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2020年9月 3日 (木)

ケイト・ウェイディー Kate Wadey 「Moon Songs」

サポート陣が洗練されていて、艶やかさのある温かいヴォーカルが生きている

<Jazz>

Kate Wadey 「Moon Songs」
KATEWADEY.COM 自主制作盤

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Kate Wadey (vocal)
Peter Koopman (guitar except 3, 6, 7, 8)
Harry Sutherland (piano except 2, 5, 8, 9)
Samuel Dobson (bass except 5, 7, 8)
Tim Geldens (drums except 5, 7)

 

  これも私にとっては初物です。シドニーを主たる拠点として活躍するオーストラリアの女性歌手:ケイト・ウェイディーKate Wadeyの2019年リリース盤。ギター、ピアノ、ベース、ドラムの伴奏による本人自主製作のセカンド・アルバムである。
 先日も、同じオーストラリアの寺島靖国推薦の初物女性歌手のキンバ・グリフィス・セプテット Kimba Griffith Septetを紹介したが、このケイト・ウェイデイーは、それに比較すると、ちょっと注目度は高いですね。なんと言ってもジャズを演ずるに既に味がある。曲も洗練された世界に出来上がっている。それはベーシストのサムエル・ドブソンの支えが大きいようだ。そんなことで自主制作盤とはいえジャズ・ヴォーカル・アルバムとして良い線を行っているので、ここに取上げるのである。

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(Tracklist)

1. There's A Lull In My Life
2. The Moon Song
3. East Of The Sun (And West Of The Moon)
4. Just When We're Falling In Love
5. These Foolish Things (vo & g duo)
6. Lover, Come Back To Me
7. Early Autumn (vo & p duo)
8. Goody Goody (vo & ds duo)
9. Nobody Else But Me

   まずなんと言っても、バック陣の演ずるジャズが、ブルージーな味がありながら結構粋な展開のギター、なかなかコンテンポラリーにこなすピアノと良い線をいっている。演ずるは、時にトリオになったりとインスト陣のしっかりスウィンギンな味を見せながらのサポートがジャジーな世界を良い味で描いていて、そこに、ウェイティーのヴォーカルはややトーン高めであるがきめの細かい艶やかさのある声である。そして時折ちょっとハスキーになっての味付けがなかなか心得た技術を持っている。結構落ち着きある展開で、清楚で愛らしいチャーミングなところがちゃんとあって、なかなか聴かせるのだ。

Katew3w  スタンダード曲中心のアルバムだが、スタートのM1." There's A Lull In My Life"は彼女のアカペラで始まって、これはなかなかヴォーカルの実力を訴える。
 M2."The Moon Song"は、アルバム・タイトル曲。これは彼女のこのアルバムでの唯一のオリジナル曲なんですね。やはり歌い込みを静かなギターのバックの展開の中でしっかり説得力あるところで聴かせる。
 M5."These Foolish Things"では、彼女と静かなギターとのデュオがしっとりと展開して、しっかり歌い上げる曲は完成品だ。
 M6."Lover, Come Back To Me"は、誰もが知っている曲を、一転しての速攻スイング曲として演じられ、ピアノとスティックのインプロもまさにジャズ。こんな展開はやはりそれなりの技巧が無いと無理で、なかなか聴かせる。アルバムでも中盤で一つの山を造っている。そして一転してM7."Early Autumn " のバラード世界で、しっとりと迫ってくるのはにくいところ。

 洗練されたどちらかというとまろやかで温かい声、そして聴き手に納得感をひきよせる心を感ずる歌い上げは、叙情性もあってジャズ・ヴォーカルとしても良い線をいっている。これからがどう発展してゆくかが注目されるところはまちがいないところだ。

(評価)
曲・歌 :   85/100
録音  :    85/100

(視聴)

 

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コメント

お久しぶりです。いやこの人いいですね。JAZZ Barシリーズで取り上げそうな雰囲気と味を持っていますね。

投稿: 爵士 | 2020年9月 5日 (土) 17時11分

爵士さんこんばんわ。
ご無沙汰しております。
そうですね、今年のJazz Barはこれからですね。しかしこのところオーストラリアからの初お目見えの二人の歌姫では、このウェイディーの方ではなく、おそらく寺島レコードからのKimba Griffithの方を取上げるでしょうね、自己レーベルですからね。・・・と、余計なことを暇に任せて推測しています。
 しかし、今世界はCD時代も衰退で、新しいアルバムのリリースは減ってますね。これからどうなりますやら・・・私はCD派ですので、寂しいです。

投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2020年9月 6日 (日) 22時03分

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