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2020年11月18日 (水)

エマ・パスク EMMA PASK 「Some other Spring」

ジャズ・シンガーの道を着実に歩む・・・・
スタンダードそしてラテン~ブルースまで幅広く演ずる

<Jazz>

EMMA PASK 「Some other Spring」
EMMAPASK / IMPORT / EMMA2011 / 2019

Someotherspirit

Emma Pask - Vocals
James Morrison - Piano on tracks 2,4,5,6,7,8 and 13 Trombone on tracks 6,11
Phil Stack - Bass
James Muller - Guitar
Blaine Whittaker - Saxophone
Kevin Hunt - Piano on tracks 1,3,9,10 and 14
Tim Firth - Drums on tracks 2,4,5,6,7,8,11,13 and 13
Andrew Dickeson - Drums on tracks 1,3,9,10 and 14

 オーストラリアの有望歌姫エマ・パスクの2011年にリリースされた自主製作アルバムである。今ここでこのアルバムを取上げるのは、先日リリースされた寺島靖国の『For Jazz Vocal Fans Only Vol.4』で紹介されて、彼女は、知る人ぞ知るということだが、私にとっては初もので、取り敢えず2019年再リリースされたアルバムで聴いてみたという一枚であるからだ。
 彼女は1977年生まれであるから、このアルバム作成当時33歳ぐらいの丁度これからジャズ・シンガーの道になれてきた時と思われる。シドニーで育ち14歳で高校のバンドと一緒に歌っている間に、1994年の16歳で学校の公演で大御所ジェームス・モリソンによって発見された。 その後、彼女はモリソンのバンドのボーカル担当となっている。彼女はまた、アクターの背景を持っていて、1995年、国立演劇芸術研究所の若手俳優スタジオで1年間のパートタイムコースを受講したりしているとか。

Epask_2

 このアルバムはいずれにしても彼女の本格的ジャズアルバムであり、バックを支えるメンバーには同郷出身の精鋭たち(ジェームス・モリソンは当然で、ケヴィン・ハント、ジェームス・ミューラー、ブライアン・ウィタッカー、アンドリュー・ディッケンソン)ら豪華メンバーがしっかりサポートしていて、ヴォーカル・アルバムとはいえ、しっかりジャズ演奏も聴くことの出来る物だ。

(Tracklist)

Epask7 01. Just Squeeze Me
02. I've Got the World On a String
03. I Only Have Eyes For You
04. Hallelujah I Love Him So
05. Stardust
06. Wild is Love
07. Gee Baby Ain't I Good to You
08. I'm Old Fashioned
09. Some Other Spring
10. Hard Hearted Hannah
11. It Might As Well Be Spring
12. Easy Living
13. On the Sunny Side of the Street
14. Down With Love

 ジャズスタンダードからラテン,、ブルースまで幅広く聴かせるアルバム。そして彼女の歌声は曲のパターンによってガラッと変わって歌い上げる。そんな意味では変化があって飽きないところだ。

 寺島靖国の選んだ曲はM5." Stardust"であるが、おなじみの曲のここでは彼女の最も女性としての魅力を訴えるややセクシーな発声と節回しの披露だ。このアルバムでの一つのポイントの曲。そこに至るまでも大きな起伏がある。M1."Just Squeeze Me"は、まさにピアノ・トリオ、サックスがスイング・ジャズを展開、彼女のヴォーカルは負けずとややキュート感ある声で歌い上げる。
 M3."I Only Have Eyes For You"となると、やや押さえた発声でしっとりムードからスタート。このあたりに大人というよりは、ややあどけなさを感ずる処に魅力がある。M4." Hallelujah I Love Him So "のベースから始まるピアノ・トリオ・ジャズにも、演奏にかなりのウェイトがあって、そこにジャズ向きに低音にちょっと力みをいれたりと、それまでと異なる発声で歌い上げている芸達者なところに注目。
 圧倒的なジャズ・ヴォーカルはM7." Gee Baby Ain't I Good to You "だ。やはりお御所の前ではうかうかしていられない。女性モノと言うよりジャズ・ヴォーカリストの力を展開。その点はM13." On the Sunny Side of the Street "も同様だ。演奏もそれなりにジャズを楽しめる。
 M9."Some Other Spring "は静かなベースとピアノをバックに、M12."Easy Living "はギターをバックにと、バラード曲であるが優しい静かな演奏と共に、やはり女性の魅力を訴えてくる。私としてはちょっとした聴き処の曲である。

 声の質そのものは、ジヤズの中でも迫力を求めるところで無く、むしろキュート感、ソフト感が魅力のように思う。現在は40歳代前半と思うが、これから更に充実したヴォーカリストとして展開するだろうと期待したい。

(評価)
□ 曲・歌    85/100
□ 録音     80/100

(試聴)
 

 

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