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2020年7月14日 (火)

ケリー・ジョンソン Kelley Johnson 「SOMETHING GOOD」

実力派女性ジャズ・ヴォーカリストの深い感情表現が見事だ

 

<Jazz>

Kelley Johnson 「SOMETHING GOOD」
OA2 Eecords / US / OA2 22173 / 2019

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Kelley Johnson (vo)
John Hansen (p)
Michael Glynn (b)
Kendrick Scott (ds)
Jay Thomas (ts on 1, ss on 4, tp on 8)

 これはアメリカの実力派女性ジャズヴォーカリスト:ケリー・ジョンソンKelley Johnsonの最近作。
 ピアノトリオ中心のサポートによる本格的なジャズ・ヴォーカルが聴ける。なかなかムーディーかつエレガンスに歌い上げるので評価は良い。それも大学でも教育者として活動していると言うだけあって王道のジャズを展開。3曲にJay Thomasがテナー・サックス等で参加して色をつけている。

(Tracklist)

1. Anyone Can Whistle
2. Goodbye To Love
3. You Do Something To Me
4. Lullaby of Birdland
5. Let’s Do It
6. Some Other
7. Tip Toe /
8. Unforgettable
9. You For Me
10. Something Good

   彼女に関しては、キャリアがあるにも関わらず、このアルバムが実は私にとっては初物であった。そして印象としては、なかなかソフトにして筋の通った生きの良さとともに、大人の幅の広さが感じられるヴォーカル、それはジャズとしてのポイントを押さえた安定感抜群といったところにある。
 しかも、その選曲がなんともマニヤックである。それはポピュラーなところを狙うのでなく、おそらく彼女のものとして描くアレンジに向くか向かないかで選び抜き、そこにトリオ演奏もいかに生かせるかというところまで配慮しての選曲とみた。

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 カーペンターズのM2."Goodbye To Love(忘れられない)"も、こうジャズに変化するのかと驚かされるし、彼女のジャズ・ヴォーカルものに一変しつつ、後半にはトリオのジャズ演奏に預けたりと充実感ある。
149  M3."You Do Something To Me "のコール・ポーターの曲を聴いても、このケリー・ジョンソンとピアニストのジョン・ハンセン(→)のコンビによる編曲が更に幅広いジャズの味を作り上げるに貢献していると想像する。聴きなれたジョージ・シァリングのM4." Lullaby of Birdland "なども登場するが、その変化も恐れ入る。ここまで本格的ジャズ・アルバムに仕上げた実力は相当なものとみる。
 いずれにせよ、彼女の歌声の魅力も大きい。やや抑えてのアンニュイなナイト・ムードを作り上げての世界が、如何にもジャズ向きなんですね、M8."Unforgettable"では、ゲストのジェイ・トーマスのミュートを効かしたトランペットとの協演で歌い上げるが、そこに深い感情が感じられその相性の良さがお見事。
 やはりアルバム・タイトル曲M10."Something Good"は、演奏陣の安定感とその不安ないヴォーカルの完成度の高さに聴いていても気持ちが良い。

  まあ女性ヴォーカルものというのは、後は声の質や雰囲気等に感覚的に聴く方に合うかどうかですね。私の場合は70%位はOKでした。 
 このアルバムはそれぞれの曲が単に聴き慣れたものの再現でないだけに、キャリア十分のトリオの演奏とともに彼女のヴォーカルをこれから何回と聴いて味わえる楽しみもある。

(評価)
▢ 編曲・演奏・歌   90/100
▢ 録音        85/100

(視聴)  

"Lullaby of Birdland"

*
"Anyone Can Whistle"

 

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