ナイトウィッシュNightwish 「DECADES Live in Buenos Aires」
オフィシャル・ライブ映像盤~~彼らはやっぱり映像がいい
オペラティック・メタル、シンフォニック・メタルの華
<Symphonic Metal>
Nightwish 「DECADES Live in Buenos Aires」
Ward Records / JPN / Blu-ray / GQXS-90414 / 2020
Tiomas Holopainen : Keys.
Floor Jansen: Vocals.
Marco Hietala: Bass,Vocals
Troy Donockley : Uilleannpipes, Low whistles, Vocals.
Emppu Vuorinen: Guitar
Kai Hahto: Drums
世界的に人気のフィンランドのシンフォニックメタル・バンドのナイトウィッシュ、そのライブ映像盤。彼らは今や、オランダのウィズイン・テンプテーションと両横綱的存在といってよい。
ナイトウイッシュの最新スタジオ・アルバムは2015年『Endless Forms Most Beautiful』で、既に四年以上経過しているが、その間、2017年には『VEHICLE OF SPIRIT』(Nuclear Blast / USA / NBA 3850-7) のライブ映像盤のリリースがあり、そして2018年にベスト・アルバム『Decades(Best of 1996-2016)』(HMHR180302-305)がリリースされ、その記念ワールド・ツアーが全82公演にも及んだ。その中のブエノスアイレス公演を完全収録したものである。
収録曲は右のように全21曲で、初期のヒット曲に加え近作『Endless Forms Most Beautiful』の収録曲という構成である。2018年9月30日のブエノスアイレスの“エスタディオ・マルヴィナス・アルヘンティナス"で、収録技術陣も大がかりでのステージを収録したもの。八千人と言われる熱気ある大観衆とのやりとりがしっかり捉えられており、サウンド面もDTSサラウンドで臨場感は十分。この手はやっぱりスクリーンに投影して、サラウンドの大音響で聴くのが一番だろうね 。(笑い)
とにかく、ターヤ、アネッテ、そしてあアフター・フォーエバーのフロール・ヤンセンのサポート(2012年)から正式加入と歌姫三代目のナイトウィッシュだ。しかし意外に良かったのは、英国のイリアンパイプ奏者のトロイ・ドノックリーを加入させたことでしょうね。彼は私はケルティック・フォーク・ロックの「Iona」での演奏がお気に入りだったんだが、ナイトウィッシュに招かれ、そして加入、これによってこのバンドの演奏は一層シンフォニックの味も厚みがつき、又ケルト的ムードの神秘性を秘めるようになり、ツォーマスの世界との安定した重複によって充実したというところだ。
3曲目の"With I had an Angel" あたりから、会場もそして演ずる彼らも元気が出て、続く4曲目の"10th Man Down"が、得意の物語調に曲を進めて、展開がメリハリ、締まりの良い曲に仕上げた結果、非常に盛り上がる。
6曲目"Gethsemane"のシンフォニック・メタルそのものもインパクトあり。
9、10曲目はヤンセンの美的ヴォーカルが聴きどころ。特に10曲目"Dead Boy's Poem"は、しっとり聴かせ、情緒たっぷりだ。そして後半メタルに転調しての曲の変化の流れがリーダーのツォーマスの手法の上手いところだ。
11曲目"Elvenjig"は彼らの演奏の見せどころ、ドノックリーのパイプが効果的で、なかなか神秘的で良い。
13曲目"I Want My Tears Back"のヒット曲はリズムカルで楽しく、会場全体も跳ねての一体感に包まれる。
14曲目"Amaranth"は当然盛り上がり、15曲目のトノックリーのヴォーカルがなかなかのもの。歌姫は横に置いておいて、アルバムの一曲ぐらいは、彼と歌の旨いマルコで歌わせるのも良いのでは。
16曲目"The Kinslayer" この曲を聴くと初代ターヤを思い出しますね。ここに来て彼女も映像盤リリースしますが、やっぱりナイトウィッシュ時代のような圧倒するものは残念ながら少し弱い、つまり曲や演奏もいかに大きいかですね、ツォーマス偉大なり。
18曲目"Nemo"も登場してサービス満点。
とにかく、彼らのステージは楽しい。迫力と美しさと懐かしさと神秘的なところも盛り込んで、良いステージだ。まあ楽しむ意味においても、このようなBlu-rayでのステージ映像盤は大歓迎である。
近々9作目のスタジオ・ニュー・アルバムがリリースされることになっていて、それに伴ってツアーも企画されている。ロックも岐路に立っていて世界的に低調の中、フィンランドのからゴシック・メタル系で出発した彼らが、オペラティック・メタルそしてシンメトリック・メタルという形を作りつつ、そろそろ20年の経過を音楽的充実をしながら世界規模に展開しているのは楽しい限りである。
①エンジェルズ・フォール・ファースト Angels Fall First (1997年)
②オーシャンボーン Oceanborn (1998年)
③ウィッシュマスター Wishmaster (2000年)
④センチュリー・チャイルド Century Child (2002年)
⑤ワンス Once (2004年)
⑥ダーク・パッション・プレイ Dark Passion Play (2007年)
⑦イマジナエラム Imaginaerum (2011年)
⑧エンドレス・フォームズ・モスト・ビューティフル Endless Forms Most Beautiful (2015年)
(評価)
□ 曲・演奏・歌 ★★★★★☆ 95/100
□ 映像・録音 ★★★★★☆ 90/100
(視聴)
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コメント
完成度の高さは言うことなし、後は期待以上の刺激とクォリティがあると面白いですね。
世界最高峰に位置するバンドなので、その期待も高いです。
参照: http://rockcollector.blog31.fc2.com/blog-entry-5247.html
投稿: フレ | 2020年2月 2日 (日) 20時14分
フレさん、コメントどうも有り難う御座います。
おっしゃるとおりに、彼らには期待度は高いですね。従って前映像盤「VENICLE OF SPIRIT」と比較すると、流れは経験済みですから、刺激は薄れましたネ。
今回はもう一度かっての映像盤「End Of An Era」とも比較してみました。ヤンセンの大型は迫力ありますが、ヴォーカルはやはり私的にはターヤの魅力の方が勝ってますね。
ということから・・・近々のニューアルバムが一つの正念場かも・・・と思ってますが。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2020年2月 2日 (日) 22時11分