スールヴァイグ・シュレッタイェル Solveig Slettahjell 「Come In From The Rain」
シルキー・ヴォイスにハスキーが加わり、ぐっと重きも出てきた情感ある歌声
<Jazz>
Solveig Slettahjell 「Come In From The Rain」
ACT / Germ / ACT 9741-2 / 2020
Solveig Slettahjell (vocal)
Andreas Ulvo (piano)
Trygve Waldemar Fiske (bass)
Pål Hausken (drums)
丁度5年前にトルド・グスタフセンとのアルバム(『Arven』(2013))から、このノルウェイの女性歌手スールヴァイグ・シュレッタイェルSolveig Slettahjellを知ることになり、アルバム『SILER』(2004)等を取上げたのだが、ここに彼女としては5年ぶりのニュー・アルバムが登場した。もともと彼女は1971年生れで、もう20年のキャリアのある歌手で、あのソウルフルでシルキー・ヴォイスがなんといっても売り物であった。私としてはよくぞここにニュー・アルバムをリリースしてくれたと歓迎するのである。
(Tracklist)
01 Come In From The Rain (Melissa Manchester & Carole Bayer Sager) 4:07
02 On The Street Where You Live (Frederick Loewe / Alan Jay Lerner) 3:44
03 You’re Driving Me Crazy (Walter Donaldson) 2:48
04 Since I Fell For You (Buddy Johnson) 4:04
05 So I Borrow Your Smile (Solveig Slettahjell) 4:41
06 How Deep Is The Ocean (Irving Berlin) 4:51
07 Now Or Never (Curtis Reginald Lewis / Billie Holiday) 3:13
08 I Lost My Sugar In Salt Lake City (Leon René / Johnny Lange) 4:19
09 Johnsburg, Illinois (Tom Waits) 4:31
10 ‘Round Midnight (Thelonious Monk, Cootie Williams & Bernard Hanighen) 6:46
今回はピアノ・トリオをバックとして、相変わらずのソウルフルな歌を披露している。もともとシルキー・ヴォイスと言われる美しい歌声だが、こうしてキャリアを重ねてきて、そこにふと適度に入るハスキーな声が今回は又一層魅力の一つになっている。
前作は『Trail of Souls』(2015)であったが、本作制作に際しては、新しいバンドを結成し、3 年という経過の中で作り上げてきたのだという。
アルバム全体の印象はなんとなく明るい世界というにところに無くやや暗さが漂っているが、もともと彼女のパターンであってそれを好むかどうかですね。M7."Now Or Never "のようなテンポの早い曲も数曲あるが、全体にゆったりとした曲の世界である。
M1."Come In From The Rain"はアルバム・タイトル曲。オープニングにふさわしく静かな中に人の交わりを描くヴォーカルが好感度が高い。
M2." On The Street Where You Live" 聴き慣れた曲が軽快なリズムで、これもスールヴァイグ・シュレッタイェル節で彩る。
M3."You’re Driving Me Crazy" スゥインギーに軽快曲が続くが、M4."Since I Fell For You"の落ち着いた説得力のある曲へのツナギ的に配置されていてアルバム構成も考えられている。
M5."So I Borrow Your Smile " は彼女のオリジナルで静かな中に情熱的な歌い込みの世界が見事。ピアノの描くところも情感が満ちている。これがハイライトだ。
M6."How Deep Is The Ocean " の情緒みなぎる名曲。M8." I Lost My Sugar In Salt Lake City " こんなブルース調も彼女の色に。
M9." Johnsburg, Illinois "はトム・ウェイツの曲、どこか哀愁が漂っていてこのあたりは彼女のキャリアの産物だろう。
M10." ‘Round Midnight "のセロニアス・モンクの曲はしめくくりに登場、旋律を奏でるピアノも美しく静かに夜の世界を歌い上げる彼女の情感も見事。
やはり彼女のヴォーカル・アルバムには情感が満ち満ちていて素晴らしいし、何ともいえない説得力で迫ってくるところが見事である。
(評価)
□ 曲・歌 90/100
□ 録音 85/100
(視聴)
| 固定リンク
« ドミニク・ワニアのピアノ・ソロ Dominik Wania 「Lonely Shadows」 | トップページ | メロディ・ガルドーのニュー・アルバム登場 Melody Gardot 「Sunset in the Blue」 »
「音楽」カテゴリの記事
- 寺島靖国氏の看板アルバム 「Jazz Bar 2024」(2024.12.10)
- ジョン・バティステ Jon Batiste 「BEETHOVEN BLUES」(2024.12.05)
- ヨーナス・ハーヴィストJoonas Haavisto 「INNER INVERSIONS」(2024.11.25)
- コリン・ヴァロン Colin Vallon 「Samares」(2024.11.20)
- エミル・ヴィクリッキー Emil Viklicky Trio 「Moravian Rhapsody」(2024.11.30)
「JAZZ」カテゴリの記事
- 寺島靖国氏の看板アルバム 「Jazz Bar 2024」(2024.12.10)
- ジョン・バティステ Jon Batiste 「BEETHOVEN BLUES」(2024.12.05)
- ヨーナス・ハーヴィストJoonas Haavisto 「INNER INVERSIONS」(2024.11.25)
- コリン・ヴァロン Colin Vallon 「Samares」(2024.11.20)
- エミル・ヴィクリッキー Emil Viklicky Trio 「Moravian Rhapsody」(2024.11.30)
「女性ヴォーカル」カテゴリの記事
- アルマ・ミチッチ Alma Micic 「You're My Thrill」(2024.11.10)
- メロディ・ガルドー Melody Gardot 「THE ESSENTIAL」(2024.11.05)
- エレン・アンデション Ellen Andersson 「Impressions of Evans 」(2024.10.31)
- サマラ・ジョイ Samara Joy 「Portrait」(2024.10.22)
- メラニー・デ・ビアシオ Melanie De Biasio 「Il Viaggio」(2024.10.16)
「ユーロピアン・ジャズ」カテゴリの記事
- 寺島靖国氏の看板アルバム 「Jazz Bar 2024」(2024.12.10)
- ヨーナス・ハーヴィストJoonas Haavisto 「INNER INVERSIONS」(2024.11.25)
- コリン・ヴァロン Colin Vallon 「Samares」(2024.11.20)
- エミル・ヴィクリッキー Emil Viklicky Trio 「Moravian Rhapsody」(2024.11.30)
- アヴィシャイ・コーエン Avishai Cohen 「Brightlight」(2024.11.15)
コメント