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2021年8月23日 (月)

ティエリー・ラング Thierry Lang & Heiri Känzig DUO「CELEBRATION」

詩情豊かにして優しさが満ち満ちて・・・25年の共演成果がここに

<Jazz>

Thierry Lang & Heiri Känzig DUO「CELEBRATION」
UNIVERSAL / IMPORT / 0862487 / 2020

Celebrationw

ティエリー・ラングThierry Lang, piano
ヘイリ・カンツィヒHeiri Känzig, double bass

 しかし、我々のように通常はCDで音楽アルバムを手にして聴いている者にとっては、なかなかやっかいな時代の到来である。
 Universal Music でありながら、CDは少量のみが輸入販売されたものの一つが、先日ブログ友・中年音楽狂さんご推薦のこのティエリー・ラングのアルバムである。
 ハイレゾものとしては、MQA-CDを立ち上げておきながら、このアルバムがMQA-CDとしてリリースされていない。どうしても通常のCDが欲しければ外盤を輸入業者を通すか、自己で輸入するかによる方法となる。とにかく聴きたければ、欧米では既に当たり前となっているストリーミングによる方法が日本でも当然となった例であり、それにより聴くことは可能である。

 とにかく、取り敢えず聴いてみたいと言うことで、私はe-onkyoから音楽データをダウン・ロードして手に入れ聴いている。中身はそれなりにハイレゾもあり、FLACと MQAが選べる(共に 88.2KHz/24bit)。結論的には愛聴盤として持っていたいというものの代表格のアルバムだった。
 ティエリ-・ラングのアルバムは、最近では2016年にここで『MOMENT IN TIME』(4768636/2016)を取上げたことがあるが、それ以来の久々の登場だ。

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 このアルバムはティエリー・ラング(piano)とヘイリ・カンツィヒ(bass)のデュオ・アルバムだ。それは彼らの長い約25年の何回かの共演の実績の上に作り上げられたものとして評価に十分値するもの。そこにはごく自然体の二人の姿がみえてくるところが注目点で有り、聴く者にとっても堅苦しさのない自然体で聴けるという仰々しさが全くない、これこそ実績のあるものにしか造れない代物だ。

(Tracklist)

1 Tender Waltz 4:23
2 Celebration 3:45
3 The Eye Of The Fly 7:00
4 Emily 7:14
5 The Nearness Of You 9:08
6 Just Mine 6:38
7 Inspired By You 5:18
8 Basse poésie 2:06
9 Island 5:41

Total Runtime 51:13

  ピアノの美しい優しいメロディーの曲M1."Tender Waltz"、ゆったりとしたワルツで暗さはなく、希望的な展開。デュオ・アルバムということで、ピアノの旋律にリズム・サポートのベースの音もしっかりと対等に聴き取れる録音で気持ちが良い。
 アルバム・タイトル曲のM2."Celebration"、祝賀と言うことか、弾むベースのパーカッシブな音に乗ってのピアノが心地良い。
 M3."The Eye Of The Fly"はバラード調の哀感ある情緒たっぷりの曲で、M4."Emily"は、心の深層を描く。
 M5."The Nearness Of You "、9分以上の最長の曲。延々と物語が語られる。
 M6."Just Mine" 優美にして美メロディーの極み。
 M7."Inspired By You"ピアノとベースが交互に旋律を奏で、ピアノの美とベースのピッチカットの迫力が、長い歴史への感謝のムード。
 M8." Basse poésie" スラッピングの効いたピチカットが堪能出来るベース・ソロ。
 M9." Island" 両者のユニゾンの美、そしてハーモニーと進み、何か安堵の世界。

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 ヘイリ・カンツィヒとティエリー・ラングは、1996年に大御所Blue Noteと10年契約を結んだ唯一のスイスのジャズミュージシャンとか。彼らは共に15枚のアルバムを録音製作した。モントルー・ジャズ・フェスティバルは当然として、世界中の様々なクラブや様々なフェスティバルで演奏してきた。
 ‎二人は異なるキャラクターだと言われるが、美しいピアノと格好いいベースが、互いを補完し、ほとんど自然の流れのなかでの相互に理解し作品を生んでいる。それはどちらかというとクラシックを学んでのジャズとの間のリンクを見つけ歩んで来たピアニストのラングと、ニューヨーク生れでウィーン、チューリッヒで学んでヨーロッパでの活躍が多いジャズ、インプロヴィゼイション、ワールド・ミュージックなど幅広いグルーヴィー・ダブルベースプレーヤーのカンツィヒの間に、見事なハーモニーが生まれているんですね。‎

 なかなか、メロディーの美しさと優しさの満ちている安堵の気持ちで聴けるアルバムであった。

(評価)
□ 曲・演奏  90/100
□ 録音    88/100

(視聴)

 

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コメント

風呂井戸さん,こんばんは。ご紹介ありがとうございます。

Thierry Langは以前からいい作品をリリースしていますので,十分信頼に値する人だと思いますが,こういうアルバムはもっと知られてよいと思いますし,ちゃんと媒体を流通させるべきですよねぇ。

まぁそれでもこの音楽の魅力は文句のないところで,実にいいアルバムに出会えたと思っています。

ということで,当方記事のURLを貼り付けさせて頂きます。
https://music-music.cocolog-wbs.com/blog/2021/08/post-83a90a.html

投稿: 中年音楽狂 | 2021年8月23日 (月) 20時25分

中年音楽狂さん、
わざわざこちらへ有り難う御座います
Thierry Langは過去にも素晴らしいアルバムがあるのですが、ちょっとアルバムが手に入りにくいこともありましたね。今回は私は中年音楽狂さんのお話で、ニューアルバムが出ていたことをしって早速ストリーミングにて手に入れました。
 確かに、もう少し力を入れて販売してもよさそうに・・と思いますが、何か事情があるのでしょうか。
 いずれにしても、このデュオは、その両者が相手の自分にない良さを知っての共演が光っているようにも思います。いいアルバムですね。

投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2021年8月23日 (月) 22時44分

良い感じに聞けます。
レベルが高い音楽、お任せで目の前に並んだ料理を食べてゆくよう。
残念ながら、ジャケットは、もっとやり方があったのではないでしょうか。

投稿: iwamoto | 2021年8月25日 (水) 16時24分

iwamotoさん
コメントどうも有り難うございます。
 Thierry Langの美旋律と格好いいHeiri Känzigのベースは、25年のお互いを知り尽くしての技が、こんな格調高いジャズを演じてくれたことに感謝して聴いています。
 おっしゃるように、ジャケはもう少しアルバムの内容に勝るとも劣らないものが欲しかったですね。我々に作らせた方が良かったのかも・・・なんて言いたくなります。(笑い)

投稿: photofloyd(風呂井戸) | 2021年8月25日 (水) 23時11分

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