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2021年7月25日 (日)

イゴール・カイアッツァ Igor Caiazza 「blu」

快適なファンタジックな世界と心に響く優美さのある深遠なところも

<Jazz>

Igor Caiazza 「blu」
ABEAT Records / Italy / ABJZ 225 / 2021

41h76mmowhs_ac_

Igor Caiazza (vibraphone)
Giacomo Riggi (harpejji, melodica, electric piano)
Gabriele Evangelista (double bass)
Amedeo Ariano (drums)

featuring:
Fabrizio Bosso (trumpet on 1, 7, 8)
Javier Girotto (soprano saxophone on 2, 3, 4, 8)

Carlo Fimiani (guitar on 2)
Fabien Thouand (oboe on 7)
Marlene Prodigo (violin on 7)
Valentina Del Re (violin on 7)
Livia de Romanis (cello on 7)

Recorded at LoaDiatrict Studio, Roma  June 8-9/2020 by Andrea Cutillo

 イタリアのジャズ・ヴィブラフォン奏者:イゴール・カイアッツァのレギュラー・カルテットに、Fabrizio Bosso (trumpet )、Javier Girotto (soprano saxophone )をフィーチャーして、更に、曲によりギター、ウァイオリン、チェロなど多彩なゲストも加わってのアルバム。
 カイアッツァは、クラシックのパーカッショニストであって、こうしてヴィブラフォン奏者としてジャズ畑でも活躍してきている。ジャズが日本で聴かれるようになった頃は、ビブラフォンはそれなりに活躍していたが、近年ピアノ・トリオが主流となっている現在、若干寂しい傾向にある。久々にそんなヴィブラフォン奏者のリーダー・アルバムを聴いているのだ。

Fotoigor2w (Tracklist)
1. L'Attesa (Igor Caiazza) 4:58
2. Naissances (Igor Caiazza) 4:47
3. Blu (Igor Caiazza) 4:02
4. My Quiet Place (Igor Caiazza) 6:02
5. Long Spring (Igor Caiazza) 6:11
6. La Ragazza Di Montedidio (Igor Caiazza) 4:33
7. Tema Di Una Buonanotte (Igor Caiazza) 3:36
8. Un Brindisi All'Amicizia (Igor Caiazza) 4:14

   

  全曲、ヴィブラフォン奏者のカイアッツァのオリジナル曲構成だ。
 M1."L'Attesa "冒頭からトランペットのまろやかな美メロディーの流れる曲だ。ヴィブラフォンはどちらかというと前半はサポート、後半に交代してメロディーをやはり美しく奏で、最期は再びトランペットにバトン・タッチという流れ。優美な世界。
 M2."Naissances "華やかなメロデッツクな曲。
 M3."Blu "アルバム・タイトル曲、ぐっとしっとりとベース、ドラムスからスタートして、それにヴィブラフォンが得意な美世界を描いて、Merodica、Soprano Saxが美しく旋律を歌い上げ、心の落ち着きと深遠さに迫る。続くM4."My Quiet Place"も流れはゆったり、そしてSoprano saxがやはり歌い上げる。この2曲で、哀愁も感じられる世界を構築。
 M5."Long Spring "は、基本ヴィブラフォン・カルテットの描くところにあり、Merodicaの旋律にベースの味付けがなかなかで、最期におもむろにヴィブラフォンの語りが心に響く。
 M6."La Ragazza Di Montedidio"優しくヴィブラフォン中心にカルテット演奏、トランぺット、サックスが入らず、アコースティックな響きで、むしろいいムード。
   M7."Tema Di Una Buonanotte"トランペットが力み無く歌う曲

Ensemblew
 
 ヴィブラフォン・レギュラー・カルテットに味付けを増す意味で、力みや叫びのないまろやかで歌心満点のトランペットや、哀愁を描くソプラノサックスを交えた曲仕上げをしたアルバムだと理解した。いずれにしても、ほっとゆったりムードで聴ける。カルテットだと恐らくもう少しフュージョンぽくなって、むしろ私にはその方がよかったのかも知れないが、この優美さを演じたところも否定はしない。
   アルバム・タイトルの”Blu(青)”だが、ちょっと私が想像した陰鬱な世界とは全く違う。どうもインスピレーションを与えるテーマと言うことのようだ。従つて、青は海、空などの深みのある色であって、感受性を刺激し、落ち着きと内省をも促すと言うのだが、アルバム全体の印象は、そんな哲学的な沈む世界ではなかった。
 

(評価)
□ 曲・演奏 :  88/100
□   録音   :   85/100

(試聴) 
"BLU"

*
"L'attesa"

 

 

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コメント

自分が広範囲に音楽を聞いているとは思いませんが、
やはり、全く知らないものがあるんですね。

とても上質な音楽だと思います。
そして、このジャケット、最高ですね。
シンプルで多くのことを語っています。

投稿: iwamoto | 2021年7月25日 (日) 10時03分

iwamotoさん
 今年も昔では考えられない暑さですね・・・、コメントどうも有り難う御座います
 私自身は音楽的学問はなく、聴くモノもその時の好みのままに流されていますが、こんな世界もふと愛着が持てますね。ジャズと一口に言っても分野が広く、それでもいろいろと聴いてみて魅力を感じられれば、それは感じたほうが勝ちというか幸せであると、単純さで迫ろうと思ってます。
 ジャケは昔のLP時代ほど重要視されていないのが寂しいですが・・・そこには奥深さがありますね。

投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2021年7月25日 (日) 10時42分

風呂井戸さま、リンクをありがとうございました。m(_ _)m
半年以上たってしまいましたが、私も心地よい作品だと思いました。

優しく親しみやすいメロディと爽やかなヴィブラフォンの音色。
リラクゼーション満載でしたね。

それから、ボッソとジロットが、曲にぴったりハマる演奏でした!

私のリンクです。
https://mysecretroom.cocolog-nifty.com/blog/2022/03/post-e60f08.html

投稿: Suzuck | 2022年3月 8日 (火) 18時24分

Suzuck様
コメント、リンクありがとうございました
ヴィブラフォンの世界は、なんとなく久しぶりで懐かしく・・・よき時代のジャズを思い起こさせていただきました。
それにつけても・・・・
>優しく親しみやすいメロディと爽やかなヴィブラフォンの音色。
リラクゼーション満載でしたね。
まさにそんな世界でした。

投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2022年3月 9日 (水) 09時29分

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