モニカ・ホフマン Monika Hoffman 「TEN MUSES」
かなり手慣れた華やかなジャズ・ヴォーカルを展開
<Jazz>
Monika Hoffman 「TEN MUSES」
Mochermusic / sweden / MOM-0031 / 2020
Personnel:
Monika Hoffman - vocals (+ violin on 3)
Arno Haas - saxes on 3,5,8,10
Klaus Graf - alto sax solo on 9
Alexander Buhl - tenor sax solo on 1
Peer Baierlein - trumpet/flh on 2,6,8,10
Marc Godfroid - trombone solo on 6
Christoph Neuhaus - guitar on 4,5,8,10
Patrick Tompert - MD + piano (except 1,9)
Martin Schrack - piano on 1,9
Jens Loh - double bass on 2,4,7,10
Benny Jud - electric bass on 3,5,8
Axel Kuhn - double bass on 1,6,9
Fulgencio Medina Jr. - drums on 2,4,7,10
Alvin Mills - drums on 3,5,8
Guido Joris - drums on 1,6,9
The Jazzfactory Orchestra - on 1,6,9
昨年聴いてはいたが、ここに登場出来なかったものを少々取上げようと、まずはこのスウェーデンの女性ヴォーカリストのモニカ・ホフマンだ。彼女は1982年生まれの38歳。父はスウェーデン人、母はハンガリ人という歌手。流暢なハンガリー語、スウェーデン語、英語を話す国際派。3歳の時にヴァイオリンを弾き始め、サキソフォンも弾き始めたと。 子供の頃、そして10代の頃、彼女は様々な音楽学校に通い、その後バークリー音楽大学に進学した。彼女は奨学金を受け、マイケル・ブレッカーやチャーリー・ヘイデンとステージを共有するという機会を得ている。 いずれにしても華やかなアメリカン・ジャズに寄っている。しかもし豊かな声量で、ジャズだけでなくクラシック、ポップス、ラテンと幅広くこなす。
彼女のスタートは、もう15年前の2005年にハンガリー ・メガシュタル(アイドル)のオーディションを受け、総合9位と好評価は得られなかったがその反面、高い人気を獲得して成功した。これにより歌手としてのキャリアをスタートさせ、最高のジャズピアニストの一人、ローベルト・ラカトースとも共演しスタジオ・アルバムが成功。
本作は彼女のスタジオ・アルバム5作目あたりか。
(Tracklist)
1. First Time
2. Sway
3. Fading Like a Flower
4. Cheek to Cheek
5. Where Do I Begin
6. Besame Mucho
7. Bang Bang
8. Lover Man
9. What are You Doing the Rest of Your Life
10. Lullabye of Broadway
11. Over the Rainbow
まあどちらかというと、ジャズの中でもポピュラーな曲が続く。それも自身の敬愛する 10人の女性ヴォーカリスト の Doris Day, Judy Garland, Ella Fitzgerald, Rosemary Clooney, Marie Fredriksson, Shirley Bassey, Cezalia Evora, Cher, Barbra Streisand, Etta James に関係した作品を採り上げて歌い込んだと言うことのようだ。
M1."First Time", M6." Besame Mucho" など期待したが、なんとビックバンドによるヴォーカルで、騒々しくて私向きで無かった。しかし彼女はジャズ・ステージは相当こなしてきているようで、その曲での歌い込みはかなり手慣れていて堂々と歌い上げている。
とくに、M4."Cheek to Cheek"などは、ジャズの典型的なスタイルをオーソドックスに、しかも彼女らしさも出して危うさがない。
私の場合は、M2."Sway"がバラード調に流れ、バックも静かな中で彼女なりきの編曲も多彩に込められて、後半のトランペットもバックにピアノと共に入るが、落ち着いていて好感度が高かくこの線なら期待度高い。
M7."Bang Bang"ベースのリズムの刻みが効を呈して、ピアノの演奏も快調で彼女の熱唱に盛り上がって、この曲の編曲も面白く聴ける仕上げ。
M9."What are You Doing the Rest of Your Life"バック演奏も、彼女のヴォーカルが始まると当時にサポートに変化して彼女の情感を盛り上げる。
M11."Over the Rainbow" 彼女のオリジナル旋律の歌から始まって、この曲本来のメロディーがすぐに出てこないが、締めくくりに相応しくしっとりと歌い込むところは充実感ある。
彼女のジャズ・ヴォーカリストとしての経験の豊富さが感じられる曲の展開と歌い込みがアドリブも含めて見事である。後は声の質など好みの問題だが、ユーロ系を感ずるよりアメリカン感覚でありその点が私的には気になるところ。しかし所謂ジャズ・ヴォーカルとしてはそれなりの評価は十分出来る。
(評価)
□ 選曲・編曲・歌 85/100
□ 録音 80/100
(視聴) "Sway"
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