ブラッド・メルドー Brad Mehldau Trio 「SWEET AND LOVELY」
これぞジャズ、華々しいスタンダード・ジャズのマルシアックでの快演
<Jazz>
Brad Mehldau Trio 「SWEET AND LOVELY」
Live at Jazz In Marciac Festival , Marciac, France July 27, 2021
MEGADISC
Brad Mehldau : piano
Larry Grenadier : bass
Jeff Ballad : drums
ブラッド・メルドー・トリオのつい先日7月27日のフランス・ライブ「ジャズ・イン・マルシアック」に出演した模様である。
いっやーー、こうして即座に好録音CD(フランス公共ラジオ局「France Musique」の放送音源)で聴けるっていい時代になりました、ほんとに。そしてこの日の内容が又楽しいですね、スタンダードの名曲が多彩にそろって、大きな話題になったライブであったことがよく解ります。音質も悪くないので、私はオフィシャルものを決して否定するのでないが、最近の実験的要素の強いオフィシャルものよりは、実にこれぞジャズというところで、魅力に満ち満ちた演奏、しかも楽しくていいですね。これがブラッド・メルドーだと聴き逃せないアルバムだ。
(Tracklist)
Diac-1
1.Great Day (P.Mccartney)
2.Moe Nonk (B.Mehldau)
3.Sweet And Lovely (T.Monk)
4.(B.Mehldau Announcement)
5.Valsa Brasileira (C.Buarque)
6.And I Love Her (Lennon/Mccartney)
7.Skippy(t.Monk)
Disc-2
1.The Nearness Of You (H.carmichael/N.Washington)
2.In The Still Of The Night(C.Porter)
3.Here's That Rainy Day (J.v. Heusen)
4.Aquelas Coisas Todas (T.Horta)
Disc-1、オープニングのM1.M2.は、ポール・マッカートニーとメルドー自身の曲で、さあ今日は楽しくトリオで・・・と、言う雰囲気だ。
そしてアルバム・タイトル曲となったセロニアス・モンクのM3."Sweet And Lovely"の登場。これがゆったりとしたブルージーな展開、聴きやすくそしてベースのピツチカートが響き、ドラムスのブラッシと息が合ったリズムに、ピアノの美旋律が乗ってくる。トリオ・ジャズそのものが楽しめる11分10秒。
M5."Valsa Brasileira"は、いかにもブラジル・ムードを一層快適にリズム陣が乗り、メルドーのピアノがうねる波のようで快演。
ビートルズのM6."And I Love Her"はメルドーは得意ですね。出だしは重いかと思いきやパーカッション的ドラムス奏法のラテンタッチのリズムに乗っての快演奏。いくつかのバージョンを持っていて、時により変化は自由自在なんですね。
M7."Skippy"これぞ前半の締めに適したトリオによるスウィング・ジャズの極み。
Disc-2が又良いです。スタートはM1."The Nearness Of You(あなたのそばに)"、しっとりバラード調で後半には変調してスウィングして楽しく、そして又しっとりと、そして美しいメルドーのピアノはなんとなく哀感も満ちていていいですね。最近ノラ・ジョーンズも歌っているとか、曲の最期はほぼソロ・ピアノで心に響く美旋律にうっとり。こうゆうのに私は弱いんです、13分40秒の演奏。
続くM2."In The Still Of The Night"は一転して快調にとばして、バラードのシンバル音の速攻をバックに、メルドーの早弾きピアノ、グレナディアの早引きベースと、このコール・ポーターの名曲までサービス演奏。後半のドラムス・ソロもスリリングにしてダイナミックな高回転そしてピアノの登場の流れは快感で、いっやー、ジャズの楽しさ満開ですね(11分50秒)。
なんと最期はM4."Aquelas"、サンバ調(?)の快速リズムが登場し、そこに誰もが解るメルドー流ピアノの流れが襲ってきて、気分が更に高揚して収める。
いっやーー、やっぱりメルドーはトリオがいいですね。そしてこのトリオのこの日の流れがいいですね。これは絶対お勧めの快感盤。愛蔵盤が又増えた。
(評価)
□ 選曲・演奏 : 90/100
□ 録音 : 82/100
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コメント
ご高名は予々伺っております的なイメージです。
あの彼にSWEET AND LOVELYと言われると、ちょっとこそばい感じもあります。
非の打ち所がない、というのはこういうものでしょう。
まだまだ頑張って勉強してるんですね。
投稿: iwamoto | 2021年8月 9日 (月) 16時41分
iwamotoさん
こんばんわ、コメント有り難う御座います
Brad Mehldau いまや、世界のトップをゆくプレイヤーですね。このところ欧州ライブが続いているようですが、各地の歓迎は凄いですね。
そして、幅広いスタンダードや、ロック分野まで、はたまたクラシックの世界まで幅が広がっていて素晴らしいです。
このパリのライブも幅の広さと演奏のセンスとテクニックで会場を圧倒していたようです。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2021年8月 9日 (月) 20時55分
風呂井戸さん,こんばんは。リンクありがとうございました。
久しぶりのトリオ演奏ということで,比較的リラックスした演奏を心掛けたっていう感じだと思いますが,それでも今まであまりやっていない曲をやるところが面白かったです。
おっしゃる通り,ほぼタイムラグもなく,現地での演奏の模様に触れられるってのはありがたいですね。
ということで,当方記事のURLを貼り付けさせて頂きます。
https://music-music.cocolog-wbs.com/blog/2021/08/post-832205.html
投稿: 中年音楽狂 | 2021年8月20日 (金) 18時15分
中年音楽狂さん
わさわざこちらまで有難う御座います
新しい試みと言うよりは、トリオによるライブでのサービスという演奏に万歳でした。
あまり力まず自己も楽しみながらこのように演奏して欲しいと、私は個人的には思った次第です。
投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2021年8月22日 (日) 10時09分