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2020年10月29日 (木)

キャスリーン・グレイス Kathleen Grace 「Tie Me To You」

多彩な曲を自分の世界へ歌い演ずるところが見事

 

<Jazz>

Kathleen Grace with Larry Goldings「Tie Me To You」
Inpartmaint / JPN / RCIP-0307 /2020

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Produced by Larry Goldings & Kathleen Grace
Recorded at The Carriage House,Los Angeles CA
Engineered by Sheldon Gomberg & Kevin Smith, additional engineering by Johnnie Burik
Mixed by Sheldon Gomberg, mix assistants Bill Mims & Phillip Broussard
Mastered by Gavin Lurssen, Lurssen Mastering
Photography by Jacob Boll
Design by Sebastian White

Kathleen Grace – voice, guitar
Larry Goldings – piano, keyboards, organ, pocket piano, glockenspiel
David Piltch – bass (1, 3, 4, 5, 8, 10)
Gabe Witcher – violin (1, 3, 7, 8)
Darek Oleszkiewicz – bass (7)

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  なんとジャズ関係のブログ友が思わず"ジャケ買い"したというアルバムである。昔、情報が無かった頃はこの"ジャケ買い"というのは極めてよくある話でしたが、今になって思わずこの話を聞いて嬉しくなった。実はジャケこそアルバムの重要な一つの因子であって、昔LP時代はこのジャケを眺めながら針を落として演奏なり歌などを聴いたものであった。そんな懐かしいとも言えるジャズ・アルバム愛好家が、今はストリーミングで一曲単位でしか聴いていない事の多い時代に、それとは別世界でジャケで夢を描きながらアルバムとして音楽を楽しんでいることが嬉しくなるのである。私は今でもジャズは、アルバムを通して聴いて、初めてそのミュージシャンの描こうとしているものを知ろうとしたり味わったりしている人間で、実はそれが唯一の"アルバム鑑賞"だと思っているのであって、ふと昔と今を思い巡らしているのである。

 

Kgwithlgw  さてこのアルバムは女性ヴォーカルを楽しむ一枚であるが、そのキャスリーン・グレイスKathleen Grace (→)は、私にとってはまさに初物、しかし彼女は、LAを拠点に活動する女性ヴォーカリスト・ソングライターで、ジャズをベースに、フォーク/ブルースからポップスまでをカヴァーし表情豊かな歌唱力を持っていて、もうデビユーして15年以上という円熟ミュージシャンであって、なかなか人気もあるようである。
  そしてこのアルバムは、ジャズ〜ポップス〜ファンク系のセッションマンとして数多く活躍してきたピアニストにして作曲家のラリー・ゴールディングス(→)とタッグを組んで吹き込んだ話題作といってよいものある。

 

(Tracklist)

01. Tie Me To You
02. Where Or When
03. Everywhere
04. John The Revelator
05. Berceuse ( Valsa Para Uma Menininha)
06. The Thrill Is Gone
07. Embarcadero
08. Love For Sale
09. What'll I Do
10. I'll Follow e Sun
11. Solitude (日本盤CD限定ボーナストラック)


 収録曲は主としてピアノ、ベースをバックに彼女のヴォーカル中心に展開する。選曲は多岐にわたっていてジャズ・スタンダード、ポップス、ブルースなどなど、実にリラックスした中に表情豊かにして親密度の高い聴きやすいヴォーカルである。
 特に全体にかなり手慣れたラリー・ゴールディングスの演奏は刺激的でなく、ヴォーカルを支えるべく展開してムード作り効果は大きい。

 

Kathleeng1_20201023104801  アルバム・タイトル曲のM1."Tie Me To You"と、M3."Everywhere"がラリー・ゴールディングズ&キャスリーン・グレイスの共作オリジナル曲で、M1はじっくりしっとり歌い込み、M3はカントリーっぽく演じての2曲を披露している。
 又おなじみリチャード・ロジャース&ロレンツ・ハート作のM2."Where Or When"もじっくり歌って聴かせていて、彼女のパターンはこれだと解る。M4."John The Revelator"のブルース調も聴きどころ。
 レイ・ヘンダーソン&ルー・ブラウン作のM6."The Thrill Is Gone"は、この心からの歌い込みはお見事。
 コール・ポーター作のM8."Love For Sale"、情景豊かな歌にも納得。
 アーヴィング・バーリン作のM9." What'll I Do"がいわゆるグレイト・アメリカン・ソングブックもの。 いっやーー、選曲が多彩と言えば多彩ですね。しかしそれぞれの展開に違和感がない。これぞこのタッグを組んで、練りに練って編曲しヴァイオリン、ギターも挿入して自分らの曲に仕上げているからだと思う。
 最後のM10."I'll Follow The  Sun"はビートルズ・ナンバーだが、バラード調への編曲でちょっと異様だが、初期のポールによる曲だ。ここまで彼らの物にしてしまうのも驚きで、なかなかやるなぁーーと言ったところ。

 とにかくあらゆるジャンルを自己のじっくり歌い込みの世界に構築しているところは驚きでもあった。

(評価)
□ 選曲・編曲・歌  85/100
□ 録音       80/100

(視聴)

 

 

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コメント

ジャケ買い。中身がわからないまま、ジャケットの雰囲気と収録曲名で決める。初物歌手でオリジナル曲ときたら、もうギャンブル。それでも当たった時はうれしいものです。こんなワクワク感は少なくなりました。

投稿: 爵士 | 2020年10月31日 (土) 17時25分

爵士さん
こんばんわ、秋の夜長ですねぇーー
昔、私もよくジャケ買いしましたが、当時は情報が少なく、おっしゃるようにワクワク感ありましたね。何せ、物価が今とは全く違って安かった時代に、LPは2500円しましたので、今で言えば1万円以上です。それですから緊張感も凄かった。でも今となれば、アルバム買うにもあの興奮は無いのが寂しいです。

投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2020年10月31日 (土) 23時26分

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