タニロ・ブライオッタ Danilo Blaiotta Trio 「Departures」

音楽性のハイレベルなテクニシャン集団のトリオ作品

<Jazz>

Danilo Blaiotta Trio 「Departures」
Filibusta Records / / FR2006 / 2020

Danilo Blaiotta (p)
Jacopo Ferrazza (b)
Valerio Vantaggio (ds)
Recorded Mixed & mastered by Stefano Amerio

  ローマ在住のピアニスト:ダニロ・ブライオッタ(1987年生まれ）のピアノ・トリオによる初リーダーアルバム。彼は、もともとクラシックの音楽家・ピアニストとしての実績多き経歴にもかかわらず、イタリアのジャズシーンでの活動が注目される。このヤコポ・フェラザ(b)バレリオ・ヴァンタッジオ(ds)とのトリオは2017年に結成されていたというので、今年で４年というキャリア。
　彼らの紹介ものに「キース・ジャレットのメロディー性、ビル・エバンスの叙情性、ハービー・ハンコックの推進力、ブラッド・メルドーのメランコリズム、e.s.t.のエネルギーなどなど、ジャズピアノトリオの伝統と革新性、クラシック音楽を見事にミックスし、いまや王道ともいえるユーロピアニズム溢れる素晴らしいピアノトリオ作品に仕上げています」というのを見たが、確かに一筋縄では行かない。そして録音・ミックスがステファノ・アメリオで、ここまで揃ってくると聴かなきゃならないという哀しきサガで、手にしたアルバムである。

(Trackliat)

1. Claude
2. Gioco d’azzardo
3. The devil’s kitchen
4. Into the blue
5. No waltz
6. Departures
7. There will never be another you
8. Feelings
9. Solar
all tracks composed by Danilo Blaiotta ,exept Track 2,7,9

　9曲中、6曲がブライオッタのオリジナル曲で単なるスタンダード・カヴァー集でないところに彼らの意志を見るところである。あとは、イタリアの音楽家、パオロ・コンテのM2.”Gioco d’azzardo”と、マイルスのM9.”Solar”、スタンダードのM7.”There will never be another you”をカヴァーしている。

　M1."Claude" からトリオとしての強力な躍動性ある演奏を展開、やはりピアノが先導して現代音楽調に進行し、ベース、ドラムスもそれぞれの個性ある展開が複雑であるも、トリオとしての乱れは無いところが聴きどころ。
　M2."Gioco d'azzardo" イタリアのトラッド・クラシック調のピアノの流れにほっとする。
　M5."No Waltz"は、ピアノの攻撃的演奏に、ドラムスの盛り上がりも楽しい。
　M6."Departure" アルバム・タイトル曲、M5.とガラッと変わって、ゆったりとした進行、しかし並の旋律進行でなく予想不可の流れは寧ろ楽しい。
　M9."Solar"がいいですね。余韻の響きのピアノからややトリッキーにスタートして、中盤のソロに近いベースの描きにステック音でサポートし、次第にドラムス・ソロへ、ピアノが後半には流れるような複雑な演奏で締めくくる。

　ピアノ・トリオの複雑性と躍動性が、それぞれ三者個性豊かに思いっきり展開させていながらも、統一感はキチッと取られているところが圧巻。革新性が感じられる演奏に魅力あり。

(評価)
□　曲・演奏　　88/100
□　録音　　　　85/100

(視聴)

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