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2021年5月26日 (水)

石上真由子 Mayuko Ishigami 「Janáćek : Violin Sonata」

スリリングにして優雅のメリハリが聴ける

<Classic>

Mayuko Ishigami 「Janáćek : Violin Sonata」
NIPPON COLUMBIA / JPN / COCQ-85448 / 2019

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Mayumo Ishigami 石上真由子: violin
Miho Funahashi 船橋美穂: piano

 久々にクラシックの話題だが、この石上真由子のヴァイオリン演奏モノは、実は最新号の季刊「Audio Accessory」2021 SUMMER 181号にて紹介された「クラシック界の若手がすごい !」という企画で「日本コロンビアのOpus One」と言う2019年に設立されたクラシック・レーベルのサンプラーCDで知ったモノだ。この日本コロンビアの企画は、アーティストとしては20歳代中心に若き才能の発掘を目指し、デビューさせるというもので、2019年からスタートして今年で三年目となる。2019年はこの石上真由子他五名、2020年は三名、2021年は一名と計九名がデビューした。
 今回この「Audio Accessory」誌では、この9名がCDで紹介されていて、先ず私が目に付けたのが、このヴァイオリニストの石上真由子であった。
  彼女は医科大学卒業し医師免許を獲得しつつ、一方このヴァイオリニストとして活躍しているとう異色のミュージシャン。とにかく聴いてみるとうなづくところにあるのだ。

11161010_5fb2501250a4e (Tracklist)

1.ヤナーチェク:ヴァイオリン・ソナタ I.Con moto
2.ヤナーチェク:ヴァイオリン・ソナタ II.Ballada.Con moto
3.ヤナーチェク:ヴァイオリン・ソナタ III.Allegretto
4.ヤナーチェク:ヴァイオリン・ソナタ IV.Adagio
5.ラヴェル:ハバネラ形式のヴォカリーズ
6.ラフマニノフ:ヴォカリーズ 作品34,No.14
7.幸田延:ヴァイオリン・ソナタ ニ短調

 私が注目したのは、想像に難くないと思われるが、実はこのCD、なかなかハイレベルの録音盤なんである。ヴァイオリン・ソナタものとして、相対するピアノの響き、そしてヴァイオリンの占める位置の関係が素晴らしい。埼玉県の富士見市民文化会館にて2018年にて録音されたモノで、会場のオーディエンスの音は全くなく、ホール感も適度で音質もよく評価に値するものだ。
 そして彼女のヴァイオリンの響きは、これがなかなかのもので、ヤナーチェクのM4."ヴァイオリン・ソナタⅣ.Adagio"のスリリングが響きは圧巻である。それに反して高音部の優しさと広がりはこれも素晴らしい。実はこの曲を「Audio Accessory」誌のサンプラーで聴いて、アルバムを手にするに至ったわけだ。
 一方、M5."ラヴェル:ハバネラ形式のヴォカリーズ" にて聴けるように、高音部の優しい響きはこれまた見事、更にそれはM6."ラフマニノフ:ヴォカリーズ 作品34,No.14" においても言えることで、ここでは更に中音部のソフト感もいい。

186522380_158611866269012_35571374477452  私がクラシック・ヴァイオリンの演奏評価をするのはおこがましいので、それはそれとして、ただ言えることは聴く方にその曲の描こうとしているイメージを植え付けてくれるに長けた才能だけで、OKとしておきたいのである。

(石上真由子紹介)
 1991年生まれ今年30歳、京都府京都市出身のヴァイオリン奏者。5歳からヴァイオリンを始め、8歳でローマ国際音楽祭に招待。高校2年時には日本音楽コンクール第2位、聴衆賞および E・ナカミチ賞を受賞。異色にも京都府立医科大学卒業し、医師免許を取得。ルーマニア国際音楽コンクール弦楽部門第1位など国内外のコンクールで上位入賞を続け、以降もソロの他長岡京室内アンサンブル、アンサンブル九条山のメンバーとしても活躍している。東響、京都市響、ブラショフ国立響など国内外のオーケストラとの共演や欧州各地での演奏会のほか、『名曲リサイタル』『題名のない音楽会』などの出演も多い。そしてこの日本コロンビアのクラシックの未来を担う新人のためのレーベル「Opus One」の第一回の2019年にこのアルバムをリリースした。

(評価)
□ 演奏 :  88/100
□ 録音 :  88/100

(視聴)

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