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2021年7月20日 (火)

ケヴィン・ヘイズ HAYS STREET HART 「All Things Are」

まさに三世代集合によるピアノ・トリオ
ビリー・ハート80歳の記念コンサート


<Jazz>

HAYS STREET HART 「All Things Are」
SMOKE SESSIONS RECORDS / USA / SSD-2102 / 2021

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Kevin Hays (piano)
Ben Street (bass)
Billy Hart (drums)
Recorded December 4 & 5, 2020 at SMOKE in New York City

 ケヴィン・ヘイズ(piano)がオリジナル曲をもって、80歳となったドラマーのビリー・ハートを迎えての記念コンサートをトリオ編成で行った。ベースにはベン・ストリートで、まさに三世代ジャズ・メンによるトリオ。2020年末・コロナ禍でのライブ・ストリーミング収録という形でのコンサートをNYのジャズクラブ「Smoke」で行ったものの収録盤。

 この録音時には80歳のビリー・ハートは現在も現役で活躍中のベテラン・ドラマー。アメリカン・ジャズ・メンとしての長い歴史がある。昔、ハービー・ハンコックに興味があった為、彼は同年代であって共演した経過から私は知ったのだが、特にご執心であったということではなかった。
 さて、このアルバム、ケヴィン・ヘイズのオリジナル曲を中心に録音された全7曲を収録している。時期が時期だけに三人が集まってのほんの少しのリハーサルを経て録音されたという。とにかく音楽経歴の多彩な三人、手慣れた作業で結構アルバムとしての完成度の高いアコースティックで美しくどちらかというと私好みのシンプルな演奏が展開されている。

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1. New Day (Kevin Hays) 7:45
2. Elegia (Kevin Hays) 9:54
3. Unscrappulous (Kevin Hays) 3:36
4. For Heaven's Sake (Sherman Edwards, Donald Meyer & Elise Bretton) 11:52
5. All Things Are (Kevin Hays) 9:35
6. Sweet Caroline (Kevin Hays) 8:05
7. Twilight (Kevin Hays) 9:45

 私がよく聴くフレッド・ハーシュやブラッド・メルドーも絶賛するというケヴィン・ヘイズ(1968年NY生まれ(下左))は、6歳でピアノを始め、15歳でプロとして活動を開始しているとうアメリカらしい経歴。マンハッタン音楽院でジャズを学んだという経過もあるようでなかなかの実力派、1994年、ブルーノートと契約している。コンポーザーとしての能力も長けていて、このアルバムの一曲以外は全て彼の作品。

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 ジャケ写真も当時の12月の冬の撮影か、コロナ禍であってのことで暗い。そんな中でのコンサート、曲の多くはピアノによるどちらかというと落ち着いた静かで真摯な気持ちになるスタートの型をとっている。そこに繊細なシンバルが合流してきて、ベースも後押しする。そして次第に三者がジャズ展開はお手のものと乗ってきて展開し、ジャズらしき派手さもちゃんと演ずるところとなってくる。
 M1."New Day "では最期に再び盛り上がりから、パタッと静かさに入る辺りは絶妙。
 M2."Elegia"のピアノが美しく、ハートの老獪なブラッシさばきが印象的。
 更にM4."For Heaven's Sake "では、そのピアノもなかなか深遠な世界を描き、引き込まれる。このあたりは期待以上だ。12分という長曲だが中盤にメロディーが明るくなりテンポもややアップするもゆったりの世界。終盤は再び深く沈みつつもどこかに光明がみえる世界が・・・・。
 M5."All Things Are"は、ピアノの流れに続いて、ベース・ソロと軽快・繊細なスティック・シンバル音の世界、そしてドラムス・ソロと楽しめる。
 M6."Sweet Caroline" 、M7."Twilight " ベースに続いてドラムスとリズム隊が先行展開し、おもむろに乗ってくるピアノの流れも落ち着いていて年期を感じさせるトリオ演奏の完成度も高い。

 とにかく80歳のハートは、想いのほか軽快にして繊細なシンバル、ステックさばきを聴かせてくれた。もう少し記念的なドラムス・ソロが入るのかと思ったがそうでもなく、トリオ演奏に熟練の業で安定感あるサポートに集中していたところが好感持てる。
 しかし、やはりケヴィン・ヘイズのピアノが素晴らしい。端麗な流れはさすがだと思わせるし、情緒あるリリカルなところからアクティブな躍動性・機動性ある流れも迫真性が見事で聴き惚れる。加えてアドリブ芸も自己の曲だけあって、メロディーを失わずに美的なところをしっかり押さえている。

 時期がコロナ禍の暗さの冬であったことからか、ただ華々しさに向かうのでなく、真摯な世界に見事なアメリカン・ジャズのハード・バップ・ピアノ・トリオを演じて見せたなかなかの好盤であった。

(評価)
□ 曲・演奏 :  90/100
□ 録音            88/100

(試聴)

 

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