヤンケ - drums, percussion
Guest : Arve Henriksen - アーブ・ヘンリクセン - trumpet
美女・美声のノルウェーのシンガー=イェトゥルー・ルンデは、2017年に来日しているが、この一月に再び来日して各地でのライブを行うと言うことで、取り敢えず聴いてみたアルバムである。さらに、ここでかって紹介したことのあるヴォルファート・ブレーデローデ (アルバム「Black Ice」(ECM2476/2016))がピアノでバックを固めている。来日も彼はトリオで同行してのカルテット構成で演奏してくれるというので楽しみである。
まあジャズと言えばジャズ。つまりジャズ特有の境界域の不明なジャンルには入るのだろうが・・・ちょっと違うと言えば違うようにも・・・というアルバムですね。
(Tracklist)
1.Akk Mon Min Vei
2.Going Home
3.Marche Vers L'aube *
4.I Dine Tanker / Tanto *
5.Finnskogene *
6.Pilgrim *
7.Rêve Bleu *
8.Beautiful *
9.Lead Me *
10.Gjendines Bådnlåt
11.Eg Veit I Himmerik Ei Borg
収録曲11曲中7曲が彼女のオリジナル曲と来るから、音楽院の学位を持つ彼女の立ち位置が想像できるところであり、とにかく冒頭から清涼感ある透明度の高い歌声に驚かされる。
M1."Akk Mon Min Vei "はノルウェーのトラッドのようであり、M2."Going Home"は、我々もよく知るドヴォルザークの「家路」である。その他の彼女の曲以外の2曲(M10, M11)はやはりノルウェーのトラッドと記されていて、深淵である。
バックの演奏もギターが、ピアノが、北欧ならではの幻想的というか、広い静かな空間に広がるサウンドを聴かせてくれる。
彼女のオリジナル曲も、伝統を重んじての美しい世界を描いていて感銘を受けるが、 そこには単に美しいと言うだけで無く、ノルウェーの北欧の暗さもあるし、海の冷たい青も描いている。又深遠な森にある不思議な空気感も訴えてくる。
とにかく全編ブレることなく 北欧の自然を我々に見せてくれる世界だ。アルバムとしての価値は高い。
イェトゥルー・グルンデGjertrud Lundeは現在ドイツで活動中のようだが、彼女はノルウェーの音楽一家に生まれる。4歳で最初のコンサートを行う。ノルウェー Stavanger音楽院で学んでいる間においても、幾つかの歌唱コンペで優勝したり幾多の賞や奨学金も得ていたという。オランダのハーグ音楽院でクラシック歌唱と古楽を学んで学位を得ている。このあたりの実力がこのアルバムではにじみ出ている。
学業と並行してヨーロッパやアメリカでフェスティヴァルやコンサート・ツアーなども行ったらしい。ドイツに住んでからは、古楽、ワールド・ミュージック、ジャズを合わせての自分の音を作り出したのだそうだ。そしてこの2014年のデビュー・アルバムである 「Hjemklang」 は、世界的なジャズ批評サイト All About Jazz により 2014年のベストアルバムの一つに挙げられていると紹介されている。 ヴォルファート・ブレーデローデWolfert Brederode (ピアノ) は、オランダ出身。現代オランダ・ジャズ・シーンで最も輝き、評価は非常に高く、三枚の ECMレーベル・アルバム( 「Currents」( 2007)、「Post Scriptum」(2011)、「 Black Ice」( 2016) ) がある。スイスのシンガーSusanne AbbuehlのECMアルバムにも参加していて一緒に来日した(右は来日時の私とのツーショット)。洗練されたピアノ・タッチから生まれる深遠な世界も聴きどころ。
(評価)
□ 曲・演奏・歌 ★★★★★☆ 95/100
□ 録音 ★★★★☆ 85/100
(参考視聴)
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