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2021年8月13日 (金)

ハイレゾHi-Res音楽鑑賞「MQA-CD」 = そして スーザン・ウォンSusan Wongの3アルバム

[MQA-CD] 

Mqalogoe1471714609314    CDよりは高音質であるハイレゾHi-Res(High-Resolution)により音楽を聴くというのは、既に当たり前の世の中になってきた。そのハイレゾにおいて、最も私が注目したのは、ここで2018年に取上げたMQA-CDである。そしてあれからまる3年が経過し、その姿も明瞭になり、そしてソフトであるMQA-CDも各種多くなってきた。そもそもハイレゾを聴く環境には、それなりの装置と環境が必要で、なかなかそれに至るには難点が多かったが、このMQA-CDの出現によって、かなり簡単・単純化してきた。
 このMQA-CD(Master Quality Authenticated-CD)の利点は、従来のCDに高音質ハイレゾHi-Resを記録したことだ。しかもそれは一般の我々もその信号をデジタル信号として記録可能(SACDと異なり、一般の方法でリッピング可能、更にデータディスクとしても作成も可能)、又一般の従来のCDプレイヤーで再生可能であることだ。更にストリーミングにも適している。

MQA-CDをハイレゾで再生するには
① 「MQA対応CDプレーヤー」で再生 (従来のCDプレイヤーでなく)
② 従来のCDプレイヤーのデジタル音声出力を使って「MQAフルデコードDAC」に接続して再生
③ MQA-CDをリッピング(特に特別な装置不要)して「USB-DAC」(もちろん「MQAフルデコードDAC」が最適)を通して再生

 ①は、最も簡単だが、従来のものでなく「MQA対応CDプレイヤー」が必要
 ②も簡単、「MQAフルデコードDAC」のみ購入して今までのCDプレイヤーとアンプの間に入れる
 ③は、音楽再生をPCオーディオで行う人向け

 こうしてハイレゾ・サウンドが楽しめる世界が明確になって、当初私は③を試みたが、現在最も簡単な①で行っている。しかし、②が最もその他の場合にも多機能で安価である。

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ハイレゾHi-Resの「MQA-CD」でスーザン・ウォンSusan Wongを聴く

Unnamed_20210813175201  スーザン・ウォン(Susan Wong, 1979年10月8日 生まれ →)は、香港出身の歌手、女優、ファッションモデル。中国名は黄翠珊。香港に生まれ、香港を拠点に活動しているが、6歳の頃、家族と共にオーストラリアのシドニーへ移住し、シドニー大学を卒業後に単身で香港に戻った。シドニーでカラオケのコンクールで優勝、これが本格的に歌手としての道を歩むきっかけらしい。
 1997年アルバム・デビュー、2004年再び日本進出で英語歌詞のアルバム・デビュー。好評を獲得。
   現在、彼女のリリース盤は高音質を一つのポイントに置いている「evosound」レーベルもので、そこではMQA-CDリリースにも力を入れている。彼女の3枚のアルバム紹介する。

<Jazzy not Jazz>

Susan Wong 「511」
MQA 24K Gold Disc : evosound / IMPORT / EVSA877G / 2020

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Recorded,mixed and mastered at 96kHz/24bit

 本作は2011年11月に発売されたアルバム「511」のかなり音質に気合いの入った日本製作のゴルド・ディスク(24KT GOLD)のMQA-CDによる再発盤である。スイスを拠点に活動しているプロデューサー、エイドリアン・ツェルビーニAdrien Zerbiniを迎え、ジュネーブにあるスタジオRoom511で録音。スタジオ名をそのままアルバム・タイトルに採用したもの。メジャー・アーティストのエンジニアとして活躍したKEVことケヴィン・メトカーフKevin Metcalfにより96khz/24bitでレコーディングされた。これは世界1000枚の限定製作で、オーディオ・ファン注目度が高く、既にメイカー在庫売り切れとなっている。
 選曲はマイケル・ジャクソンの「ビリー・ジーン」ほか10ccなどのポピュラーな曲群。
   音質はそれなりに仕上がっている(低音部の重量が少々甘い)。ただし歌やバックの楽器等が全て中央配置である為、奥行きに工夫が施されているが不完全、これはもう少しそう広くない程度で左右分離配置し、広がりも重視すれば良かったかなぁーーと。そして最も重要な彼女のヴォーカルは、若干ウィスパー・タイプでセクシャル・アッピールを試みている。これは聴く人によっての評価だろうが、私はちょっと違和感もあった。

(Tracklist)

1. September
2. I'm Not In Love
3. You Are So Beautiful
4. Home
5. Umbrella6
6. Blame It On The Boogie
7. Everytime You Go Away
8. Billie Jean
9. Empty Room
10. Windmills Of My Mind
11. It Ain't Over T'll It's Over
12. Saving All My Love For You
13. The Winner Takes It All

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Susan Wong 「My Live Stories」
MQA-CD : evosound / IMPORT / EVSA883M / 2019

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Susan Wong(vo)
Pat Bergeson(g)
John Morton(g)
Denis Solee(as,fl)
Eugene Bien(p)
Daniel O'Lannerghty(b)
Marcus Finnie(ds)
Perry Danos(background vo)
Connye Florance(background vo)
Andy Leftwich(vln, mandolin)

Reorded mixed and mastered at 96kHz/24bit

 このアルバムは、アメリカはナッシュヴィルにある世界的に有名なオーシャン・ウェイ・スタジオで録音され、スーザン自身もレコーディングについては、納得の評価をしているらしい。彼女自身のお気に入りの曲を選び、主としてポピュラー、ボサ・ノバの名曲を収録の形になっている。24bit/96khzで録音された音質を出来るだけ聴き手に届けるべくMQA-CDを採用したアルバムだ。
 これは前回は24KTGOLDの材質でのリリースであったが、今回はMQA-CDに音質の高度化を求めた。従って価格の低下も為し得ている。
 ヴォーカルの音質にはかなりの効果を上げており、又バックのシンバル音を聴いてみると、非常に繊細にして素晴らしい。ここでも重量級の低音が欲しいところ。
 ここで取上げた3枚のCDでは、私自身はこのアルバムのバツク演奏スタイルが良いと思った。

(Tracklist)

1. You’ve got a friend
2. Billie Jean
3. Something
4. (They long to be) Close to you
5. September
6. You make me feel like a natural Woman
7. What a difference a day made
8. Perfect
9. Cry me a river
10. I will survive
11. Love will keep us alive
12. California dreaming
13. When you say nothing at all
14. Sometimes when we touch
15. Have you ever seen the rain
16. Do that to me one more time
17. Desperado

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Susan Wong 「Close To Me」
MQA-CD : evosound / IMPORT / EVSA648M / 2019

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Recorded ,mixed and mastered in Hi-Res audio (96kHz/24bit)

 2018年、96KHz/24bit録音され、2019年リリースの彼女のMQA-CD最新盤、20年を超えるキャリアの中で、最長の制作期間4年を費やした通算6枚目のアルバム。高音質レコーディングに徹底したこだわりでのハイクオリティー・サウンドと銘打って、アメリカ、香港、フィリピンと3カ国でのレコーディングを通して造られている。
 ここでは彼女のヴォーカルには変化がみられ、これまでのウィスパー官能スタイルから、ややストレートな方向に向かっていて、むしろこのほうが良いかとも思う。彼女のヴォーカルを最大限活かすアレンジで徹底カヴァーしたものとの事だが、チェロなど加わったスタイルとなっている。

(Tracklist)

1.Vincent
2.Sing For You
3.Man In The Mirror
4.The One You Love
5.Sunday Morning
6.What's Going On
7.Don't Dream It's Over
8.He's the One
9.Can't Hurry Love
10.That's Why You Go Away
11.When You Were My Man
12.Yesterday

 これらのスーザン・ウォンの高音質盤リリースに力を入れている「evosound」は、アジアを拠点としている高音質盤をリリースするレーベルである。彼女のこれらMQA-CDは、オーディオ・ファンに人気のもの。ここに取上げた3枚の中では、この「Close To Me」が最新盤であるだけ音質は優れている。録音の焦点は当然彼女のヴォーカルにあり、それぞれ彼女を音場の中央前面おいており、その点はかなり充実している。ただし私が聴くに、バック演奏の質がもう少しジャズ的な充実があると面白いと思うところだ。演奏音がクリアであるが、音場的に左右に広がりがもう少しあることと、低音域の充実、それと奥行き面にもう少し深さが欲しいと思った。それは同じ「evosound」の以前紹介した好録音Chantal Chamberland「Temptation」(EVSA719M/2019)と比較してみると解るところ。
 しかし、こうしてハイレゾ・サウンドのリリースに力を注いでいるところは大いに評価したい。

(評価)
□ 選曲・演奏・歌   85/100
□   録音        88/100

(視聴)

*

 

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コメント

わたしは、限られた範囲の音楽しか知りませんが、それは誰しも同じかと。 これほど、自分が聴いてない音楽が説明されると、とても不思議な気分です。
世界中のみんなが、それぞれに偏ってる(笑)
それが当然なのでしょうが。

この歳になりまして、自分の目が見えなくなってることを実感します。
であるならば、味覚も聴覚も衰えて来ていると考えられます。 高音質を享受出来る自分は、もはや居ないのではないかという気もします。

投稿: iwamoto | 2021年8月16日 (月) 11時25分

iwamoto様、コメントどうも有難う御座います
PHOTOもそうですが、我々の年代で誰もが興味がある訳でもありませんね・・
"世界中のみんなが、それぞれに偏ってる" おっしゃるとおりですね。一口に「音楽」っていってもまさに範囲は広く、好みはそれぞれで良いのではないでしょうか。
高音質に関しては、是非とも追求して欲しいですね、明らかに受け入れが異なります。やはりハイレゾはいいですね。
 そして我々の感覚では、味覚との違いは、聴覚は検査にて数字で表すことが出来るという事でしょうね。私は聴覚検査をしましたが、弱くなる高音域も歳の割には健在でした。その点は喜んでいます。又、音というのは耳からだけでなく、体でも感ずるというところが面白いですね。従って聴覚領域以外にも広く網羅し出せるオーディオ装置が必要ですね。その点もハイレゾは、今までのCDとは違った良好な音源なんですね。是非試みてください。

投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2021年8月16日 (月) 15時46分

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