« マルチン・ヴォシレフスキ Marcin Wasilewski Trio 「ARCTIC RIFF」 | トップページ | 栗林すみれ Sumire Kuribayashi 『Nameless Piano』 »

2020年6月 9日 (火)

大石学 manabu ohishiトリオ 「ONE NIGHT AT GEKKA」

Dsc03006trw_20200612201001                            

                                                                                      (クリック拡大)

(今日の一枚)  「初夏の高原」- 赤外線撮影 -
 Sony α6000(full specrrum), Zeiss Vario-Tessar FE 4/16-35,  IR760

                                  - - - - - - - - - - - - - - - - - - -         

詩情と優しさ溢るる美旋律が・・・・

<Jazz>

Manabu Ohishi Trio 「ONE NIGHT AT GEKKA 月下の一夜」
月下草舎 / JPN / GEKKA0007 / 2020

Onenight

Manabu Ohishi(piano)
Yasushi Yoneki (bass)
Ryo Noritake (drums)

September28 2019
Recorded at pension GEKKASOSHA

  このところ月下草舎からリリースが続くピアニスト大石学のトリオによる最新アルバム。これも取り上げようと思っている昨年リリースされたアルバム『飛翔』(GEKKA0006 / 2019)と同一の米木康志(bass)と則武諒(Drums)との月光草舎にてのライブ・トリオ演奏だ。
 大石学は私としてはAtelier Sawanoからのトリオ・アルバム『Gift』(AS-122, 2012)や『WATER MIRROR』(AS-108, 2011)が過去に素晴らしかったモノとしてあるのだが、『WATER MIRROR』では名器FAZIOLIを演ずるところが印象深いのだ。そんなところから最近リリースされた『FAZIOLI F278 AGAIN』(北千住プロジェクト/2020 ↓)というソロ・アルバムも貴重。

93860132_2906671436067916_4

Profiletrw  さてこのアルバムは大石学にとって1stアルバムから25年経過してのアルバムとなるようだ。この間確かに彼に関してはソロ・アルバムも我々には印象深い。まあどちらかというと、そのソロは近年のヨーロッパ・ジャズ系に近い印象で私には好評なのだが、彼にはジャズのよってきたるところのビ・バップ系も得意と言うこともあって、やはりベース、ドラムスといったオーソドックスなトリオとして演ずることは極めて妥当なところであると思われる。

 このGEKKAレーベルではこのアルバムで6枚目と言うことになる。2018年録音の昨年リリースしたトリオ・アルバム『飛翔』が好評で、ここにこの『月下の一夜』を見ることになった。そしてこのアルバムは彼とこのレーベル立ち上げのきっかけとなったという曲"Peace"が納められている。これは過去にソロとデュオ版があって、ここではトリオ版として新しいイメージを造ってくれている。

(Tracklist)
1.Lonesome
2.GEZELLIG
3.うたたね
4.FORELSKET
5.I've Never Been in Love Before
6.Change
7.Peace

Triow_20200609211201

 5曲目以外は大石学のオリジナル曲で構成されているが、そこには詩情と優しさとが溢るる美旋律が惜しげも無く出てきて、月下の一夜に身を寄せる聴くモノを幸せにしてゆく叙情性がいっぱいだ。ベースの米木、ドラムスの則武はそのあたりは既にこのトリオとしての実績も多く、演ずる世界は見事に一致している。

   F1."Lonesome" から透明感のあるピアノの音に詩情豊かな旋律が流れ、そして曲の後半はトリオのジャズ・スピリットがあふれた演奏が楽しめる。
 F4."FORELSKET" の聴きやすく詩情溢れた曲もいいですね。
 これらの曲の中では若干異色なのがF6."Change "だ。ここでは意外に楽天的にして明快な展開の楽しさが演じられている。
 このアルバムでは、重要な変化のあるところとしては、唯一カヴァー曲のF5."I've Never Been in Love Before "だ。これこそ大石が単なる叙情派だけでなく、スウィング・ジャズの発展系としてのホットであるアドリブの楽しさを加味してのビ・パップの流れを聴かせてくれる。スピード感も抜群で、ここでのベース・ソロそしてドラムス・ソロも聴きどころ。
 最後は恐らくこの夜のアンコール曲だろうと思われる彼の代名詞的曲M7."Peace"が登場する。このアルバムではソロでなくトリオ版だ。これだけしんみりとした曲だけに、シンバルの弱音、ベースは合わせての語り調によってサポート。後半はいつも通りの盛り上がりも美しく説得力ある。トリオもやはり良いですね。

 このところ、月下草舎から立て続けにリリースされている大石学のトリオ・ライブ版の最新盤を取上げた。いずれ昨年の『飛翔』や北千住プロジェクトからのソロ版も取上げたいと思っている。

(評価)
□ 曲・演奏   85/100
□ 録音     80/100

(視聴)

 

|

« マルチン・ヴォシレフスキ Marcin Wasilewski Trio 「ARCTIC RIFF」 | トップページ | 栗林すみれ Sumire Kuribayashi 『Nameless Piano』 »

音楽」カテゴリの記事

JAZZ」カテゴリの記事

ピアノ・トリオ」カテゴリの記事

コメント

そういえば、ソロばかりで、最近彼のトリオ演奏聴いてませんね。どこかヨーロッパの薫りが音に滲む大石の演奏が、私も好きです。

投稿: 爵士 | 2020年6月11日 (木) 22時35分

ジャズ・ピアノといっても、それぞれ多彩ですが、爵士さんが大石学をごひいきなのは良く解ります。
そしてソロのよさ、トリオのよさ、これは若干性質が違いますが・・それぞれ聴き応えがあるのもこの大石学だと思います。
私が好むのは、やはり彼の世界にヨーロッパの世界を感ずる処でしょうかね。

投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2020年6月12日 (金) 18時21分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« マルチン・ヴォシレフスキ Marcin Wasilewski Trio 「ARCTIC RIFF」 | トップページ | 栗林すみれ Sumire Kuribayashi 『Nameless Piano』 »