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2020年4月28日 (火)

セルゲイ・グリシュークSergey Grischukのミュージック

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(今日の一枚)我が家の「枝垂れ桜」 (クリック拡大)
Sony α7RⅣ, FE4/21-105, PL

 

YouTubeに流れるSergey Grischukのイージ-リスニング

 「YouTube」のような世界はこのSNS世界の代表格であるが・・・そこに流れる昔のヨーロッパの恋愛映画をふと思い起こすようなミュージックが聴ける。それぱSergey Grischukという演奏家と思われる人のミュージックだ。、どうもその正体を明瞭にする情報が無く、名前から察するとロシアではないかと思われるのだが・・・・。取り敢えず聴いていただいて、情報があったら教えて欲しいのだが。

 

<Easy Listening>

Sergey Geschuk の世界

① "Rain, Rain"

 

② "Echo of Silence"

 

③ "Dream of Love"

④ "Forever Love"

⑤   "My Angel"

⑥   "Pain of Soul"

⑦   "Melody of Rain"

⑧   "Island of my Soul"

⑨   "Music of Love"

⑩   "Always with You"

 

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2020年4月24日 (金)

ティグラン・ハマシアンTigran Hamasyan 「They say Nothing Stays the Same(ある船頭の話)」

ハマシアン映画音楽に初の挑戦・・・ピアノ・ソロを中心に

<Jazz>

Tigran Hamasyan 「They say Nothing Stays the Same (ある船頭の話)」
SEEBEDON Records / JPN / SBD1001 / 2020

Tigranblog

Tigran Hamasyan (p)

  ティグラン・ハマシアンが映画音楽を手掛けた映画邦題『ある船頭の話』のオリジナルサウンドトラック集である。アルバム・タイトルは「They Say Nothing Stays the Same」だ。彼が言うには「この音楽は旅と共に生まれました。アルメニアの僕の家から始まり、イギリス、エルサレム、テル・アビブ、マドリッド、そして、最後に僕の両親の住むロサンゼルスの家で完成した」と言うことのようだ。その経過はオダギリジョー監督から直々にオファーされ、脚本に深い感銘を受け、自身初となる映画音楽を担当することになったと言うこと。今回のアルバムについてハマシアンは「この映画のための音楽制作の過程と、その一瞬一瞬は、どれも忘れられないものでした。僕にとって、とても創造的な制作で、またジョーさんとの共同作業も素晴らしい体験でした。」とコメントしている。

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1.The Boatman (Prelude)
2.The River
3.Toichi's Life
4.Changing Time 1
5.Deconstructed Image 1
6.The Boatman (Interlude)
7.The Sacrifice 1
8.The Ghost
9.Underwater 1
10.Changing Time 2
11.Deconstructed Image 2
12.Underwater 2
13.The Sacrifice 2
14.Processional
15.Into the Forest
16.Changing Time 3
17.The Sacrifice 3
18.The Boatman (Postlude)

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 私は映画は観てないのだが、オープニングにこのM2."The River"が流れ、そしてM1, M6, M18の"Boatman"(Prelude, Interlude, Postlude)が、全編を通して流れる主題の曲のようだ。この2曲は静かな心の世界を描いてくれるような美しいピアノの音とメロディーが、余韻を大切にして流れる曲である。
 全曲、主たるはハマシアンのソロピアノによって演じられているが、曲によってシンセやエレクトロ楽器の音も入る(M4."Changing Time"、 M8."The Ghost"など)。
 とにかく自然の中に深遠な世界を築くが如く美しい静かなメロディーが流れる。人の心の深層に迫るピアノの響きは素晴らしい。それは曲自身は短調で出来ているようであり、アルメニアにはこんな落ち着いた深いメロディーがあるのかと、驚きながらも映画のシーンの画像にみる日本のある山奥の村になんの違和感が無いのが不思議でもある。

 とにかくこの映画のオダギリジョー監督から直々にオファーされ、自身初となる映画音楽を担当したハマシアンは、かなりの意欲を持って曲を創造し演奏したようだ。それには彼自身のこの映画に描かれる世界と自己の世界とに共通点がどこかにあった為だろうと推測するのだ。

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◇ (映画) 「ある船頭の話」の紹介 ◇ (ネットにみるものの転載)
P_kawashima  「平成」から「令和」に変わる今、文明の波や時代の移り変わりに直面した山奥の村を舞台に「本当に人間らしい生き方とは何か」を世に問う問題作として注目されている。
 主人公の船頭トイチを演じるのは名優・柄本明。ヒロイン役には川島鈴遥。そして村人・源三役には、若手村上虹郎が出演。
 橋の建設と川上から流れてきた少女が、静謐だった船頭の日々を変えていくという筋立て。
 近代産業化とともに橋の建設が進む山あいの村。川岸の小屋に住み船頭を続けるトイチは、村人たちが橋の完成を心待ちにする中、それでも黙々と渡し舟を漕ぐ日々を送っていた。そんな折、トイチの前に現れた一人の少女。何も語らず身寄りもない少女と一緒に暮らし始めたことで、トイチの人生は大きく変化をみせることになる。
脚本・監督:オダギリ ジョー
出演:柄本明、川島鈴遥、村上虹郎/伊原剛志、浅野忠信、村上淳、蒼井優/笹野高史、草笛光子/細野晴臣、永瀬正敏、橋爪功
撮影監督:クリストファー・ドイル
衣装デザイン:ワダエミ そして音楽がティグラン・ハマシアン

(評価)
□ 曲・演奏  ★★★★☆ 85/100
□ 録音    ★★★★☆ 80/100

(視聴)

 

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2020年4月19日 (日)

ナイトウィッシュNightwishのニューアルバム「HVMAN NATVRE」

"人類"と"自然"をテーマに、オーケストラをフィーチャーしての壮大なドラマ

<Symphonic Metal Rock>

Nightwish「HVMAN NATVRE」(Human Nature)
WardRecords / JPN / GQCS90881-2 / 2020

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Floor Jansen – vocals
Tuomas Holopainen – keyboards
Marco Hietala – bass & vocals
Emppu Vuorinen – guitars
Kai Hahto – drums
Troy Donockley – Pipes, flutes & whistles

 フインランドのシンフォニック・メタル・バンドのナイトウィッシュの5年ぶりのスタジオ・ニューアルバムの登場だ。既に世界的バンドに成長した彼らが6作連続でナショナル・チャート1位という金字塔を建てたところで、ここに9thアルバムは“ヒューマン=人類”と“ネイチャー=自然”を2大テーマにした壮大なCD2枚組アルバムだ。メンバーは変化なしの歌姫は前作以来のオランダのフロール・ヤンセンが相変わらず務めている。又ドラムスはカイ・ハートがこのところのメンバーとして落ち着いての初アルバムとなる。
 2枚目CDは、そのすべてを使ったインストゥルメンタル組曲「All The Works Of Nature Which Adorn The World」は、フル・オーケストラをバックにシンフォニックな演奏の世界を披露する。

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CD1
01. Music
02. Noise
03. Shoemaker
04. Harvest
05. Pan
06. How’s The Heart?
07. Procession
08. Tribal
09. Endlessness

CD2
01. All The Works Of Nature Which Adorn The World – Vista
02. All The Works Of Nature Which Adorn The World – The Blue
03. All The Works Of Nature Which Adorn The World – The Green
04. All The Works Of Nature Which Adorn The World – Moors
05. All The Works Of Nature Which Adorn The World – Aurorae
06. All The Works Of Nature Which Adorn The World – Quiet As The Snow
07. All The Works Of Nature Which Adorn The World – Anthropocene (incl. “Hurrian Hymn To Nikkal”)
08. All The Works Of Nature Which Adorn The World – Ad Astra

 

 昨年リリースされた最新ライヴ・アルバム/映像作品『DECADES:ライヴ・イン・ブエノスアイレス』もチャート1位に輝いたし、フロール・ヤンセン(ヴォーカル)が初のソロ・ツアー。マルコ・ヒエタラ (ベース、ヴォーカル)もソロ・アルバムとライヴを行うなど、昨年はそれぞれのメンバーの活動も盛んであった為、ナイトウィッシュはどんな状態かと、若干いろいろな噂も多かったが、遂に5年の間をおいての待望のニュー・アルバムが我々の前に出現した。

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 メインはCD1で、スタートM1."Music"はメタル・バンドとは思えない静かな深遠なスタートである。大地の鼓動を感じさせる。そして美しいコーラス、次第に盛り上がる中にヤンセンの高音の優しいヴォーカル、ドラマの開幕にふさわしい。そしてギターが響き、成る程、テーマ"自然"にふさわしい世界が出現する。これは完全にコンセプト・アルバムとして受け入れられるが、バンドのリーダーであり全曲作曲しているツォーマス・ホロパイネン (キーボード)は、本作のコンセプトは当初から考えたので無く、曲を作っていく中での“偶発的コンセプト・アルバム”と言っている。
 M2."Noise"冒頭から軽快なリズム、そして中盤からはメタリック・サウンドに。人類の、自然界の不安な部分を歌い上げる。
 M3."Shoemaker" なんといっても美しい曲だ。未知の世界へ夢を。
 M5."Pan"、M6."How's the Heart"は、 人間を取り巻く世界の夢と現実の現象をドラマチックに歌い上げる。
 M7."Procession" ヤンセンの美しく優しいヴォーカルでスタート、地球の生命の誕生そして人類賛歌に流れてゆく。
 M8."Trival" ここに来て神と宗教に、メタリック・サウンドで対峙。最後は深遠なる世界に。
 M9."Endlessness" 大地、宇宙、人間の物語を壮大に演奏し、ヒエタラのヴォーカルが締めくくる。

Tuomash  深遠さとドラマチックと疾走感と神秘のシンフォニック・サウンド、そして優しさと美しさと・・・更にドノックレイのパイプによるトラッドぽい匂いも加味して見事に色彩豊かな世界を織り交ぜての一大ドラマの展開である。ここに来てヤンセンの世界も完全にナイトウイッシュの世界と同化し、曲展開も緩・速、強・弱、美しいメロディー、ドラマティックな重厚感と壮大な展開などメリハリが効いているために飽きさせない。そしてトータルの流れは、なんと芸術的匂いすら感じられる。お見事。

 CD2は、ツォーマス・ホロパイネン(→)がおそらくやりたかったシンフォニック・オーケストラとの共演によるインストメンタル交響詩だ。なんとクラシック音楽を聴く感覚で"地球と自然"に想いを馳せて、一時を納得してに聴き込める。

 とにかくゴシック・メタル、シンフォニック・メタルで世界を制覇したナイトウィッシュの壮大な絵巻のアルバムの登場である。

(評価)
□ 曲・演奏 :   ★★★★★☆   95/100
□ 録音   : ★★★★☆   80/100

(視聴)
   "Music"

 

 "Noise"

 

 

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2020年4月15日 (水)

アンヌ・デュクロ Anne Ducros 「SOMETHING」

スタンダード曲を自己の世界に歌い上げるベテラン・ヴォーカル

<Jazz>

Anne Ducros, Adrien Moignard, Diego Imbert 「SOMETHING」
SUNSET RECORDS / IMPORT / SUN29 / 2020

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Anne Ducros - Vocal
Adrien Moignard - Guitar
Diego Imbert - Double Bass

 フランスのアンヌ・デュクロAnne Ducros(アン・デュクロとも言われている)の最新アルバム。彼女をここで取り上げたのはもう6年前で、アルバム『Either Way from Marilyn to Ella』(NJ623611/2013)であった。彼女は1959年生れですから、もうなかなかのベテランで、当時も落ち着いたオーソドックスなヴォーカルに評価を付けていたのを思い出す。私にとっては久しぶりのアルバムで興味深く聴いたというところであった。
  このアルバムはスタンダードを歌い上げているが、ベース、ギターのみのバックであり、それだけでも彼女のヴォーカルの占める位置の大きさが解る。

(Tracklist)

1. The Very Thought of You
2. Something
3. Estate
4. Honeysuckle Rose
5. I Didn't Know What Time It Was
6. Nuages
7. Samba Saravah
8. I Thought About You
9. April in Paris
10. Your Song
11. Tea for Two
12. The Good Life

 かってチック・コリア(p)などとの共演作で話題を呼んだ彼女であり、ウィーン国際ジャズ・コンクールでも優勝したことがあるという、そんな経歴からもベテラン実力派のヴォーカリストということがうかがい知れるところである。

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 スタートM1."The Very Thought of You"、そして ビートルズ1969年の「アビイ・ロード」ナンバーのM2." Something"のアルバム・タイトル曲と、静かなギターをバックに手に取るように聴けるしっとりとバラード歌を展開。それは誰をも心から包む魅力を発揮。
 そして圧巻はなんとM3."Estate"だ。これは多くのミュージシャンが取り上げているイタリアのブルーノ・マルティーノの曲で、私の好きな曲だけに注目度は高かったのだ。それがやはり静かにゆったりとしたバックのギター、ベースに彼女の編曲を凝らした展開を歌い上げる。特に中盤以降は彼女独自のオリジナル曲風に語り調を交えて歌い、いやはや暦年の実力派を知らしめる。
  M6."Nuages"も古い曲ですね、超スロー編曲でいやはや引き込まれますね。そしてM7." Samba Saravah"サンバも登場して雰囲気を明るくし、アルバムを通して聴いているものに変化を与える。
 M11."Tea for Two"の編曲も凄いですね、ハイテンポでギター・プレイと共に変調展開。こりゃ全く別の曲ですね
 M12."The Good Life"、アルバム最後曲らしく先への展開を夢見るグッバイである。

Anne20ducros201   久しく聴かなかったアンヌ・デュクロ、その健在ぶりを十分知ることが出来たアルバムであった。しかしスタンダード曲カヴァーと言っても、彼女の歌には往年の経歴によって培われた編曲の技が滲み出ていてオリジナル曲を聴いている感覚にもなる程であった。もう60歳を超えている彼女であるだけにその意味深な歌い舞わしも十分聴く価値があるアルバムである。

(評価)
□ 編曲・歌・演奏 : ★★★★☆  85/100
□ 録音                 :   ★★★★☆      80/100

(試聴)

 "Something"

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2020年4月10日 (金)

キャンディス・スプリングスKandace Springs 「THE WOMEN WHO RAISED ME」

ソウルフルにしてブルージーなピアノ弾き語りヴォーカルの名盤だ


<Jazz>

Kandace Springs 「THE WOMEN WHO RAISED ME 私をつくる歌」
Universal Music / Jpn / UCCQ-1118 / 2020

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Kandace Springs (vocal, piano, electric piano)
Steve Cardenas (guitar)
Scott Colley (bass)
Clarence Penn (drums)

featuring:
Christian McBride (bass on 01)
Norah Jones (vocal, piano on 02)
David Sanborn (alto saxophone on 03)
Avishai Cohen (trumpet on 04, 06)
Elena Pinderhughes (flute, vocal on 05, 11)
Chris Potter (tenor saxophone on 07, 08)

 いっやー、久々に痺れるアルバムの登場ですね。Blue Noteよりこのところの期待の歌姫、ソウル溢れるピアノ弾き語りヴォーカルのキャンディス・スプリングス(1989年テネシー州ナッシュヴィル生まれ)の最新作である。"今の自分をつくりあげた"と語る女性ヴォーカルの名曲をカヴァーしてのしかも豪華メンバーを迎えての作品集のリリースだ。

 メインはスティーヴ・カーディナス(g)、スコット・コリー(b)、クラレンス・ペン(ds)をバックに、なんと豪華なゲスト(クリスチャン・マクブライド(b)、ノラ・ジョーンズ(vo,p)、デヴィッド・サンボーン(as)、アヴィシャイ・コーエン(tp)、クリス・ポッター(ts)など)を迎え、そしてエラ・フィッツジェラルド、ビリー・ホリデイ、ノラ・ジョーンズ、シャーデー等々歴代の大物・女性ヴォーカリストの人気・名楽曲を自己の世界に引き込んでのアレンジでカヴァーした作品集。

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(Tracklist)

01. Devil May Care / featuring Christian McBride
02. Angel Eyes / featuring Norah Jones
03. I Put A Spell On You / featuring David Sanborn
04. Pearls / featuring Avishai Cohen
05. Ex-Factor / featuring Elena Pinderhughes
06. I Can't Make You Love Me / featuring Avishai Cohen
07. Gentle Rain / featuring Chris Potter
08. Solitude / featuring Chris Potter
09. The Nearness Of You
10. What Are You Doing The Rest Of Your Life
11. Killing Me Softly With His Song / featuring Elena Pinderhughes
12. Strange Fruit
*
13. Lush Life
14. You've got a Friend / featuring Masayoshi Yamazaki

(13,14 : Bonus Tracks for Japan)

  アルバム・タイトル『The Women Who Raised Me』は日本盤では『私をつくる歌』と訳されているが、その通りのキャンディスをアーティストとして、さらには人作りにおいても色々なインスピレーションを与えた女性アーティストたちの曲をこのアルバムでは取り上げているのだ。それもさすがにBlueNoteですね、上に紹介したような豪華メンバーをフューチャーして、そして彼女は彼女なりの歌に仕上げているところが立派。
 彼女の歌声は、さすが黒人系の重量感がある中でも、基本的には温かい歌声であり、低音から高音まで優しいしなやかさ、そして力強さをもっていて、曲によっては切なさも歌い上げてくれる。聴きどころ満載のアルバム。

A-springs-2w  M1. "Devil May Care"、オープニングからクリスチャン・マクブライドのベースが効いていいムード、それにキャンディスのジャズ・ヴォーカルがリズムに乗って濃厚な味付けで登場。そしてM2."Angel Eyes "小節を効かしての情感たっぷりのヴォーカル。ここではノラ・ジョーンズのピアノが美しく流れそしてヴォーカルがデュエット風に流れる。M3."I Put A Spell On You"は完全に原曲から離れてキャンディス節、それにデヴィッド・サンボーンのアルト・サックスも加わっての盛り上がりがお見事。
 M4."Pearls",M6." I Can't Make You Love Me "では今度はアヴィシャイ・コーエンのロマンチックなトランペットが加わっての、やや暗めの世界を朗々と歌い上げる。
 M7."Gentle Rain", M8." Solitude" はクリス・ポッターのテナー・サックスが優しく情緒たっぷりに響き渡る中に、彼女のヴォーカルはサックスとデュエットをしての歌い上げで、このバラード世界もなかなかのもの。

 いやはやこのような多彩なゲストを迎えての世界であるが、しかしキャンデイス・スプリングスのソウフルにしてブルージーな叙情派世界はきちっと流れているところが見事である。なんといっても特徴は、高度な歌い回しの世界でありながら聴くものを難しさを感じさせない身近なジャズで引っ張り込んでゆくところは素晴らしく、久しくお目にかからなかった名盤に直ちに入れたくなる仕上がりである。

 なるほどこれはこれからのBlue Noteにしてみれば、ヴォーカルの魅力もさることながら、M10."What Are You Doing The Rest Of Your Life"に見るが如くジャズ・ピアノの演奏も繊細で情緒豊かにして美しい。これはまさに期待の星であることは間違いない。

(評価)
□ 歌・演奏 :   ★★★★★☆  95/100
□ 録音    :    ★★★★★☆  90/100

(視聴) "Pearls"
 

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2020年4月 6日 (月)

キアラ・パンカルディChiara Pancaldi & Alessandro Galati 「The Cole Porter Songbook」

やはりパンカルディのヴォーカルはハイレベルであるが異色
~~注目のアレッサンドロ・ガラティとのデュオ

<Jazz>

Chiara Pancaldi & Alessandro Galati 「The Cole Porter Songbook」
TERASHIMA RECORDS / JPN / TYR-1086 / 2020

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Chiara Pancaldi キアラ・パンカルディ (vocalヴォーカル)
Alessandro Galati アレッサンドロ・ガラティ(piano ピアノ)

 このところジャズ・シンガーとしての話題の豊富な個性派キアラ・パンカルディ(1982年イタリアのボローニャ生まれ。つい先日アルバム『PRECIOUS』(CR73497/2020)のリリースがあった)と、最近、寺島レコードからリリースが多い私の注目の叙情派でありながらアヴァンギャルドな面も見せるキャリア十分のピアニスト:アレッサンドロ・ガラティ(1966年イタリアのフィレンツェ生まれ)のデュオ作品。両個性派同士で実は注目していたアルバム。
  主題はアルバム・タイトルどおりのコール・ポーターの作品に迫ろうとしたもの。もともとキアラ・パンカルディの唄は独特の世界があって、どうも100%万歳して受け入れている訳ではないため、このアレッサンドロ・ガラティのセンスで如何に変貌して迫ってくれるかが楽しみのポイントでもあった。

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(Tracklist)

1. Easy To Love
2. Just One Of Those Things
3. Night And Day
4. So In Love
5. All Of You
6. My Heart Belongs To Daddy
7. It's Delovely
8. Let's Do It
9. Dream Dancing

Ag5x  デュオとは言っても、やはりヴォーカルの占める位置は大きいですね。私にしてはガラティのピアノにそって優しく歌ってくれる方が期待していたんですが、なになにパンカルディの独特の節回しによっての彼女のヴォーカルの独壇場にも近い世界が造られている。パンカルディの声の質は中高音のつややかさはなかなかのものと言えるものでこれには全く不満はなく、更になんといってもハートフルでありテンダリーである点は素晴らしい。しかしその節回しと音程の変化はどこか異質であって、その歌は一種独特な世界ですね。先のアルバムとその点は全く変わっていない。この世界にぞっこん惚れ込むという人が居るとは思うが、どうも素人向けとは言えず、万人に受けるという点ではちょっと疑問にも思っている。

 イタリアのミュージシャンはあらゆる分野に多く活躍していて人気も高いが、この世界においてはパンカルディはやはり独特である。まさか私自身のみがそう感ずるのだろうか ?、ライナーノーツを担当している寺島靖国も声の質の良さを認めては居るが、あまり異質性については語っていない。
 いずれにしても彼女の唄はやっぱり上手いというのは当たっているのだろうと思う。とにかく上手い・・・しかし私は魅力については、もう少し馴染みやすい世界であってほしいと思うのである、残念ながらそんなことで万人向きではない。そうは言っても、丁寧にじっくりと語りかけてくる様は出色であり魅力も大いにあるところが聴く方は複雑ですね。一方リズムの展開においては、意外に彼女の魅力的なパンチ力のセンスもみられて、多芸な能力の持ち主と言って良いのだろう。

 そして今回のように、コール・ポーターの曲を何故選んだのかと言うことでは、ガティもパンカルディも曲の良さと言うことに一致していた。そしてこのアルバムで私が好きなのは、M4."So in Love"で、彼女の歌が情感豊かでいいですね、ムードが最高。続くM5."My Heart Belongs to Daddy"のガラティのピアノは美しい。
 しかしちょっと期待に反して、ガラティは対等なデュオというのでなく「伴奏者」に徹していて、彼の味のあるメロディーの表現は、ヴォーカルを生かす為に仕組まれたピアノの味をしっかり作り上げているのだ。

 私の個人的評価はまあ質の高さは認めるが、受け入れやすさや聴きやすさと言う点ではちょっと低くなった。こうゆうのはイタリア本国ではどんな評価か知りたいところだ。

(評価)

□   編曲・歌・演奏  ★★★★☆ 85/100
□ 録音       ★★★★☆ 85/100

(視聴)

このアルバム関係はまだ見当たらないので・・・過去のモノを
Cole Porter "So in Love" (これは惚れ惚れしますね)

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2020年4月 1日 (水)

浅川太平Taihei Asakawaピアノ・ソロ・アルバム 「Waltz for Debby」

空間を描く静寂にして深遠な世界
~ビル・エバンスの世界に独自の美意識を

<Jazz>

Taihei Asakawa 「Waltz for Debby」
Cortez Sound / JPN / CSJ0008 / 2019

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Piano : Taihei Asakawa

Executive Producer: Teruhiko Ito / Recorded & Mixed & Mastered by Ken Tadokoro / Recorded on May 19 2018 at Jazz Room Cortez / Photo by Tatsuo Minami Mikio Tashiro

 最近知ることとなったジャズ・ピアニストの浅川太平のソロピアノのアルバム。2枚組で、誰もが愛するビル・エバンスの名盤『Waltz for Debby』と、同日録音された『Sunday at the Village Vanguard』の2枚からの選曲により構成されている形をとっている。
81wyqczaaiw  彼は1977年生まれということで、40歳代になっての目下脂がのってきたと言える歳で期待度は高い。私にとっては過去の彼のアルバムには接してこなかったのだが、このアルバムのビル・エバンスの変化に驚きを隠せず、さっそくこのソロ・スタイルを演ずるところは何処に ? と、参考までに彼のピアノ・トリオ盤の『Touch of Winter』(DMCD26)(→)を取り寄せてみたという経過であるが、それはそれとしてこの『Waltz for Debby』を検証してみよう。
 
(Tracklist) 

DISC1
01.My Foolish Heart〔13:34〕
02.Waltz for Debby〔10:02〕
03.Detour Ahead〔7:06〕
04.My Romance〔11:12〕
05.Some Other Time〔11:51〕

DISC2
01.Milestones〔7:15〕
02.Porgy〔9:40〕
03.Gloria's Step〔4:18〕
04.My Man's Gone Now〔7:03〕
05.Solar〔3:42〕
06.Alice in Wonderland〔5:09〕
07.All of You〔8:06〕
08.Jade Visions〔4:29〕

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  さて、ビル・エバンスに迫ると言うことで、それだけでもそんな世界を目指しているのか想像が付くところだが、どんなアレンジの世界かと興味津々。しかし結果は想い以上に、簡潔に言うと緊張感と静寂の世界にピアノによる描かれる空間に響く繊細な音に驚きを隠せなかった。
 まず、DISC1"My Foolish Heart", "Waltz for Debby"の冴えたる代表曲、ビル・エバンスの世界を日本的(?)にリラックスして聴きやすく再現してくれるのかと思いきや、はっきり言うとそんな生やさしい世界では無い。気楽に聴こうと居直ってみたが、そこに描かれる情景は、双方10分を超える演奏で、静寂にして一音一音意味の込めた音には美しさという処をある意味で超えたむしろ厳しさも感ずるところであり、しかしそう言っても優しさの美しさはちゃんと散りばめらていて、その世界はエバンスと違った浅川自身の個性ある変化に圧倒されるのである。
  そして"My Romance"も、ここまで深淵の美といったところに演じられるのも聴きどころ。

 DISC2になって、ややリラックスを誘導してくれるところを演じてくれている。そんな意味では、特に"Porgy""Alice in Wonderland"では、ゆったりした気持ちで美しく優雅に聴けるところである。

 ちょっと日本版エバンスものの演奏というところで安易に構えていたのだが、最初から彼の個性をしっかり提示しての哲学的な、思想的なところを感じさせる演奏でビックリしたわけだ。しかし何回と繰り返し聴くに付け、三度目ぐらいからかなりその世界にある美しさが見えてきてぐっと親しみがわいてくると言うアルバムであった。

Asakawa20191 浅川 太平 (あさかわ たいへい)略歴 (ネット記事から)

1977年札幌出身。
父が札幌のライブハウス「銀巴里」(~2012)を経営し、母が歌手であったため、幼いころはシャンソンをよく聴く。3才よりクラシックピアノを始める。 1996年、洗足学園短期大学でジャズを専攻し、卒業後バークリー音楽大学より奨学金つきの編入資格を得るも独学の道を選ぶ。 2004年、横浜JAZZ PROMENADE ジャズ・コンペティション、ベストプレイヤー賞受賞。
2007年に1stアルバム『Taihei Asakawa』(Roving Spirits)、2011年に2ndアルバム『Catastrophe in Jazz』(Roving Spirits)、2013年に3rdアルバム『Touch of Winter』(D-musica)、2018年に初のスタンダードでのライブ録音となる4thアルバム『Waltz for Debby』(Cortez Sound)をそれぞれリリース。
2019年、日本とヨーロッパを中心に国際的な活動を続けているドラマー池長一美とデュオユニットNordNoteを結成し、2020年デュオアルバム『NordNote』(Time Machine Records TMCD-1020)をリリース。


(評価)
□ 編曲・演奏   ★★★★★☆   90/100
□ 録音      ★★★★☆   80/100

 

(視聴)               "My Foolish Heart"

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