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2020年4月10日 (金)

キャンディス・スプリングスKandace Springs 「THE WOMEN WHO RAISED ME」

ソウルフルにしてブルージーなピアノ弾き語りヴォーカルの名盤だ


<Jazz>

Kandace Springs 「THE WOMEN WHO RAISED ME 私をつくる歌」
Universal Music / Jpn / UCCQ-1118 / 2020

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Kandace Springs (vocal, piano, electric piano)
Steve Cardenas (guitar)
Scott Colley (bass)
Clarence Penn (drums)

featuring:
Christian McBride (bass on 01)
Norah Jones (vocal, piano on 02)
David Sanborn (alto saxophone on 03)
Avishai Cohen (trumpet on 04, 06)
Elena Pinderhughes (flute, vocal on 05, 11)
Chris Potter (tenor saxophone on 07, 08)

 いっやー、久々に痺れるアルバムの登場ですね。Blue Noteよりこのところの期待の歌姫、ソウル溢れるピアノ弾き語りヴォーカルのキャンディス・スプリングス(1989年テネシー州ナッシュヴィル生まれ)の最新作である。"今の自分をつくりあげた"と語る女性ヴォーカルの名曲をカヴァーしてのしかも豪華メンバーを迎えての作品集のリリースだ。

 メインはスティーヴ・カーディナス(g)、スコット・コリー(b)、クラレンス・ペン(ds)をバックに、なんと豪華なゲスト(クリスチャン・マクブライド(b)、ノラ・ジョーンズ(vo,p)、デヴィッド・サンボーン(as)、アヴィシャイ・コーエン(tp)、クリス・ポッター(ts)など)を迎え、そしてエラ・フィッツジェラルド、ビリー・ホリデイ、ノラ・ジョーンズ、シャーデー等々歴代の大物・女性ヴォーカリストの人気・名楽曲を自己の世界に引き込んでのアレンジでカヴァーした作品集。

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(Tracklist)

01. Devil May Care / featuring Christian McBride
02. Angel Eyes / featuring Norah Jones
03. I Put A Spell On You / featuring David Sanborn
04. Pearls / featuring Avishai Cohen
05. Ex-Factor / featuring Elena Pinderhughes
06. I Can't Make You Love Me / featuring Avishai Cohen
07. Gentle Rain / featuring Chris Potter
08. Solitude / featuring Chris Potter
09. The Nearness Of You
10. What Are You Doing The Rest Of Your Life
11. Killing Me Softly With His Song / featuring Elena Pinderhughes
12. Strange Fruit
*
13. Lush Life
14. You've got a Friend / featuring Masayoshi Yamazaki

(13,14 : Bonus Tracks for Japan)

  アルバム・タイトル『The Women Who Raised Me』は日本盤では『私をつくる歌』と訳されているが、その通りのキャンディスをアーティストとして、さらには人作りにおいても色々なインスピレーションを与えた女性アーティストたちの曲をこのアルバムでは取り上げているのだ。それもさすがにBlueNoteですね、上に紹介したような豪華メンバーをフューチャーして、そして彼女は彼女なりの歌に仕上げているところが立派。
 彼女の歌声は、さすが黒人系の重量感がある中でも、基本的には温かい歌声であり、低音から高音まで優しいしなやかさ、そして力強さをもっていて、曲によっては切なさも歌い上げてくれる。聴きどころ満載のアルバム。

A-springs-2w  M1. "Devil May Care"、オープニングからクリスチャン・マクブライドのベースが効いていいムード、それにキャンディスのジャズ・ヴォーカルがリズムに乗って濃厚な味付けで登場。そしてM2."Angel Eyes "小節を効かしての情感たっぷりのヴォーカル。ここではノラ・ジョーンズのピアノが美しく流れそしてヴォーカルがデュエット風に流れる。M3."I Put A Spell On You"は完全に原曲から離れてキャンディス節、それにデヴィッド・サンボーンのアルト・サックスも加わっての盛り上がりがお見事。
 M4."Pearls",M6." I Can't Make You Love Me "では今度はアヴィシャイ・コーエンのロマンチックなトランペットが加わっての、やや暗めの世界を朗々と歌い上げる。
 M7."Gentle Rain", M8." Solitude" はクリス・ポッターのテナー・サックスが優しく情緒たっぷりに響き渡る中に、彼女のヴォーカルはサックスとデュエットをしての歌い上げで、このバラード世界もなかなかのもの。

 いやはやこのような多彩なゲストを迎えての世界であるが、しかしキャンデイス・スプリングスのソウフルにしてブルージーな叙情派世界はきちっと流れているところが見事である。なんといっても特徴は、高度な歌い回しの世界でありながら聴くものを難しさを感じさせない身近なジャズで引っ張り込んでゆくところは素晴らしく、久しくお目にかからなかった名盤に直ちに入れたくなる仕上がりである。

 なるほどこれはこれからのBlue Noteにしてみれば、ヴォーカルの魅力もさることながら、M10."What Are You Doing The Rest Of Your Life"に見るが如くジャズ・ピアノの演奏も繊細で情緒豊かにして美しい。これはまさに期待の星であることは間違いない。

(評価)
□ 歌・演奏 :   ★★★★★☆  95/100
□ 録音    :    ★★★★★☆  90/100

(視聴) "Pearls"
 

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コメント

期せずして評価が一致しましたね。いや、大当たりでした。

投稿: 爵士 | 2020年4月10日 (金) 14時23分

爵士さん、こんばんわ。
 コメントどうも有り難う御座います。
 このアルバムは、マニアも初心者にも訴えてくるところがあるという名盤だと思います。
 キャンディス・スプリングスのコンセプトもちゃんと存在しているところが更に素晴らしい。
 爵士さんのブログにコメントが書けなかったので・・静観していました。~~)

投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2020年4月10日 (金) 21時32分

風呂井戸さま、力の入ったアルバムがリリースされましたね。
まじ、かっこよかったです。
名盤として、残っていくといいな。

来日ライブ、、予約しててなんですよ。
とても、残念です。
トラバをありがとうございました。m(_ _)m
https://mysecretroom.cocolog-nifty.com/blog/2020/04/post-bc3409.html

投稿: Suzuck | 2020年4月23日 (木) 18時26分

Suzuckさん
コメントどうも有り難う御座います。
Suzuckさんの評価はいかなるものかと気にしていましたが・・・好評価で良かったです。やはり特異性が強調されていない中に、結構微妙な味付けがあってハイレベルですね。感動もあります。
ライブは残念でしたね。コロナ騒ぎも落ち着いて今年中に実現できるといいですね。

投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2020年4月24日 (金) 09時32分

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