ルカ・コルッシ luca colussi trio 「segni」
叙情性とトリオのアグレシブな面とのバランスが絶妙
<Jazz>
luca colussi trio 「segni」
Artesuono / IMPORT / ART205 / 2021
Paolo Corsini - piano
Luca Colussi - drums/percussion
Alessandro Turchet - doublebass
Recorded,mixed and mastered in June 2020 by Stefano Amerio
イタリアのフリウーリ出身のドラマーであるルカ・コルッシが、パオロ・コルシニ(p)とアレッサンドロ・ターシェ(b)と組んでのピアノトリオ作品。このピアノ・トリオは私にとっては初物、おそらく彼がリーダーとしてのピアノ・トリオ作品は初めてのものではと思うが、これがなんとさすがはイタリアで、味なユーロピアニズムの溢れた一枚で聴き応えあった。更に録音とミックスがStefano Amerioと言うことであったのも聴くきっかけであり、ピアノ・トリオとしてのドラムスやベースの位置も演奏と音がバランスよく納得作品であったのでここに取上げる。
(tracklist)
1. Francesca
2. Est
3. Il Volo
4. Luna
5. Roy
6. Redu
7. Christmas Tree
8. Linea
9. Ida Lupino
※All composed by Luca Colussi except #9 Carla Bley
収録曲は9曲で、ルカ・コルッシのオリジナル曲が8曲と自己の世界を展開している。そして最終曲のみ、関係は定かでないがカーラ・ブレイへのオマージュとしてのことであろうと推測できる彼女の名曲"アイダ・ルピノ"で締めくくられている。
冒頭のM1."Francesca"静かなピアノからの入りで、その美しい旋律を生かした繊細してメリハリのあるドラムスが展開して次第にパワー・アップしていく、ベースもしっかりと語り、トリオとしての味付けが楽しい。
M2."Est" リズム隊が意外にしつかり軽快に曲を進める。ピアノがむしろソロ気分の演奏。
M3. Il Volo"" 、M4."Luna" は繊細にして軽快なスティック・ワークが印象的。ベースと共にそれにピアノが乗ってくるパターンが聴きどころ。
M5."Roy" この曲は冒頭と後半にもドラム・ソロが出現、珍しくかなりアグレッシブな展開、
M6."Redu" 冒頭と終盤のアルコ奏法の描く思索的世界を描いたベースが主役を演じ、トリオのそれぞれの持ち味が交錯。
M7."Christmas Tree" ピアノが美しい曲。
M8." Linea" トライアングル、シンバルの音を交えてドラマーが深遠な世界を描いて、そこに美しい高音のピアノの響きが印象的。
M9."Ida Lupino" カーラ・ブレイの曲が登場、締めはしっかり安定感で。
とにかくリリシズムを持った耽美性に満ちたユーロピアニズムがこれぞと迫ってくる。そして軟弱といった世界ではなく、美しさと共にドキッとする刺激性も加味させる高度な曲展開の妙が聴ける。更にドラムス、ベースの立ち位置も明瞭でトリオ演奏の醍醐味を楽しめる。ドラマーのリーダー・トリオと言うだけあってリズムが明瞭でメリハリがある。難解という世界でなく、叙情性と手頃にアグレッシブな面もあって、非常に楽しめたトリオ演奏だった。お勧め盤。
(評価)
□ 曲・演奏 : 90/100
□ 録音 : 90/100
(試聴)
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コメント
全く存じません。
知らないことに口を出さないようにしているので、潔く無言です。
ユーロピアニズム、なんとなく想像はできるのですが、そのような枠を飛び出して羽ばたいて欲しい気がするのと、自らの立脚するところを忘れて欲しくないという気持ちが綯い交ぜになります。
次のエントリを静かに待ってます。
投稿: iwamoto | 2021年7月 9日 (金) 21時33分
iwamotoさん
コメントどうも有難う御座います
このトリオは私も初聴きなんです。私はサウンドもかなり気になりますので、このエンジニアは素晴らしいので買う気になったCDです。
しかし、なかなか味があって素晴らしいピアノ・トリオです。これからもつい期待してしまってます。
もともと私は近年はユーロ系の叙情派ですので、大いに初物をも期待しています。
北欧、イタリアがいいですね。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2021年7月 9日 (金) 21時55分
こんにちは。
初めて知りましたが、このトリオとても良いですね。
特にピアノ。冒頭の曲のピアノの控えめなタッチが素敵です。ドラムがけっこう個性的ですので、違うメンバーでのPaolo Corsiniも聴いてみたくなりました。
投稿: zawinul | 2021年7月10日 (土) 10時01分
zawinulさん
こんにちわ、コメントどうも有り難う御座います
そう多くないドラマーがリーダーでの作曲をしてのピアノ・トリオということなんですが、ピアノ、ベースもトリオとして適度の役どころで、なかなか聴きごたえありました。
イタリアはなかなか層が厚いですね。
おっしゃるように、Corsiniがドラマーとして参加している別のトリオ作品にも、私も同様に興味があります。^^
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2021年7月10日 (土) 13時45分