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2020年12月17日 (木)

カジサ・ゼルフーニ Cajsa Zerhouni 「ESTUARY」

スウェーデンから有力ジャズ・ヴォーカリストの登場

<Jazz>

Cajsa Zerhouni 「ESTUARY」
Do Music / Sweden / DMRCD075 / 2019

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Cajsa Zerhouni, vocals
Birgitta Flick, tenor saxophone
Mattias Lindberg, piano
Arvid Jullander, bass
Peter Danemo, drums

  スウェーデンで注目の(名前の読み方の難しい)女性ヴォーカリスト、カジサ・ゼルフーニの初の完全アルバムが登場、なかなかオーソドックスなジャズ・ヴォーカルを演ずる。バックはスウェーデンのピアニストのマティアス・リンドバーグ、ベーシストのアルビッド・ジュランダー、ドラマーのピーター・ダネモと、それに加えてベルリンを拠点としているというテナーサックス奏者ビルギッタ・フリックからなるカルテットであり、ジャズを究めんとしている様がしみじみ感じられる演奏、これも一つの注目点。

 そして彼女の全域にわたって温かみのある親近感があって居心地の良い歌声で、アメリカン・スタンダーズと自身のオリジナル2曲を歌っています。彼女は2018年に”My Billie”というビリー・ホリデイ・トリビュートのEPアルバムでデビューしたようだが、それは知らなかった。 

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191218_zerhouniw_20201216204201 (Tracklist)
1. September In The Rain
2. Let's Face The Music And Dance
3. Estuary *
4. How Deep Is The Ocean
5. Humdrum Blues
6. I Only Have Eyes For You
7. You Don't Know What Love Is
8. Contemplating Moon *
9. Dearly Beloved
10. Blame It On My Youth
( *印 : 彼女とメンバーなどとのオリジナル )

 こういった言い方も変だが・・・彼女自身、そしてバック・メンバー含めて、なかなか真面目にジャズを演じているという印象。それもスタンダード曲の編曲のパターンがそう思わせるのか、演奏の形、彼女の歌い方と共にそんな響きである。
 そして彼女の歌声は全域にわたって比較的ソフトでクリアで、むりやり技巧を凝らすいうところでなく素直な印象。それが魅力といった方が良さそうだ。

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   冒頭のM1."September In The Rain"そしてM2." Let's Face The Music And Dance"を聴くと、彼女のヴォーカルが如何にも中心であるという曲仕上げで、その曲のアレンジがスウェーデン流なのか、なんとく未完成っぽくて逆に新鮮度がある。バックの演奏もサックスが演ずるところでも、いやに出張ってくることもなく、ヴォーカル・アルバムを意識して仕上げているところに好感度高い。M2.などのピアノもなかなか中盤に熱演して見せて、ジャズの面白みもある。
 M3."Estuary "はアルバム・タイトル曲。スロー・ナンバーに仕上げていて、ヴォーカル、ピアノ、サックスが交互に展開の主役を演じながらも、何か一つの物語を聴かせてくれているようで引き込まれる。それはM4."How Deep Is The Ocean"でも同様で、聴く方にとってはゆったり感の中で、ジャズを楽しる。
 M5."Humdrum Blues"のブルース・リズムが異色で、楽しさもありこのアルバムでいい色を添える。   
 M6."I Only Have Eyes For You"などを聴くと、スウィングする中に極めてオーソドックスなジヤズ演奏である。
 M7."You Don't Know What Love Is" のバラードにしてもピアノ、サックスが美しく力みが無いところが良いし、歌声は嫌みが全くない。 

 とにかく、ちょっと希なジャズに接した印象で聴いたアルバムだ。おそらくこれは何回か聴いてゆくに味が出てくるというタイプだと思っている。私の評価は良い。

(評価)
□ 編曲・演奏・歌  88/100
□ 録音       85/100


(参考視聴)

*

 

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