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2021年1月30日 (土)

ヤン・ハルベック Jan Harbeck Quartet 「THE SOUND THE RHYTHM」

サブトーンで聴かす味付けとピアノ・トリオとのカルテットが聴きどころ


<Jazz>
Jan Harbeck Quartet 「THE SOUND THE RHYTHM」
stunt Records / IMPORT / STUCD 19022 / 2019

Thesoundtherhythmw

Jan Harbeck (tenor sax)
Henrik Gunde (piano)
Eske Nørrelykke (bass)
Anders Holm(drums/Tr.1.2.4.5.6.7.)
Morten Ærø (drums/Tr.3.5.7.8.9.)
+ Jan zum Vohrde (alto sax/Tr.8)

2018年11月7日-8日、ヴィレッジ・レコーディング(コペンハーゲン)録音

  私はどちらかというとうるさいトランペット、サックス等は敬遠派なんでして、何と言ってもピアノ派なんです。しかしジャズにおいてトランペット、サックス等は重要な役割を果たしている事実は知っている。特にトランペットはミュートを効かしたものなら愛するものも多いと思っているし、サックスはサブトーン奏法での味が欲しいと思っているのだ。
 ところが、先日我が友人が・・・・
   そんな私がHarry Allenの『DEAR OLD STOCKHORM』(VHCD-78308/ 2017)(下左)を聴いている事を知って、それならばこのデンマークのヤン・ハルベックJan Harbeck(1975年デンマーク生まれ。ベン・ウェブスター賞受賞) を聴いたらどうかと言うのである。そこでヤンのアルバム『IN THE STILL OF THE NIGHT』(STUCD 08202/2008)(下右)と、今日話題にするこの『THE SOUND THE RHYTHM』(2019)を共に目下聴いているのである。

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 ハリーもヤンも私が聴くのはピアノ・トリオとのカルテット・スタイルをとっていることが重要で、ピアノの描くトリオ世界を尊重しつつサブトーンによるサックスの味付けがあるというスタイルが寄りつける大きなポイントなのだ。
 ハリーの『DEAR OLD STOCKHOLM』はVENUS Recordsで若干録音がうるさいのだが、彼はピアニストのウラジミール・シャフラノフの演奏を尊重しつつ両者共存で哀感すら感ずる世界に誘導してくれるところで好きなんですね。それもストックホルムでの演奏というのが又効果を上げているのかも知れない。

 さてそこで、本題に入るが、このヤンの近作に焦点を当てて考察してみたい (これもコペンハーゲン録音)。

 (Tracklist)

1.Lighter Shades *
2.Johnny Come Lately
3.Tangorrus Field *
4.Poutin'
5.Woke Up Clipped
6.Blues Crescendo *
7.Shorty Gull
8.I'd Be There
9.Tail That Rhythm *
10.Circles *

*印 : Jan Harbeck のオリジナル曲

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 ヤンのTSの音は、やはりハリ-の手慣れた洗練さのある音に比べると、サブトーンの効果ある刺激の和らいだ広がりがあり、むしろ図太さがありますね。ここで演ずるは、ベン・ウェブスターの4曲と彼のオリシジナルが5曲。
 Henrik Gundeのピアノ、Eske Norrelykkeのベースはこのところ不変のカルテット。私はどうしてもこのようなカルテットは、TS+ピアノ・トリオとして聴いてしまうところがあるが、そうして聴いても十分味わえる美しいピアノ・トリオも魅力。

 M1."Lighter Shades"からバラード曲、そしてヤンのサブトーンでうるささは抑えられているが重量感のあるサックスが唸る。しかし全体に優しく旋律を奏でる。中盤からピアノに旋律に変わり、アドリブ役と変わりところも彼の味が出る。こうしたやや哀感のあるところは良いですね。
 M2."Johnny Come Lately"、M4."Poutin'"、M5."Woke Up Clipped"のスウィングに優しく相づちを打ちながらの展開。ピアノ・トリオの良さも生かしてこれも優しい。
Janharbeckw  M3."Tangorrus Field "の彼のオリジナル曲のバラード演奏がなかなか聴き所、いいですね。優しく状況を支える演奏がピアノの響きを又美しくしている。
   M6."Blues Crescendo " イタリア語にブルースを付けた奇妙な取り合わせ、リズムに乗ってのジャージーな盛り上がり、このタイプはお任せだ。
   M8."I'd Be There"  ASのドラムスそしてピアノとの掛け合い、ジャズの面白さだろうが、私は特に興味を持たない。
   M9."Tail That Rhythm"  淡々としたリズム隊にTSの味付けが聴きどころ。ベースの軽快なリズムにソフトに乗ってゆく軽快なサックス。続いてピアノの旋律展開がジャズ・インプロを誘導してドラムスが健闘し、カルテットとしての総決算的曲。
 M10."Circles " 最後の締めくくりはバラード演奏、ピアノと共にサックスのブツブツ音混じりの美しさがしっとりと襲ってくる。

 やっぱりジャズ愛好家でも好みはいろいろだが、私にとっての彼の魅力はサブトーンにての独特の重量感をバラードで、哀感もって流れるところですね。このアルバムでも十分聴きとれて納得。
 そして追加だが、2008年のアルバム『IN THE STILL OF THE NIGHT』の方は、スタンダード曲集だが、あの誰もが知る"Ptite Fleur"を代表にバラードの美しさがたっぷり聴けて、これもなかなかのものだった。

(評価)
□ 曲・演奏    90/100
□ 録音      85/100

(視聴)

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