« イゴール・カイアッツァ Igor Caiazza 「blu」 | トップページ | ウォルター・ラング Philipp Schiepek & Walter Lang 「Cathedral」 »

2021年7月30日 (金)

ロ・グレコ兄弟 Lo Greco Bros Trio A.G.E. 「ALL THAT THINGS」

リズム・セクションを演ずる兄弟の洒落たピアノ・トリオ

<Jazz>
Lo Greco Bros Trio A.G.E. 「ALL THAT THINGS」
IRMA Records / Italy / IRM 1836 / 2020

71gwrd0k28lw

Antonio Zambrini (p)
Enzo Lo Greco (b)
Gianni Lo Greco (ds)

 イタリア、ミラノを拠点に活躍する, リズム・セクションのジャンニ(ds) とエンツォ(b) のロ・グレコ兄弟(下左)による作品。過去に"Quintetto Lo Greco"、"Quartetto Lo Greco" 名義で所謂ニューヨーク・ジャズの本流的なハードバップからの発展的ジャズを演じての作品が主流で、日本でもその道では人気がある。近年の花咲くユーロ・ジヤズであるが、彼らはアメリカン・ジャズの本流的なスタイルを維持している兄弟コンポで、なかなか強力なリズムセクションを演じてきているところが注目である。
  それはどちらかというと叙情派ジャズ好みの私としては、又更にクラシック畑からの音楽的発展的ジャズがなどに傾倒するものとして、彼らはちょっと強力過ぎている上に、サックスなどの加わったカルテット、クインテットものが主流であったので、トリオ好きの私は特に今まで聴いてい来なかったのだ。

  しかし今回は、叙情的なニュアンスも加味されているピアニストのアントニオ・ザンブリーニ(下右)を迎えてのピアノ・トリオ作品であったことから、ちょっと興味を持ったという次第だ。このピアニストは、前作のこの兄弟のピアノ・トリオ+TSの"Lo Greco Bros Quartet"としての作品『Short Stories』にて、既にピアニストとして迎えられている。そして今回はそれに続いてのアコースティックなニュアンスの強まったトリオとしての作品である。

52806624_2080981118649453_4238084620282720870w

(Tracklist)

1. Age
2. All That Things
3. Big Love
4. Devotion
5. Keep On Walking
6. Magic Touch
7. My Sweet Way
8. Promise From My Heart
9. The Colour Of Your Smile
10.Through The Window

  曲は彼らの兄弟のVincenzo Lo Grecoの作曲したもの。

 M1."Age" メディアム・テンポの意外にオーソドックスなトリオ演奏、ピアノの美しい旋律とアドリブ、又ドラムス、ベースがしっかり定位に聴ける録音も納得。
   M2."All That Things" アルバム・タイトル曲。ハイテンポの強力なリズムセクションが展開し、それに乗ってピアノの流れも激しい。ベース・ソロ、ドラムス・ソロも入っての健闘。これぞジャズといった展開。
   M3."Big Love" 打って変わって、しっとりムード、シンバル・ステック・ワークによる変調も垢抜けている。
 M4."Devotion" ベースによるユッタリの世界で始動し、リズムセクションが楽しめる。ここではやさしく響くピアノが見事。
   M8."Promise From My Heart"どこかで聴いたことのあるようなピアノ美メロディーのスロー・バラード曲、ここに来て私の目的を果たしたような気分の曲。
 M9."The Colour Of Your Smile"もバラード調、ベースとブラッシ演奏にピアノが美しい。
 M10."Through The Window" リズムに合わせての軽いタッチのピアノが優れもの。

 なかなかジャズ心をしっかりつかんだ洒落た演奏で何回か聴いているとのめり込める。収録曲のアルバムとしての配列も見事で全一曲的に聴くことが出来る。現ユーロ・ジャズ界としては、ジャズの本流をしっかり支えていて、納得。
 流れの美しいザンブリーニのピアノも十分楽しめる。

(評価)
□ 曲・演奏  90/100
□ 録音    88/100

(試聴)

"Promise from my heart"

*
"All That Things"

 

|

« イゴール・カイアッツァ Igor Caiazza 「blu」 | トップページ | ウォルター・ラング Philipp Schiepek & Walter Lang 「Cathedral」 »

音楽」カテゴリの記事

JAZZ」カテゴリの記事

ピアノ・トリオ」カテゴリの記事

ユーロピアン・ジャズ」カテゴリの記事

コメント

非常に高度で上質な音楽ですね。
世界中の誰が挑戦しても良いジャンルかと思いますが、
個性を出すのは難しいのでしょう。
楽器の構成とか、音色が大きな規制となっているようにも聞こえますが、
伝統音楽ってそういうものでもありますね。

充分に個性的だ?
スミマセン聞き分けられなくって。

投稿: iwamoto | 2021年8月 1日 (日) 14時46分

iwamoto様
コメントどうも有り難う御座います
イタリアはほんとに音楽のレベルは高く、そして美しいメロディーの宝庫ですね。
そこにオーソドックスなジャズの流れをしっかり身につけて発展させているミユージシャンは沢山いて飽きるところを知りません。

投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2021年8月 1日 (日) 20時17分

暑いですね。そんな宵によさそうな一枚ですね。やはり美メロはイタリアですか ・・・。

投稿: 爵士 | 2021年8月 4日 (水) 23時07分

爵士さん、この炎天下お元気のご様子何よりです
 このトリオ、所謂美旋律派というものとはちょっと違いますが、所謂アメリカン・ジャズ、ハード・バップからの発展をしっかりなしているモード・ジャズというのでしょうか・・こうしたジャズの流れが私は基本的な本流と見てますが、そこに曲によってイタリア的叙情のニュアンスが加わったパターンですね。
 それなりに熱さもあって・・・聴き応えはあります。

投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2021年8月 5日 (木) 11時30分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« イゴール・カイアッツァ Igor Caiazza 「blu」 | トップページ | ウォルター・ラング Philipp Schiepek & Walter Lang 「Cathedral」 »