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2020年9月26日 (土)

寺島靖国プレゼント「For Jazz Audio Fans Only Vol.13」

「ジャズは音で聴け」の世界は今年はどう変わってきたか・・・・

<Jazz>

 Yasukuni Terashima Presents
「For Jazz Audio Fans Only Vol.13」
TERASHIMA RECORDS / JPN / TYR-1092 / 2020

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  今年も、無事寺島靖国氏の企画によるこのアルバムがリリースされた、13卷目だ。注目される好演奏、好録音盤を取上げ年に一回のリリースであるので、なんと今年でもう13年と言うことですね。オーディオ・ファンでもある私は、おかげで過去の全アルバムを聴いて楽しんでいる。
 恐らく今年のこのアルバムには、私の聴いているのは何か必ず取上げられるだろうと高を踏んでいましたが、なんと全13曲今年までに聴いてきたアルバムが無く完全に肩すかしでした。このあたりが、一般的な世界で無く、オーソドックスでない、にもかかわらず納得の好演奏を紹介してくれるのでありがたいと言う処なんです。

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 「ジャズは音で聴け」と豪語している彼の世界、中心は私の好きなピアノ・トリオだ。ところがこのところステファノ・アメリオの影響もあってか、低音とシンバルの強力エネルギー溢れるサウンドから、曲の質とその描く内容によっての音場型サウンドへと好みがシフトしつつあることを訴えている寺島靖国。 どんな選曲をしてくるか、ちょっと楽しみというか、期待というか、そんなところでこのアルバムを聴くのである。

(Tracklist)

1. The Song Is You 〔Christoph Spendel Trio〕
2. I Love You So Much It Hurts 〔Han Bennink / Michiel Borstlap / Ernst Glerum〕
3. Cancer 〔Allan Browne Trio〕
4. New Life And Other Beginnings 〔Aki Rissanen〕
5. Sailing With No Wind 〔Carsten Dahl Trinity〕
6. Counter 〔Floris Kappeyne Trio〕
7. Ammedea 〔Pablo Held Trio〕
8. Flight of the Humble 3 〔Robert Rook Trio〕
9. 928 〔Michael Beck Trio〕
10.Mistral 〔Peter James Trio〕
11.Get Out Of Town 〔Stevens, Siegel And Ferguson Trio〕
12.The Day You Said Goodbye 〔Larry Willis Trio〕
13.Don't Let The Sun Catch You Crying 〔Lafayette Harris Jr.〕
()内は演奏者

 こうしてみると、いやはやここに登場するは日本におけるポピュラーな演奏者は少ないというか、私はあまり知らないのであって、探求心、研究心のなさを思い知らされた。
 従って今回のアルバムは私にとっては非常に貴重だ。取上げた曲の全てのアルバムを聴きたい衝動に駆られる。

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 中でもやっぱり曲の良さからは、M1."The Song Is You "、M5."Sailing With No Wind "は興味ありますね。M1は、ポーランド生れのピアニストで、この曲を聴く限りでは、ジャズの中では刺激の無いむしろメロディー重視にも聴こえるが、エレクトロベースが面白い味付けで是非この曲を収録したアルバム『Harlem Nocturne』(BLUE FLAME)(上左)を聴きたいと思った。又M5.はジャズ名演といったタイプで、なかなか叙情もあって素晴らしい。このピアニストのカーステン・ダールはデンマーク生れのベテランで、私は唯一このピアニストは知ってはいるが、未熟にも彼のこのアルバムにはアプローチしてなかったので、美しいピアノの調べのこの曲を収録しているアルバム『Painting Music』(ACT Music)(上中央)は早速聴くことにする。
   そしてM9."928"(Michael Beck Trio)のベースとドラムスの迫力録音が聴きどころ。このマイケル・ベックも名前は聞いたことがある程度で今まで白紙状態であったため興味がある。更にM12."The Day You said Goodbye"がジャズの真髄を演ずるが如きのベースとブラッシが前面に出てきて、そこにピアノを中心とした流れがゆったりとしていて素晴らしい。このアルバム『The Big Push』(HighNote Records)(上右)を是非入手したいと思ったところだ。

 この寺島靖国のシリーズは、演奏は勿論無視しているわけでは無いが、所謂オーディオ・サウンドを重視し、その録音スタイルに深くアプローチしていてライナー・ノーツもその点の話が主体だ。それを見ても如何にサウンド重視がこのアルバムの目的であることが解るが、昔からシンバルの音の重要性の語りが彼の独壇場だ。そしてベース、ピアノの音質と配置などに、かなり興味と重要性を主張している。そんな点も私もこのアルバムに関しては、やはり興味深く聴いたのだった。

  今回は、先ずこのリリースされたアルバムの紹介程度にしておいて、ここに登場したアルバムを入手し聴いて、次回からそのアルバムの感想をここに紹介したいと思っている。

(評価)
選曲  90/100
録音  90/100

(参考視聴)  Carsten Dahl Trinityの演奏

 

 

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2020年9月18日 (金)

レイス・デムス・ウィルトゲン REIS DEMUTH WILTGEN  「sly」

若きトリオが、ヨーロッパ・ジャズの一つの最新形を目指して・・・
ステファノ・アメリオの録音とミキシングも聴きどころ


<Jazz>

REIS DEMUTH WILTGEN  「sly」
CamJazz /  /  MOCLD-1037 /  2020

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Michel Reis (p)
Marc Demuth (b)
Paul Wiltgen (ds)

Recording and Mixing engineer Stefano Amerio 

  ルクセンブルグの若きピアニストのミシェル・レイスは日本での活動は活発で、石若駿をレギュラーメンバーにした彼の他は日本人ミュージシャンのみからなる「ミシェル・レイス・ジャパン・カルテット」で知られる。  この5月に彼のソロ・アルバム『SHORT STORIES』をここで取上げたのだが、あのリリカルな世界が印象的である。
 さて、そのレイスは自国においては、高校時代の同窓のメンバーとトリオ「レイス・デムス・ウィルトゲン」を組んで、既に2013年にデビュー作品をリリースしているのだが、そのトリオが現在までがっちり続いていて、今年第4作を発表したのである。それがこの『sly』である。
 このアルバムはかなり彼らのレクセンブルグを意識したもので、ルクセンブルグの詩人の風物詩「ルナール」というものをテーマにしていて、その「ルナール」というのは狐を指すらしい。それがこのアルバム・タイトル「スライsly」ということになり、その意味は"ずる賢い"と言うことのようだ。
 とにかく、この若きトリオが描く新世代ジャズにアプローチしてみたのであるが、こうしたものがヨーロッパ・ジャズの一つの最新形なのかと聴いた次第だ。

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1. Snowdrop #
2. No Storm Lasts Forever *
3. If You Remember Me *
4. Fantastic Mr. Fox #
5. Silhouettes On The Kuranda *
6. Viral #
7. Diary Of An Unfettered Mind *
8. Let Me Sing For You *
9. Venerdì Al Bacio *
10. Nanaimo *
11. The Last We Spoke #
12. The Rebellion 
13. Home Is Nearby #

(*印:Michel Reis 、#印:Paul Wiltgen)

 どちらかというと、そう長くない、短い曲も含めて上のように13曲。レイスReisの曲が7曲、ドラマーのWiltgenの曲が5曲、ベーシストのDemuthの曲が1曲という彼らのオリジナル曲だ。

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 いっやーしかし、この若きトリオの演ずるところはリアル・ジャズとヨーロッパ美学の結合なんですね。
 私は前半6曲は取り付くところが無いくらい異様なアヴァンギャルドな世界だ。印象はドラムスのパンチ力で録音も前面に出てきてバンバンアタックしてくるリアル・ジャズの印象。これらの曲はルクセンブルグの世界観とフリー・ジャズでの叙情詩と行ったところか、私がついて行くには少々厳しい。
 ようやく、心を引かれてのめり込めるのは、主としてミシェル・レイスの曲M7."Diary Of An Unfettered Mind"からで、M.11"The Last We Spoke"までの4曲で、あくまでも私の感覚としての素晴らしさだ。近代感覚あふるる中に美旋律そして叙情を漂よらせて非常に魅力的。
 このアルバムケの前半に評価を持って行く人もいるのではと思うが、私の場合はついて行くのが難儀だった。
 彼らは、彼ら自身のオリジナル曲に固執しているようで、その作曲演奏に自己の世界観を描こうとしている。
 若きトリオが、ヨーロッパの叙情を加味しつつ、リアル・ジャズ、フリー・ジャズ、そしてアヴァンギャルドな世界への挑戦として演ずるところは、注目すべき作品だ。

 そして録音がイタリアの名手ステファノ・アメリオということで注目してみたが、彼は曲を十分意識しての世界観のある音と音場を作り上げるのだが、このアルバムは過去のよく聴いた叙情的美しさを描き挙げるものと異なって、ちょっと驚きのリアル・サウンドを追求している。彼のこのような仕上げは珍しく貴重。そんなところからも、このトリオの演ずるところが窺えるところだ。

(評価)
□ 曲・演奏   85/100
□ 録音     90/100

(参考視聴)  このトリオのライブ模様

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2020年9月13日 (日)

チャンピアン・フルトン Champian Fulton 「BIRDSONG」

アメリカン・ジャズの良さをしっかり演ずるアルバムだ


<Jazz>

Champian Fulton 「BIRDSONG」
CHAMPIAN RECORDS / IMPORT / CR003 / 2020

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Champian Fulton (piano) (vocal on 01, 03, 04, 07, 08, 09, 10)
Scott Hamilton (tenor saxophone except 05, 06)
Hide Tanaka (bass)
Fukushi Tainaka (drums)
guest:
Stephen Fulton (Champian's father) (flugelhorn on 02, 08, 09, 11)

Recorded Sept.24,2019 at Samurai Studios, Queens, NY.

  NYシーンで活躍し、ピアニストであり歌手でもあるチャンピアン・フルトン(1985年オクラホマ州ノーマン生まれ)の、今回は、チャーリー・パーカー生誕100周年に因んだパーカー・トリビュート編(チャンピアンのヴォーカルは11曲中7曲に登場)で、スコット・ハミルトン(ts)を迎え、更にシャンピアンの父スティーヴン(flh)もゲスト参入するというジャズ演奏も楽しめる自主制作盤。
 アルバムは結構多いのだが、私が前回ここで取上げたのは、結構アメリカン・ジャズの良さを感じた『After Dark』(GSR022/2016) であった。

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(Tracklist)

01. Just Friends 7:14 (J. Klenner & S. Lewis / April Music Inc.)
02. Yardbird Suite 6:36 (C. Parker / Atlantic Music Corp.)
03. This Is Always 5:32 (H. Warren & M. Gordon / Four Jays Music Pub.)
04. Star Eyes 5:40 (D. Raye & G. de Paul / April Music Inc.)
05. Quasimodo 5:07 (C. Parker / Songs of Universal Inc.) (p-b-ds trio)
06. All God's Chillun Got Rhythm 4:49 (G. Kahn, W. Jurmann & B. Kaper / April Music Inc.) (p-b-ds trio)
07. Dearly Beloved 4:46 (J. Mercer & J. Kern / Universal - Polygram Intl. Pub. Inc.)
08. Out Of Nowhere 5:06 (J. Green & E. Heyman / Sony ATV Harmony)
09. If I Should Lose You 7:22 (R. Rainger & L. Robin / Sony ATV Harmony)
10. My Old Flame 5:00 (S. Coslow & C. Midnight / Sony ATV Harmony)
11. Bluebird 9:25 (C. Parker / Atlantic Music Corp.)

 ピアニストとしても実績のあるチャンピアンだけあって、全曲彼女のアレンジメントと言うことのようだ。所謂、アメリカン・ジャズの世界で、ヨーロッパ系の哀愁という世界では全くなく、バップ&ブルースの伝統的流れに乗ったピアノや、心地よい刺激の無い包み込んでくるようなテナー・サックス、そしてどちらかというとスリリングというような刺激の無いハートウォーミングなコンポ演奏展開。全体的演奏の流れは結構小気味の良いところもあって、スウィング感たっぷりのジャズの醍醐味はちゃんと持っている。

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 又彼女の歌声は、中高音が主体のしっとりさのある情感の豊富なところにある。ただし残念ながら声の質は、これは感覚的なモノで致し方の無いところだが、私個人的な好みとは若干違ったところにあるのは、前作でも感じたところだ。
 しかしM3."This Is Always "、M10."My Old Flame"に聴けるしっとりさはある歌い込みは、テナーの調べやベースとの協演に、暗さの無い情感たっぷりのジャズの良さを十分感じ取れる。これはハミルトンの効果たっぷりというところも感ずるのだ。
 M5."Quasimodo "M6."All God's Chillun Got Rhythm"は、インスト曲で、スウィング感たっぷりの軽快なピアノ・プレイや早弾きを披露していてこれもジャズの標準的良さを聴かせてくれる。そしてM7."Dearly Beloved"では、語り聴かせるようなヴォーカル、リズムカルなヴォーカルとの取り合わせが見事。
 とにかく、M1."Just Friends "、M9."If I Should Lose You " など、小ホールで、ゆったりと安らぎながら一夜を過ごすには、なかなか良い気分にさせてくれるジャズの典型の歌と演奏である。
 
 私自身は、ジャズにおいて欧州系のリリカルな演奏を好むのだが、時にこのようなしっとり、マイルド系のアメリカン・ジャズもいいものだと聴くのである。

(評価)
□ 演奏・歌  85/100
□ 録音    80/100

(視聴)

 

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2020年9月 8日 (火)

シモーネ・コップマイヤーSimone Kopmajer 「My Wonderland」

懐かしい曲を思いがけなく取上げていて、ホッとして聴ける

<Jazz>

Simone Kopmajer 「My Wonderland」
Lucky Mojo Records /  EU  / LMR201 / 2020

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Simone Kopmajer (vo)
Terry Myers (sax)
Paul Urbanek (p)
Martin Spitzer (g)
Karl Sayer (b)
Reinhardt Winkler (ds)

 オーストリア出身の歌姫、シモーネ・コップマイヤー新作。彼女を取上げるのは2年ぶりだが、なかなか充実度が上がっている。
 彼女は1981年生れで、アルバムは2003年以来、『Romance』『Moonlight Serende』などがあって、2018年に『SPOTLIGHT ON JAZZ』とリリースしてきている。
 今回のアルバムでは、彼女のオリジナル新曲、4曲が聴ける。そしてとジャズとボッサのスタンダーズ、更に驚きはサンタナの懐かしのヒット曲やバート・バカラックの曲などが取上げられている。
 難しく凝っていなくて、あのプリティーなヴォーカルを生かして、円熟した歳となって充実度が増した曲作りが、安心して聴けて好感度は高い。

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1 My Wonderland *
2 Voce E Eu (You And I)
3 Something New *
4 A Man And A Woman
5 Why Don't You Do Right
6 Caravan
7 A Tinge Of Yellow *
8 In A Mellow Tone
9 Europa (Manana)
10 So Danco Samba
11 Raindrops Keep Falling On My Head
12 A Trembling Moon (Clair De Lune) *
(*印 オリジナル曲)

 歳相応に円熟した大人の味が加わって来た中で、もともとのプリティーな彼女の持ち味がどの程度残っているのかと思いながら聴いたわけだが、やはりその特徴は失われてはいない。しかし究極は大人のジャズに仕上げていて、しかもポップス様の味付けがあって、非常に聴きやすい。 
 あまり力が入っていなく、ちよっと洒落た味を加えた歌というところで、いわゆる和みのボーカル・アルバムというところだ。

 彼女のオリジナル曲も、変な癖も無く聴きやすいが、なんと言ってもM4."A Man And A Woman 男と女" が、久しぶりに聴けて良かったですね。これもあまりジャズっぽくなくてこんなところでいいと思ったところだ。
 なんと言っても驚きはM9." Europa (Manana) 哀愁のヨーロッパ"のサンタナのヒット曲が登場したところですね、あのギターの音色が日本中で受けた曲が、これがジャズ・ヴォーカルに、と言うだけで驚きですが、挑戦したところに評価しましょう。
 M6."Caravan"も驚きました。ヴォーカルものとしては珍しいでしょう。なかなかこのアルバムでは一弐を争う出来で、お見事と言っておく。
 とにかくポピュラーなバカラックのM11." Raindrops Keep Falling On My Head"なども登場して、肩の凝らないアルバムであり、ジャズ世界としてハイレベルと言うモノでは無いが、嫌みが無く聴きやすいヴォーカル・アルバムとして歓迎したところだ。

(評価)
曲・歌  85/100
録音   80/100

(視聴)

 

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2020年9月 3日 (木)

ケイト・ウェイディー Kate Wadey 「Moon Songs」

サポート陣が洗練されていて、艶やかさのある温かいヴォーカルが生きている

<Jazz>

Kate Wadey 「Moon Songs」
KATEWADEY.COM 自主制作盤

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Kate Wadey (vocal)
Peter Koopman (guitar except 3, 6, 7, 8)
Harry Sutherland (piano except 2, 5, 8, 9)
Samuel Dobson (bass except 5, 7, 8)
Tim Geldens (drums except 5, 7)

 

  これも私にとっては初物です。シドニーを主たる拠点として活躍するオーストラリアの女性歌手:ケイト・ウェイディーKate Wadeyの2019年リリース盤。ギター、ピアノ、ベース、ドラムの伴奏による本人自主製作のセカンド・アルバムである。
 先日も、同じオーストラリアの寺島靖国推薦の初物女性歌手のキンバ・グリフィス・セプテット Kimba Griffith Septetを紹介したが、このケイト・ウェイデイーは、それに比較すると、ちょっと注目度は高いですね。なんと言ってもジャズを演ずるに既に味がある。曲も洗練された世界に出来上がっている。それはベーシストのサムエル・ドブソンの支えが大きいようだ。そんなことで自主制作盤とはいえジャズ・ヴォーカル・アルバムとして良い線を行っているので、ここに取上げるのである。

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(Tracklist)

1. There's A Lull In My Life
2. The Moon Song
3. East Of The Sun (And West Of The Moon)
4. Just When We're Falling In Love
5. These Foolish Things (vo & g duo)
6. Lover, Come Back To Me
7. Early Autumn (vo & p duo)
8. Goody Goody (vo & ds duo)
9. Nobody Else But Me

   まずなんと言っても、バック陣の演ずるジャズが、ブルージーな味がありながら結構粋な展開のギター、なかなかコンテンポラリーにこなすピアノと良い線をいっている。演ずるは、時にトリオになったりとインスト陣のしっかりスウィンギンな味を見せながらのサポートがジャジーな世界を良い味で描いていて、そこに、ウェイティーのヴォーカルはややトーン高めであるがきめの細かい艶やかさのある声である。そして時折ちょっとハスキーになっての味付けがなかなか心得た技術を持っている。結構落ち着きある展開で、清楚で愛らしいチャーミングなところがちゃんとあって、なかなか聴かせるのだ。

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 M2."The Moon Song"は、アルバム・タイトル曲。これは彼女のこのアルバムでの唯一のオリジナル曲なんですね。やはり歌い込みを静かなギターのバックの展開の中でしっかり説得力あるところで聴かせる。
 M5."These Foolish Things"では、彼女と静かなギターとのデュオがしっとりと展開して、しっかり歌い上げる曲は完成品だ。
 M6."Lover, Come Back To Me"は、誰もが知っている曲を、一転しての速攻スイング曲として演じられ、ピアノとスティックのインプロもまさにジャズ。こんな展開はやはりそれなりの技巧が無いと無理で、なかなか聴かせる。アルバムでも中盤で一つの山を造っている。そして一転してM7."Early Autumn " のバラード世界で、しっとりと迫ってくるのはにくいところ。

 洗練されたどちらかというとまろやかで温かい声、そして聴き手に納得感をひきよせる心を感ずる歌い上げは、叙情性もあってジャズ・ヴォーカルとしても良い線をいっている。これからがどう発展してゆくかが注目されるところはまちがいないところだ。

(評価)
曲・歌 :   85/100
録音  :    85/100

(視聴)

 

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