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2020年1月 1日 (水)

アレキサンドラ・シャキナ Alexandra Shakina 「MOOD INDIGO」

Dsc03261trsw 謹賀新年  

2020年元旦
今年もよろしくお願いします。

 

 

 

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                        (ナナカマド)

 さて元旦早々何からスタートしようか考えましたが、やはりシャズ・ヴォーカル界は完全に女性ヴォーカルの天下、従って2019年リリースの注目株からスタートとします。

  ロシアの歌姫の相変わらずの低音の魅力で2ndアルバム登場

<Jazz>
Alexandra Shakina 「MOOD INDIGO」
Venus Records / JPN / VHCD-1267 / 2019

Moodindigo

Alexandra Shakina (VOCALS)
Massimo Farao (PIANO)
Nicola Barbon (BASS)
Gianni Cazzola (DRUMS)

2019年1月21日,22日 Riverside Studio Torino Italy 録音

Produced by Tetsuo Hara
Engineered by Alessandro Taricco
Mixed and Mastered by Tetsuo Hara
Photography by VictoriaNnazarova
Designed by Artplan

  ロシアの歌姫アレキサンドラ・シャキナの第二弾。ロマンチックなハスキー・ヴォイスと言われているが、ハスキーというよりは低音に重量感のある歌声で訴えてくる。アルバム・デビューは2018年で、まだニュー・フェースに近いが、なかなかの学歴と経験の持ち主で教壇にも立っているようで、所謂若者ではなさそう。

91akeo3vbl_ss500_  今作も、以前ここで取り上げた前アルバムの1st『All The Way』(2018年)(→)と全く変わらないスタイルでのロマンチックなスタンダード曲集である。
 実はVenus Records と言うことで、少々尻込みするのだが、この彼女のヴォーカル・アルバムは前作以来、かなりの実力のあるヴォーカリストとして実は一目置いている。とにかく曲の内容をしっかり歌い込んでくるテクニックも素晴らしく、訴える力も大きい。おそらくロシア出身とはいえ、自由主義圏での学んだ成果が出ているのではと思うところだ。
  バックは女性ヴォーカルを支えるに手慣れている前作同様マッシモ・ファラオ・トリオである。このトリオはイタリアにしてはアメリカ的ジャズが得意で、私はそれ程思い入れは無かったが、過去にここで二度ほど取り上げている。そして録音はイタリアに於けるものであり、明らかにこれはロシアとの関係では無く、イタリア産とみてよいと思う。

List_20191228221201

1.エスターテ
2.アイ・クッド・ハブ・トールド・ユー
3.ロマンチックじゃない?
4.レッツ・フェイス・ザ・ミュージック・アンド・ダンス
5.ラブ・ユー・マッドリー
6.ムード・インディゴ
7.オンリー・トラスト・ユア・ハート
8.スリーピン・ビー
9.テイク・ラブ・イージー
10.ユー・アー・ザ・トップ
11.カムズ・ラブ
12.アイム・ア・フール・トゥ・ウォント・ユー
13.あなたを想いて

As1

 スタートはマルティーノの私の好きな曲M1."ESTATE"だ。これで新年冒頭のアルバムとして選んだとう事もあるかも。これが又従来聴く多くのシンガーとは全くイメージの違う太く豊かな低音で迫ってくるところが凄い。そして歌が上手い。
  M2."I Could Have Told You " 、M3."Isn't It Romantic" かなり昔の2曲、こうゆうのを選んでゆったりと情感込めてクールに歌われる様は説得力十分。
 アルバム・タイトル曲M6."Mood Indigo" は、デューク・エリントンの曲で、スローにブルージィーにアメリカン・ムードに仕上げているが、マッシモ・ファラオのピアノがしっとり聴かせるにピッタリのヴォーカルが乗っていい仕上げ。もともとファラオはアメリカン・ジャズ・ムードが得意としているので、M8."A Sleepin Bee"でもスウィング・ジャズを立派に演じている。
 M11."Comes Love"は、なんとベースとのデュオで歌い上げる。こうしたはスタイルはアカペラに近いので歌唱力に自信のある証拠だし、そんな実力を十分発揮だ。
 M12."I'm A Fool To Want You " はビリー・ホリデイーがしっとりきかせてくれた曲で、如何に歌い上げるか注目曲。ここにも彼女なりきの世界が十分感じられていい仕上げだ。

 古きアメリカン・ジャズ・ヴォーカルをファラオのピアノ・トリオをバックにオーソドックスに挑戦したアルバム。そこには立派に歌唱力の実力を示し、ジャケにみる顔立ちからは想像も出来ない魅力的重量級のヴォーカルが全編に満ちている。これはまだまだ続編の出そうな雰囲気を感ずるところであった。評価は並以上とする。

(評価)
□ 選曲・歌唱力  ★★★★☆  85/100
□ 録音      ★★★★☆  85/100

(参考視聴)

 

 

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コメント

あけましておめでとうございます、風呂井戸さま。本年もご活躍を期待しております。自分にとってジャズは門外漢なので、何もコメントできる立場ではありませんが、なんかジャズって奥深いですね。また、ジャズ以外にも幅広い分野に及ぶ内容についてもこれからも参考にさせていただきます。今後もよろしくお願い致します。

投稿: プロフェッサー・ケイ | 2020年1月 4日 (土) 23時29分

 プロフェッサー・ケイ様
 明けましておめでとう御座います。ことしもよろしくお願いします。
 ジャズも、ものによってはプログレッシブ・ロックの世界と共通点多く、そんなものから攻略すると結構のめり込むのではと・・思っています。
 私はもう何十年前に、クラシックからというか、ジャック・ルーシェのプレイ・バッハからジャズに興味を持ちました。・・・きっかけがあると結構聴けますね。
 ドラマーのアントニオ・サンチェス「LINE IN THE SAND」はどうでしょうか。
 

投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2020年1月 5日 (日) 09時01分

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

最近のヴィーナスレーベルのヴォーカルものは、なかなかよいですね。このアルバムは、僕ももっていますが、ジャズヴォーカルの伝統を踏まえたもので、よいですね。伴奏のピアノトリオも余分なプレイがなくて好印象です。

ジャケットも決まっていて、ヴィーナスレーベルは良い仕事をしているように思います。

投稿: azumino | 2020年1月 5日 (日) 18時29分

azuminoさん
今年もよろしくお願いします。
 私はVenusレーベルは若干尻込みする方なんです。かってのキワモノ・ジャケの印象が・・・残っているせいでしょうか。^^)
 今や、CDリリースは日本が頑張っているわけでして、これからはしばらく良いミュージシャンが登場するかも・・・と言うところでしょうか。
 マッシモ・ファラオは、私好みのユーロ・ジャズでなく寧ろアメリカよりだと思いますが、女性ヴォーカルものには向いているのかも知れませんね。
 今年も、「山」「グルメ」も楽しませてください。

投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2020年1月 5日 (日) 20時22分

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