ジャン・ポール・ブロードベック・トリオ Jean-Paul Brodbeck Trio 「EXTRA TIME」
洗練されたジャズ心とテクニックでジャズの美学を演ずる・・・
<Jazz>
Jean-Paul Brodbeck Trio 「EXTRA TIME」
Solid/Enja / JPN / CDSOL-46459 / 2020
Jean-Paul Brodbeck : p
Lukas Traxel : b
Claudio Strüby : ds
Adapted By – Jean-Paul Brodbeck (tracks: 5)
Recorded By, Mixed By, Mastered By – Daniel Dettwiler
Written-By – Jean-Paul Brodbeck (tracks: 2-4,6-9), Brahms* (tracks: 5), Schumann* (tracks: 1)
スイスの若手ピアニストでチャイコフスキーのカヴァーなどをして来たジャン・ポール・ブロードベックJean-Paul Brodbeck がルーカス・トラクセルLukas Traxel(b)とクラウディオ・ストルビーClaudio Strüby (ds)とで結成したスイス産トリオによるアルバム。
これは2017年にドイツのヨーロッパ良質なジャズ・レーベルと言われるENJA(European New Jazz)からリリースされたもので、メインストリーム・ジャズの名盤を復刻する注目の新シリーズ ”ENJA REAL JAZZ CLASSICS"として今年7月に日本でお目見えしたモノ。
ブロードベックは、クラシック楽曲を耽美的にジャズ化するなど美にこだわったスタジオ作品をリリースして注目されてきた。
1 Ich Will Meine Seele 心を潜めよう 8:51
2 Im Strom Der 潮の流れに 9:33
3 The Night Comes Soon 6:18
4 Song For The Ancestors 7:11
5 Brahms Ballad 3:16
6 Juno Is Touching Down 8:01
7 Return/No Return 6:25
8 Rocka-Roas 4:58
9 Requiem Of A Song 6:28
曲はクラシックからはシューマンのM1.とブラームスのM5の二曲のみで、その他はピアニスト・ブロードベックのオリジナル7曲によって構成されている。
スタートのシューマンのM1."Ich Will Meine Seele"で、これは並に迫れないトリオだと、単なるクラシックのカヴァーと言うので無いそのジャズ演奏の意味付けの重さがヒシヒシと実感する。
M2."Im Strom Der"はオリジナル曲、押し寄せるドラムスの流れに、ピアノ、ベースのテーマが始まり、これは耽美派ということではかたづけられない一歩ジャズを進化すべく試みる世界だ。ピアノ主導で無く三者の描く世界が美しさと共に伝わってくる9分を超える長曲、面白い。
M3."The Night Comes Soon" ピアニストが浮遊する世界。
M4."Song For The Ancestors " ピアノのイントロが美しく、ベース、ドラムスの効果がそれを後押ししてのジャズ美学。
ブラームスのM5." Brahms Ballad "はしっとりと。
M6."Juno Is Touching Down " ベースの深層心理に迫ろうとするソロから始まって、トリオ演奏が高まりを造り、ベース主体の中にピアノの美しさが交えて聴き応え十分。コンテンポラリー感が結実して見事。
M7."Return/No Return" 彼らの本領発揮のピアノの流れのバラードで耽美なトリオ演奏にうっとりといったところ、ちょっと思索的世界に導くところがお気に入りだ。
締めのM9."Requiem Of A Song " は、ゆったりとしたピアノの旋律が美しい曲。 三年前のこのアルバムを今年ここに復活させた意味は十分感じられるハイレベル・ジャズ・アルバム。しばらく聴いていたくなるのは、その技術的な洗練されたところと、ジャズ心の充実だと思う。
参考までに、リーダーのJean-Paul Brodbeck は ( →)、1974年スイス・バーゼル生まれ、10歳でピアノに接し、12歳でバンドを組んだとか。11歳から15歳まで正式なピアノ・レッスンを受ける。その後音楽院に進んでクラシック専攻という経歴。28歳でトリオ初リーダー作を発表。チャイコフスキーのカヴァー曲集「Song of Tschaikowsky」等のアルバムをリリースしている。
(評価)
□ 曲・演奏 : 90/100
□ 録音 : 85/100
(視聴)
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