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2020年7月18日 (土)

ロレンツォ・コミノーリ、ロベルト・オルサー Lorenzo Cominoli, Roberto Olzer 「Timeline」

ヨーロッパの伝統の中から生まれた叙情的な耽美な世界はここにあり

<Jazz>

Lorenzo Cominoli, Roberto Olzer 「Timeline」
abeat for Jazz / Italy / ABJZ 218 / 2020

Timeline

Lorenzo Cominoli (guitar)
Roberto Olzer (piano)

Recorded at Artesuono Recording Studio, Cavalicco , Itaria , Sept. 30, 2019
engineered by Stefano Amerio

 イタリアの今や油の乗った日本で人気のピアニスト・ロベルト・オルサー(Roberto Olzer下左)は、ここでも既に何回か登場してきたわけだが、今回は、ギターのロレンツォ・コミノーリ(Lorenzo Cominoli下右)とのデュオと言うことで注目のアルバムがリリースされた。これはイタリアの中堅叙情派という世界であって私としては見逃せない。更にそこにステファノ・アメリオのレコーディンク・エンジニアとくるからたまりませんね。又、ロベルト・オルサーが弾くピアノはイタリアの誇るFAZIOLI GRAND PIANO F278 MKⅢ と、音にうるさい人にも注目されるところである。
・・・と、言うことで早速聴いたという処です。

Ro1Lc1

 (Tracklist)

1. Bibo No Aozora (Ryuichi Sakamoto)
2. Blue Whale (Lorenzo Cominoli)
3. Dance Of Moroccan Veil (Garrison Fewell)
4. Atlantis (Roberto Olzer)
5. Timeless Part I (John Abercrombie)
6. Timeless Part II (John Abercrombie)
7. The Dolphin Jump (Lorenzo Cominoli)
8. Novembre (Roberto Olzer)
9. Blott En Dag (Oscar Ahnfelt)


  聴いたことのあるメロディー、坂本龍一のM1.”Bibo No Aozora 美貌の青空”からスタートする。ここにはしっとりと抑制の効いたエレガントなギターとピアノの調べが流れてくる。
 それは、コミノーリの曲M2."Blue Whale"になって更に瑞々しく流麗なメランコリックな美しいメロディーが情緒豊かな世界を築く。ピアノとギターが交互に旋律部を担当し、お互いがバックも担当してデュオの味の魅力を放つ。それはM3."Dance Of Moroccan Veil"、M4." Atlantis "になって、旋律の性質が変わるも基本的には静謐な雰囲気を作り耽美な世界を演ずるところは変わりは無い。


Lcro1

  しかしこのまま進行するのかと思いきや、M5."Timeless Part I " になって、彼らの若き世代からの積み重ねの世界が顔を出す。ちょっとダークさのある妖しく不穏なミステリアスな音をギターが響かせ、ピアノが後押ししてちょっとした異世界を浮遊するメロディーを流す。
ある意ではスリリングな世界で、インタープレイの妙も演ずる。ここに彼らの単なる美旋律に終わらないところが聴きどころ。
 そしてM6."Timeless Part II"に流れ、コンテンポラリーな世界は落ち着きのある世界に復帰。
 M7."The Dolphin Jump "では珍しく明るい世界を演じ、M8."Novembre "で、再び繊細にして優雅な中に、どこかオルサーの哀感のあるピアノの調べで叙情的美世界に導くのである。

 まあ若干の変化は見せたとはいえ、メロディアスな叙情的世界をエレガントな感覚で描いたアルバムであり、もう少しダイナミックな面もあっても良かったかとも思うが、まさに伝統あるヨーロッパの耽美な世界はここにありと言ったアルバムであった。

(評価)
□ 曲・演奏  90/100
□ 録音    85/100

(視聴)

*

 

 

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